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2 魔の森1


「ここが、これからのあなた方の家です」


「「わーー」」


何とも言えない声を上げた双子の前にうっそりと聳え立つのはかつては豪華だったのだろう館だった。


今は、よく言っても廃墟である。


「ーー懐かしいな」


唖然として固まっている双子を置き去りにして、たった一人懐かしそうに寂寥の念をのぞかせるのはなぜかついてきたロナルドだった。


この男、前住んでいた町を離れる際、ぎりぎりになって付いていくと宣言してついてきたのだった。


双子は戸惑っていたが、ジェスは何か思う所があるのか、何も言わずに 許可したのだ。


「ほ、ほんとにここが?」


「はい、今となっては寂れてしまいましたが、ここが先代辺境伯様の住まわれていた屋敷です、レリア様、コリア様がいずれ相続されるはずだったお屋敷ですよ」


「はずだった?」


「はい、現在の御当主様、つまりお二人のお父君がこちらのお屋敷を放棄なされまして……詳しいご説明は中に入ってからいたしましょう」


「「わかった」」


ジェスに言われるがままに、二人は屋敷の中に入っていった。





「「わー!!」」


レリアとコリアは思わず揃って声を上げた。屋敷の中は先にジェスが掃除したのか、想像していたような酷い有様ではなかったが、それよりも二人の目をひいたのは壁と一体化した樹やツタだった。


それらは壁や天井を突き破りこの屋敷と同化していた。そこから漏れ出る木漏れ日が屋敷の床に不思議な模様を描いて何とも幻想的な風景となっていた。


「ジェス、ここ、気に入ったわ!!」


「僕も、この屋敷好きだな、それに掃除してくれたんだよね?ありがとう」


目をキラキラさせて見上げてくる二人を見て、ジェスは目を細めた。


「お二人にそう言っていただけたら、この老骨も頑張ったかいがありましたね」


三人でほのぼのとしていると、少し不満げにロナルドが会話に割って入ってきた。


「おいおい、俺を忘れてもらっちゃ困るぜ、てか、ジェスさん、なに一人の手柄にしてんだ。天井の方とかの修繕したの俺じゃねえか」


「あなたの手柄は私の手柄です」


「暴君か!!」


「冗談ですよ、私ももう年なので、力仕事をしていただいて感謝しております」


軽口のような掛け合いをする二人からは気安さが感じられた。


レリアとコリアは普段はびしっとしているジェスの少し気の抜けた様子がなんだか微笑ましくてくすっと笑った。


「ロナルドもありがとう」


ちょっとあざとらしい様でコリアがロナルドのズボン端をきゅっとつかみ見上げてお礼を言う。ロナルドは口元に手を当てて感激したように身を震わせた。


「コリア様、かわ……、いえ喜んで頂けて良かったです」


その様子を見ながらレリアもそっぽを向きながら「私も感謝してるわ」とお礼を言った。


ジェスとロナルドは少し顔を見合わせてぼそぼそと小さな声で会話した。


「レリア様の素直じゃないご様子もなかなか……」


「ええ。可愛らしいでしょーー」


その会話を聞いていたコリアは一人うんうんと頷きながらレリアを見つめた。誤解されやすい大好きな姉のよさが伝わっていて何よりだ。


コリアからの生暖かい視線を感じたレリアはコリアの方をみて、口を尖らせた。


「な、なによ、コリア」


「なんでもないよ」





屋敷のエントランスを抜け、大階段下の扉をくぐると、そこは応接間になっていた。奥には魔獣、神獣、神様などが彫刻された古くとも見事な暖炉があり、ここが前辺境伯の住まいだったことがうかがわれた。


暖炉の装飾に目を奪われていた二人をジェスは見事なアンティークのソファーに案内し、ひざ掛けをそっとかけた。


「少々お待ちください、温かいお茶をご用意いたします」


「あ、僕手伝えるよ」「私も」


慌てて手伝おうとした二人をジェスは優しく押しとどめ、「ロナルドが寂しがると思いますので相手をしてやってください」と言って一人簡易調理場に向かった。


「ロナルドが寂しいなら仕方ないね」


「そうね」


(ジェスの爺さん、俺をだしにつかったな)


内心の苦い思いを飲み込んで、ロナルドは二人に笑いかけた。


「そうなんですよ、主様方に相手してもらうのは気が引けるのですが、なんせここは寂しいところですから、お茶が入るまでどうか俺の相手をしていただけますか?」


「「主様??」」


「ーーそのお話はお茶が入ってからにいたしましょう。とりあえずお二人とも、ルールをお教えしますのでこちらのゲームはいかがでしょうか?」




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