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エピローグ

 葬儀はつつがなく行われた。

 人生で二度目になる葬儀が妹のものだとは。


 近所の人間やクラスメイトたちは、思い出したかのように俺に慰めの言葉をかけた。何もかも都市伝説から現実へと戻ってきたのだ。


「新しい奥さんも迎えて、これからって時にねえ」


 気の毒そうに言葉が交わされたが、しょせん他人事だろう。

 葬儀が終わり、火葬場から戻ってくると、初七日まで済ませてしまった。母さんの時と同じだった。

 そして親戚連中が帰ると、葬儀会社の人に呼び出された父さんを除いて、俺と茜さんだけになった。

 妙に気まずい空気が流れる。

 人が一人死んでいるのだから、気まずいも何もあったものじゃないのだが。


 茜さんは何度か俺のほうを見て、何か言いたげだった。

 それでもすぐに顔を伏せてしまう。せめて茜さんのほうから何か言ってほしかったが、これはもう仕方が無い。


「……茜さん……」


 俺は意を決して声を発した。

 膝に乗せた手をぎゅうと握りしめる。


「……なに?」

「……あの……ええと……」


 どこから話せばいいのだろう。

 握った拳が汗ばんでいくのがわかる。


「い……妹から……話を聞きました」

「愛奈ちゃんから?」

「……はい」


 心臓が高鳴る。


「……愛奈と……いろんなことを話したと……聞きました。……愛奈は、あなたに感謝していまし……た」


 声が震えているのがわかる。

 俺は茜さんのほうを見れなかった。


「それなのに、俺は……あなたを……。あなたが、嫌いだった。母さんが死んだことも……、あなたの存在も……、認められずに……」

「……そんなことはない。私だって急ぐ必要はなかったんだから。愛奈ちゃんに認められたからといって……いい気になってたの」


 ああ。

 ここから始めるべきだったのだ。

 せめてもっと早くこうしていればよかったのだ。

 お互いの言葉をぶつけあうという単純なことすらできていなかったのだ。俺は。


「あの、愛奈の話をしませんか。それと……」


 それと、ともう一度言ってから、俺は茜さんを見た。


「いろいろな話を」

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