閑話 プラムのさくせん3◆プラム視点
「………あっ、アンジェリカです…プラムちゃんのおともだちでっ、あの、えっと……」
プラムの前でアンジェリカちゃんはそれっきりだまった。
ぷしゅぷしゅと音をたてるあたまを見つめる。
アンジェリカちゃんはプラムよりあたまが良くていっぱいのお話ができる。だけど今日はべつの人になったみたいにしずかで、なんだかモジモジしている。
「いつもプラムと遊んでくれてありがとう」
「そんなっ、こちらこそです!」
「また家にも遊びにおいで」
「………っ、行きます!」
「よし、じゃあ帰ろうか。プラム」
そう言ってパパは手をさしだした。
プラムはあそんでいたお人形を箱にかたづけて、パパを見あげる。パパはおしごとがお休みだったみたいで、ママといっしょにこどもえんにお迎えに来た。
先生たちもなんだかキラキラの目でパパを見ている。プラムはちょっとおもしろくないから、パパの後ろにいるママの方を見てみた。ママもやっぱりつまらない顔をしてる。ママとプラムしか知らないパパをみんなが知ったから、少しだけかなしいんだね。
「ママも、かえろ!」
プラムがなまえをよんだらママもこっちにきた。
プラムはみんなにパパのこと知ってほしかったけど、パパはママのものだし、ママがかなしいのはいやだ。かえりみち、いっぱいいっぱい考えて、どうやったらママがもっとパパをひとりじめできるか考えた。
だけど、プラムはまだこども。
いっぱいかんがえても分からないことはある。
こういうときはクレアに聞けばいい。
クレアはママとパパのどうりょーで、たよれるプラムのお姉さんだ。クレアはいろんなことを知ってるし、いっつもでっかいダースを負かしていてかっこいい。
◇◇◇
「え?ローズとフランを仲良く……?」
「こえがおおきいよ!」
プラムが手をのばすと、クレアは「ごめんごめん」と言っておててを口にあてた。ダースもクレアもおしゃべりだし声がおっきいから、プラムはドキドキする。
今日はクレアがおしごとのおわりに家に遊びに来ていた。ママがいっぱいビーフシチューをつくったから、ダースとクレアもたべていくみたい。ダースとママとパパは三人でこんど行くえんせいの話をしてる。
プラムはクレアの方に近づいた。
コソコソ話をするため。
「ママ、もっとパパとなかよしになってほしい」
「………もう充分仲良しじゃない?」
「でもなんかちがう。プラムのことママはだいすきだけど、パパのことはなんかちがう」
「恥じらいかしら?」
「はじ……?」
「うーんとね、ローズにはきっとフランのことを知る時間が必要なんだと思うのよ。ちょっと説明が難しいんだけど、プラムのママとパパが仲良くなるためには、きっと恋人らしい時間が必要なんだと思う」
「こい………」
クレアはおでこにシワを作ってうなり出した。
まえにこどもえんにあそびに来た犬に似てるとおもう。
「そうね、そうことなら仕方ないわ。プラム……ママとパパのためにお姉さんになれる?」
「………なれる!」
「オッケー。じゃあ、ローズにお話してみましょう」
クレアはママの名前をおおきな声でよんだ。すぐにママがこっちにとんでくる。クレアがプラムのことをひざにのせたままで、おっきな笑顔をつくった。
「今日、プラムがお泊まりしたいって」
「え?」
「女子会をするのよ。ねぇ、プラム?」
「でも、プラムってまだ四歳よ?きっとお邪魔になっちゃうんじゃない?」
「プラムじゃまじゃない!さくせんなの!」
おこって言ったらクレアの手がプラムの口をふさいだ。
「女の子同士の会議をするのよねー?」
「むぐぅ……」
「クレアは大丈夫なの?明日のお仕事は?」
「騎士団は午前休よ。ローズの仕事終わりに迎えに来てくれたら良いからさ、フランと一緒に」
クレアは目の前にいるママを見て、それから遠くにいるパパを見た。ママは少しだけなやんでいたけど、プラムがめいわくしないとお約束したらいいよって言った。プラムはお姉さんだから悪いしない。
さくせんはせいこう。
プラムはクレアとにっこり笑った。




