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長い道

作者: 朱雀桃子

この長い道を私は、どのくらい歩いたのだろうか。

ふと足元を見ると、私の靴は疲れ果てていた。

私自身も、満身創痍の状態だ。

まだまだ先の見えないこの道の果てを私は目を細め見た。


最初の一歩を踏み出した記憶は無かった。

気づいたら、歩いていたのだ。

始めの内は辛さや、絶望感、疑問など何も思わなかった。


しかし、徐々に物事がわかり始めると、様々な感情が生まれた。


なぜ自分は歩く必要があるのか。なぜ歩かなければいけないのか。


途中隣を見ると、歩くのを諦めた人や休んでいる人がいた。

しかし、そういった人達には、誰も話しかけなかった。

みなが居ない者としていた。


分岐している場所も多くあった。

どちらへ行けばいいのか、皆に聞いてみたが、皆それぞればらばらな返事だった。

結局は、私の意志が全てだった。

分岐している、もう一方の道を歩いていたら私はどうなっていただろうか?

今よりも歩くのが楽になっていたのか?

もう果てに着いているのか?

そんな様々な感情を殺し殺し歩いている。


そういた感情をすぎ、今は私は何も考えずに歩いている。

年をとるにつれ、重い荷物が増えた。

歩くのが遅くなったので、様々な物を捨てた。

きっと捨ててはいけなかった物も捨ててしまったはずだ。


だが、私はひとつだけ、いくら重くなっても大事に持っているものがある。

それは思い出だ。

隣を歩いている人は、もう捨ててしまったと言っていた。

しかし私は、いくら重くなっても持ち続けている。

これだけが私と言えるものだった。

思い出だけが、私が存在したと言う、唯一の証拠だった。


きっとこの長い道を、今歩き始めた者もいるだろう。

きっとこの長い道を、今諦めた者もいるだろう。


私はゆっくりと後ろを眺めた。

そして私はまた前を向き、歩き始めた。


この長い道を。





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