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魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~  作者: 岡本剛也
第1章

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第29話 英雄扱い


 頭が潰れたことで動きは止まり、神経がまだ通っているであろう足だけが動いている状態。

 その足のせいでまだ動くのではないかと勘繰ってしまうが、もう攻撃する手段がないし勝ったと考えていいだろう。


「スゴいデス! イチドもこうげきをクラわずにタオシテしまいましタ!」

「バエルもよく逃げ切ったな。途中で捕まるかと思った」

「シナないためにガンバリました! それヨリもシるヴァサンのほうですよ!」


 まるで英雄でも見るように、目を輝かせながら俺を見ているバエル。

 人間だったらブラッドセンチピードを倒してくらいでここまで褒められることはないが、ゴブリンにとっては英雄級のことなのだろう。


 それにしても、やはりブラッドセンチピード相手にも怯んでなかったし、バエルだけが魔物と戦うことができるんだよな。

 あれからイチ達にも魔物と戦わせてみたのだが、困り顔で首を横に振るだけで攻撃することができなかったし、死体となっている状態でも魔物だと食べることを拒んできた。


 バエルも紛れもないゴブリンだし、何か理由があると思うのだが……その理由がよく分からない。

 やはり前にも考えた通り、意識的な問題なのか?

 そうであるならば、イチ達も自分の方が強いと思い込ませることができれば、バエルのようにどんな魔物であろうと戦うことができるようになるかもしれない。


「……? ドウかしましたカ?」

「いや、なんでもない。それより狩ったブラッドセンチピードを解体するから手伝ってくれ」

「モチロンです! でも……このマモノもタベるんですか?」

「ああ。食べるために倒しているしな」


 バエルにもパラサイトフライを食べさせており、それがあまりにも不味かったようでトラウマになっている様子。

 ブラッドセンチピードなんか、如何にも不味いという見た目をしているしな。


「別にバエルは食わなくていいぞ。自分で倒した魔物のみ食べるようにしてくれ」

「いえ、シるヴァさんがタベるなら、ボクもイッショにたべマス!」

「本当に大丈夫だ。美味かったら一緒に食べればいいのであって、不味いものをわざわざ食べる必要がない」


 よく分からない忠誠心を見せているバエルを宥めつつ、俺達はブラッドセンチピ―ドの解体を始めた。

 とにかく外皮が硬いため節の部分から短剣を入れ、無理やり硬い部分を剥していく。

 

 パラサイトフライは透明な血だったが、ブラッドセンチピードは青い血液をしていて見た目から気持ち悪い。

 同時に焚火を行い、無数にある足からまずは焼いていく。


 木の枝くらい太い髪の毛のような感じで、焼くことで多少はパリッとしたが明らかに食い物ではない。

 バエルがとんでもない顔で見つめる中、俺は足を口の中に入れた。


「…………オイしいですカ?」

「不味いな。だが、パラサイトフライよりはマシだ」


 口に入れた感じも髪の毛のような触感。

 無味なだけマシだが、太い髪の毛を食っているようで気持ちの良いものでは決してない。


 次は外皮を剥いで、無理やり中身を取り出したもの。

 あまりの見た目のため肉とは呼びたくないが、俺は焼いたブラッドセンチピードの肉を口に放り込む。


「…………そっちはオイしいですカ?」

「こっちは――マシかもしれない。臭いがちょっとキツいが、全然食べられる味だな」

「ホントウですカ! ヨカッタです!」


 最悪な味を想像していたこともあって、全然食べることのできる味。

 足はほどほどにし、俺は外皮を剥いだブラッドセンチピードをどんどんと焚火で焼いていき、胃の中に入れていった。


 検証した限りでは、個体差によるが半分以上を食べれば能力が発現するため、ブラッドセンチピードの体の半分を食べてから、残りを埋めて土に還す。

 食事を挟んだお陰で体力も回復したし、【毒針】もまだ使っていない。


 このままもう一度洞窟に行くこともできるが……今日のところは十分か。

 バエルはブラッドセンチピードを食べていないからお腹が空いているだろうし、巣に戻って休ませてあげるとしよう。

 狙っていた魔物を無事に狩ることができ、非常に満足した状態で帰路についたのだった。



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