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魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~  作者: 岡本剛也
第2章

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第45話 メリットとデメリット


 狩りを行った翌日。

 今日は決めていた通り、ニコと共に魔物を狩る日。


 サブとイチとバエルには三人で訓練を行っていてもらい、今日はニコのためだけに魔物を狩っていく。

 本当は冒険者を狩って、ニコも俺達のように進化させた方がいいのは分かっているが、冒険者を狩ることのリスクの大きさは前回の戦いで思い知らされた。


 あれだけ準備をして迎え討ったのに、おっさん戦士には殺されていてもおかしくなかった内容だったからな。

 俺達も進化して成長したとはいえ、向こうが油断していなければ今の力をもってしても簡単に全滅させられると思う。

 それぐらいおっさん戦士は腕の立つ冒険者だったし……そんなおっさん戦士を殺してしまったことが、迂闊に冒険者を狙うことができなくなった一番の理由。


 正直、ルーキー冒険者なら進化した今の俺達なら真っ向勝負でも勝てるだろうが、恐らくルーキー冒険者にはこの森への立ち入り禁止の命令が下っているはず。

 これは俺が元冒険者だから分かることだが、安全と思われていた森にベテランの冒険者が入り、戻ってこなかったとなると確実に警戒する。


 まずは帰還を待つだろうが、俺が寝ていた間に待機する期間は終わっているはずだ。

 今頃は死んだと見なされ、ルーキー冒険者パーティと引率したおっさん戦士は死亡したと判断されているだろう。

 これがルーキー冒険者パーティのみだったら、よくあることで済まされるのだが、ベテラン冒険者が引率していたことで警戒度が全く違うものになる。


 警戒の度合いについては、あのおっさん戦士がどれほどの冒険者だったかで変わるのだが、低く見積もってもゴールドランクは確実。

 年老いていたように見えたし、若い頃はプラチナランクだったと言われても決して驚きはしない。


 元プラチナランクの冒険者だったら……相当厄介だな。

 途中から本性を見せたが良いベテラン冒険者を演じていたし、慕われている風でもあった。


 昔は凄腕で、誰からも慕われていたベテラン冒険者の失踪となったら、冒険者ギルドが捜索隊をこの森に送っていても不思議ではない。

 何なら、既に捜索隊が森に来ている可能性だってある。


 倒してすぐにぶっ倒れてしまったため、おっさん冒険者やルーキー冒険者たちを殺した痕跡を消せていないからな。

 そうなってくるともう森の入口付近には簡単に近づけないし、冒険者を狩りに行くなんてもっての外。

 おっさんの冒険者を殺せたことでのメリットは計り知れないものがあったが、デメリットもそれ相応のものがあったと思っている。

 

 ――とまぁ、そんな理由から冒険者にはしばらく手出しできなくなっているため、ニコには魔物を狩ることで強くなってもらうしかない。

 昨日の内にニコだけを呼び出し、一緒に魔物を狩りに行くことは報告済み。


 そんなこともあって、目覚めてから巣の外に出てみると……既に準備万端のニコの姿があった。

 もうこの時点で気合い十分なのが分かるし、これまで同列であったイチとサブが急成長してしまったことで、俺が寝ていた間もずっと必死に言葉の勉強をしていたとバエルが言っていた。


 バエルのように喋ることはできずとも、聞き取ることはできるらしいため、俺からの一方的な意思の疎通は図れる。

 その頑張りだけでもニコは応援し甲斐があるし、少しでも強くなってもらうために全力でサポートをするつもり。


「ニコ、もう起きていたのか。俺もすぐに準備を整えるからもう少し待っていてくれるか?」

「ウガッ! うがが!」


 体を全体的に使い、やる気満々ということをアピールしてきたニコ。

 俺は軽く顔を洗ってから装備品を整え、再びニコと合流してすぐに巣を後にした。


 さて、まず何を狩るかだが……非常に迷うな。

 無難にいくのであれば、コボルトかスイートアピス。


 この二匹の魔物は簡単に狩ることができるし、まず魔物を倒すという感覚を覚えさせるのにも打ってつけ。

 ……ただ、今は俺が以前までとは比べ物にならない力をつけた訳で、ブラッドセンチピードやポイズンリザードであっても、ギリギリの状態まで追い込んでニコにトドメを刺させてあげることができる。


 コボルトに至っては捕食して得られる能力が【四足歩行】と使えないし、スイートアピスは弱すぎて瀕死の状態に留めるのが難しいため、いきなりだが洞窟にいる魔物に狙いを定めるか。

 食べなくてはいけないという制限があるため、腹の具合いも考えて動かないと駄目だからな。

 諸々を加味した上でそう判断した俺は、巣から真っすぐ泉の洞窟を目指して歩を進めた。



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