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水滸前伝  作者: 橋邑 鴻
第三回  燕錦虎 金陵に鬱々と愉しまず 李柳蝉 丘陵に怙恃を祀ること
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三人目と四人目

 外では朝に降りだした雨が、今も細々と降り続いている。


「ほら、小哥(燕順)。雨ばっか気にしてねえで…」


 焦らされた石平が咎めるように催促する。


「ああ、すいません。次はお二人も御存知だと思うんですが『神医(しんい)』と称される(あん)道全(どうぜん)医伯(せんせい)です」

「おお、安医伯(せんせい)か。確かにあの人は名医だな。あの人に掛かりゃあ、どんな怪我も病も心配ねえ」

「兄さんも一度、診てもらったら?」

「何でだ!?俺は別に何処も患っちゃいねえわ!」


 石平は僅かに声を荒げて石仲を見遣(みや)る。


「酒が過ぎるのも立派な病気だよ」

「ざけんな!俺から酒を取ったら何が残るってんだ!」

「健康な身体かな」

「ケッ、何が健康だ。今じゃ酒だけが日々の楽しみだってのに、それを()っちまったら、閻王(※1)が迎えを寄越す前に心痛でくたばっちまうわ!」

「世の中、酒が止められずに死んだ人はいても、酒を止めて死んだ人はいないよ」

「いーや、死ねるね。何なら俺が禁酒の心労死、第一号になってやらあ!」


 燕順は一人、酒を(あお)りながら、暫し二人のやり取りを微笑ましく眺める。

「王弟(王英)と小蝉(李柳蝉)がやり合う姿を眺めていた鄭郎(鄭天寿)も、こんな気持ちだっただろうか」などと、青州に思いを馳せながら。


「それに最近、嫌な感じの咳をよくするじゃない。今日だって、さっきから時折咳き込んでるし…」

「…今日のはさっき、ちょっと雨に当たって身体が冷えただけだ」


 おそらくこちらが石仲の本音だろう。

 奥の間での事もそうだが、先ほどから時折石平が咳き込み、飯や酒を誤嚥して()せたように装っているのは燕順も気付いていた。


「小哥からも言ってやってくれよ」

「心配ねえって。大体、この程度で診てもらってたら、金がいくら有っても足らねえよ」

「あの医伯(せんせい)はそんな法外な値を吹っ掛けてきやしないだろ?」

「人間、歳を取りゃ何処かしらガタが出るもんなんだよ。いくらあの医伯(せんせい)が名医っつったって、さすがに人の寿命までどうこう出来やしねえわ」

「だから、それは診てもらわなきゃ分からないじゃない。そんなに言うなら、金は俺が出しても良いからさ」

「大伯(石平)。二伯(石仲)もこう言ってる事ですし…」


 石仲は食い下がるが、石平もなかなかに頑固だ。

 いつ果てるとも分からない会話の応酬に、燕順は堪らず助け船を出した。


「だぁーっ、小哥まで二郎の肩持つのかよ!?」

「商いをされてるんですから身体は労らなくては。安医伯(せんせい)が往診から戻られたら、一度診てもらっては?」

「…ん?往診?」

「ええ。ここへ来る前に槐橋へ寄って来たんですが、門が閉まっていて…通りすがりの者に聞けば、何処かへ往診に出てるんじゃないかと」


 シメた、とばかりに石平は石仲へ笑みを向ける。


「あの医伯(せんせい)の腕は引く手数多(あまた)だからなぁ。家を空けるにしても、すぐに戻る城内の仕事なら、わざわざ門を閉めんでも誰か残しときゃ済む話だし…こりゃ当分帰って来ねえな。いやぁ、残念残念」


 殊更に残念がる石平だが、満面の喜色は隠しようがない。


「小哥が見てきたんなら居ないんだろうけど…戻ったらちゃんと診てもらいなよ?」

「あー、うっせえな、分かったよ。行きゃあいいんだろ、行きゃあ!」


「コレは行かんな…」と燕順は冷めた視線を送るが、ふと槐橋で感じた疑問が口を衝いた。


「そういえば先ほど、俺が北から来たと知っただけで、安医伯(せんせい)の家の門前で話した男から随分と変な目を向けられたんですが…」

「ああ、そりゃ気分悪かったろう。災難だったな」

「何か理由があるんですか?」

「んん、京師(※2)の回し(もん)とでも思われたんじゃねえか?」

「京師の回し者!?」


 石仲が後を継ぐ。


「小哥、以前噂で聞いただろ?趙官家(※3)が宮城で大掛かりな庭園の造成を始めた、って」

「ええ、まあ…それとどう関係が?」

「そのために中原(ちゅうげん)だけじゃ飽き足らず、宋国中から奇岩や名木を集めてるんだとよ」


 石平は忌々しげに吐き出した。


山川(さんせん)から切り出して運ぶだけでしょう?まあ、青州…に限らず、至る所で賊徒が出没し始めたこの御時世に何をやってんだか、とは思いますが…」

「それが山川から拾い集めてくだけじゃねえんだよ」

「え?」


 燕順が怪訝な顔で問う。

 無論、木や岩を集めると聞けば、それを山川で収集すると考えたところで何もおかしくはない。むしろ至極真っ当と言っていい。


「この話でタチが悪いのはね、山川や湖だけじゃなく、例えば員外(資産家)の荘園や庭園なんかは勿論、ウチみたいな一軒家でさえ、庭にちょっとでも珍しい形の石や木なんかがあれば召し上げてくってところさ」

「個人の所有地から!?それに『召し上げて』って…供出させるんじゃなくてですか?」

「まあ、供出させるにしても二束三文だろうけど、そもそもそんな話は聞いた事ないね。俺が聞いた限りじゃ徴収も同然で、要するに問答無用って事さ」

「まさか…」

「『まさか』でも何でもねえのよ、コレが。おまけに、山川から拾っていく時でさえ、その地を管轄する府州に輸送の人工(にんく)を負わせてるってのに、人家から召し上げてく時なんざ、もう…噂じゃ邪魔な建屋は打ち壊すわ、運搬の費用までその家に負担させるわで、やり口がえげつねえなんてもんじゃねえらしい」

「そんな馬鹿な…」


 燕順の開いた口が塞がらないのも無理からぬ話である。

 これでは「どうぞ好きなだけ朝廷を怨んで下さい」と言っているようなものだ。こんな事を続けていれば民の怨嗟が募り、遠からず反乱が起きるのは目に見えている。正気の沙汰ではない。


「特に盛んなのは蘇州(そしゅう)杭州(こうしゅう)(※4)辺りで、今んトコこの辺りでそんな話を聞いた事ぁねえが、だからって別に建康府(ここ)が安泰って訳でもねえ。少しでも『誰それの家に珍しい木石(モン)がある』なんて噂が立ちゃあ、ここぞとばかりに役人がスッ飛んで来んだろうぜ」

「安医伯(せんせい)は医術の腕は勿論、人柄も良いし、患者にもちょっとお節介が過ぎるくらい親身になってくれるから、皆から愛されてるんだよ。けど、医伯(せんせい)の家はウチと違って立派な庭を持ってるからね。そんな事に巻き込まれたら大変だし、それが理由で建康を去ったりしたら、それこそ一大事だろ?だからその男も小哥を見て、安医伯(せんせい)の家を調べに来たんじゃないか、って勘繰ったんじゃないかな」

「おい、二郎。『ウチと違って』は余計だ」

「でも、ウチの庭なんて、ちょっと洗い物を干せばもう一杯じゃない」

「おう!板塀でも何でも、持ってけるもんなら持ってってみやがれ、ってなもんよ!」


 軽快に笑い合う兄弟に合わせ、燕順も表情にこそ笑みを浮かべているが、その心中は鬱々として全く楽しんでいない。


 それもそうだろう。この国の未来には、希望や光明といった明るい要素があまりにも少ない。


「さて、それじゃあ最後の四人目なんだが…二郎よ、俺はさっきから嫌な予感がしてしょうがねえんだがな」

「あぁ、兄さんも?」


 気を取り直した燕順が二人を見れば、先ほどまでの笑顔は消え、何とも微妙な表情で顔を見合わせている。


「小哥よ。一応聞くが、その四人目ってのは…?」

「ええ…えと…『三郎(さんろう)』さんはいつ頃お戻りで?」


 三人の間に一瞬の沈黙が流れた。



 △▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



「だぁーっ、やっぱりかっ!!」


 石平が大仰に天を仰いで右手で顔を覆ったかと思えば、石仲は石仲で盛大な溜め息を零している。


「えっ?ええっ!?!?」


 一人、訳が分からないのは燕順である。


「三郎」は「三郎」でも、石平・石仲の弟ではなく、この家の息子、つまり石平の三男坊の事だ。


 つまり、宛てがあるとはそういう事だったのだ。

 他の三人と違い、残る一人はこうして訪ねる予定の家の息子なのだから、会える宛てはあるに決まっている。


 燕順が居酒屋で三人の事しか聞かなかったのも、安道全に会えずに「では商いを」と、すぐにこの石家に向かったのも、決して四人目の事を忘れていた訳ではない。


 ないったらない。


 さて、その石家の三兄弟であるが、上の二人はすでに独り立ちして石平と同居もしておらず、その石平も二人についてはあまり語りたがらないので燕順も詳しい事は知らないのだが、三男坊だけはなかなかの有名人である。


「小哥よ…誰から噂を聞いたのか知らんが、アレはそんな大層なモンじゃないぞ?」

「えっ!?そうなんですか?」

「まあ、確かに腕は立つし、正義感の塊みたいな男で、困っている者を見ると助けずにはいられない性格をしてるんだけどねぇ…」

「…良い所しかないように聞こえますが?」

(とばっち)りを受ける、こっちの身にもなってくれ!」


 石平は心底うんざりといった様子だ。


「あの野郎、自分とは全く関係ねえ揉め事にまでホイホイ顔を突っ込みやがって…その癖ガタイは良いし、腕っぷしも強えもんだから、しょっちゅう傷害沙汰でお上の世話になってんだよ」

「俺は旅に出てる事が多いけど、兄さんはずっと建康府(ここ)に居るでしょ?その度に役人達に金を届けて、三郎の罪が軽くなるように手配りしてやってるのさ」


 一旦騒動を起こし、いざ裁判沙汰ともなれば多くの部署が関わり、それはつまり多くの胥吏(※5)が関わるという事だ。


 行政の実務に携わる胥吏であるが、彼等に国家からの俸給はない。

 彼等は自らの役務を行うに当たり、それに関わる者──つまり、訴訟なり陳情をした市井の者から、その事案を処理した事に対する報酬とも、謝礼とも、手数料とも、賄賂とも呼べる金銭を受け取って生計を立てている。

 その事自体は非難されるものではない。それが制度として認められているからだ。


 ただし「相場」らしきものはあるものの、はっきりと決まっている訳ではない。

 となれば当然、受け取る金額の多寡によって処理の仕方は変わってくる。払う側からすれば、多く払った方がより便宜を図ってもらえるのは言うまでもない。


 それに何も、便宜は胥吏だけでなく官僚(※6)にだって図ってもらわねばならないのだから、当然そちらにも渡さなければならない。


 お上の世話になると、それはもう金が掛かるのだ。


「まあ、あんまり金の事でグズグズ言いたかねえが、それにしたって限度ってモンがあらぁな。大体、正義感が強えにしたって時と場合ってモンがあんだろ?アイツはまた手当たり次第なもんだから、余計にタチが(わり)ぃんだわ、コレが。そこら辺を弁えてくれりゃあ──」


 要するに、青州のあの小生意気な妹と同じなのだろう。

 好き嫌いがはっきりしていて、それを隠さない。

 それは美点となり得るだろうが、石平の言う通り、時と場合を考える必要もある。


 李柳蝉の天真爛漫な仕草を思い浮かべながらそんな事を考えていた燕順が、ふと視線を戻すと、何やら二人が目を輝かせて燕順を見つめていた。


 燕順はこの目を見た事がある。つい最近だ。

 場所も覚えている。青州は鄭家村の中心、保正の屋敷だ。


 これからで投げ掛けられるであろう言葉を想像し、燕順が顔を引き()らせる。


「小哥よ。暫くアイツの面倒を見て、そこら辺を仕込んでやっちゃくんねえか?」


 予想通りだった。


「いやいや、いくら何でもそれは…今は特に家業を手伝わせてるとかでもないんでしょう?商いをさせてみたら如何です?」

「無理だね」


 石仲がズバっと斬り捨てた。


「三郎は商いに丸っきり向いてないから」

「ガキの頃にぁこの店を手伝わせてみたりもしたもんだが、何しろ人の好き嫌いが激し過ぎてなぁ。相手が気に入らねえとなりゃあ、客でも何でも平気で喧嘩を吹っ掛けやがって、まあ…始末に負えねえったらねえよ」


「それなら私商の方は…」と言い掛けて、燕順は言葉を飲み込んだ。

 堅気の相手ならまだしも、裏稼業に手を染める相手に片っ端から喧嘩を吹っ掛けていたら、それこそ金が云々の前に命がいくつあっても足りない。


「と、とにかく、俺は無理ですよ。さっきも話しましたが、青州の弟妹達にも手を焼いてるぐらいですから…御期待には沿えませんよ」

「はぁ、やっぱ無理かぁ…」


 さすがは「拚命三郎(へんめいさんろう)(※7)」と綽名(あだな)される事はある。なかなかにヤンチャなようだ。


「まあ、こればっかりは仕方ねえか。小哥に押し付ける訳にもいかねえしな」


 諦観を浮かべ、石平は酒を(あお)る。


「それで…今日はその三郎さんは戻られないんで?」

「さぁて、な。あの野郎、何処を放っつき歩いてんだか」

「家に戻ると俺や兄さんの小言がうるさいからね。なかなか家に寄り付かないんだよ」

「まあ何にせよ、揉め事を起こさなけりゃあそれで良いさ」


 確実に会えると踏んでいた石家の三男・(せき)(しゅう)にまで空振りを喰らったとあって、燕順の落胆も一入(ひとしお)である。

 帰ってくるかどうかも分からない相手を、いつまでも待っている訳にもいかないし、これでは本当に商いを済ませて青州に戻るしかない。


「ところで、小哥。この建康にはいつまで居んだ?」

「えっ?ああ、私塩を譲ってもらったら明日にでも建康(ここ)を発って、青州に戻ろうと思ってますが…」

「そうか。じゃあ、塩は売らん」

「…はっ!?!?」


 突然の言葉に燕順の思考が止まった。

 これで塩も手に入らなかったとなれば、一体、何のために不安を抱えてここまでやって来たのか全く分からない。


「ちょっと兄さん!?何言い出すの、急に──」

「あのなぁ、わざわざ青州くんだりから建康(ここ)まで出張(でば)って来たんだぞ?一晩で帰ると分かってて素直に塩を渡してどうする!?小哥、何日か泊まってけ!そしたら格安で譲ってやるから」

「兄さん…小哥にだって都合ってモンがあるんだから」

「ダメだね!次はいつ会えるか分からねえってのに、たかだか一晩で出てくような薄情(もん)に渡す塩はねえっ!!」


 燕順は胸を撫で下ろす。

 何が石平の気を害したのかと冷や汗をかいたが、嫌われた訳ではなかった──どころか、大層気に入られているからこその癇癪だったようだ。


「分かりました。もう何日か居ますから…」

「おっ、さすが小哥だ。そうこなくっちゃな」

「小哥、別に気を遣わなくても良いんだよ?兄さんも酔ってるだけだし、宿代だって馬鹿にならないだろ?」

「二郎、余計な事言うな!大体、宿なんかに泊まらせる訳ねぇだろうが。小哥、2日でも3日でも、何ならひと月でもふた月でも好きなだけ泊まってけ!」

「いや、さすがにひと月、ふた月は…ですが、お言葉に甘えてもう何日かはお世話になります」

「おう、遠慮すんなって。ほれ、二郎!もう酒が残り少ねえぞ」

「全く…しょうがないなぁ、兄さんは」


 途端に上機嫌となった石平を残し、席を立って奥へと向かう石仲に燕順も続く。


「…?どうした、小哥。厠か?」

「いや、ちょっと手伝ってこようかと…」

「おいおい…何、馬鹿な事言ってんだよ。小哥は客だぞ!?客は客らしく座ってりゃ良いんだよ!」

「いえいえ、俺も飲むんですから少しくらいは…すぐに戻りますから、大伯はゆっくり()ってて下さい」


 燕順は奥へ入ると、やはり制止する石仲を宥めて燗を付け、石仲は肉を切り分けた。

 さすがに石仲は本職とあって、燕順も見惚れる包丁捌きである。


「小哥、すまないね。兄さんが無理言って」

「いや、構いませんよ。それに何日かお邪魔してれば、三郎さんも戻ってくるかもしれないですし。運が良ければ『鉄笛仙』や安医伯(せんせい)と出会う事があるかもしれませんからね」

「そう?小哥が良いんならこっちは全然居てくれて構わないんだけど…無理して兄さんの我儘に付き合う必要もないんだし、『(ブツ)』を受け取ったらすぐに発ってくれて良いからね?」

「良い訳ねえだろうがっ!!聞こえてんぞ、二郎!」

「あ~あ…まあ、何にもない家だけどさ、酒と肉だけは腐るほどあるから。ゆっくりしてってよ」

「ええ、有り難うございます」


 いたく気に入られたもんだ、と燕順は苦笑を返すが、さりとて石平の求めるままに、ずるずると長居をする訳にもいかない。


 結局、渋る石平を宥め(すか)し、燕順が建康府を発ったのは3日後の事だった。

※1「閻王」

地獄の王。閻魔。

※2「京師」

都。首都。転じて朝廷。宋の首都は東京(とうけい)開封府(かいほうふ)。宋には東京の他に北京(ほっけい)大名府(だいみょうふ)西京(せいけい)河南府(かなんふ)南京(なんけい)応天府(おうてんふ)の三副都があった。「北京」「南京」は現在の北京(ペキン)南京(ナンキン)とは別の地。

※3「趙官家」

帝室。ここでは今上帝の徽宗を指す。宋朝帝室の姓は「趙」。

※4「杭州」

現在の浙江省杭州市北部と同嘉興市海寧県級市一帯。

※5「胥吏」

行政の事務処理担当者。正規の役人ではない。第二回「辛辣」後書き参照。

※6「官僚」

正規の役人ではない「胥吏」に対して、国家から俸給が出る正規の役人で、府州の長官である「知府」や「知州」、県の長官である「知県」などが該当する。ただし、各府州や県の官僚の数は胥吏に対して圧倒的に少なく、数人から多くても十数人しか配されていない。

※7「拚命三郎」

「拚命」は「向こう見ず、がむしゃら」の意。「三郎」は単純に読めば「三男坊」の事ですが、前回の後書きにも書いたように、排行は同姓の従兄弟を含んで数えられる場合もあり、厳密には「三男」に限定されてはいないようです。『水滸伝』において石秀は、この綽名(あだな)以外に三男であると思わせる記述は一切ないのですが、水滸前伝においては上に二人の兄がいる設定です。

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