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ゴーコン!   作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第三章 ゴーレムコンテスト(全国大会)

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76.残りの夏休みは。

 施設の部屋に戻るが、まだ誰も戻っていなかった。

 ゴーコン終了後は大浴場も開放されていたため、俺は1人湯船にゆったり浸かり、色々なことを少しづつ整理していた。


 夕方にはホイスとキーラ、そしてマルクが帰ってきたため、一緒に食堂で夕食を取る。どうやら、社長とヴィルは夕食も外で食べてくるようだ。「お悔やみスペース」の営業もしているという事だが、ヴィルの事を考えればちゃんと食事は取るんだろうな。



 父親との話は皆気を使っているのか聞いてくることは無かったが、普通で居る俺に皆は少しホッとしていた。俺としては第8世代のゴーレムを見てきたことを言いたくて堪らなかったが、父親からは人に言わないようにと言われていたので、必死に我慢をする。



 翌日の朝には、来た時より大分日に焼けて黒くなったジジ先生がMキャリッジで迎えに来てくれ、俺達は飛行ゴーレムでハイランド州に戻った。ケーニヒは、免疫反応を抑える薬が切れるまで入院するということで医務室から治療院へ移動する。


 今回、鳥ゴーレムコンテストは、ウチの飛行班は8位入賞だったようだ。飛行ゴーレムの中でマルクが始終ニヤニヤと「うちらの勝ちだな」なんて言っている。行きはあまり喋ることのなかった放送班の人たちも口々におめでとうと話しかけ来て、ゴーコン優勝のインパクトの強さを感じる。

 ジジ先生は、「お、おめでとう。私のおかげね」なんて一言言ってくれた位だったが。



 地元の駅につく頃には、既に昼を過ぎている時間だった。

 前後の駅の班員たちは途中で降りていいったり、電車に残ったりするため、俺とマルク、社長、それにホイスの4人が同じホームで降りる。



「おおお! マジか!」


 駅から出ると、思わず歓声があがる。


『ショパール州立高等院 ゴーレム班。全国大会優勝おめでとう!』


 駅前の雑居ビルにデカデカと垂れ幕が吊り下がっていた。


「学院の垂れ幕は最後まで出なかったくせに……」


 愚痴をこぼしながらもマルクが嬉しそうにつぶやいている。


 俺とホイスは、どうせ駅前だからとゴーレムショップのオヤジにメダルを見せに寄る。いつもの愛想の無いオヤジとは思えない喜びようで、逆に引いた。




 帰宅すると、母親が笑顔で迎えてくれる。

 母親的には、ゴーコンの結果より父親がゲストとして呼ばれ、俺が何らかのショック的なのを味わっていないかの方が気になったらしい。俺は何処まで喋っていいか解らなかったが、父親と食事に行って謝られたと言うくらいに話しておいた。

 父親とLINKを交換した事も話したが、それなりに父親を受け入れた俺に「そう。良かった」とホッとしたような顔をしていた。


 もしかしたら。母親としては首都から遠くに離れ、父親との面会もなかなか出来ない場所に引っ越してしまったことも少し気に病んでいたのかもしれない。



 残りの夏休みは、毎日のように図書館でパメラと宿題をすることになった。

 たしか、宿題を写させてくれるって話していた気がするのだが。パメラは家庭教師のように厳しく。ちゃんと勉強するように言ってくる。

 パメラはかなり成績が良いらしい。同じ大学院を目指すなら俺もそれなりに頑張らなくちゃいけないんだろう。



 ◇◇◇



 昨日たしか、夏休みの宿題をすべて終わらしたはずなんだ。


 だが、なぜか今日も図書館でパメラと2人で勉強をしていた。


「ねえ、パメラさん」

「ん? 何かしら? リュート君」

「僕の記憶が間違っていなければ、夏休みの宿題は昨日終わったはずなんだ。それがどうしてこうやって今日も勉強をしているのか不思議なんだよ」

「ん~。それはね。夏休みが終わったら前学期のテストが待ち構えているからよ」

「……それは知らなかったなあ」

「頑張ってくださいね」


 シュウといい、パメラといい、飛行班の人たちは真面目な人が多いのだろうか。

 パメラはさも当然のようにニッコリと笑う。その笑顔だけでも俺は満足できちゃうんだけど……。


「いつになったら一緒に遊びにいけるのかな?」

「そうね……リュート君は何処に行きたいの?」

「パメラさんとなら、どこでも良いよ」

「じゃあ、明日は気分を変えて隣町の図書館で勉強しましょう?」

「……お、おう……」

「ふふふ。お弁当作ってくるからね」

「そこは超楽しみにしているよ」


 勉強をするのに邪魔だからと、綺麗な青髪を結い上げて参考書を読んでいるパメラを俺はぼーっと眺める。とても愛おしい。大事なパメラ。

 よし。俺は大丈夫だ。ゴーレム馬鹿の親父の血は半分しか流れていないからな。父親と同じ道は進まないだろう。そんな事を思いマトモな自分に安堵する。きっと俺はゴーレムよりパメラを選べる。




 しばらくして、父親からダンボール一杯の召喚石が届き、俺は今後の召喚石問題がクリアされた。夏休みが明けると、同級生たちから囲まれる日々が続いていたが、数日もすると普通に戻ってくる。昼休みにシュウとPJの3人でくだらない話をしながらのんびりするのがやはり楽でいい。




 今年のゴーコンが終わると、同時に3年のケーニヒとマルクはゴレ班を引退していく。次の班長には社長が就き、ホイスは今から来年の新入生の班員の獲得のために頭を悩ませている。

 社長とヴィルはまた元のように会社経営のためにパソコンとにらめっこをする日々に戻っていた。ゴーコンの全国制覇の直後というのが効いたのか、遠いシーグラス州の葬儀社とも契約を成功させ、お悔やみスペースの拡大も順調のようだ。

 それでも、前よりは定期的に召喚練習に付き合うようになり、やる気が出てきたのは感じる。2人は来年も頑張ってもらいたいし、いい傾向じゃないかな。


 キーラは、3年になるまでにはエライサ式を使えるようになるんだと、日々スキルレベルを上げるための召喚練習を頑張っていた。

 全国大会の優勝で、学校からの班活の活動費も増やしてもらえたが、ノリで第5世代用の召喚石を買えるだけ買いまくってしまった為に、結局毎日の練習では召喚陣を手書きしているのは今までと変わらないかもしれない。


 最近はPJから学園祭で、ゴーレムの召喚をやってくれと頼まれ、ショーとしてゴーレムで何が出来るかを相談しあう日々だ。


 こうして、新しい世代のゴレ班は止まることなく動き続けていた。







※最後までお付き合い頂きありがとうございます。

 古流望先生のTwitterでのゴーコン思いついたという発言に、自分の知り合いが小学生向けのロボコン、スカベンジャーでの全国大会優勝したことを思い出し、頭の中でイメージが膨らんだため「これは行ける」と先生に書かせてくれとお願いして始めたんですよ。

 当初は10万字程度の小説を書こうと始めたのですが、終わってみれば倍の20万字を超えてしまう結果に^^;

 あまりPVやフォロアーは増えませんでしたが、個人的な楽しみとして書けた作品ですので、自分では満足しております。

はい。ありがとうございました。

20万ちょいの作品でしたが。ショートタイトルのせいかびっくりするほど読まれませんでしたなw

一話目だけでも、とかもほとんど無くw


結構自信作だったんだけどなあ。

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