閑話休題「禁軍(1)地方禁軍」
宋(北宋)朝の禁軍、特に内地に駐屯する禁軍についてダラダラと書いています。
史実については色々な資料を参考に可能な限り正確な記述を心掛けましたが、仮に誤りがあっても「所詮は素人が書いたモンだしなぁ」と胸に秘めて、そっと笑い飛ばしていただければ幸いです。
相変わらずメタ(ry
花栄(以下「栄」):ふぅ。賊の襲来までに備える事が多いな。
花毅(以下「毅」):おっ、丁度良いところに…
栄:父上、如何なされました。何か新たな命令でも?
毅:いや何、ちょっと禁軍について話せと頼まれてな。栄、お前も手伝え。
栄:今ですか!?いつ賊が襲ってくるかもしれないというのに…
花宝燕(以下「宝」):ヤッホ~。みんなのアイドル、宝燕ちゃんの登場だよ!ヨロシクねっ♡エヘッ♪
栄:宝燕!?お前、こんなトコで何してんだ!
宝:あら、兄様。何って…宝燕、ヒマみ~。
栄:「ヒマみ~」じゃない!これから慌ただしくなるから──
宝:父様、聞いて下さい!この小説、ドイヒーなんですぅ。こんなに可愛い宝燕が、本編じゃただ「兄様を揶揄う妹」としか紹介されてなくて、セリフどころか登場すらしなかったんですよぅ?
栄:当たり前だろ。お前が登場する必然性が何処にあったんだ…
宝:もぉ~、コレだから兄様は…宝燕が登場するのに必然性なんて要らないの!出るだけで☆パッ☆とその場が華やいで、み~んながハッピーになれるんだから♪
栄:というか、お前…時代考証とか、いくら何でもズレ過ぎだろ!?
宝:うっわ、時代考証とかイミフだしぃ。ウケる~ww
毅:よし、引き分け!
栄:はいっ!?
毅:お前らに付き合ってたら、いつまで経っても本題に入れん。
栄:…そうですね、時間もない事ですし始めましょう。まずは何から話しましょうか。
宝:ププっ…真面目将軍。
栄:…おい、聞こえたぞ、宝燕。
宝:まあっ!!お兄様ったらお可哀想に…あまりにも真面目を拗らせ過ぎて、遂に幻聴まで聞こえてしまわれるようになったのですね。おいたわしや…よよよ。
栄:お前なぁ。
毅:栄、いちいち真に受けるなよ。さて、差し当たってここでは禁軍の概略と、この小説と史実との違いについて話すとするか。といっても、学者でも研究者でも何でもない作者が調べた事だから、史実についての真偽のほどは保証出来ないけどな。
栄:そんないい加減な…
宝:もぉ~、コレだから兄様は…そりゃあ作者だって、おんなじセリフうっかり二回も使っちゃうわよねww父様がそう言ってるんだから、別にそれで良くなぁい?(さて、と…)あっ、父様。宝燕はそういった難しいお話は大丈夫ですありがとうございます。では、この辺で──
──むんずっ!!
毅:ここぞとばかりに逃げ出そうとするな。出たかったんだろ、宝燕?ついでに聞いてけ。
宝:いやーっ、難しいお話はいやーっ!
【禁軍】
毅:さてと、じゃあまずは禁軍についてだが。
栄:禁軍は言ってみれば宋の正規軍ですよね。王朝によっては「近衛軍」や「御林軍」などと呼ばれたりもしてましたが。
毅:そうだな。宝燕、禁軍の規模がどの程度かくらいは知ってるだろ?
宝:…Zzz。父様、宝燕はもう食べられません。むにゃむにゃ…
栄:おい!力尽きるの早すぎだろ!
毅:あー、いいよ放っとけ。史実では公称で82万とも90万とも言われてたようだが、後書きでも触れてたように、この「水滸前伝」では公称80万としてるな。およそ半数が首都の開封府に、残る半数は宋の各地に駐留してる。
栄:そうした、いわゆる地方禁軍は宋の建国当初、殆どが国境や辺境の地で警備にあたってたようですね。
毅:まあな。しかし、仁宗(宋朝第4代皇帝)陛下の御世以降、地方の治安維持や賊徒鎮圧を目的として辺境・国境以外、特に農業生産の盛んな地域へ駐留させるようになり、そこから全国的に配備されるようになった言われてる。内地で賊徒が暴れる度に、いちいち開封や辺境から兵を派遣するようじゃ効率が悪すぎるからな。で、俺らもその一員って訳だ。
栄:禁軍は大きく「殿前軍」「侍衛親軍馬軍」「侍衛親軍歩軍」に分けられます。「侍衛親軍馬軍」「侍衛親軍歩軍」は「侍衛馬軍」「侍衛歩軍」、或いは単に「馬軍」「歩軍」と呼ばれる事もありますね。この内、殿前軍は宮城の警備や首都の治安維持、陛下の近侍を担うなど、禁軍の中で最も栄えある部隊と呼んで差し支えない存在です。
毅:「半数が各地に」と書いたが、殿前・馬軍・歩軍それぞれの半数ずつが各地に配置されてる訳じゃない。当然、殿前軍はその職責から、大半が開封に駐留する訳だから、その分、馬・歩軍が各地に出張り、総じて三軍のおよそ半数が各地に、という事だ。この辺りは大体こっちの小説でも史実に沿った設定だな。ちなみに、文量的にはほんの僅かだが、禁軍が三軍に分かれてる事は『水滸伝』でも語られてるぞ。
栄:禁軍中枢部の組織体系は──
毅:おいおい、そんなトコからここで説明するつもりか?
栄:しかし、しっかりと説明する為には、やはり中枢部から──
毅:真面目なのも良いが、このサブタイ見てみろ。「禁軍(1)」だぞ?どうせ(2)(3)と続いてくのに、ここで全部説明したら、後で書く事がなくなって作者が困るぞ?
宝:ププっ…
栄:宝燕…お前、起きてるだろ!?
宝:ぐ、ぐぅ~…Zzz
【軍、府、州】
毅:紛らわしいんだが、ここで言う「軍」ってのは禁軍の駐留地の事だ。これは行政区分にも関わる事だから、詳しくはまたいつかそっちで説明があると思うが、史実おいて宋代には、府州の上に「路」という行政区分があり、その路の中に府州と同格の「軍」という行政区分を置いて禁軍を駐留させてた。
栄:各府州には禁軍が配備されてなかったんですか?
毅:いや、恐らくそんな事はないぞ。
栄:「恐らく」ですか?
毅:多くの資料に「武官の『都総管』や、その下位にあたる『総管』が知府州(知府や知州)を兼務する事があった」と見える。兵がいなけりゃ、そもそも武官が知府州を兼務する必要なんてないんだから、府州にも「軍」とは別に、それなりに将兵は配備されてたんだろう。だが、人口や地勢的な面から見ても、府州の重要度は様々だからな。府州によって兵の多寡はもちろんあったろうし、中には禁軍が配されてない府州もあったのかもしれない、って事だ。
栄:確かに。それこそ「軍」には禁軍が駐留してる訳ですから、そこに隣接する府州にまで禁軍を置く必要性は、あまりありませんしね。
毅:そういう事だな。『水滸伝』でも知府州とは別に、府州に属する武官が頻繁に登場するから、設定上は大概の府州に禁軍が配備されてる事にしてあるんだろう。府州の兵を率いて賊の討伐に向かう場面なんかもよく描かれてるし。
栄:「設定上は」というのは?
毅:物語の本筋とは関係ないのに「コッチはこういう理由で禁軍が置かれてて、アッチはこういう理由で置かれてない」なんて、いちいち説明するの面倒臭いだろ?そもそも、そんな細かい設定にする必要もないんだし。だから話の都合上、特に必要のない限りは一律で配属されてる事にしたんだろ。こっちの小説も事情は大体同じだ。
栄:なるほど。ところで、我々は「軍」や府州、県より更に規模の小さな「鎮」に駐留してますが、そういった場合、所属というか指揮系統はどうなるんでしょう。この「水滸前伝」で我々武官は、正知寨の部下のように扱われてますが…
毅:まず、史実において県に満たない鎮などの長官は、県から派遣されてたようだ。一方、武官が県や鎮などに配備されても、所属は府州や「軍」のままだったらしい。ただ珍しい例として、駐留する兵が少ない「軍」については、府州ではなく県と同格に扱われた場合もあったようで、その場合は近隣の県の知県が、その「軍」を統轄してたとする資料もあったにはあったが…ま、さすがにそんな例外的なケースまでは採用されてないから、基本的にこっちの小説でも武官の所属は府州や「軍」のままだ。俺らの肩書も、そこら辺を踏まえた上で作ったんだろ。
栄:肩書?「在青州禁軍駐泊清風鎮○○」っていうヤツですか?
毅:「在青州禁軍」、読みようによっては「籍は青州に在る」って読めなくもないだろ?
栄:んー、まあ…しかし、それでは我々の上官は府州や「軍」の上級武官になるんですから、あんな男の下に就く理由はないじゃないですか。
毅:そこはまあ…何とも言えんなぁ。実際に「重文軽武」という言葉があったように、同じ地に配属されてれば、所属云々に関係なく、武官は文官の指揮下にあったのかも知れんし。一応、清風鎮に限って言えば、こっちの小説の都合でそういう設定にした訳じゃなく、単に『水滸伝』の中で文官が正知寨、武官が副知寨として描かれてたからそれに倣った、ってだけの話だが。
栄:ただ『水滸伝』の内容は、史実に則してない場合も多いみたいですからね。そう考えれば、それこそ筋書きの都合でそういう形にしてしまった、という事もあり得ますよね?
毅:それはしょうがないだろ。『水滸伝』は「読み物」であって「歴史書」じゃないんだから。正史の『三國志』と小説の『三國志演義』が別物なのと同じだよ。そもそも書物としての『水滸伝』の完成は、物語の舞台である宋朝から400年も後の話だ。現代と違って、当時の事を詳しく調べようにも限界があるさ。それに舞台の演目や、口伝の伝承で長いこと親しまれてきたエピソードが、そのまま『水滸伝』に取り入れられてる場合も多いみたいだからな。それが本になった途端、勝手に書き換えられてたら、読む方だって納得しないだろ。
栄:史実か否かよりも面白ければそれで良し、って事ですか。
【指揮司】
宝:んっ、んん~…はあ~っ。あー、良く寝たっ♪
栄:お前なぁ…折角、父上が有り難い話を──
宝:まあ、兄様。もう御自分の言葉を忘れてしまわれたんですか?
栄:…?何がだ?
宝:ついさっき、真面目ヅラをぶら下げて言ったばかりじゃありませんか。「史実か否かよりも面白ければそれで良し」って。史実通りでなくてもいいなら、こんなトコで偉っそうなウンチク?を聞かされたところで、ハッキリ言って時間の無駄無駄無駄です。
栄:っていうかお前、今起きたんだろ?何でさっきの俺の言葉を──
宝:(ヤッベ)という事で父様。宝燕が父様に代わって、作者のところへダッシュでクレームを入れに行ってきますので、この辺で──
──がっしっ!!
毅:偉っそうにウンチク垂れてて悪かったなぁ。ついでだから最後まで付き合え。
宝:えっ!?いえ、あの、別に父様の事を言った訳では…
栄:はぁ…父上、続けましょう。
毅:ん。さて、まず史実においての地方禁軍だが、地方に配属された禁軍と一口に言っても、辺境・国境地帯とそれ以外の地域では、その運用に結構な差があってな。この小説での禁軍運用も、そこら辺を踏まえた形の建て付けになってるんだが、それを全部ここで説明するのは、全く以て面倒くさ…ゲフン…いや、まぁ辺境配備の禁軍についてはその内、本編の中でなり他の誰かなりが説明するだろうから、ここでは青州を含めて国境から離れた内地の禁軍に限った話をするか。
栄:何か「面倒臭い」と聞こえたような…
宝:いや、はっきり聞こえたしww
毅:史実や『水滸伝』の内容に関しては…まあ、作者が思い出した都度、説明するだろ。
宝:父様!宝燕はこんな面倒事からすぐにでも解放される、魔法の言葉を知ってます。今こそ使いましょう!
毅:ほう、そりゃ便利だな。どんな言葉だ?
栄:父上、話に乗らないで下さい。この世にそんな言葉がある筈──
宝:バ○スっ!!
栄:…何!?
宝:あっ、間違えちゃった♪てへぺろ~。こっちは破滅の言葉だったわ。
栄:おい、縁起でもない…
宝:じゃあ、気を取り直してぇ~…ググれっ!!
栄:…意味分からん。もういい、一時でもお前に付き合った俺が浅はかだったよ。
宝:父様。コレ、ホントは三文字じゃなくて、後ろにあと二文字続くんです。
栄:もういいって!父上、話の続きを──
宝:ググレカ──んー、むぐもが!
栄:止めろって言ってるだろ、全く…起きたら起きたで碌な事言わないな、お前は。
宝:んんー、むぐぅ…ぷはぁっ!!父様、口がっ…この可憐で純真無垢な宝燕の口が、よりにもよって兄様に無理やり塞がれてしまいましたぁ!まだ誰にも塞がれた事なかったのにー。
栄:手でな。何言ってんだ、コイツは…父上、続きをお願いします。
毅:ん。お前ら相変わらず仲が良くて何よりだな。さて、本題だ。この小説で禁軍が配備された各府州や「軍」には…メンドいな、表記は「府州」で統一するが、その府州の名を冠した「指揮司」という、禁軍の指揮・運用を司る部局が置かれる。ここ青州なら「青州指揮司」といった具合でな。ちなみに『水滸伝』には似たような役割と思われる「統軍司」という名称も登場するが、この小説では「指揮司」に統一されてる。
栄:先ほど出てきた「武官が府州に属す」というのは、正確には「府州に置かれた各指揮司の指揮下にある」という意味ですね。
毅:指揮司は府州の管轄下にあるから、その府州の長である知府州が指揮司に対して──つまりはその指揮司に属してる禁軍に対して、名目上は裁量権や指揮権を持ってる。しかし、内地の知府州は朝廷から派遣される文官で、戦に関してはズブの素人も同然だから、物資の調達や実戦の指揮など出来る筈もない。よって禁軍の実質的な裁量権や指揮権は指揮司が握ってて、賊徒討伐など実戦での指揮は元より、軍事物資の管理や作戦の立案、部隊の運用、或いは下仕官や兵卒の人事、懲罰など、軍事の大部分を司ってる。知府州は上奏されたそれらを武官と協議の上で決裁する、となってるんだが…ま、基本的にはただ承認するって形が殆どだな。
宝:ハイっ、父様!
栄:お!?何だ、急にやる気出して…?
毅:いやぁ、こりゃ違うだろ…何だ、宝燕?
宝:漢字が多すぎて話の内容が全く頭に入ってきません!
毅:ホラな。
栄:はぁ…それで父上。「名目上の指揮権」というのはどういう…?
毅:基本的に今の説明が、史実ではなく『水滸伝』での描かれ方を下敷きにしてる、って事だ。『水滸伝』じゃ内地の知府州が武官に対して賊の討伐を命じたり、時には自ら兵を率いたりもしてるからな。
栄:…はい?
宝:もぉ~、コレだから兄様は…ホラ、三回目が出ちゃったww今、父様が言ったばっかでしょ?「『水滸伝』を下敷きにしてるけど、知府州は文官だから実戦の指揮なんか出来ない」って。
毅:宝燕の勝ち~。
宝:イェーイ☆♪
栄:えぇ~…
毅:史実においては、さっきも言ったように内地の知府州を都総管や、チラっと出てきた「路」の軍政官にあたる「安撫使」などが兼務する事も多かったようだから、そういった府州なら知府州が兵を率いるのも道理だ。或いは『水滸伝』でも辺境には知府州と武官の兼務──というより、文官と武官を兼ねたような職に就いてる人物が登場するんだが、内地では史実のように知府州と武官を兼務してる人物が登場しない。つまり、基本的に内地では「知府州は知府州、武官は武官」という設定なのさ。
栄:確かにこの小説でも、青州の慕容知州は武官を兼務してる訳じゃありませんが…ああ!設定は『水滸伝』を下敷きにしてるけど、実戦の指揮なんか出来る筈もない文官の知府州が禁軍の指揮権を持ってるから、その理由付けとして一応「名目上は持ってる」と。
毅:そういう事だ。ちなみに、慕容知州は当然『水滸伝』でも武官の兼務をしてないが、史実においては何とビックリ、青州には安撫使が置かれ、知州を兼務してたらしい。つまり、慕容知州は安撫使閣下でもあるって訳だ。
栄:あの慕容知州がですか!!!?
宝:もぉ~、コレだから兄様は…兄様、いい加減にしてもらえます?もう四回目ですよ?「あの」なんて言ったって『水滸伝』を知らない読者さんにはピンともスンともこないでしょ?まだ名前と、ちょっとした紹介しかされてないんだから。
栄:あ…いやまあ、そうだが。
毅:宝燕の勝ち~。
宝:イェーイ☆☆♪いやーん、兄様に勝ったらどんどん☆がもらえちゃうっぽーい。
毅:名称が出たついでに一応説明しとくか。安撫使ってのは、史実では地方に置かれた職で、特に辺境地域なんかでは、安撫使の上にも官職が置かれたりしたようだが、基本的にそれらは非常設職で、常設職の中では、管轄下の禁軍に最も強い権限を持ってたのが安撫使だったようだな。
栄:あの慕容知州がですか!?あ…
毅:宝燕の勝ち~。
宝:イェーイ☆☆☆♪そうそう、一回言ってみたかったのよねー…ゲフン…星!三つですぅぅww
毅:こっちの小説にも安撫使の肩書を持った人物は登場するらしいが、それも辺境地域に限った話だ。設定上は内地にも置かれてるのかもしれんが、今のところ登場の予定はないらしい。だから、基本的な内地禁軍の指揮権は、さっきも言った通り「名目上は知府州、実質的には指揮司にある」って形だな。特段の事情がなければ、だが。「慕容知州が安撫使」ってのは、あくまで『水滸伝』の設定を史実に当て嵌めれば、ってだけの話だ。そもそも慕容知州は架空の人物っぽいからな。
栄:え?あの慕容…あ
毅:宝燕の勝ち~。
宝:イェーイ☆☆☆☆♪もぉ~、コレだから兄様は…兄様、何ですかコレ?ドッキリですか??どっかでカメラが回ってて、実は「キーワード言わせたら何点ゲーム」やってるとか…???
毅:さて、そろそろ指揮司の話に戻るか。史実においての指揮司は──
宝:…あの、父様?このお話は一体いつまで続くんでしょうか。だいぶ文字数も稼げた…ゲフン、増えてきた事ですし、そろそろ…
毅:ん、頑張れ。
栄:いつまでも何も、お前が余計な事ばっか喋ってるから話が長くなるんだろうが。
宝:違いますぅ。どっかの真面目将軍が「宝燕のセリフを大相撲の星取表みたいにしてやるぜぇ、ぐへへ」的な事を企んでるから悪いんですぅ。
栄:企むか!大体、最初から読み返してみろ。お前のセリフを取っ払ってギュッてしたら、半分くらいにしかならないぞ。
宝:まあっ、お兄様!立派に御成長なされて…
栄:はあ!?
宝:最初の頃はあんなに真面目を拗らせていたのに、いつの間にか、そんなメタい事まで仰るようになられてたなんて…宝燕は嬉しゅうございます、よよよ。
栄:だから、それが余計だって言ってんだよ!いい加減、どうでもいい話で腰を折るな。
宝:…真っ直ぐ立ってますけど?ウケるwwいよいよ視力までヤバみ?
栄:父上。宝燕には禁軍の知識よりもまず、一般常識をみっちり叩き込んでやりましょう。
毅:あー、はいよ、手が空いたらな。さて──
宝:違うんです、聞いて下さい父様!ドイヒーなのは兄様の方なんですよぅ。宝燕は…宝燕はただ、嫌がらせのように「最初から読み返せ」って言われたから、健気にもこんな長ったらしい講釈を最初から読み返したってだけなのにぃ。あぁ、気弱で口ごたえの一つも出来ない控え目な性格だったばっかりに、こんな「アホ女」みたいな謂れのない中傷をされてしまって…何て可哀想な宝燕、よよよ。
栄:お前を何処からどう見たら気弱で控え目な性格に見えるんだ…
宝:どっからどう見てもですけど、何か?もぉ~、コレだから…ハッ!!(キョロキョロ…?)
毅:分かった分かった、仲が良いのはもう十分に分かったから。あとは思う存分、余所でやってくれ。指揮司ってのは後年代の元代や明代には実在したらしいが、宋代に置かれてたかどうかは不明だ。
宝:不明!?存在したかどうかも分からない組織について、延々と聞かされてたんですか!?!?
毅:しょうがないだろ、名前だけとはいえ『水滸伝』に登場するんだから。
宝:名前だけ!?!?
栄:宝燕、うるさい。しかし、名称はともかくとして、駐留する禁軍の運用を司る、指揮司と同じような役割を持った部局は、禁軍の駐留地ごとに置かれてたでしょうね。そうでなければ、いくら将兵が駐留してても、運用の度に中央なり「軍」なりに、いちいちお伺いを立てなきゃならなくなりますから。
毅:そうだな。これは武官にも文官にも当て嵌まる話だが、当時は組織そのものを所管する部局とは別に、その組織の高官を補佐する為の部局も置かれたようで、例えば都総管には「都総管府」という部局が置かれてたとする資料もあった。それぞれの地で、そういった組織が禁軍を統括してたんだろうな。
栄:この小説では採用されてませんよね。
毅:地方ではな。禁軍の中枢部では設定上そういった組織が存在して、いつか出てくるんだろうが、地方ではそこまで細々とした設定になってない。『水滸伝』の方でも似たようなもんだな。地方禁軍の描写で個人の為の組織は名称すら殆ど登場しない。禁軍の中枢部については頻繁に登場するんだが。
宝:父様、もう終わりましょうよぅ。宝燕、漢字の見すぎで頭がクラクラしてきちゃいましたぁ。
栄:お前はドコ人の設定なんだ…
毅:んー、ホントはここで個別の武官についても話したかったんだがなあ。さっきの都総管やら兵馬都監、俺らの校尉やら提轄、下位の都頭やら──
宝:…父様、ちょっとストレッチしてもいいですか?今にも足がダバダバダバ~っと逃げ出しちゃいそうなので…
栄:走って逃げる元気があるなら全然イケるだろ。
宝:(ヤッベ)ああっ、急に頭痛が…
栄:全く、コイツは…しかし、都頭についてそんなに書く事がありますか?
毅:宋代の兵制に関わる事だからな。折角調べた事だし、どうしても誰かさんが講釈を垂れたいらしい。宝燕、いつになるか知らんが特別にお前も聞くか?
宝:謹んでお断り申し上げます!そういったお話は、どうせなら興味津々な真面目将軍に参加していただいた方が──
栄:俺は別に構わんが、その代わりお前は一般教養を──
宝:あーあー、聞ーこーえーまーせーんー!
毅:ま、文字数もそれなりになった事だし、今回は──
宝:父様、終わりですか?終わりですね??
毅:んん、まあこのくらいにしとくか。
宝:YATTAAAA、終わったーっ♪♪
毅:それに賊の襲撃にも備えなきゃならないからな。栄、宝燕と戯れてる暇があるなら、ちゃんと準備をしろよ?
栄:えぇ~…父上から呼び止めてきたんじゃありませんか。
宝:父様の言う通りよ。ま、これだけの超絶美貌を持ってるキャワたん宝燕ちゃんに、ちょっかい出したくなる気持ちも分かるけどぉ──
栄:うるさいな!散々、話を引っ掻き回しやがって…後で覚えとけよ!
宝:うっわ、超ウケるww捨てゼリフのザコみがヤバみぃ~wwww




