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ゴーコン!   作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第三章 ゴーレムコンテスト(全国大会)

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67.全国大会 2

 不可視カーテンの周りを俺達の番号の書いてある場所まで移動する。

 他のチームは円陣を組み気合を入れている中、先に円陣を組んでの気合い入れを終わらせている俺達は既に試合に向けて集中していた。


「じゃあ、予定通りだから。州大会と同じ感じでリラックスしていこう」


 ケーニヒが皆を見渡して声をかける。試合に出るつもりのなかったマルクとヴィルだが、昨日には一回戦は第4世代を使うことを決めていたため、しっかりとスイッチは入っている。


 第4世代ならそこまで準備に時間はかからないだろう。試合開始前の不可視カーテンが消えるのは同じようだ。そのタイミングに合わせるようにする。


『さあ、皆さん準備は出来ましたでしょうか。まもなく不可視カーテンが消えます。ブザーの音とともにカーテンが消えましたら、会場内に入場できますので、それと同時に試合が開始されます。日頃の練習の成果を遺憾なく発揮して下さい!』


 アナウンスが始まるとともに俺は事前詠唱を始める。


 やがてブザーが鳴り、不可視カーテンが消えると皆フィールド内でスタンバイをする。俺は事前詠唱で構築した術式が壊れないように皆の後から少しゆっくり目にフィールドに入った。


 召喚台の前に立ち、既にケーニヒが設置した召喚石に向かって構築した術式を開放する。事前詠唱で出来上がった術式が一気に召喚石に流れ込みすぐさま魔法陣が可視化していく。


 ――よし!


 この段階になり初めて俺は余裕が出来、フィールドの中央をちらっと見る。フィールドの中央には前半ブロックと同じ様に果樹林が設置されていた。……柑橘系だろうか。


 今回の全国大会のために俺達が改良したアームは。多節型のアームだ。ムカデなどの様に多数の節で細かい湾曲をすることが出来、はじめから地面に付きそうな程の長めの手をしている。それでいて湾曲も自由なため遠近両方の作業が自由に行われるという物だ。州大会で使った複数関節のアームからヒントを得て、考え出したものだ。


 仲間たちが補助式を完了すると手をあげていく。最後にキーラのアンドリュー次式が終わり手をあげて一歩下がった。見る限り問題は無さそうだ。


「召喚します!」


 両側に見えるチームと比べても明らかに先んじて、俺達のゴーレムが浮かび上がって来た。



 ◇◇◇



『さて、いよいよ予選の後半の2ブロックの試合が始まろうとしていますが、この2つのブロックで注目のチームは、第3ブロックのテンデンス学院。それから第4ブロックのミルトン高専院、メックス記念学院でしょうか。ブラッシュ国立高等院に待ったをかける学院がこの中から現れるのでしょうか』


『ジュール君は圧倒的でしたよね~。第4ブロックには私の地元のビアンコ州立学院も出ているんですよ! 応援したいと思っています』


『なるほど。デイジーさんはシーグラス州の出身ですもんね。応援したい所ですね』


 大ホールのステージに向かい合った反対側に放送席が設置され、そこでアナウンサーと共に出演者たちがモニターを見ながら放送を盛り上げていた。ちなみにこの音声は試合会場には流れない。


『他にも第4世代にアンドリュー次式を組み合わせた王道で州大会を勝ち上がってきた学院はありますが、王道とは言え、第5世代に太刀打ち出来るのでしょうか。カーティス博士。どう思われますか?』


『ん~。通常の第5世代ですと、第4世代と比べ召喚式が大分増えますからね。召喚にかかる時間もかなり増えるため、こういった時間が絡んでくるコンテストだと、必ずしも第5世代だから勝てると言う事では無いんですけどね』


『なるほど。しかしそれでもジュール君の詠唱スピードは驚愕のスピードでしたね』


『そこら辺も賢者ならではの多彩なスキルが物を言うのかもしれませんね。おそらく高速詠唱のスキルがあるんだと思います。第4世代のゴーレムとほぼほぼ変わらないスピードでしたからね、ただ、まだ第5世代を覚えてそこまで経って無いのかもしれませんね。慎重に詠唱しているんでしょう。正確さを犠牲にすればもっと早い詠唱が出来るんだと思いますよ』


『高速詠唱ですか。いやあ、流石は賢者と言うところでしょうか。こうなるともう召喚師達は打つ手が無くなるってしまいますね』


『うーん。いや。打つ手が無いわけじゃ無いですけどね。魔力量のロスが大きいですが、例えば――』


『お、試合開始の直前のアナウンスが出ましたね。あ、博士、話を止めてしまってすいません。まもなくブザーがなるようです!』



 ブザーの音と主にフィールドが顕になる。真ん中には樹木が茂っておりそこに黄色い柑橘類が鈴なりになっていた。先程のブロックの試合ではマンゴーだったが。


『これは……柑橘系の収穫ですかね。先程のブロックと同じ感じの競技内容になりそうですね』


『あ~私ミカンも大好きなんですよ~。収穫したの食べさせてもらったり出来ますかね~』


『ははは、後でスタッフの人に聞いてみましょうね……ん? はい、5カメですか? ちょっと合わせてもらっていいですか? えっと……もう魔法陣が可視化してますね……早すぎません?』


『これは……もしかしたら、さっき僕が言いかけた高速詠唱への対抗手段の一つ、事前詠唱かもしれませんね』


『事前詠唱ですか?』


 司会の男に、カーティス博士が事前詠唱の説明をする。司会の男はそんな技術が、と驚きながらも資料に目をやる。


『ここは、ショパール学院ですね。驚いたことにここは班員が今召喚に携わっている7人だけしか居ないようです。まさに少数精鋭です……しかも召喚師はまだ1年生ですよ?』


『1年で? それはなかなか優秀な生徒ですね』


『はい。コレは今後のゴーコンを背負って立つ人材になりそうですね。えっと……リュート・ハヤカワ君と言う名前ですね』


『なっ!?』


『ん? どうしました?』


『いや……な、なんでも無い……』

 

 ショパール学院のゴーレムはそのまま起動し、モニターの指示に従い収穫を始めていく。遅れて他の学院のゴーレムも召喚されていくが、結局この時間差での差を覆せる学院は無かった。


『第3ブロックは、ショパール学院が見事に一位を勝ち取りました。準決勝では第3ブロックの1位は第1ブロックの1位とは別のブロックになるので、ショパール学院がブラッシュ学院とぶつかるとしたら決勝になりますね。果たして準決勝でも先程の事前詠唱が使えるのか。期待したいところです』





※多節と言って良いのか。イメージ的にはラピュ◯のロボット兵の腕みたいなイメージにしてみました。

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