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魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~  作者: 岡本剛也
第3章

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第80話 狩りの相談


 アモンとの模擬戦から、あっという間に四日が経過した。

 この間はほとんど何もできておらず、俺は大量のゴブリン達への指示を行っていた。


 各々勝手にやってほしいという気持ちがあったのだが、ゴブリンというのは本当に知能が低い。

 一から十まで指示をしなければサボるし、少しでも分からない点があったら何もしなくなる。


 全てのゴブリン達に指示を飛ばすのは簡単なことではなく、比較的知能の高そうなゴブリンを選抜して班長に据えることで、何とか円滑に事を進められるようにはなった。

 これだけで四日も費やしてしまったのはもったいないが、ここからはストラス、シトリー、バエルの三匹に協力してもらうことで、俺の代わりにゴブリン達に指示を飛ばしてもらおうとは考えている。


 とまぁ、通常種ゴブリンのことは一度置いておいて、四日間何もできずに経ってしまったのを取り返すべく、今から人間を討伐する作戦を立てるつもり。

 バエルだけを俺の家に呼び出し、顔をつき合わせての会議を行う。


「バエル、わざわざ呼び出して悪いな」

「いえいえ。シルヴァさんの呼び出しならいつでも応じますよ!」

「そう言ってくれると助かる」

「それで……今日はどんな用件で呼んだのですか?」

「実はだが――人間を狩ろうと思っていて、その相談をバエルと行いたい」

「人間ですか? ……正直怖いですが、いつかはやらなくてはいけないんですもんね」


 バエルは俺が戦士のおっさんと戦っていたところを見ているため、他のゴブリン達よりも人間に対する危機感が強い。

 逆にイチとサブの二匹は簡単だと思ってしまっているため、俺達と一緒に人間を倒してはいるものの相談はできないといった状況なのだ。


「正直、俺が戦ったあの人間はかなり特殊だった。バエルが倒した人間よりも、若干強いくらいの冒険者と呼ばれる人間を狩りたいと考えている」

「シルヴァさんの意見に異論はないのですが、その判別って可能なのですか? 僕には強い人間の区別がつかなかったので、それがより怖さを助長させているんですよね」


 やはり目を向けるところは俺と同じだな。

 筋肉量とかである程度は判別つく場合もあるが、魔法使いだとヒョロガリでも化け物のような人間がいる。


 気配を感じ取れない今、強さに関しては俺も見た目から見抜くことは難しい。

 強いてあげるなら装備の質。

 おっさん戦士も装備の質から強さを見抜いたしな。


「身につけているもので、ある程度の判別はつくが……絶対に見抜ける保証はないな。ただ俺達が強くなるなら人間との戦闘は避けられない。極力強い人間との戦闘は避けるためにも、バエルと話し合って作戦を立てたいってことだ」

「なるほど。戦わないという選択肢はなく、どうリスクを避けるかになってくるんですね」

「そういうこと。正直、この間は運が良かった。基本的に人間は同じ実力の者で群れて行動している」

「ということは、シルヴァさんが戦った人間ぐらいの強さの人間が固まって行動しているってことですか?」

「その可能性が高いってことだ。ただ逆に言うのであれば、弱い人間なら一緒にいる人間も弱い可能性が高い」


 一概に全部がそうとは限らないが、冒険者ならその可能性が非常に高い。

 前世の俺ぐらいの実力の冒険者がベストなんだが、そう簡単には見つからない。


「それじゃ森の入口を見張って、弱い人間が来たら襲いかかるみたいな感じでいいんじゃないでしょうか?」

「それは前回俺がやった作戦だが……今回は使えない」


 何度も言っているが、おっさん戦士を探しにこの森に捜索に来ている可能性がある。

 迂闊には近づけないし、下手すれば近づかなくとも向こうからやってくる可能性だって大いにある。


「そう……なんですか? 何か理由があるのでしょうか?」

「説明するのが難しいが、人間は頭が良いから対策してくるんだ」

「なるほど。それじゃどうやって人間を狩るんでしょうか?」

「策は三つ考えている。一つ目は人間が頻繁に行き来する道までこちらから向かい、そこで身を潜めながら弱い冒険者を選んで襲う。二つ目はこの森以外の森やら山に行き、弱い冒険者を選んで襲う。最後は強力な罠を自作し、強い人間だろうと嵌め殺せる罠を作ってこの森で襲う」


 どれも行き当たりばったり感は否めないが、今出来る作戦はこんなもの。

 森から出なくてもいい最後の選択肢が一番安牌のようにも思えるが、俺的には一番リスクが高い選択肢と思っている。


「この森の中で完結できるならそれがベストだと思うのですが……そんな高度な罠を作ることは可能なのでしょうか?」

「やはりバエルもそこが気になるよな。イチやサブがある程度モノ作りできるようになったが、俺は難しいと思っている」


 仮に作成できたとしても、五人まとめて嵌めないと意味がない。

 それに【シーフ】や【斥候】のような探知が得意な職業の人間がパーティにいたら、一発で感知されてしまう。

リスクとリターンに見合っていないのは言うまでもなく、俺はこの選択肢が一番厳しいと思っている。


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辺境の村の勇者、四十二歳にして初めて村を出る
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