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水滸前伝  作者: 橋邑 鴻
第四回  清風三傑 大いに清風鎮を鬧がせ 武知寨 兵馬を留めて奸佞を除くこと
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清き知見

「文が届いたと聞きましたが…」


 つかつかと清風鎮西寨の執務室に立ち入る若い武官。


「おお。耳が早いな、小将軍」

「『小将軍』は止めて下さいと言ってるでしょう。父上にそう呼ばれると、面映ゆくて仕方ありません」


 迎え入れたのは、この西寨の主・花毅。

 迎え入れられたのは、その息子・()(えい)


 花毅の正式な職名は「(ざい)青州(せいしゅう)禁軍(きんぐん)駐泊(ちゅうはく)清風鎮(せいふうちん)兵馬(へいば)校尉(こうい)」(※1)──ではあるのだが、当然そんな長ったらしい肩書きなどで呼ぶ者はなく「副知寨」「武知寨」などと呼ばれている。


 すでに齢は50を超え、頭と(ひげ)(顎ひげ)に白い物が混じってはいるものの、背は真っ直ぐと伸び、武官の装いは凛として老齢を感じさせず、むしろ老練と呼ぶべき風貌である。


 対してその息子、花栄の肩書きは「在青州禁軍駐泊清風鎮兵馬提轄」。

 この清風鎮に二人配されている提轄の内の一人だ。


 年の頃は20歳(はたち)ほど、整った眉に切れ長の目、すらりと通った鼻筋に輝く白い歯、平時であったためか戦袍こそ纏っていないが、武官の装いも爽やかに、藍の頭巾を金環で止め、腰の玉帯には犀角の装飾、靴には萌木色の刺繍と、どこからどう見ても偉丈夫、いや、美丈夫と呼んで差し障りなく、こちらは正に「英傑の相」とでも言うべき出で立ちである。


「それでは何と呼ぼうかのぅ?『神箭』やら『神臂(しんぴ)』(※2)やら、我が息子ながら異名が多くて困るわ…あぁそうか、やはり『小李広(しょうりこう)』の花栄殿が一番お気に入り──」

「父上!」


「李広」とは言わずもがな、前漢時代に西方・匈奴(きょうど)の将兵から「飛将軍」と呼ばれて恐れられた勇将の事だ。

 石を虎と見間違えて矢を射ると、羽房(はぶさ)(※3)の辺りまで石に突き刺さったという逸話を持ち、また情に篤く、清廉の士としても知られる。

「小」は「息子」や「二世」ほどの意で、詰まるところ「小李広」とは花栄の人柄、弓の腕前を李広に(なぞら)えた綽名(あだな)である。


「何だ、つまらん。生真面目も良いが、少しは話に乗ってくれても良かろうが。そんなんだからお前は、いつまでたっても妹に揶揄(からか)われるんだぞ?」

「生真面目で結構、不真面目より余程マシです。そんな事よりも…文が届いたと聞きましたが!」

「分かった分かった、そう凄むんじゃない。ほら、見るか?」


 室には五人。

 花毅と衛士の二人。そして、花栄と花毅の虞候(ぐこう)(※4)、(はん)


「この文は誰が…?」


 花毅から手紙を受け取りながら、花栄は樊虞候に尋ねる。


「内門の衛士が門前で受け取ったようです。相手は女性で『武知寨閣下へ』と強く言伝を受けたそうです」


 清風鎮の寨は、東西いずれも背の高い木柵に囲われ、内部も同じ造りになっている。

 外の(ほり)に架けられた跳ね橋を渡って柵門を過ぎると、すぐ両脇には櫓が築かれ、物見と門に取り付いた賊徒の迎撃を担う。


 寨の南側、1/3ほどは知寨の執務室や役宅、提轄や都頭の宿舎などがある居住区として割り当てられているが、寨を通行する者の視線と侵入を阻むために石壁で仕切られており、寨と居住区の往来は、石壁の両端に設けられた通用門を使用する。


 外の柵門から入ってそのまま進めば、鎮へ通ずる門があるのだが、それとは別に居住区と鎮を繋ぐ門がある。

 つまり、寨の外から見れば門は一つだが、内側──即ち鎮側から見ると、鎮と寨、鎮と居住区を繋ぐ二つの門があるのだ。


 襲来した賊徒を迎撃するといったような非常時でもなければ、寨と内外を繋ぐ門は行商人や旅人のために日中は開け放たれており、夜間のみ閉じられて通行が禁止されるのだが、鎮と居住区を繋ぐ門だけは常時閉ざされており、通行者がある時のみ警備に当たっている衛士によって開閉される。


 樊虞候が言う「内門」とは、西寨の居住区と鎮を繋ぐ門の事である。


「女、ね…また何処ぞの賊の類いが、愚にも付かん色仕掛けでも思い付いたか?」

「どうでしょうか…」


 虞候は花栄の言葉に同意を示さず、難しい顔をする。


「…何だ?」

「衛士の内の一人が、何度か鎮でその女性を見掛けた事があるそうで…『恐らく鎮の住人ではないか』と」


 それを聞いた花栄は()()うんざりといった表情だ。


「鎮の住人が父上に、か…なら、東の周知寨や張提轄の苦情ってトコか」

「なあ、小将軍」


 痺れを切らしたように語り掛けたのは花毅。その呼び掛けに花栄は尚、うんざりといった溜め息を零す。


「父上…止めて下さいと、何度言わせるおつもりですか!?」

「お前、何の為に俺から文を受け取ったんだ…読まんのなら返さんか」

「あ…いや、読みます読みます」


 花毅は軽く溜め息を零すと樊虞候に苦笑を送り、樊虞候も同様に苦笑を返す。



『英明たる武知寨閣下、ここに謹んで文を奉ります。


 本日、清風鎮近隣の村鎮より、一人の娘が勾引(かどわ)かされるという出来事がありました。娘を勾引(かどわ)かした賊どもは、貴鎮(清風鎮)正知寨の手の者と判明致しております。


 我らは娘の縁者として、今日中に娘を奪還するべく東寨を襲撃致します。

 義に篤く、人倫を知る武知寨閣下、並びに小将軍、その麾下の将兵に至る皆様方に於かれましては、よもや非道なる正知寨にお力添えする事はないものと存じ上げます。


 仮に西寨の兵を率いて武知寨閣下や小将軍が東寨に赴かれるような事があれば、直ちに我らと呼応する者達が西寨に攻め入り、この清風鎮を灰塵に帰してでも、娘の救出を成し遂げる所存で──』



「何ですか、コレはっ!!」


 花栄は声を荒げて手紙を握り潰すや、すぐに執務室を出ようとする。


「おぉい、ちょ、ちょっ…何処へ行くつもりだ!?」

「決まってます。東寨に向かわず何処に行くというんですか!」

「はぁ。どうせお前の事だ、最後まで読んで…ないんだろうなぁ」


 花毅は難しい顔を浮かべる。

 その顔は、この鎮の安全を武で担う「武知寨」としての苦悩と、真っ正直な息子を案ずる「父親」としての不安を表していた。


「最後まで読む必要などありません。単に言い掛かりを付けて、鎮への襲撃を正当化してるだけではありませんか!」

「言い掛かり、ね…もし、本当にあの正知寨が娘を勾引(かどわ)かしてたら、どうするんだ?」

「まさか!確かにあの周知寨は強欲やら好色やらと散々な噂ですが、いくら何でも──」

「そうか?俺はアイツならやり兼ねないと思うがな」

「父上!?」


 信じられないという表情で驚く花栄を、花毅は親として不安気に見つめる。


 良くも悪くも一本気過ぎるのだ、この息子は。

 誰も彼もが自らの分に応じた行動を取り、法を守り、職務があればそれを全うすると考えている。

 花毅とてそれが理想である事は分かっているが、当然、世の中はそんな綺麗事だけで回っている訳ではない。


 いや、花栄だってそれは分かっている。

 ただ、花毅が最初から表も裏もある事を前提に物事を捉えているのに対し、花栄は裏の部分を目の当たりにするまで、表が全てである、もっと端的に言えば、表が全てであって欲しいと願っているのだ。


 まだ年若く世間知らず故、という事もあるであろうが、その実直な息子の姿が花毅には好ましくもあり、また危うくも見える。


「んー…話は逸れるがな。お前この先、性質(たち)の悪い野郎に引っ掛かるなよ?」

「…は?」

「世の中には人畜無害な顔した偽善者なんて腐るほどいるからな。そんな奴に軽々しく命を預けるな、って事だよ」

「あの…その話と今回の話はどう関係が?」


 花毅はまた一つ溜め息をつく。


「要するにな、物事の本質をしっかり見極めろって言ってるんだよ。樊、ちょっと説明してやれ」

「は。小将軍、(えん)(さん)を覚えておいでですか?」

「ああ、少し前までこの西寨にいた兵卒だろ?俺の下にも付いてた事がある…」


 樊虞候は軽く頷き後を継ぐ。


「今は東寨に勤めておりますが、先ほどその袁三が『閣下(花毅)にお知らせしたい事がある』と、こちらに参りましてね」

勾引(かどわ)かしの件か!?」


 途端に色めき立つ花栄に、樊虞候は僅かに口元を緩め、


「いえいえ。仮にそれが事実として、いかに正知寨が凡愚であろうと、さすがに一兵卒までもが知り得るような、あからさまな証拠は残さないでしょう」

「では、何を?」

「張提轄に呼ばれて東寨の執務室に入ったところ、一面血の海だったそうで…」

「血の海!?!?」


 花栄は驚き、花毅は険しく、樊虞候は努めて冷静にと、その事実を受け止める表情は三者三様である。


「その血の海の中では破落戸(ごろつき)風情の男が五人、事切れていたそうです。袁三が張提轄に事情を聞いたところ『忍び込んだ賊を討ち取った』と…」

「何だ、その理由は…それじゃあ東寨の門衛は揃いも揃って何をしてたのか、という話になるじゃないか」

「仰る通りです」

「門衛は何と?」

「一応、手前が東寨に赴いて事情を聴きましたが『そんな輩は通していない。張提轄の聴取を受けたので、後はそちらに聞いてくれ』の一点張りです。まあ、予想通りですがね」

「…?予想通り?」

「何しろ張提轄が『忍び込んだ賊』と公言している訳ですから。事実はどうあれ、門衛にしてみればそうやって惚けてしまえば済む話です」

「…で?当の張提轄は?」

「袁三の問いに張提轄はそれ以上詳しい事を語らなかったそうです。手前も話を聞いてみましたが、こちらも予想通り、ただ『忍び込んだ賊を討った』と繰り返すばかりで…既に五人の遺体も秘密裏に処理された後で、検分する事も叶いませんでした」


 花栄は顎に手を当て少し考えると、


「要するに、袁三は損な役回りを押し付けられたって事か」

「…はい?」

「どうせ張提轄も門衛も『今回の失態をなかった事にしてくれ』と言いたいんだろ?それを自分の口じゃ言いにくいから、多少西寨(こっち)にも顔が利く袁三に、報告がてらその役を押し付けたって訳だ」


 これにはさすがの花毅も呆れ顔だ。


「お前、マジか…」

「どういう意味ですか!?」

「なあ、樊よ。俺は『よくぞ息子がこんな素直な男に育ってくれた』と喜ぶべきか?」


 話を振られた樊は困惑の笑みを浮かべる。


「まあ、何と申しましょうか…」

「何だ、樊。お前まで含みのある物言いをして」

「あぁ、いえいえ。小将軍。得体の知れぬ輩が容易に東寨の、それも知寨の執務室に立ち入って斬り捨てられた挙げ句、その同じ日に『東寨に勾引(かどわ)かされた娘を奪い返しに行く』という文が届けられたんですよ?」

「…口封じか!」

「漸く御到着か。随分とまあ遠回りをして…お前、ホント旨い話には気を付けろよな。一緒に酒を酌み交わそうとか言われて、まんまと誘いに乗るなよ?」

「何の話ですか…いや、それよりも、俺だってその話を聞いた後で文を読めば、そこに思い至りましたよ」

「お前、文を読んだ上に、事情も粗方聞いてから結論を出したじゃないか。『袁三も損な役回りをさせられて可哀想に、よよよ…』ってのは俺の聞き違いだったか?」

「それは、その…っていうか、聞き違いですよ!俺がいつそんな事言ったんですか!?」


 花毅と樊虞候は再び苦笑を交わし、花栄は慌てて言葉を継いだ。


「と、とにかく、この文の真偽を探らなければ──」

「んん?お前、今『口封じ』って結論に至ったんじゃなかったのか?」

「いや、やはり万が一という事も──」

「無いな。まず間違いなく真実だ」

「…?何故ですか?」


 花毅は「いいか?」と前置きしながら肘掛け椅子に腰を下ろし、背凭(せもた)れに身体を預ける。


「この文が嘘八百を並べ立ててるとして、では、ここに送り付けてきたのは誰だ?」

「それは、青州三山の…あ、いや、清風山は先頃討伐されましたから、二龍山(にりゅうざん)桃花山(とうかざん)のいずれかでしょう」

「ま、妥当な線だな。確かに二龍山も桃花山も最近になって新たな寨主(※5)を迎え、意気は盛んだ。しかし、どちらも人並み外れた大器って訳でもなく、従う兵もまだまだ少ない。こちらから兵を送るには地形が険しく難儀するが、向こうから攻めて来る分には撃退も容易だ」

「ですから、我らを西寨に留めて兵力を分散させようと、伏兵を仄めかしてるんじゃないんですか?」

「奴らが兵を潜ませてるなら尚更、俺達が西寨(ここ)を空けて東寨に向かった方が好都合じゃないか。それに──」


 花毅は背凭れに預けていた身体を起こし、言葉を続けた。


「兵は少数、率いる将も凡庸とくれば、そもそもこんな予告めいた文を出す事自体、無意味だろ?」

「それは、まあ…」

「仮に…仮にだぞ?仮に東寨で斬られた破落戸どもが奴らの仲間だとしたら、どうやってそいつらは執務室に入った。それこそお前の言う通り、門衛は何をしてたんだって話になる。門衛を斬り捨てて無理矢理押し入った、っていうんじゃなければ…」

「門衛は賊の内応者」


 花毅は我が意を得たりと頷く。


「そこまでお膳立てして攻め寄せようとするなら尚の事、内と外で連携しなけりゃ意味がないだろ?にも拘らず、破落戸どもは外からの襲撃を待たずに、わざわざ内応者の存在を知らせるような行動を取り、外は外で『今から襲撃するぞ』と予告を出す。全く以て支離滅裂だ」

「おまけに、袁三によるとその破落戸どもは全員、得物を持っておらず、腰に鞘もなかったそうです」

「忍び込んだ賊が得物を?…つまり『通された』という事だな」


 わざわざ東寨に忍び込んでおきながら、五人が五人とも鞘ごと得物を捨てる理由はない。

 それはつまり、破落戸どもは正式に招かれ、正知寨と対面するにあたって得物を預けたという事を意味する。


「招かれた上でその破落戸どもが斬られたとなれば、当然それ相応の理由がある筈だ。その文の内容も併せて考えれば、結論を出すのはそう難しい事じゃない」

「…その破落戸どもが勾引(かどわ)かしの実行犯で、何かしらの報酬を餌に呼び寄せられ、口封じのために斬られた、と」

「そう考えるのが最も合理的で辻褄が合うな」


 花毅は再び背凭れに身体を預けた。


「そう考えると、確かに父上の仰る通りかもしれません。しかし、文の通り東寨への襲撃があるとして、その『縁者』という者達も思い切った事を考えましたね。正知寨が勾引(かどわ)かしに関わってる確証があるというなら、何も力ずくで押し入ったりせず、我らを頼ってくれれば…」

「んー…そいつらの言う『証』ってのに、どの程度の信憑性があるのかは知らんが、俺達を説き伏せる根拠としては乏しいと思ったんじゃないか?で、説き伏せる為に時間を費やすくらいなら──」

「命を賭してでも自らの手で、ですか?しかし『証』というのは、それを唱える者の論を裏付ける為に、誰から見ても納得出来る物でなければなりません。我らを説き伏せられない時点で、この者達が拠り所にしてる『確証』とやらは、宛てにならない気もしますが」


 花毅は再び一つ溜め息を零し、肘掛けに乗せていた右腕を立て、拳にこめかみを預ける。


「だからまあ、こうしてお前みたいなのを納得させる為に議論する時間が勿体ないって事だろ?」

「父上。『みたいなの』とはどういう意味ですか!?」

「んん、まぁそういう意味…ああ、いやいや、言葉の綾だ、言葉の。そう、それにな。その文に書かれてる事が全て真実だとすれば、賊の気持ちも分からんではない」

「えっ?」

「ところで栄よ。最近お前の許嫁、(さい)のお嬢さんと会ってないが、彼女は元気か?」


 花毅は試すような視線で花栄に問い掛ける。


「はい!?あ、ええ、特に体調を崩したという事もありませんが…何ですか、急に?」

「もし、彼女が誰かに勾引(かどわ)かされ、その犯人が分かったとしたら…お前ならどうする?」

「犯人が分かってるなら決まってます。手勢を率いて──!」


 花毅の言わんとする事を察した花栄が、未だ握り締めていたままの手紙を慌てて読み返す。


『…この清風鎮を灰塵に帰してでも、娘の奪還を成し遂げる所存です。


 尚、連れ去られた娘は、我らの内の一人と将来を誓い合った身であり、如何なる障害が立ち塞がろうとも、その身柄を貰い受けるまで兵を返すつもりはございません。


 よって、どれほど言を尽くされようとも、我らが翻意する事はないものと予めお心置き願い奉ります』


 最後まで手紙に目を通し、差出人の心中を慮って眉を寄せる花栄に対し、花毅は窘めるように声を掛けた。


「だから常々言ってるだろう。そういった物にはちゃんと最後まで目を通せ、って」

※1「在~校尉」

全体的には架空の呼称です。「在」はそれっぽい字を宛てがった全くの架空、「駐泊」は上位武官に当たる「兵馬都監(へいばとかん)」に実際に付けられた呼称の流用です。「校尉」は、古くは秦朝から置かれる歴史ある武官名のようで『水滸伝』にも登場します。階級は、時代によって他の官職との相対的な地位の上下がありますが、史実の宋代においては中級武官だったようです。「水滸前伝」においては花栄の「兵馬提轄」を統率する中級武官としています。

※2「神箭」「神臂」

「神箭」は「神の矢」、「神臂」は「神の肘」の意。どちらも弓の名手を表す。

※3「羽房」

矢の矢羽がついている部分。「羽ぶくら」とも。

※4「虞候」

こちらも歴史は古く、早くも春秋期には資料に名が見える職名です。史実においては、宋代の「虞候」と名の付く職名には高位のものも下位のものもあり、また武官にも文官にも与えられたようですが、『水滸伝』においては単に「側近、副将」のような扱いをされており、「水滸前伝」においてもそれを踏襲し「上位武官の側近」という扱いです。ちなみに「樊」は虞候の姓です。

※5「寨主」

山賊のリーダー。第一の頭領。「寨」は以前に紹介した通り「(とりで)」の意で、この場合「山賊の拠点、根城」を表す。

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