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魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~  作者: 岡本剛也
第3章

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第77話 向上心


 イチとサブと別れ、ストラスの下に向かっている間に色々と思考する。

 少し前に考えていたように、そろそろ強化のために人間を狩ることを目標にしたい。


 その点で重要になってくるのは、どう強化していくかだろう。

 通常種ゴブリンを最低限ゴブリンビレッジャーにするのを目指すのか、それとも既に進化している俺達だけを強くしていくのか。


 どちらにもメリットがあるとは思うのだが、まずは突出した個を作ることが重要か。

 平均的に強化したところで、オーガを相手にして分かったように脅威ではない。


 進化している俺達を中心に強くなりつつ、ゴブリン達には手頃な魔物を狩って強くなっていってもらった方がいいはず。

 これからはオーガのための食料を集める必要がなく、自分達のためだけに時間を使うことができるからな。


 その分サボらせないように目を配りつつ、魔物の狩り方のマニュアルとして作っていいかもしれない。

 そんなことを考えながら拠点の中を移動していると、あっという間にストラスの家に着いた。


 ドアをノックしてから中に入ると、家の中にはシトリーとその部下たちもいた。

 やはりシトリーの部下は通常種のはずなのに、体がしっかりとしていて迫力があるな。


「あっ、シルヴァさん。シルヴァさんも来たんですね」

「俺はストラスの家にシトリーがいたことが意外だった。二人で何か話し合いでもするつもりだったのか?」

「ええ。私とストラスさんは明確に遅れを取っていますからね。新参者という免罪符があったのですが、それもアモンが戦果を挙げたことで使えなくなりましたから。ストラスさんと一緒にどうするのかの相談をしに来ていたところだったんです」

「いや、そんなに気にすることはないぞ。シトリーに関してはバエルも褒めていたし、ストラスもオーガ相手によく戦ってくれていた」


 アモンが活躍したのは俺が目をかけていたからって言うのも大きいし、二匹が気に止むことではない。

 サブリーダーに任命したのが二ヵ月前であり、二ヵ月の成長幅は期待以上だったからな。


「バエルさんが褒めてくださったのは嬉しいですが、間近で見ていたからこそ差を感じてしまいました。サブリーダーを引き受けた以上は妥協したくありませんし、ストラスさんも同じ考えだと思います」


 シトリーが力強くそう宣言したことに対し、後ろで立っていたシトリーの手下のゴブリン達が力強く頷いた。

 何だか異様な圧を感じるが、本当にそう悲観することじゃないと思っているんだけどな。


「気持ちは分かったが、二匹だけで勝手に動くのは止めてほしい。わざわざ声を掛けたことからも分かる通り、二匹の才能を俺は感じている。自主練という形なら何も文句はないが、個別で動くのだけは止めてくれ」

「――シルヴァさん、大丈夫ですよ。私はシトリーほど焦っていませんからね」


 話に割り込むように、奥からお茶を持って現れたのはストラス。

 どうやら話を聞いていたみたいで、俺の分のお茶まで持ってきてくれた。


「シトラスは焦っていないのか? 二人して暴走したら嫌だと思っていたが、その言葉を聞いて少し安心した」

「シトリーさんほど焦っていないというだけで、私も多少は焦ってますけどね。ただ、この二ヵ月間でシルヴァさんについていけば良いということも分かりました。私自身の成長幅も凄まじいですし……特にアモン。私はアモンを馬鹿なゴブリンの一匹という認識でしかありませんでしたが、あっという間に私を越えていきましたから。悔しい気持ちや焦る気持ちと同等に、アモンを見出したシルヴァさんへの信頼は強くなりましたよ」


 ストラスは熱気を感じるほど熱く語ってくれた。

 アモンに関しては才能を見出したとかではなく、反抗的な態度が気に入ったというだけ。


 実際には相当な才能を秘めていたみたいだが、全く意図していなかったし全部偶然なんだけどな。

 まぁ過程がどうであれ結果としてアモンは急成長した訳だし、ストラスとシトリーはまだ知らないだろうが進化まで遂げている。

 知性の高い二人にとってこの結果は、俺を信用するに足る理由になったってことだろう。


「信頼してくれたのは素直に嬉しい。俺はアモン以上にストラスとシトリーを買っているからな。何か一つの切っ掛けで必ず強くなれる。それは俺が保証する」

「……分かりました! 私はシルヴァさんを信じます。何でも致しますので、どうか私を強くしてください」

「私もお願いします。ホブゴブリンだからと余裕をこいていましたが、こうなった以上は泥を啜ってでも強くなりますよ。同じサブリーダーとしてアモンにだけは負けたくありませんので」

「ああ。二匹にはどんどん強くなってもらわないと俺が困るし、しっかりと導かせてもらう」


 二匹のやる気も見ることができたし、ストラスとシトリーだけじゃなくて全員が意識を高く持ってくれているのは非常にありがたい。

 ここ最近はニコとアモンばかりを中心に目をかけていたが、イチ、サブ、ストラス、シトリーの四匹に焦点を当てようか。


 バエルは絶対に必要なため、俺を含む六人で冒険者を狙う。

 明確な目標が定まったところで……俺はストラスの家を後にし、そろそろゴブリンビレッジャーとの話も終わっているであろうアモンの下へと向かったのだった。




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辺境の村の勇者、四十二歳にして初めて村を出る
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