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魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~  作者: 岡本剛也
第3章

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第76話 働き者


 ベースは緑色なんだが、赤いラインのようなものが入っていて見た目がかっこいい。

 顔立ちもハッキリとしていて人間っぽさが出てきている。


 背は少し伸びたくらいだが、このゴブリンソルジャーだったため元々大きかったからな。

 色が黒く変わった俺とは違い、羨ましい進化を遂げていて少し嫉妬してしまう。


「見た目も大分変わったし、相当強くなっていそうだな。ゴブリンソルジャーの時点で、ボスだった赤いオーガを仕留めたんだろ? ニコよりも強くなっているんじゃないのか?」

「強さに関してはいまいち実感がないな! ただ体が軽くなったのと、喋りが流暢になったのは自分でも分かる」

「あー、確かに言葉は聞き取りやすくなっている」


 顔立ちが人に近づいたことで、言葉を発しやすくなったとかだろうか。

 それとも単純に知能が上がった可能性もあるが、とにかく流暢になったのは俺としてもありがたい。


「とにかくニコさんには感謝をしないといけない。俺がこうして進化できたのはニコさんのお陰だからな!」

「……ん? なんでニコはさん付けで、俺はそのままなんだ」

「ん? 特に深い意味はないが、シルヴァもさん付けがいいなら変えるぞ」

「いや、別にそのままで構わない。ただ引っかかっただけだ」


 今では全員がさん付けで呼んでくるため、フランクに話しかけてくるアモンは割りと貴重な存在。

 ただ、ニコがさん付けで俺をタメ口なのはやっぱ引っかかるんだよな。


「……それより、この後一緒に能力を確かめに行かないか? 進化した自分の力がどうなったのかアモンも気になるだろ?」

「めちゃくちゃ気になっている! 今から試しに行こうと思っていたところだから、シルヴァも付き合ってくれるならありがてぇ! 何なら今から行こうぜ!」

「今から無理だろ。外でゴブリンビレッジャー達が待っているぞ」

「あっ、そういえば何も報告せずに寝ちまったんだった! 報告してから試しに行くから待っていてくれ!」


 アモンはそう言うと、慌てた様子で家から飛び出して行った。

 俺はその間にイチ、サブ、シトリー、ストラスの様子を窺いに行くとしよう。


 熱く語り合っているアモン達を横目で見ながら離れた俺は、まずはイチとサブに会うために二匹の家の近くに向かった。

 何やら作業をしているイチの姿が見え、その近くにはサブの姿もある。

 巨体のイチは遠くからでもすぐに分かるため、存在自体が非常にありがたい。


「イチ、サブ。何をしているんだ?」

「あっ、シるヴァさん! アタらしいタテモノもタテようとしていたんデス!」

「ボクがエモノようのたてものをホシイとイッタんです! ゴブリンのカズもふえてきましたし、ジャーキーにするタメのタテモノがあってもイイかなと!」

「なるほど。それでその作業をしていたのか。昨日オーガとの戦闘を行ったばかりなのに、翌日から働いてるって本当に偉いな。……というか、今日くらいは本当に休んでいていいんだぞ」


 俺は二人にそう伝えたのだが、首を力強く横にぶんぶんと振った。


「キノウはなにもしていないのデ! タイリョクにもヨユウがあるし、オレとサブはきっちりハタラク!」

「そう! フツウのオークだけだったのでヨユウです!」

「本当に偉いな。俺も何かやらなくちゃって気になってくる」

「あー、あー! シるヴァさんはヤスンでください! そうじゃないと、オレたちがさらにかすんじゃうのデ!」

「ソウです! つよいオーガとタタかったんですから、ヤスンでください!」


 俺も手伝えることがあれば手伝おうと思ったのだが、必死で止めてくる二匹。

 その感覚はよく分からないが、ここまで必死に止めてくるってことは手伝わない方がいいんだろうな。


「そういえばだが、イチとサブは倒したオーガを食べたのか?」

「タベましたよ! とくにカラダへのヘンカはなかったですが!」

「ボクもなにもカワラなかったですね! ほかのマモノとおなじように、ノウリョクをえられただけデス!」


 やはり大きな変化はなかったか。

 通常種オーガならトロールの方が強かったし、進化に値するような力を秘めていなかったということなのだろう。


 この様子じゃストラスやシトリーにも変化はなさそうだし、今回のオーガ戦で進化したのはアモンだけか。

 冒険者を狩った時と比べたら、成果としてはかなりしょっぱい。


「イチ達も特に変化はなかったか。やはり成長幅が一番大きいのは人間を喰った時。そろそろ人間を狙って狩りに行くのもありかもしれない」

「またボウケンシャをカルんですか? こんどはショウメンからタタカイたいです!」

「いや、それは人間を舐めすぎている。この間みたいな弱い人間もいれば、俺ですら手出しできないほどの人間もいる。振り幅の大きさがあるから気をつけないといけない」


 見極めが絶対に必要になるし、人間と戦う時はより慎重に動かなければならない。

 ダンジョンのようなものを作り、人間を誘き寄せて殺す――みたいな方法が取ることができれば楽なんだが、流石にダンジョンを作り出すことは不可能だもんな。

 ダンジョンを作るのは無理でも、そろそろ冒険者を倒す作戦を立てて実行に移してもいいかもしれない。


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