アルフレッド
アルフレッド・エルトン・V・ライトは、宇宙士官学校を主席で卒業した後、連邦軍に入隊した。
しかし、そこでは軍の高官の子息だけが特権階級にいて、何の後ろ盾もないアルフレッドはなかなか出世出来ずにいた。
「アルフレッド!君はなんで肉体鍛錬よりも実験や研究をしたがるんだい?誰もやらない分野じゃないか」
友人からそう言われた彼は、悪びれる風でもなく、
「俺がやりたいことをやっているだけだよ。こっちが向いてるし、性に合ってるんだ」と答えた。
核融合やら宇宙船の開発分野に興味があるらしく、どんどんのめり込んでいった。
「そのままじゃ、軍の後方機関で研究開発している弱小チームにしか配属されないぞ!」
友人はアルフレッドを心配して言い続けた。
「俺の名前、ライトって、いろんな意味にとれるんだよな……。光。軽い。ライトイズライト。これが俺のテーマだ」
そうつぶやいた彼は、宇宙帆船に使用される特殊な帆の開発に携わって、帆の周りの空間内にある光量子を吸収して、内部で増幅させたのちに宇宙船の航行エネルギーに変換する装置を熱心に開発した。
「増幅装置が微妙に危険だな」
放っておくと、無限にエネルギーを変換し続けて、ひいては暴走する可能性があった。
軍は、この開発に目をつけて、宇宙船の航行エネルギーではなく、兵器に転用するようにアルフレッドに求めた。
「できるわけ、ないじゃないか。無限にエネルギー量を増やすということは、星域全部を吹っ飛ばす可能性だってあるってことだ」
アルフレッドは増幅装置に制限をつけて、自分にしかわからないパスワードで研究成果を封印した。
「俺は、地球にいられない。いたくないんだ」と言うと、オリオン座β星リゲル恒星行きの宇宙船に乗って宇宙へ飛び出して行った。ぎりぎりのところだった。もう少しだけ遅ければ、軍に搾取されて大変なことになっていただろう。
この後、彼はリゲル恒星系で冒険を繰り広げることとなる。
《惑星☆プリズム》へ、続く。