キャラメル野郎の伝説
ちょいと出ました
キャラメル野郎が
(キャラメル、キャラメルは要らんかね……)
そのキャラメルは値が高い
到底下々の口に入るものではない
それでも野郎は重たげな行李を背負い
声高らかに呼び掛ける
(キャラメル、キャラメルは要らんかね……)
ご用心!……ゆめゆめ見過ごさぬよう
キャラメル野郎の口説に乗せられ
ものほしげに近寄る者を
電光石火 行李のうちに閉じ込められ
斯くして哀れなるかな キャラメルの原料となる
あの行李のうちこそは
決して語られぬ真の地獄
高貴なる者も小器用なる者も真の役立たずも
あまーく茶色い方形へ渾然一体に
お前さんが一粒 口に含めば
数も知れぬよろこびが悲しみが慢心が屈託が
唾液に溶けて消えてゆく……が! ご案じめさるな
お前さんの心に一瞬の惻隠とて兆したりはせぬ
で、キャラメルのお代は幾らか?
それはね、キャラメル野郎だけが知っている
(キャラメル、キャラメルは要らんかね……)