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ゴーコン!   作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第三章 ゴーレムコンテスト(全国大会)

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53.取材

 パメラとのプチデートの翌日、班活に行くとケーニヒとマルクがソワソワと班室の掃除をしていた。


「どうしたんですか? 掃除なんて」


 入班当時の大掃除からしばらくは班室の中は割といい状態を保っていたのだが、ここ一ヶ月はゴーコンの準備で掃除なんてしてなかったものだから、少しづつお菓子の袋などが散乱し始めていたのだが……。


「ああ。今日雑誌の取材が来るっていうんだ」

「しゅっ取材ですか?」

「雑誌社も今回のゴーコンで俺たちの事を殆どノーマークだったらしくてね。情報が無いんだろうね」


 マルクなんて、いつもの学院指定のネクタイじゃなく蝶ネクタイなんかしている。うん。違和感バッチリだが取材される気満々なのだろう。ていうかいつ用意したんだ?

 マルクの事も気にはなるが、それ以上に取材の人たちに汚い班室を見せるのには抵抗がある。俺も一緒になって掃除を始める。


 その後やってきた他の班員達も話を聞いて同じように掃除に参加し始める。7人でやれば早いもんだ。あっという間に班室綺麗サッパリに片付いた。



「それにしても……マルク先輩。蝶ネクタイはないわ~」

「な、なんだと? ホイスにはオシャレを理解する心が無いのか?」

「オシャレって言うか……漫才でもしそうやないすか」

「なっ……」


 綺麗になった班室でホイスがニヤニヤとマルクをイジっている。マルクも蝶ネクタイに少し自信がグラついたのか外そうかと悩んでいると、班室のドアがノックされる。俺は慌ててドアを開ける。


「こんにちは! 月刊ゴーコンフリークのエマ・リシャールです。お待たせして申し訳ありませんっ」


 やってきた記者は予想に反して若い女性の記者だった。黒いパンツルックのスーツに身を包み肩から大きなカバンを下げ、首からはカメラをぶら下げていた。


 エマさんは低姿勢に学生の俺たち一人一人に名刺を渡しながら「この度は州大会の優勝おめでとうございます」と挨拶していく。一通り挨拶を終えると、ケーニヒに椅子に座るようにすすめられ、それではと椅子に座る。そしてカバンから周りがボロボロになったノートを取り出し「早速ですが……」と取材の体制にはいった。


「班長のケーニヒさんの事は調べさせてもらったのですが。中等院時代に全国大会へ出場の経験もあるんですね」

「ええ……昔の話ですけどね」

「ウルリッヒ症候群だとか?」

「はい、高等院に入院してしばらくして発症してしまったんです」

「去年はコンテスト中に倒れてしまったという事ですね」

「お恥ずかしい話ですが……」

「そんな事無いですよっ! 病気を押してまでゴーコンに参加する。それだけゴーレムが好きなんですね」

「そうですね。というより僕からゴーレムを取ったら何も残らないので」


 そんな感じで一人一人のゴーコン歴等を聞いていく。7人中4人。マルク、ヴィル、キーラ、俺。は中等院時代はゴレ班に所属していないというのに驚きをみせる。ただ、今回召喚師をやった俺に関しては後で少し詳しく話を聞かせてくれという事で、後回しにされた。


 さすが専門誌の記者らしく、中等院の部も詳しいらしい。社長とホイスの出身校はどちらも強豪校らしく、「へえ、あの……」と何やらメモをしていた。


 それからエマさんは、キーラに興味を持ったらしく、割と細かく聞いていた。確かにゴーレムをやってそうな見た目でもないし。今回は白補助器の刻みを担当した話と、班費がなくてキーラが召喚陣を書き、それで練習をしていたというのは何かいいネタでも見つけたかのように嬉しそうにノートにカリカリと書き綴っていた。


 皆の話を聞き終わると、エマさんがジッと俺のことを見つめて少し悩んむ様な顔をした。


 ――雑誌社なら……バレているのか。


 だが、先日の母親とのやり取り以来、自分としてはかなり吹っ切れたと思っている。


「リュート君の事は……先輩の記者がもしかしたら、と言っていたのだけど……。その……初等院の時代にゴーコンに出たことがあるのかしら?」


 言いにくそうに質問してくるエマさんを見て、おそらく両親の離婚のことも調べたのだろうと感づいてしまう。雑誌社なら当時の写真はいくらでもあるだろうし。今回のゴーコンの映像を見ればおそらく気がつく人も居るだろう。おまけに父親はゴーレム界じゃ有名人だ。


「エマさん、その話は……」


 エマさんを遮るように口を出すケーニヒを見て、ケーニヒももう分かっているのだろうと察する。


「……そうね、子供に聞く話じゃ無かったわね。ごめんなさい。今の質問は忘れて」

「いや。大丈夫です。確かに初等院4年生の時に一度だけ父親と出場しました」

「……もし話したくなかったら良いからね」

「大丈夫ですよ、あれは父親が唯一父親らしい事をしてくれたので、苦い思い出とは思ってませんから。もう昔の話ですよ」


 なんとなく重い空気が漂っている。話が見えないホイスが気に成ったのか俺に聞いてくる。


「なんや。リュート初等院の部で出てたんや」

「うん、一度だけだけどね」

「ほう、記者さんが知ってるくらいだからなかなかいい成績残したんやな」

「ああ、全国大会で優勝したからね」

「……へ?」


 ざわっ。


 皆が驚きマジマジと俺を見つめる。そんな中、ケーニヒとエマさんのリアクションはその事を知っている者の反応だった。


「……やっぱりそうだったのね。ご家庭の事情もあるようなので昨晩の発刊会議ではその事については記事にはしないことは決定しているので安心して」

「そうですね。流石に離婚した父の話とかと一緒に書かれたら嫌ですね。書かないでもらえると助かります」

「大丈夫、それは保証します。やはりあなたのお父さんは……」

「はい。カーティス・スターンです」


「へ?」

「は???」

「なっ!!!」

「え? 誰? 誰?」

「マジかよ……」


 当然の反応だろう。第8世代の発表で今や時の人だ。まあキーラは知らなかったみたいなのでゴーレムにあまり興味のない人には知らない名前かもしれないのだが。

 一緒にゴーコンを戦う仲間たちにあまり内緒で居るのも心苦しいところが有ったため、いい機会かもしれない。


「はい。でも両親はもう離婚をしているので、中等院の入学時にこっちに引っ越してきてずっと会っていないですが……」

「そうなんやな……なんか色々と繋がったわ」


 ホイスがぼそっと呟く。ただ、やはり離婚というものに先輩たちも触りにくいのか、それ以上の追求はなかった。


 その後、記者としては当たり障りのないような、1年で第4世代に挑戦した話などいくつかの質問を受けた。


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