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ハットトリック決めるしかない! 「なろうラジオ大賞3」

作者: 秋谷 進

おれはサッカーが嫌いだ。ずっとやめたいと思っていた。

そのサッカーをついにやめることができるかもしれない。なぜなら、「お母さんにハットトリックを決めたらやめていいわよ」って言われたからだ。


僕はずっと嫌なことは見ないように生きてきた。そうすれば、人生が楽になるから。

僕の身体は、他の子に比べると小さい。だからサッカーなんてやって、誰かとぶつかったら大けがしちゃうかもしれないだろ? だから僕は、どうすればぶつからずにすればいいのかを見ている。誰がどこにいて、何を見ているかは俯瞰して見ればすぐにわかる。誰かの目を見るのは嫌だから、見なくてもわかるようになった。


家でもそうだ。お父さんはいつも怒ってたから、僕はどうすれば合わないで済むかを考えてた。お父さんがお母さんを殴っている時も見ないようにするし、お母さんが泣いている時は聞こえないように隠れて耳をふさいだ。

そんなお母さんが離婚するって言った時は、僕がお父さんがお母さんを殴っているところが映っている写真を見せた。そしたらそれが役立ったみたい。


あと僕は、自分の記憶も消せるんだ。例えば、大好きな女の子が、友だちと付き合っているのも知らなかった。周りの子は、「何度も一緒に見たじゃん」って言ってきたけど、僕は知らない。嫌なものは見えないから。


あんなお父さんだったけど、実は有名なサッカー選手だったんだ。だからお母さんは、僕をサッカー選手にして見返してやりたいんだって。でも僕はサッカーなんて怖いしやめたい。それに僕は負けるのも嫌なんだ。だってカッコ悪いだろ?

だからサッカーが始まったら、怪我をしない場所に移動して、得点を入れるようにしてる。みんなからは、なんであんなところにいたんだ? ラッキーなやつって言われて、僕の決めたゴールは「ごっつあんゴール」なんてあだ名がついてる。


今日は試合前に、お母さんに言われたハットトリックを何が何でも決めるんだ。これでサッカーをやめられるんだから。


これを決めればやめれる!! やったー! 決まった! よし、お母さんに言うぞ!って。お母さん泣いて喜んでいる。え? 誰だ? あの人。強豪サッカーチームの監督だって? サッカーやるなら高校に特待生で学費払わないで行ける? 僕が俯瞰で試合を見ているすごい選手だって?


こんなムードになったら言えないか。サッカー辞めるなんて。

そしてそのまま僕は、こんな感じで日本代表になったのさ。

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