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3


レリアがたどり着いた場所は小さな森の中にある不自然に開けた花畑だった。花畑といっても咲き誇っているのは色とりどりの小さな花が咲く野草だ。


「だれ、誰なの?私を呼ぶのはだれ?」


辺りを見回しても、誰もいない。ただ頭の中で不自然な声がささやいている。


「こっちだよ、ねえ、こっち」


「ほら、こっち、ほらはやく」


歌うような囁くような、甘いようなそんな声。人を惑わす魅惑的な声にささやかれて、レリアは頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。


「もう、ほんとなんなの……」


頭の中で声が聞こえ続けるという異常事態に、さすがに恐怖が膨れ上がり、ぽろぽろと涙が瞳から零れ落ちた。






「いた!!」


一人で頭を抱えていたレリアの後ろの方から、安心する声が聞こえてきた。


振り向くと、コリアを抱えているロナルドと、安堵の表情を浮かべたコリアがレリアの方へやってきた。なぜかロナルドはジェスと手をつないでいる。


ロナルドから降りたコリアは、一目散にレリアの方へ走って抱き着いた。


「良かった、見つかって……」


ふり絞るようなコリアの声にレリアは戸惑いながらぎゅっと抱きしめ返す。……こんなシリアスっぽい場面にも関わらず、ジェスとロナルドの繫いだ手が気になって、泣いていた涙も引っ込んでしまった。


ぽかんとしたレリアの視線を感じたジェスとロナルドはその視線の先を見て、「あっ」と言って慌てて手を離した。


「こ、これは、違うんです、その……」


「そんな、言い訳しなくてもいいのに」


分かった風な口調で言うレリアに、ロナルドは慌てて言いつくろうが、それが更に怪しさをかもしだして、レリアに「私は分かってるわ」といった仏の表情をさせる羽目に陥っていた。


そんなカオスな状況に、ジェスはひとつため息をついた。


「レリア様、私からこの状況について説明させていただきます。最初に、これだけはご理解いただきたいのですが、私に同性愛の偏見はございませんが、この刃傷沙汰を起こしそうな輩とそうだと思われるのはご勘弁いただきたく」


「あ、うん、ごめん」


「ジェスさん、レリア様……抗議したいが日頃の行いが悪すぎていいかえせねぇ……」


情けない呟きを漏らすロナルドにレリアとコリアの軽蔑の視線が注がれ、ロナウドはますます小さくなってしょんぼりと肩を落としたのだった。


ジェスからの説明によると、レリアがを追いかけていたロナルドだが、途中でいきなりレリアの姿が掻き消えるようにして見えなくなったらしい。


慌てて近くを探し回ったが、見つからず、元いた道に戻ると、そこでコリアがレリアが通ったと思わしき道を見つけたらしい。不思議に思ったが、もうその道しかレリアが良そうな場所がなかったため、その道に入ったら、今度は二人の姿がジェスの前から消えてしまったそうだ。


ジェスが追いかけてこないのを訝しみ、元の場所に戻ると、ジェスが一人で二人を待っていた。三人でレリアを追いかける方法を探った結果、どこかしら体が触れていたら一緒に不思議な道に入れると気が付き、二人で手をつないで行動していたということだった。


「なに、それ、私そんな変な場所にいたの!?」


「もうほんっとびっくりしたよ」


話を聞いたレリアは普段はあまり取り乱さないコリアがレリアに抱き着いて離れない理由を知ってぞっとした。


もしかしたら、レリアたった一人でここに取り残され、見つけてもらえなかったかもしれないということだ。


「見つけてくれてありがとう!!コリア」


レリアもコリアに改めてぎゅっと抱き着いた。






暫くして、落ち着いた二人があたりを見回すと、風もないのに花がさあっとたなびき、レリアの頭にまた声が響いてきた。


とはいっても、その声は前と比べるとささやかで優しい声だった。


『愛しい双子星、ここよ、こっちにおいで』


「だれ?」


レリアは辺りを見回すが、やはり誰も見えない。


「どうしたの、レリア」


「さっきから声が聞こえるの、でも誰もいなくて……」


そう言ったレリアの耳元をコリアはじっと見つめた。ゴシゴシと目をこすり、何かをよく見るように細める。


「な、なに?」


とまどうレリアをよそにコリアはその空間を見つめ、やがて手を伸ばした。



パチンッ



よくわからない音が響き、花畑が不意に強い風に揺れた。


花びらが舞う中で現れたのは、肩の上に乗れそうな、羽の生えた妖精だった。


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