表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴーコン!   作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第1章 ゴーレム班

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/76

28.コミュニケーション

 

 最近、俺は1つの悩みを抱えている。


 ズバリ、パメラだ。


 2週間ほど前にせっかくLINKのアカウントを交換したのだが、何を送っていいか分からないのだ。いや、全然LINKでのやり取りをしていないって訳じゃない。たまにパメラがステーシーと一緒にスィーツを食べたりしたときに画像を送ってきてくれたりする。その流れで会話が続いたりはするんだ。


 だが、俺はおしゃれなスィーツを食べに行ったり等のネタがない。食事も母親の作る至って普通の料理だ。たまにお菓子を買ったりして食べたりはしていたが、最近はそういう機会がない。特に先月は金欠で何も買ったり出来なかった。


 もしかしたら、召喚陣等の話をしても興味を持ってくれるかもしれないが。うん。あれは楽しいからな。この頃ようやく第2世代の召喚陣に成功したんだ。キーラの書いたやつと比べると少し魔力を送った時の抵抗感があるしなんとなく質が悪い召喚石のような感じではあるのだが……。いや。それでも成功はしたんだ。


 ……


 パメラの話だった。


 そういう事で、ゴーレム関係のネタを送るときっと暴走する自覚はあるんだ。本当に楽しんでもらえる自信はあるんだが。うん。今、第3世代向けの召喚陣を練習し始めているんだ。まだ第2世代がやっとこ動いたくらいだが。上位互換だからね。キーラが既に第3世代を書けるように成っているのはちょっと不思議だが。俺もすぐに書けるようになるはずなんだ。もしかしたらパメラも書いてみたいって、どこかで2人きりで召喚陣を書いたりして楽しめるのかもしれないな……。


 ……


 いやいやいや。


 ……今度誰かに相談しよう。一人で考えていると何も進まなそうだ。




 次の日の昼休み。いつものように昼飯を食べながら、何気なく二人に聞いてみる。


「マジで? パメラちゃんとLINKを???」

「おお~。諦めたと思っていたけど。知らないうちに進んでいたんだな。班活でも一度もそんな事話してなかったよ」


 まずそっちからだった。

 たまたまゴーレムショップでステーシーと一緒に居たのに出会った話をし。その時別れ際にステーシーが連絡先を交換しなよと勧めてきてくれた話をする。

 

「お前はアホか。それ完全にいけるんじゃねえか」

「え? 完全ってのは無いと思うけど」

「……ふう。素人はこれだから困る。2人は幼馴染の親友なんだろ?」

「そうみたい」

「その幼馴染が、連絡先を交換しないの? って聞くってことは、パメラちゃんがお前の話をステーシーちゃんにしていて、それが良い話だからステーシーちゃんが勧めたんだろ?」

「え? な、なるほど」

「もしかしたら、事前にパメラちゃんがお前との連絡先を知りたいなって話をしていた可能性だってある」

「お……おおお。そんな可能性が!?」


 おお、なんか望みが湧いてきたぞ。PJに聞いてよかったかもしれない。だが、PJはなんとも言えない顔でシュウの方を向く。


「……シュウ。なんか、リュートはダメそうな気がするぜ」

「うん。俺もなんか心配になってきた」

「え? ちょっと、やめてくれよっ!」


 その後、殆ど俺からLINKを送った事がないと言うと、再び2人に叱られる。どんな事を送れば良いのか等を事細かく聞く。うんうん。ちょっと、PJの言うように送るのは抵抗があるが、シュウはリア充男だからな。こっちを参考にするとしよう。2人ともやはり、ゴーレム関係は向こうが振ってくるまで絶対に書くなと念を押された。


 よし。がんばろう。



 

 夜、夕飯を終わらせた俺は、ベッドの上で端末とにらみ合いをしていた。


 確か、共通の話題が有ればそれで攻めるのが楽だって言っていたよな……。共通の話題……。やっぱゴーレムか。……ん? ゴーレム関係はやめろって言ってたよな。どういう事だ??? いきなり手詰まりじゃないか。でも、今日中には何か送れと言われているしな。


 ……


 ……


 >>こんばんは。班活も1ヶ月経って本入班になりましたね。だいぶ慣れましたか?


 おお。なかなか自然じゃないか? ほれみろ。俺だって出来るんだ。


 だが、既読にならない。ドキドキ気分がどんどんジリジリ気分に変わっていく。ああ。もしかしたらもう俺は愛想をつかれたかもしれない。俺からメッセージを送るのは初めてだしな……。


 しばらく端末を眺めているが……ダメかもしれない。俺の心も。

 気を紛らわそうと、引き出しからゴレカーを出し、召喚陣の板に魔石泥を塗っていると着信を知らせる音が入る。


 ピロン。


 慌てて端末を手に取り、震える手で画面を開く。


 >>こんばんは。今シャワーを浴びていたので、お返事遅れてすいません。あっという間の1ヶ月ですね。最近は少しづつレポートも専門的な物になってきて大変ですが。楽しんでいます。


 おおおお。来た。来た。来た。ちゃんと来た。良かった。ってシャワー??? いや、そんな事は今は触れないのが吉だ。

 ホッとしながらも次の文章を悩む。ううむ……。


 >>レポートはまだ続くのですね。作業ゴーレムと違うので覚えることが多そうですもんね。調べることも多そうで大変だと思いますが頑張って下さい。


 うんうん? ちょっと硬いかなあ。でもパメラも割と硬めの文章だからなあ。PJみたくノリノリな文章をかけない感じだけど。……お。すぐ来た!


 >>そうなんです。レポートに詰まると図書室に行って必死に調べています。そう言えば最近図書室にはいらっしゃって居ないのですね。お見かけしませんね。


 うう。そう言えば召喚陣を始めてから、毎日体育館での活動をしているもんな。ん? もしかして図書室に行ったときに探してもらえているのかもしれない。これは。良い感じかも。よし。踏み込もう。PJもそう言っていた。


 >>あのう。少しお互いに文体が硬い感じがしちゃいますね(笑)


 >>そうですね。お友達の会話っぽく無いかもしれませんね


 んぐ。返事も硬めだ。ここは男の俺から率先して変えていったほうが。……よし。俺がフレンドリーな会話のレベルへエスコートする感じだ!


 >>そうだぜ!


 >>え? だぜ?


 う……やっぱり変だったか。慌ててフォローしようと文章を打とうとした時、続けてメッセージが入る。


 >>ふふふ。よろしくなっ!


 おっふ。なんだこのノリは。噂の女子トークというやつかもしれない。でも、何ていうかすごく楽しいぞ。ゴーレムをやっているのと同じくらい熱中出来る。メッセージのやり取りをしていると、あっという間に時間が過ぎていく。


 やがて時計を見ると結構な時間だ。そろそろ寝ることを切り出したほうが良い気がするが……話し続けたい俺も居る。



 >>いつも色んなお菓子の写真を送ってもらってるのに、僕からは全然そういうの送れなくてゴメンね。


 >>えっと。あれはシーちゃんが、一緒に食べに行ったときに勝手に送っちゃうの。ゴメンね。


 >>あ、そうなんだ。でも全然大丈夫だよ。いつも女の子は色々お菓子を食べられて良いなぁって思ってみてたんだよ。美味しそうだよね。


 >>リュート君も、スィーツとか好き? もし良かったら、今度2人で一緒に食べに行かない?


 …………へ???


 まっまっまっまっまっ………マジか! マジなのか!? どっとうしよう。なんて答えるか、イエッサー? お言葉のままに? イエスマダム! いやいやいや、わがんね!


 >>あ、無理には大丈夫だからね!


 え? やばい。返事遅れて悩んでいると思われたかも。悩んでいる暇はない。


 >>行きます! 絶対行く!



 おおお。道が開けてきたよ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ