表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~  作者: 岡本剛也
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/81

第52話 コボルト狩り


 食料納品日の翌日。

 早速だが、ゴブリン希少種と約束したコボルトキングの捜索に入ろうと思う。


 向かうメンバーは全員でも良かったのだが、イチとサブには残ってもらって新しい巣を作るための材料を集めてもらうつもり。

 未だに生まれた時から使っている汚い横穴のような場所を巣にしているからな。


 そろそろまともな家に住んでもいいと思うし、家を作れるだけの力は備わっている。

 力のあるイチを中心に組み立てれば、あっという間に完成するはず。


 とりあえず次の納品日までには家を完成させることを目標にしつつ、今はコボルトキングを討伐することだけに集中しよう。

 ニコとバエルだけを連れ、巣を後にした俺達はまずは通常種のコボルトを探すことにした。


「バエル、コボルトを見かけたらすぐに教えてくれ」

「分かりました。普通のコボルトでいいんですよね?」

「ああ。コボルトを尾行して巣の場所を突き止める。ニコはまだ狩ったことのない魔物を見つけたら狩っていいからな」

「うが!」


 バエルと俺で先頭を歩き、後方にニコを待機させるという布陣で森の中を進んでいく。

 普段ならすぐに見つかるのだが、探すとなると見つからないのが世の常。


 森の中を探して二時間ほど経過したタイミングで、ようやくコボルトを見つけた。

 四匹で行動しており、俺達の存在には気づいていない様子。


「やっと見つかりましたね。私が尾行しますので、シルヴァさんとニコは私を尾行してください」

「分かった。気づかれないように気をつけてくれ」

「任せてください。絶対に気づかれないようにします」


 バエルは気配を消すと、木陰に隠れてコボルトの尾行を開始。

 俺とニコはバエルを追跡するように後を追っていく。


「ここからは耐久戦だ。見知らぬ魔物を見かけても無視だぞ」

「うが」


 ニコにしっかりと忠告してから、コボルトの追跡が始まったのだが……。

 何も考えなしで動いているのか、同じ場所をぐるぐると回ること十周したあと、ようやく動きを見せたコボルト達。


「ようやく移動し始めたか。コボルト達、五時間くらい何もしてなかったぞ。イライラしすぎて危うく殺してしまうところだった」

「ウガガ、ウガ!」

「止めてくれてありがとな。俺なんかよりもよっぽど忍耐力がある」


 俺が飛び出そうとしてはニコが止めてくれたから何とかなったが、あまりにも無意味な時間過ぎて辛かった。

 ただ、恐らくここからコボルトの巣に戻るはず。


 ようやく違う風景の場所を進むことができて晴れやかな気持ちになりつつ、コボルト達を更に尾行すること二時間。

 コボルト達が溜まっている場所を見つけることができた。


 数はザッと二百匹ほど。

 視界に映っている全てが通常種のコボルトだ。


 通常種ゴブリンと通常種コボルトではコボルトの方が上だが、ゴブリンには無数の可能性を秘めていることを考えれば、魔物としての最底辺はコボルトのような気がしてくる。

 ホブゴブリンやゴブリン希少種のような、会話のできるゴブリンも極少数ではあるが、存在している訳だしな。


「尾行、完了しました。恐らくあの巣の奥にコボルトキングがいると思いますがどうしますか?」

「今は一番数の多い時間帯だろうし、一度日を改めるか? ……いや、コボルトなら俺達三匹でも蹴散らすことができるのか? バエルはどう思う?」

「余裕で蹴散らせると思います。最近はニコに付きっきりでしたし、シルヴァさんに良いところを見せたいって気持ちが強いですね」


 完全に私情を挟んだ意見ではあるが、俺もバエルの意見に大方同意している。

 それにコボルト相手に万全の準備を整えなければ勝てないのであれば、オーガに下剋上なんて夢のまた夢だろうしな。


「なら、このままコボルトの巣を攻め落とそうか」

「皆殺しで大丈夫ですか?」

「向かってくるものは皆殺しでいい。コボルトキング以外の逃げるものは追わなくていいからな」

「分かりました。……ニコ、どちらがコボルトキングを仕留められるか勝負です」

「ウガッ! ウガガ!」


 バエルがニコにそう呼びかけ、ニコもやる気満々な様子で返事をした。

 本当はニコにコボルトキングを捕食させるつもりで連れてきたのだが……二人ともにやる気だし、俺が今から口出しするのは野暮か。


 こうなったら俺も本気でコボルトキングの首を狙いにいくとしよう。

 コボルトは微妙だったが、コボルトキングなら良い能力を得ることができるかもしれないしな。


「俺も参戦させてくれ。俺、バエル、ニコで誰がコボルトキングを狩ることができるかの勝負だ。手加減は一切無用だぞ」

「それは――ワクワクしてきましたね! シルヴァさんよりも先にコボルトキングを倒させてもらいます」

「ウガッ! うがが!」


 俺の提案にもノリノリで返事をしてくれたバエルとニコ。

 バエルはともかく、ニコも本気で戦えるくらいには育ってくれたし、俺も久々に楽しくなってきた。

 絶対に死ぬことだけはないようには気をつけ、コボルトキング狩りを始めるとしよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作はこちらから飛ぶことができます!
辺境の村の勇者、四十二歳にして初めて村を出る
お読み頂けたら嬉しい限りです!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ