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「訂正しろ!!」


いつものチャラチャラ飄々とした雰囲気は消え去り、暗い影を持つ軍人と思しき人がルーズベルトの背後から首筋にナイフをあててすごんでいた。


殺気に当てられたルーズベルトの額から玉のような汗が流れ、膝はがくがくと震えている。


「しつけがなっておりませんね……」


ジェスの冷たい声に、シャロックは冷や汗を流した。この状況はまずい。


「ジェスさん、ロナルドさん、申し訳「俺は悪くない!!」ーーちょっと黙ってくれないかな?」


せっかくフォローしようとした矢先に、ルーズベルト本人の大音量の叫びにより、台無しにされてしまった。


ジェスに止められ、ナイフは降ろしたものの、ルーズベルトの事をロナルドも冷ややかに見下ろしている。


強い殺気に当てられ冷や汗をかきながらも、ルーズベルトはさも当然と言うように自分の言い分を主張していた。


「か、考えたらわかるだろ?忌み子が産まれてすぐ、この地はスタンピードと隣国の侵攻に襲われたんだ、の、呪われてるにきまってる、今の状況はみんな、そいつらのせいなんだ!!」


ロナルドは心底馬鹿らしいと鼻を鳴らした。


「は、馬鹿かお前。もし本当に双子が忌み子なら、双子が生まれたすべての家、全ての土地が壊滅してるわ。つーか、このお二人は曲がりなりにも次期辺境伯様方なんだけど、今の言動、不敬だって分かってる?」


「ふ、不敬だと?先代様がお亡くなりになられてから、この町を守るという使命を放棄してのらりくらりと町医者をしていた腰抜けのいう事なんて、どーでもいいね!!」


ーーいや、その私怨と不敬は一切関係ないと思うんだけど。レリアとコリアは肩をすくめて顔を見合わせた。


「いや、それ不敬行為となんも関係ねえし」


ロナルドが呆れた目でルーズベルトをみる。怒りに顔を真っ赤にしたルーズベルトは、「うるさい、うるさい、俺は間違ってない!!」と叫びながら、ロナルドに襲い掛かった。


「やめろ。敵わない事はさっきので分かっているだろうに……私の部下が失礼した」


シャロックは腹に一発重い一撃を入れてルーズベルトを動けなくすると、様子をうかがっていたらしい周囲の人々に連れて行って牢屋で反省させるように、と言づけた。


その様子を冷ややかに見つめていたジェスは、シャロックにも冷たい視線を向けた。


「シャロック団長、随分と団員の質が落ちましたね。人手不足とはいえ、あんなのを団員にしているのですか」


「……面目ない」


「それに、領主一家への不敬罪が牢屋で一晩、とは軽すぎませんか?」


息を飲むシャロックとジェスの視線が交差する。


シャロックは冷や汗をかきながらも、真っすぐにジェスを見つめた。


「ーー私には、あいつの言い分も一理あるように思える」


ジェスの表情が失望に彩られた。シャロックは慌てて言葉を紡ぐ。


「これも不敬に当たるのだろうが、ここは今や辺境伯一族に見捨てられた土地だ。そもそも見捨てた辺境伯ご一家に不信や反感を抱くものも多い。それに、前辺境伯が倒れられたのはそちらの方々が産まれてすぐだったというのは事実だ。……迷信深いこの地域ではそれを関連づけるものも多い」


「それが免罪符になるとでも?」


「ーーいや、ただ」


そういって言葉に詰まり視線を下に落としたシャロックを見て、ジェスは隣で黙って成り行きを眺めている双子たちを見ました。


シャロックはもともとはこんな性格ではなかったはずです。ああ、きっと奥様と子供を亡くしたあの時から、少しずつ歪んでしまったのでしょう。


どうしようか、と悩んでいるジェスの袖をちょいちょいと引いたのは、コリアでした。


「どうされましたか?コリア様」


「ねえ、ジェス、リズの罰って本来ならどういう罰を受けるべきなの?」


「そうですね……初犯ですし、お二人には手を挙げていないので上官への暴力未遂という事で棒打ち五十回あたりでしょうか?」


「ロナルド、その罰は受けた相手はそのあとどうなる?」


「人によりますが、まず一か月はまともに動けないでしょうね。執行官によっては後遺症が残る場合もあるでしょう」


ふむとレリアとコリアが考え込みます。ややあって、今度はレリアがジェスにたずねました。


「じゃあ、貴族が自身の名誉を傷つけられたらどうするものなの?」


「ふむ、そうですね……一般的にはその領地の騎士団に捉えられれ領地法で裁かれます。内容によっては帝都で裁判ですね。それか、決闘により自身の名誉を回復される方もいらっしゃいます」


その瞬間、レリアとコリアは顔を見合わせて頷きあいました。


「「ジェス、ロナルド、私達リズと決闘する」」


意気揚々と告げた二人に、ジェスとロナルド、それにシャロックの顔までもが驚愕の色に染まりました。



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