表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴーコン!   作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第三章 ゴーレムコンテスト(全国大会)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/76

54.先輩会議、後輩会議。

 その後、エマさんは当たり障りのない質問をして、俺がそれに答えていく。


「うん。以上で質問は終わりです。大会前の忙しい時期にごめんなさいね」

「いえ。大丈夫です」


「そう言えば、今回のゴーコンで賢者が出るって聞いたんやが、全国大会へ出てくるんですか?」


 質問が終わった段階で、ホイスがゴーレムショップのオヤジから聞いた話を質問する。そう言えばそうだ。ゴーコン雑誌の記者ならそういうのは詳しいかもしれない。

 聞かれたエマさんは、すぐに答えてくれる。


「ええ。第5世代を召喚してのぶっちぎりの優勝だったわ。もし、皆が優勝を狙うなら一番の壁になるのがジュール君だと思うわ」

「マジか……第5世代か……」


 ホイスは呟きながらチラッと俺の方を見る。


「リュート。お前も第5世代やったらええで」

「え? ちょっとホイス何言ってるんだよ!」


 第5世代になると、補助士にも召喚スキルが必要になる。スキルのないマルクとヴィルが補助士として立ち会えなく成れば、補助式の数も厳しくなるし、先輩がチームから弾かれる事になる。とてもじゃないが使えるわけはない。


「リュート君は第5世代も出来るの? でも……そうね初等院の4年生で第3世代を召喚していたあなたなら……でも……」


 それを聞いてエマさんが反応する。「でも」と言いかけたのはおそらく補助士の人員の問題を考慮してだろう。


「ごめんなさい。エマさん。そこは僕らの大会の戦略の部分なので記事にしないでくださいね」


 ケーニヒがその話はここまで、とばかりに話を中断させる。


「そうね。でも。皆のやる気は感じられたわ。いいチームね。応援しているから」

「はい。ありがとうございます」

「こういうのは本当はダメなんだけど。ゴーコンをずっと見てきた私達としては、賢者なんかより、ゴーレム召喚師に頑張ってほしいなって気持ちはあるのよ」

「ははは。そうですね。がんばります」


 そうして。取材を終えると、エマさんは再度「頑張ってね」と言いながら班室から出ていった。



 ……。


「さて……。今日は時間が中途半端だけど。1年生は帰っていいよ。ちょっと今後の方針について、先輩会議を行おうかなと思ってね」

「先輩会議ですか?」

「まあ、人数がいれば3年だけでやってたんだけどね。僕とマルクしか居ないから2年生にも参加してもらおうかなと」

「はあ……」

「まあ、そういうことだから。明日からまた全国大会に向けてきっちりやるからね。よく寝てくれ」


 そう言われて、俺達1年3人は班室から追い出される。まあ、ゴレ班の風習なら仕方ないけど。それに取材で結構時間を食ったので、もう1時間もせずに班活の時間が終わる。


「じゃあさ、3人でご飯食べてかない?」

「ん? どこでや?」

「商店街のファミレスとかで、あたしたちも後輩会議しようぜ~」

「まあ、ええけどな。リュートはいけるか?」

「ああ、親に夕食要らないってLINK送っておくよ」


 


 ファミレスと言いつつ、駅前の商店街に入ってるハンバーガーチェーンの店に入る。ファミレスへ向かう途中に季節限定のハンバーガーの幟が立っているのを見てキーラがこれ食べたいと言い張ったのだが。ハンバーガー嫌いっていう学生なんて聞いたこと無い。二つ返事で俺とホイスもついて中へ入っていく。


「欲張りチーズバーガーの納得セットですね。お飲み物をお選び下さい」

「えーと。Dr.ジンジャーで」


 注文を終えると、一人一人トレーを持ち2階に上がっていき、適当なテーブルで座って食べ始める。


「でさ。リュート君のお父さんって有名なの? 皆知ってたみたいだけど」

「マジかよ。キーラ、カーティス博士知らんのか? こないだ第8世代の発表しておったやんけ」

「え? ああ~。確かそんなニュースやってたかも。へえ~。じゃあリュート君は血統証付きのゴーレムマニアなんだね」

「マニアって……まあ。マニアだけどさ」


 キーラの疑問がクリアになると、今度は先輩会議って何を話しているんだろうと言う流れになる。ホイスは「俺とリュートのどっちを将来の班長にするか悩んでるんやないか」なんておかしな事を言い始めていたが。


「やっぱ、賢者の話かな?」

「ああ~。あれはヤバいな。少し調べたが。どの属性の魔法を使わせても超一流らしいやん。しらんけど」

「ジュール君、カッコいいよね~」

「お、珍しくキーラが知ってたんな」

「なにそれっ。珍しく、って。ゴーレムショップのおじさんの話聞いてさ、なんとなくテレスペースで調べたんだよ。そしたらすんごいイケメン」

「ははは」


 そう言えばこういやって3人で食事をしたりとかは無かったな。ゴレ班の1年はこの3人しか居ないんだから仲良くはして行きたいしな。


 後輩会議とは言いながら、基本単なる雑談だ。俺たちはホイスのブローヴァ時代の話を2人で聞きまくる。向こうの友達で今回のゴーコンで全国大会に出てくるやつは居るのか、など。

 中等院時代に一緒にレギュラーをやっていた友達が、ブローヴァの強豪の高等院に何人か入り、全国大会を決めたらしいが、うちの学院の様に1年の時からレギュラーで。と言う同級生は居ないらしい。大会のときには現地で会う約束もしているという。


「で、ホイスは中等院の部では全国大会は出れなかったの?」

「う……まあ、ほら。ブローヴァはレベルが高いんやで。首都の次に人口多いんやし。最後は勝ちきれんかったんや。せやから。今回の出場はちょっと信じられん気もするんやけど。嬉しかったんやで」

「まあ、全国には賢者が居るからなあ。全国制覇は厳しそうだけど」

「ん? そういや。賢者は第5世代使うんやろ? お前も使ったらええがな」

「だって、マルク先輩もヴィル先輩もスキル無いでしょ?」

「あ~そうやった、スキルが必要やったな。忘れてたわ。まあ先輩たちにそこで見てて下さいなんて言えんわな」


 キーラは第5世代についても殆ど知らないのだろう。ポテトをパクパクと食べながら首を傾げてる。


「もしかして第5世代って補助式にもスキル必要なの?」

「そうなんや。だから賢者の居るところみたく層が厚い所やないと厳しいわな。まあウチみたいに四人しか居ないチームだと、補助士の何人かは2行を担当することになるわな」

「あたしは今まで通りアンドリュー次式使えば良いんでしょ?」

「アンドリュー次式は元々、第3世代向けのブースト術式やからな。第4世代もある程度ブーストするが、第5世代になると殆ど意味なくなるんや。せやからキーラも他の補助式覚えんとな」

「えー。そんなんなら第4世代で良いね」

「まあ、うちの班はそうするんやないかな」


 まあ、キーラもせっかくアンドリュー次式が形になってきたんだ。いきなり次の補助式覚えて、なんて言われてもつまんないんだろうな。


「あ、もしかしてそういう会議してるのかな? 先輩たち」

「あー。もしかしたらそうかもしれんな」


 いずれにしても俺たちは先輩たちの方針に従う感じなんだろうし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ