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ゴーコン!   作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第三章 ゴーレムコンテスト(全国大会)
59/76

59.全国大会へ向けて 4

 夏休みに入り、俺達は更に練習を続けていく。

 高価なものなので数はそこまで多いわけじゃないが、OB会からの寄付という事で、第5世代の召喚石も補充された。ますます練習にも熱が入る。


「うぉ! 社長もう出来るように成ったんですか???」

「まだ脳みそが焼ききれそうな状態だけどね。このペースだとコンテストには間に合いそうよ」


 たしか、ケーニヒが女性の方が二重詠唱は向いている様な話をしていたが……これは悔しい。もっと頑張らなければ。焦っているとホイスが俺の方を見て呆れ顔で言う。


「せやけどリュートはとりあえず事前詠唱の方が先やろ? 2行やるのは俺と社長やし」

「それでも二重詠唱が出来るように成れば、召喚術式と補助式も1行行けるようになるし」

「召喚術式だけでもえらい負担やないか。任せるところは任せたらいいねん」

「あとさ、事前詠唱も二重詠唱のテクニックが必要になるから出来るのなら出来たほうが良いんだよ」


 言い合ってるのを聞いてケーニヒが「お、それじゃあ一応リュートにもイザという時のために俺の担当の補助式を覚えておいてほしいんだ」と言ってくる。第5世代の補助式は第4世代のと比べても使用魔力も多くなるため、ケーニヒの病気の症状が出れば、任せなくてはいけない事もあるかもしれないと。


「それでも、魔防抑制剤は飲むから問題はないと思うんだけどね」


 そういうケーニヒに、さすがのホイスも黙る。

 確かに念の為、ケーニヒの担当している補助式を覚えておいたほうが良いか。二重詠唱を出来るように成ったとしても補助式を覚えてなかったら意味がないしな。


 そう思いケーニヒに言うと、後で紙に術式書いて渡してくれると言われた。



 さらに俺たちは白補助器への刻みと稼働テストなども進めていく。大会が徐々に近づいてきて段々と大詰めに入っていく。

 補助器への書き込み術式は、以前社長が言っていた視力補助の初期的な物を導入してみた。字数が多くなりキーラが悲鳴を上げていたが、なんとか規定範囲内に収めることが出来た。



 パメラ達飛行班は、夏休みに入ると一週間の強化合宿という事で州外の避暑地の方へ行っているらしい。おかげで第2体育館も独占できるのは嬉しい。「あそこはOB会もデカイから寄付金の規模が違うんだよ」という話だが。まあそれはそれでゴレ班のOBも頑張ってくれているので文句は言えない。全国大会の遠征費も少し補助が出た為、助かっている。



「そう言えば、全国大会は缶詰が二泊だけなんでしたっけ?」

「うん、白補助器への書き込みをして、後は練習用フィールドで簡単に確認を出来るくらいみたいなんだ。州大会が予選枠で、一度今回のゴーレムをやっているという事なんだろうね」

「テストで白補助器の刻みに不具合が出たらかなりバタバタになりそうですね」

「うん、だから深夜まで練習場は開放しているみたいだよ」

「なるほど、出来れば試合前日はぐっすり寝ておきたいですよね」



 夏休みに入り一週間もすると、ようやく俺とホイスの二重詠唱も形になってくる。社長が言ってた「脳が焼ききれそう」と言う表現も納得だ。俺が二重詠唱が必要になるとしたら、事前詠唱をした上で可視化した魔法陣を維持しながら補助式を刻む感じになるので、ホイスの2つの補助式を同時に構築するのと比べれば負担は少ない。必要魔力量は半端なく多くなるが。

 召喚式を構築しながらコーティング作業も並行して行っていくのがもう少しスムーズに出来てくれば、事前詠唱の方はほぼ問題なく行けそうだ。


 こうして州予選の時よりも、俺達の全体のレベルはかなり上がってくる。


 キーラもようやく補助式の構築が安定し始め、何度かの第5世代の召喚をしていくことで完成度はそれなりになってきた。余裕が出てくると、イザという場合を想定して他の班員の担当している補助式も覚えていく。


 もちろん第4世代を使わないと行けない場合も想定して、マルクやヴィルも補助式はちゃんと覚える事も必要だ。同時にキーラもアンドリュー次式を忘れないように復習する。




 こうして夏休みの二週間もあっという間に過ぎていき、いよいよ明日には全国大会へ向け出発する日が目の前に迫る。


 缶詰の為の衣服などは、州大会の時と同じく事前に送ってあるのだが、その他の持ち物など忘れ物がないように班室に持ち込み、各自チェックをする。施設に持ち込めないものは、受付で預けられるので、その分の荷物だ。


「じゃあ、明日は8時に班室集合で良いかな。今回は放送班と一緒になるからあまり迷惑をかけないようにな」

「子供じゃないんやから、そんなん問題ないですわ」

「ははは。頼んだよ。で、8時半に正門に集まって引率の先生と共に駅に向かう予定だ。みんな寝坊をするなよ。今日は早く寝ろよ」

「はい」


 そして、この日は早めに解散となりそれぞれが家に帰宅していく。




「いよいよ明日ね。がんばりなさいよ」


 出発の前の日という事で母親はうでによりをかけた料理を用意してくれた。この1ヶ月やるだけのことはやってきた。当然母親はそんな俺を見ていた。


「お母さん、応援に行けなくてごめんね」

「え? 何言ってるの。親が応援に来る人なんて居ないよ」

「でも息子の晴れ舞台だもの。ちゃんと放送見ながら応援してるからね」

「……うん」

「それに、ゴーコンで活躍すれば大学院とかから推薦貰えるんじゃないの?」

「それは気が早いよ。俺まだ1年だよ?」

「それでも。よ。推薦で学費無料とかなると色々助かるのよね」


 まったく。気の早い事だ。




 夜にはパメラからも応援の着信が入る。


>>いよいよ明日出発ね。がんばってね


>>うん。ありがとう。飛行班も本番だもんね。お互いにがんばろうね


>>そうね。どちらにしても私は現地に行けないけど。どっちも全国放送でやるものね。たのしみにしているわ


>>これで大会終わったら、残りの夏休みでどこか行こうよ


>>それはとっても楽しみだけど。でもリュート君は宿題全然やってないでしょ? 帰ってきたら一緒に宿題もやろうね。宿題が終わったら遊んでいいですからね。


>>ははは…… 宿題写させて~


>>そこはどうしようかな。ふふふ


>>頼むよ~。






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