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ゴーコン!   作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第2章 ゴーレムコンテスト(地方予選)

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38.ゴーコン準備 2

 図書室では、既にある程度本の目星をつけたのか、テーブルでホイスとマルクが書籍を積み上げ調べ物をしながらメモを取っている。


「あれ? どうしたんや? キーラは?」

「キーラはケーニヒ先輩が教えてるよ」

「ん? なんでや? お前が担当やったんじゃないんか?」

「俺も良くわからないけど、先輩が変わるから補助器に刻む術式の方をやってくれって」

「……まあ、お前の説明は長そうだからな。そっちのが合うのかもな」


 む。わけがわからないぞ。だが、俺は言われた仕事をきっちりやるだけだ。



 ゴーコンの高等院の部では補欠を含め10人までエントリーして、事前の缶詰に参加できる。ウチの班は7人の為、人数が足りないまま自然に全員参加になるのだが。コンテストには召喚師が1名、補助士として6名が参加できるため丁度欠員無しで参加することが出来る。その点は今年3人入ってきたのは大きいのだろう。


 話によると、地方大会では殆どが第3世代での参加に成るという。ホイスが言うには中等院の部の場合はレベルが低い学院だと第2世代で出場してくる所もあるらしく、そこらへんが1世代分レベルが上がる感じで考えて良いのだろうか。ただ、第2世代から第3世代への差と比べ、第3世代から第4世代への難易度の変化は大きいため、第3世代の率は上がるのだろう。


 俺が第4世代を召喚すれば、地方大会はかなり上位を狙える。



 文字の読解の補助式の為の書籍を探すが、流石に高等院のレベルの蔵書だと厳しいのかもしれない。無いわけじゃないが、魔力補充術式の時と同じように、術式大全のように色んなものが書いてある本の中に触れられているのを探していく感じだ。

 


 この日は皆口数も少なく黙々と資料を読み漁り、必要そうな所をメモっていった。横を見ると社長はメモなどせず、パチリと端末で写真を撮って資料を保存している。まあ、そういうのもスピードを考えれば良いんだけど。やっぱり俺は手で書いて覚えていきたいかもな。


 結局、図書室が閉まる時間までひたすら調べ物をして、この日は解散に成った。



 班室に荷物を取りに戻ると、キーラは既に帰宅したようでケーニヒが1人でいつもの宿題をやっていた。先輩たちはまだダラダラと班室でまったりしているようだったので、ホイスと2人で先輩たちに挨拶をして帰宅する。


 昇降口でそれぞれの下駄箱で靴を取り出していると、後ろからガヤガヤと1年らしき集団がやってくる。どこの班だろうと思っていると、ウチのクラスの下駄箱の所にシュウがやってきた。それともう1人の飛行班のクラスメイトも居る。たしかイジーとダフだったか。あまり話をしたことは無いんだよな。


「あれ? リュートも今帰り?」

「うん、飛行班も今終わったの?」


 軽く言葉をかわしていると、シュウが小さい声で言ってくる。


「パメラも居るぜ」


 お、おう……だが、学院内であまり話をしたりしていないからなあ、他の飛行班の連中もいるしなあ。なんて言いながら、Mボートを取り出しつつ耳をダンボにしてパメラの声が聞こえないかと神経を全集中させる。


 先に靴を履き替えたホイスがこっちに来た。ホイスも俺と同じでMボードを手に持ってやってくる。ホイスのボードは何ていうか自分で塗ったらしい虎柄の派手なやつだ。ホイスの家はウチよりもだいぶ遠いようでいつもボードを飛ばして来てると言っていた。


「なんか飛行班の奴らも帰る所みたいやな。お、シュウだったか? 今帰りか」

「うん、えっと……ホイス君か。リュートはちゃんとやってるかい?」

「ああ、まあちょっと変わったやつやけどな。良い戦力やで」

「変わってるってなんだよっ」

「はははは」


 くそお。笑って誤魔化しやがって。と、パメラもステーシーと一緒にこっちにやってきた。


「リュート君も今帰り?」

「あ、ああ。お疲れ様。ステーシーもお疲れ」

「はいはい。私はついでですよ」

「え? そっそんな事ないよっ」

「ま、気にしないで」


 あのあとステーシーもパメラから俺の事情的な話を聞いたようで、いつかの怒りは既に無くなっている。むしろパメラにさりげなく俺の隣になるようにグイグイ押したりしているのをみて、怒っていないのを再確認だ。まあ、怒っているよりは助かるが……なんとなく他の飛行班の男子の視線が痛い。


 ホイスは二人を見て「あれえ? 2人は前にゴレ班の班室に間違えて来た来た美人さんやろ? なるほど飛行班と間違えたんやな」なんていう、それを聞いてパメラもステーシーもなんとなく気まずそうな顔で返事をしていた。


「へえ、じゃあゴレ班もいよいよ準備が始まったのね。楽しみだね」

「うん、今年は結構変則的なのも多そうでね、週末に街の図書館に資料を探しに行こうかなって思ってるんだ」

「大変そうだけど、リュート君は楽しそうね」

「そうだね」


 すると、パメラの隣からステーシーが「じゃあパメラも図書館に行かなくちゃね」なんて言い始める。そういうつもりで図書館の話を振ったわけじゃなかったが、パメラは「でも邪魔になっちゃうから」とステーシーに答えているのを聞いて思わず……。


「全然邪魔じゃないよ。でも……きっと退屈しちゃうと思うから」

「リュート君。あなた全然わかってないわね。パムは行きたいのよ。ねえ?」

「ちょっ。ちょっとシーちゃん何を言ってるのよっ」

「あ……きっと朝から居るから、もしよかったら昼飯時でも……」

「う……うん。いいの?」

「うん。もしよかったら……」


 おお、なんか成り行きだけど週末またパメラと会えるのか。ナイスだステーシー!


「なんや。……リュートお前意外と手が早いんやな」

「は? 何言ってるんだよ。そんなんじゃ……ねえ?」

「そ、そうよね。まだそんな……ねえ?」


 なぜか、横でステーシーとシュウがため息を付きながら首を振っている。な、なんか間違ったか? ホイスは何が嬉しいのかわからないがニヤニヤしながら「青春やなあ」なんてつぶやいていた。


 そして、後ろの方で誰かの舌打ちの音が聞こえたような気がした。


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