不安
志や知名度は桃園に義を結んだ『三國』の劉・関・張に及ばずとはいえ、鄭家村に義を結んで以降、兄妹の友誼は日ごとに深まり、それこそ『三國』の三人も斯くや、といった按排である。
だが、何事に付け例外はあるものだ。
持って生まれた性分はそう簡単に変わるものでもなく、四人の中で李柳蝉と王英だけは、相も変わらず顔を突き合わせては憎まれ口を叩き合っている。
最初の内は、あちらを咎め、こちらを宥め、としていた周囲の者達も、一向に改善しない二人の仲に、この頃は「もう好きにしてくれ」と半ば匙を投げてしまった。
そう指摘されれば両者とも顔を真っ赤にして反論するくせに、それでも飽きもせずいがみ合うものだから「いっそもう頗る仲が良いのでは?」と燕順や鄭天寿などに揶揄われる始末である。
今日も今日とて、兄妹は鄭家の庭で「仲良く」やり合っていた。
「だぁから、もう十分だって言ってんだろうがっ!!」
「何を以て十分と判断されているのか、はっきりとした論拠を示していただかなければ納得出来ません」
「んーなモン…俺が十分だって言ってんだから十分なんだよっ!!」
両手を腰に当て、妹を見上げる師匠と、棒を抱え、腕を組んで兄を見下ろす弟子の口論のネタは、稽古の内容についてだ。
構え、突き、払い、といった基本的な棒の所作はまずまず格好が付き、続いて防御や応用の指導へと進みたい王英と、まだまだ自分の技量に納得がいかず、基礎的な技術の更なる習熟を目指す李柳蝉。
どちらの言い分にも一理あるのだろうが、傍目に見ればはっきり言ってどうでもいい。
「何とか言ってやれ、鄭郎!」
「…今日も仲が宜しくて何よりです」
「そういうこっちゃねーよっ!!てか、何処をどう見たら仲が良く見えんだよ!お前の目は節穴か!?」
「ホントよ。何?鄭郎の目って磁器か何かで出来てんの!?」
酷い言われようだ。
しかし、鄭天寿にしてみれば二人の口喧嘩などよりも、鍛練のために毎日毎日、我が物顔で庭を占拠される事の方が、よほど頭が痛い。
銀細工作りのための卓と縁台は、鍛練の邪魔という理由で、いつの間にか庭の片隅に追いやられてしまった。
おかげですぐに梅の木陰に入ってしまい、手元が心許なく作業が捗らない…っていうか、李柳蝉がしょっちゅう庭に居るせいで、細工作り自体が捗らない。
次の道観でのお楽しみのために、少しずつでも銀細工を作りたいと企む鄭天寿だが、それが李柳蝉の目に留まれば、何のために、誰のために作っているのか、とイチャモンを付けられるに決まっている。
そもそもがその「お楽しみ」に端を発してこんな事態を招いているというのに、全く懲りていない自分の事は棚に上げ、「いっそ鍛練でも口論でも、表の広場で好きなだけやってくれ」と、毎日やさぐれながら二人の様子を眺めているのが、ここ数日の鄭天寿の日課だ。
「大体、攻撃の腕ばっか磨いたところで、発揮する前に伸されちまったら意味ねえじゃねえか!よっぽどの実力差でもねえ限り、こっちが一方的に攻撃をし続けるなんて事ぁあり得ねえんだから、まずは相手の攻撃をきっちり受け切る術を覚えなきゃ話が始まんねえだろうがっ!!」
「基礎を疎かにする意味が分かりません。諺にも『人が一度すれば己は百度し、人が十度すれば己は千度す』(※1)と言うでしょう?基礎を修めず、徒に応用を学んでも仕方がありません」
「防御も立派な基礎だよっ!!」
「中途半端な実力で満足しては却って身を滅ぼします。どれだけ相手の攻撃を防ごうと、こちらの攻撃が驚異とならないのなら結局は防御に追われ、相手に打ち勝つ事など到底能わないじゃありませんか」
「だぁ・かぁ・らっ!!攻撃の基礎はもう十分身に付いてるって言ってるじゃねえかっ!!」
「王哥(王英)の感覚ではなく、私が十分であると納得出来る、はっきりとした論拠を示していただけませんか?」
「話が一周しちまったよっ!!」
妹の感情的な様子ならいくらでも見て楽しめる妹LOVEなお兄さんも、それを承知の上か、或いは妹としての節度を弁えたものか、義兄妹の契りを結んでこの方、執拗なまでに石像か何かのような凍り付いた表情と、慇懃な言葉遣いで嫌味ったらしい物言いを続ける妹の姿には、さすがに少々フラストレーショを溜め込んでる御様子。
無論、妹はバリバリの前者だ。
「では、こうしましょう。今から王哥に打ち込みますので、王哥がそれを防ぎ切れないようであれば、実戦に堪え得る技量を得たと納得します」
「あのなぁ…そりゃあ確かに、始めた頃とは比べモンになんねえくれえ腕は上げたがよ。だからってそう簡単に、俺に一撃入れられる訳ねえだろ。てか、何だってそこまで攻めに拘ってんだよ?」
「あら、私の願いをお忘れですか?可愛い妹の細やかな願いくらい、覚えておいていただきたいものですが…」
「急に妹ぶりやがって…何だよ、その『願い』ってのは?」
李柳蝉は呆れたように溜め息を一つ零す。まるでこれ迄、散々に揶揄われた意趣返しをしているようだ。
「四人で義を結んだあの日に言ったじゃありませんか」
「…冗談じゃなかったのか、アレ」
「私がいつ冗談だと言いましたか?」
「あー、うっせ、分かったよ!待ってろ。俺も今、棒を──」
「要りませんよね?」
「要るわっ!!余裕で要る…危ねえっ!!」
王英が棒を持つ間もなく襲いかかる李柳蝉。
危うく躱した王英が距離を取るが、李柳蝉とて今は二、三度棒を振れば疲れ果ててしまうような体力ではない。腕前に至っては、元より王英が「基礎は十分」と認める技量であるから、一発食らえばそれこそただでは済まないだろう。
「ほら、やはり…はっ!!…全く通用しないではありませんか…えいっ!!」
「俺が必死こいて…うおっ!!…躱してるからだよっ!!」
「そろそろ…覚悟は出来ましたか?…せいっ!!…一撃で楽にして差し上げますから…やあっ!!」
「何だその…凄腕の首斬り役人みてえな台詞は…あっぶねっ!!…鄭郎、いい加減止めろっ!!」
だが、その鄭天寿はといえば、所狭しと庭を駆け回る師弟を、まるで戯れ合う二匹の犬でも見るかのように、ただ卓に突っ伏し、腕を枕にまったりと眺めるのみ。
いかに背が低かろうと、度が過ぎた女好きであろうと、妹に軽く遇われていようと、王英は江湖に名の知れた一個の好漢である。それが、腕を磨き体力を付けたとはいえ、棒を習い初めてたかだか半月やそこらの李柳蝉に一撃で楽にさせられようものなら「矮脚虎」の名が泣く。心配するだけ無駄というものだろう。
却って王英が徒手であれば、うっかり反撃でもされて李柳蝉が怪我を負う心配もなく、鄭天寿としては安心して見ていられるくらいだ。
と、その時、礑と鄭天寿が身体を起こした。
ようやく止める気になったかと安堵した王英であったが、
「そうだ、忘れてた。大事な用を思い出したんで…暫く屋敷に入ってますね」
と、鄭天寿はそのままおもむろに立ち上がり、屋敷に向かって歩き出した。
「鄭郎、ちょっ、と…マジか、お前!?行くなら、コレ何とかしてから行けよ!」
「妹に向かって『コレ』とは何です!?」
「哥哥を仕留めようとしてるお前が何だ、小蝉っ!!」
「そういえば柳蝉も、いつの間にか二哥(王英)から『小蝉』と呼ばれても嫌な顔しなくなったなぁ」などと呑気な事を思いながら、鄭天寿は二人を顧みる事なく屋敷に戻っていった。
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「…で?コレは一体どういう状況だ?」
鄭天寿と共に庭に顔を出した燕順の視線の先には、精根尽き果て、庭の中ほどで大の字になった王英と、縁台に腰を下ろし、息も絶え絶えの李柳蝉がいた。
燕順が商いのために青州を出ると聞き、鄭天寿は送別の宴席を設けた。
屋敷でしばらく待った後、燕順を出迎えて二人して庭に戻ってみればこの有り様、という訳である。
王英に傷一つないところを見ると、鄭天寿の予想通り無事逃げ切ったようだ。
瀕死の二人に代わって鄭天寿がそこに至った経緯を説明すると、心底呆れ果てたといった様子の燕順が右手で顔を覆う。
「全くコイツらは…」
「仲良き事は、善き事哉」
「この状況で…よくそんな事言えるわね…」
「お前…いつかマジでブッ飛ばす…この薄情モンが…」
「二哥ったら嫌だなもう。俺は親睦を深めてもらいたくて、敢えて二人を庭に残したっていうのに」
「…ざけんな、この野郎」
「…ホント、大きなお世話よ」
悪態はつくものの、互いの意地を懸けた鬼ごっこのダメージは深く、二人は未だ立ち上がる事もできずにいる。
「ほらほら、二人とも。こうして燕大哥(燕順、※2)も見えられた事ですから、そろそろ席を整えますよ」
鄭天寿が手を叩き支度を促すが、二人は恨めしそうに視線を送るだけで動こうとしない。
鄭天寿は、仕方なく邪魔になる王英に肩を貸して庭の隅に追いやると、作男らと宴席の支度を整え始めた。
大振りな卓と椅子が庭へ持ち込まれると、煮込んだ牛や豚、野菜や果物がそれぞれに大皿へと盛られ、次々に運ばれてくる。
大食漢の王英のために封の開けられていない酒甕が用意され、宴会の支度が整ったところで、くたばっていた二人も漸う息を吹き返し、四人は席に着いた。
「では、大哥の旅の安全と商いの成功を願って…今日は大いに飲みましょう」
「はは。俺の旅に託つけて、ただ自分が飲みたいだけではないのか、鄭郎?」
「酷いなぁ。ホントに大哥の無事を願ってますってば」
留守の鄭延恵に代わり、鄭天寿が音頭を取って酒宴が始まった。
年若く、未だ酒に慣れていない李柳蝉は最初に軽く口を付けただけで茶に切り換え、王英は脇目も振らず一心不乱に酒と肉を交互に口に放り込んでいく。
「それにしても…お前達はいつまで経っても打ち解けんな」
大椀に注がれた酒を飲みつつ、燕順はそんな二人に声を掛ける。
「ほうふゎひっへほ…」
「口ん中のモンを飲み込んでから喋れよ」
「んぐっ、んぐっ…ぷはーっ。そうは言ってもさ、哥哥。突っかかってくんのは小蝉の方だぜ!?」
「突っかかるなんて…私は思った事を言っているだけです」
「それを抑える事を哥哥から学んでるんじゃなかったのか?」
「別に人から後ろ指を指されるような事はしていないでしょう?」
「そうだな、『表では他人の振りをしてくれ』ってんだからな」
「古い話を持ち出して…」
「古くありませんー。ついこの間『四人で義を結んだあの日』の話じゃねえか。『可愛い妹』の言葉だし?俺だってちゃんと覚えてますぅ」
「(怒怒怒)…では、私の願いも聞き届けていただく決心が付いたという事で宜しいですね!?」
「宜しい訳ねえだろ!どういう解釈だ!」
話の切っ掛けが何であれ、結局は口論に発展してしまう二人の相性の悪さは筋金入りのようだ。
そもそも匙を投げてしまい、そんな光景はとっくに見慣れてしまった鄭天寿は、目の前の酒と肴に夢中で、我関せずといったところである。
燕順は慌てて割って入る。
「待て待て、二人とも。小蝉、王弟(王英)の言う通りだぞ?俺から何を学んでるんだ。言葉遣いがどうであれ、言いたい事を言ってるだけじゃ、今までと変わらんじゃないか」
「しかし…」
「確かにここに他人は居ない。だからといって窘める者がいないからと、王弟に対して好き勝手に言い放ってるようじゃ、結局はそれを許す王弟に甘えてるだけだぞ?」
「…はい」
最近の李柳蝉は「義兄」でもあり「師」でもある燕順に頭が上がらない。
何より李柳蝉がコミュニケーションに関して批判を受けるという事は、その師である燕順にまで恥を掻かせるという事でもある。
「なぁんだ小蝉、俺に甘えてたのか。可愛いトコあんじゃ…痛ぁっ!!」
「お前もお前だ、馬鹿野郎!」
滅多に見れない萎れた李柳蝉の姿に溜飲を下げた王英が、ここぞとばかりに揶揄おうとしたところで燕順に引っ叩かれた。
「何かといやぁ馬鹿みてえに小蝉と張り合いやがって。いつまでもガキみてえな事やってねえで、嫌味の一つや二つくらい笑って受け流せっ!!」
「痛つつつぅ…わ、悪かったよ、哥哥」
さっきまでの和気藹々とした雰囲気はどこへやら、マジ説教を食らった二人は意気消沈し、裏庭は静まり返ってしまった。
「まあまあ、折角の宴会ですから。今日は楽しく飲りましょう」
「お前もだぞ、鄭郎」
「…えぇっ!?」
「えぇっ!?」ではない。何をオブザーバー的な雰囲気を醸し出し、一人仕切り役を気取っているのだろうか、コイツは。
「あのなぁ。お前の許嫁と哥哥の問題だろ?少しは間を取り持つとかしたらどうなんだ?」
「そうは言っても、人の相性は持って生まれたモンですからねぇ。時間を掛けるしかないんじゃないですか?それに…」
「…何だ?」
「二人の争いは、見てる分には楽しいですから」
「お前…」
あまりに潔い匙の投げっぷりに、燕順は空いた口が塞がらない。
「…最低だな、お前」
「…最低ね、ホント」
「えぇ~…何、俺!?ねえ、俺が悪いの!?!?」
「鄭郎が間に入ってくれりゃあ、丸く収まってた事もあったしな」
「ホントそれ。ちょっとは燕哥(燕順)の言う通り、興味持ちなさいよ」
「いやいや…それを言うなら、二人が歩み寄る努力をすれば良いだけの話でしょ?」
「何、私達に責任擦り付けてんのよ?」
「そういうトコだぞ、鄭郎」
「仲良いじゃない…」
「良くはねーよっ!!」
「良くないわよっ!!」
あっという間に蚊帳の外に置かれた燕順は、暫し酒を呷りながら三人のやり取りを眺める。
要するにまだまだ子供なのだ、この三人は。
李柳蝉は言うに及ばず、王英も鄭天寿も、燕順から見れば精神的には幼稚極まる。
不意に燕順の胸中が不安で満たされていく。
このまま旅立っても良いのかという漠然とした不安。
まるで幼い我が子を遺して死出の旅に出る親のような。
【他人の目がないからと甘やかし過ぎたのが良くなかったか。
短い期間にせよ、もっと厳しく兄妹の順を強いてれば、僅かでもコイツらは精神的に成長してただろうか…】
軽く左右に首を振り、燕順は大椀に残る酒を喉へ流し込む。
「あー、うるせえ!今日は俺の送別の宴だろうが。お前達三人で盛り上がってんじゃねえ!」
「あっ…」と短く発して、三人が借りてきた猫のようにシュンと縮こまる。
「小蝉っ!!」
「は、はいっ!!」
突然の指名に、李柳蝉はビクッと背筋を伸ばし、いつになく良い返事を返した。
「お前はもう少し王弟を敬え」
「えっ!?あの…」
「世間には自分と相性の悪い奴なんぞ腐るほどいる。鄭郎と結ばれれば、そういう人間と愛想笑いを浮かべて付き合わなきゃならん事もある」
「…はい」
「保正も以前言ったが、言葉遣いや態度なんてもんは普段から使ってなけりゃあ、頭で分かってても、いざって時にボロが出るもんだ。こんだけ相性が悪ぃんだ、その練習台として王弟は申し分ないだろ?」
「…はい。分かりました」
渋々といった感じではあるものの、李柳蝉が了承する。
「王弟!お前はもうちょっと周りの空気を読め!」
「ん、んぐっ!?」
自分のところには来ないと思っていたのか、王英はちゃっかり肉を頬張っている最中でしたww
「この野郎…大体、小蝉が鄭郎と結ばれる前にお前の妹になったのも、鄭郎や村の為を思ったからこそ、少しでもお前と馴染んどく為だろうが!それを図に乗って、わざわざ煽るような真似すんじゃねえっ!!」
「えと、哥哥?俺って敬ってもらう為に、予め練習しなきゃなんない感じ?」
「お前の何処に好き好んで敬う要素があんだよ!」
「ひでえっ!!」
そんなに酷い事は言っていないと思われww
我が意を得たり、と李柳蝉は顔を背けて笑いを堪えている。
「鄭郎」
「はい」
「お前は小蝉を甘やかすな」
「……」
「お前は後々、この村を取り仕切る立場になんだろ?その頃には小蝉はお前の妻だ。言ってみりゃ今から花嫁修業をしてるみてえなモンじゃねえか。愚痴や不満を聞いてやるならともかく、肝心な部分をお前が甘やかしてどうする」
「…はい」
一通り小言を零すと、燕順は手酌で酒を注ぎ豪快に呷った。
「あー、いや…何か、すまん。折角、俺のために席を設けてくれたってのに…」
「…いえ、大哥の忠告は確と胸に留めておきます」
「あの…哥哥」
おずおずと問い掛けたのは王英。
「何だ?」
「あの…もうメシ食っても良い?」
「テメエ…俺の言った事聞いてたか?んん??」
「いや、あの、まだ説教が続くんなら最後まで聞くけど…折角の料理が冷めちゃっても勿体ないし…」
「はぁ…良いよ、食えよ」
「よっしゃーっ」と一声気合いを入れて、王英は再び料理を貪り始める。
「何が『よっしゃーっ』ですか。ホント、空気が読めない人ですね。燕哥の言う通り、何処を敬ったものやら…」
「ほんふぁモン、ふぃふんへ…」
「いや、二哥…ちょっと何言ってるか分かんない」
目の前には見慣れた姦しい食卓。
しかし、得体の知れぬ燕順の胸騒ぎは、一向に鎮まる気配がない。
【こんな事は今までに経験した事がない。一体、何がこれほどまでに胸を掻き立てるのか…】
源泉の分からぬ焦燥に困惑し、燕順は単なる思い過ごし、気の迷いと自分を説き伏せるように、酒を呷る。
それでも──
胸の痞えを抱えたまま、翌日、燕順は建康府へと旅立った。
※1「人が一度~」
『中庸(二十章)』。原文は『人一能之、己百之、人十能之、己千之』。訓読は『人が一たび之を能くすれば、己は之を百たびし、人が十たび之を能くすれば、己は之を千たびす』。「どんな者でも、他人の百倍努力すれば必ず大成する=大成するためには、他人の百倍努力しなさい」という事。
※2「大哥」
大きい兄=長兄、長男。或いは単に兄。実際には血縁や義兄弟といった関係の有無に関わらず、同年代の男性に対して親しみを込めて呼び掛ける際にも用いられるようですが、「水滸前伝」中においては「婚姻によらない義兄弟の長兄」を表す場合にのみ用いています。