表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~  作者: 岡本剛也
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/81

第67話 大成功


 死体となったトロールを見下ろしながら、俺は大きく息を吐く。

 想像していた以上にタフな相手ではあったが、想像していたよりも楽に倒すことができたと思う。


 とにかく、これでトロールの能力を得ることができるな。

 トロールを食べるのは気が進むものではないが、あの驚異的な回復力が手に入る可能性があるなら、どんな手を使ってでも腹の中に収めるつもり。


「うオおおおお! ほ、ホントウに……と、トロールをタオした! お、オレタチってゴブリンなんだヨナ!?」

「そりゃゴブリンだろ。アモンはよく立ち向かっていったな」

「む、ムチュウでほとンドなんにもオボえてない! ニコがイケっていったからツッコんだだけ!」


 アモンは未だ興奮冷めやらぬといった感じで、言動も少しおかしなことになっている。

 嬉しさが全面に出ており、微笑ましい気持ちになってくる。


「確かに指示も含めてニコがよくやってくれた。あのカウンターを狙っていたのか?」

「うがっ!」


 ドヤ顔で親指を立てたニコ。

 ここまで頼りになる存在になるとは思っていなかったが、本当に嬉しい誤算だな。


「僕は何もできませんでした。あっという間にトロールが両断されていて、せっかくの強敵でしたのに悔しいです」

「バエルが後ろに控えてくれているから、ニコも好き勝手できてたんだよ。そう悲観しなくていい、俺は評価を下げたりしない」


 後衛、サポート役の大切さを知っているからな。

 普通の魔物なら、戦果を挙げたものしか評価されないっていうのがあるだろうが、俺はキッチリと評価する。


「シルヴァさん……慰めのお言葉、ありがとうございます」

「慰めているとかじゃなく本心でそう思っている。それじゃ解体して、昨日のキャンプ地まで持っていこう」


 みんなで手分けして解体を行い、キャンプ地まで運び込んだ。

 巨体なだけあって運ぶのが大変だったが、手分けしたことで何とか運び込めた。


 俺はこれからこの大量のトロール肉を食うことに専念し、バエル達は何やら狩りに出かけるらしい。

 トロールの強さを考えたら、全員分のトロールを狩ることも可能だと思うが、運び込むのと全部食べる行為が不可能に近い。


 特にニコに関しては、通常種ゴブリンと変わりないからな。

 ……まぁ、俺も通常種ゴブリンから黒くなっただけの姿ではあるんだが。


「あまり遠くには行くなよ。助けられないからな」

「大丈夫です。シルヴァさんが駆けつけてくれる位置で狩りを行いますので」


 三匹が巣から出ていったのを見送ってから、俺もいよいよトロール肉との格闘を始める。

 焼き、蒸し、茹での様々な調理法を駆使しながら、食べ勧めていくとしよう。



 トロール肉との格闘を始めて丸一日。

 ようやく全ての肉を腹の中に収めることができた。


 味自体は見た目ほど悪くはなかったのだが、とにかく量が多い。

 食っては寝てを繰り返しながら、途中折れかけた気持ちを持ち直して、何とか完食することに成功した。


「シルヴァさん! おめでとうございます!」

「ありがとう。俺の食事に付き合わせて悪かったな」

「いつもは僕たちに付き合ってもらってますので! それに僕たちも狩って魔物を食べれましたし、大満足の遠征です」

「うが!」

「そう言ってくれて良かった。それにしても……過去一きつかったな」


 もうトロールは一生見たくないな。

 別の意味でトラウマを植え付けられたが、色々と学べたこともあったし結果的には良かっただろう。


「トロールのノウリョクはエラたのか? エラれたなら、ミセテくれ!」

「どうだろうな。食べたばかりだし、まだ能力が得られてなそうだが……試してみるか」


 俺は短剣を取り出し、腕を軽く斬ってみることにした。

 思いのほか深く斬ってしまい、結構な血が腕から滴り落ちる。


「……何にも変化してませんよね? シルヴァさん的には何か変化を感じますか?」

「いいや、全く感じないな」


 傷が塞がる様子はないため、次は念じて見ることにした。

 傷口を見つめながら回復を意識すると――徐々に傷口が塞がり始めた。


「おおっ! キズがフサがっていル!」

「能力を得られているな。使い方は他の能力と同じだ」

「凄いですね! 流石にシトリーの回復魔法よりは回復速度は遅いですが、この能力はかなり使えそうです」

「ただ……思っている以上に体力の消費が激しい。無闇やたらと攻撃を受けるみたいな立ち回りは難しいと思う」

「ただ強力ってわけでもなく、それ相応のデメリットがあるって感じですか」


 体力消費が激しいことを加味しても、非常に有用な能力なのは間違いない。

 トロールを楽に狩ることができるのも分かったし、タンクであるイチにこの能力を付与させてあげたいな。


「とりあえず成果は得られたし、拠点に戻るとしよう。遠征も行えることも分かったし、大成功といっていいはず」

「そうですね! オーガに勝つビジョンも見えました」

「うがっ!」

「ほんのスコシまえマデは、オーガにカツなんてカンガエたこともなかっタけど……トロールにあっしょうシタことでカテルとオモエた! ――ゼッタイにカトう!」

「そうだな。絶対に勝とう」


 全員の自信にも繋がり、強力な能力も得ることができた。

 控えめにいっても今回の遠征は大成功であり、オーガへの下剋上に向けての勢いをつけることができた。

 この勢いのまま一ヶ月後に迫る下剋上に向け、全力で準備を進めていくとしよう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作はこちらから飛ぶことができます!
辺境の村の勇者、四十二歳にして初めて村を出る
お読み頂けたら嬉しい限りです!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ