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魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~  作者: 岡本剛也
第2章

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第58話 地盤


 正式に赤いオーガからリーダーに任命され、俺は例の広場にゴブリン達を集めた。

 こうして前に立つと圧巻の光景であり、今までは五匹で行動していたものが、一気大所帯で動かせることに少し感動すら覚えている。


 まずやるべきことは、サブリーダーとのコミュニケーションをとること。

 通常種ゴブリン達の個々の能力の向上も図りたいところだが、今からやって下克上までに戦力になるとは考えにくい。


 そのため戦力となりそうなサブリーダーの二匹+ゴブリンソルジャーと、俺含む五匹の戦力強化を図り、この八匹でオーガを全て倒すつもりでいる。

 それまではカモフラージュとしてこれまで通り働いてもらい、個々の能力を向上させるのは下克上を果たしてからでいいだろう。


「今日からゴブリン達のリーダーを務めることになったシルヴァだ! 今日からはオーガではなく、俺の指示に従ってくれ! ……とは言っても、やることはこれまでと大して変わりない! 食料を集めてオーガに献上するだけだ! よろしく頼む!」


 俺が大声を張り上げ、ゴブリン達にそう指示を飛ばす。

 ゴブリンは言葉を理解できないため、身振り手振りでなんとか少しでも伝わるように工夫したのだが……反応は正直いまいち。


 俺の熱量とは裏腹にあまり盛り上がらず、何の手ごたえもないまま解散の運びとした。

 ここでグッとゴブリンの心を掴めるようなことができれば良かったのだが、まぁ今は特に考えなくていいだろう。


 オーガへの下克上さえ果たせば、おのずと俺に従うようになるはず。

 それに問題はここからであり、サブリーダーが何といっても重要。

 

 一応約束を取り付けてはいるが断られる可能性があるからな。

 そんなことを考えながらゴブリン達が各々の巣に戻っていくところを見ていると、近くで見ていたホブゴブリンが話しかけてきた。


「本当にリーダーに任命されたんですね。それにしても……全く大衆の心を掴めていませんでしたね」

「ああ、全然響いていなかったな。もう少し簡単にまとめられると思っていたが甘かったみたいだ」

「仕方ありませんよ。言葉を理解できるゴブリンなんて極僅かですから」


 このホブゴブリンがなんでここまで言葉を話せるのか気になるが、今はそっちよりも優先して聞きたいことがある。

 まずはサブリーダーの件を聞くとしよう。


「まぁ今は他のゴブリン達の気持ちはどうでもいい。ホブゴブリンとゴブリン希少種の二匹がどう思っているのかが知りたい。この前はサブリーダーを引き受けてくれると言っていたが、その気持ちは変わっていないか?」

「ええ。自分で名前を名乗っているおかしなゴブリンではありますが、サブリーダーは面白そうですので引き受けますよ」

「それは助かる。こうして意思疎通が取れるだけでも本当にありがたいからな」

「ですが、サブリーダーというのは何をすればいいんですか? 私も以前までと特に変わったことはやらなくていいのでしょうか?」

「そのことについてはみんなが揃ってから話す。ちょっと待っていてくれ」


 俺はホブゴブリンにここで待っていてもらい、視界の端で捉えていたゴブリン希少種の下に向かった。

 問題はゴブリン希少種であり、約束通りコボルトキングは狩ったものの、率いるのが嫌だと言っていたから引き受けてくれるか怪しいんだよな。


「ちょっと待ってくれ。サブリーダーの件で話がある」


 俺がゴブリン希少種に声を掛けると、前はいなかった手下であろうゴブリン通常種が睨んできた。

 体も他よりも大きく、大きな古傷があるものが多いゴブリン希少種の手下。

 普通のゴブリンは戦力にならないとさっき言ったばかりだが、ゴブリン希少種の手下は戦力になるかもしれない。


「あっ、シルヴァさんでしたよね? リーダー就任おめでとうございます」

「ありがとう。ただ、俺がリーダーになったことよりもサブリーダーの件で話がある。引き受けてくれると約束してくれたが、その約束は覚えているよな?」

「ええ。約束しましたが……条件はコボルトキングの討伐です。その条件を達成してからに――」

「もう既にコボルトキングは倒した。これが討伐した証だが、耳だけで分かるのか?」


 俺は剥ぎ取ったコボルトキングの耳をゴブリン希少種に見せた。

 剥ぎ取ってから時間も経っているし、かなり萎んで腐っている感じではあったのだが、どうやらこの耳がコボルトキングのものとすぐに分かったらしい。


「………………本当にコボルトキングの耳ですね。もう倒したのですか?」

「これがコボルトキングの耳だと分かってくれたのは良かった。とりあえずこれで約束を果たした訳だが、サブリーダーの件を引き受けてくれるか?」

「……ええ。約束しましたのでサブリーダーを務めさせて頂きます」

「それじゃよろしく頼む。早速だがこれから話があるんだが大丈夫か?」

「……ええ。もちろんです」


 コボルトキングの耳を眺めたまま空返事なのが気になるが、了承してくれたし大丈夫だろう。

 あとは……ゴブリンソルジャーも一応呼ぶか。


 貴重な戦力なことに間違いないし、生意気な態度も含めて嫌いじゃない。

 俺はゴブリンソルジャーにも声を掛けに向かった。



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辺境の村に住んでいた最強の主人公が、おっさんにして初めて村を出て栄えている街で無双しながら成りあがっていくお話です。

こちらは苦戦とかもなくストレスフリーな内容で執筆していく予定ですので、無双するおっさん主人公が好きな方はぜひ読んで頂けたら幸いです!


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辺境の村の勇者、四十二歳にして初めて村を出る
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