錦毛虎
燕順は山東半島の中ほど、渤海湾に面した北部に位置する莱州(※1)に生まれた。
とはいうものの、馬や羊を商う父に従って、幼い頃から母と共に宋国中を渡り歩く生活を続けていたため、莱州で過ごした記憶はほとんどない。
燕順は子供の頃から義侠心に篤く、財を疎んじ、天下の好漢と誼を結ぶ事を好んだ。
旅先で風の噂に「故郷の莱州に『双龍』と称される二人の好漢がいる」と知った時などは「こんな暮らしをしてなければ…」と悔しがったものだ。
商売のコツを覚え、各地に伝もでき、独り立ちしたのが20歳の頃である。
両親の下を離れ、一人地道に商いを続けていた燕順に転機が訪れたのは、今から2年ほど前の事だ。
旅先で出会った建康府(※2)の石仲という行商人と意気投合し、思わぬ儲け話に一枚噛む事となった。
私商(※3)である。
私商を行うにあたり、燕順が表向きの生業としている行商という形態は、頗る相性がいい。
その性質上、各地を旅するのであるから通行手形も得ているし、商いが済んですぐにその地を離れてしまえば足も付き難い。
何より、本職で扱っているのは馬や羊だ。人も荷も、移動の足には事欠かない。
こうして燕順の懐具合は劇的に改善したのだが、何も蓄財に目覚めて私商を始めた訳でもなければ、大金を手にして蓄財の喜びに目覚めたという事でもない。
一仕事終えれば仲間と大いに飲み、仲間内で体調を崩すものがいれば身銭を切って医者を呼び、薬を買い与える。
どこまでも金離れ良く、どこまでも面倒見のいい男なのだ。
とはいえ、そうして形に残らない物ばかりに散財してもいられない。
商売の中で「風采」は重要な要素だ。どんな儲け話であれ、それを語る口の持ち主が、いかにもみすぼらしい身なりをしていては、相手も取引に二の足を踏んで当然である。それが巨額の商いともなれば、いっそ疑われない方がどうかしていると言っていい。
元々、物欲には縁遠く、稼いだ金を気前良く使っていた燕順だが、信用が何よりモノを言う私商に手を染めて以降、特に服装には気を遣うようになった。
赤茶けた髪を朱色の絹で纏め、鬚(顎ひげ)を整え、髪色に合わせて淡い朱に染めた紵の上衣を羽織り、玉の帯に鞣した革の靴、といったその出で立ちは、27歳にして練達の風格である。
そうして風格を身に纏い、一度信用を得れば、生来の豪放な性格も手伝って、燕順の名は忽ち知れ渡っていく。
噂が噂を呼び、いつの頃からか燕順は「錦毛虎(毛並みの良い=見目良い虎)」と綽名され、江湖(世間、渡世)で一目置かれる存在となっていった。
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燕順が王英と出会ったのは全くの偶然だった。
青州に住まいを決めた後、沂州で石仲と行動を共にしていた時の事。
とある山中で女の悲鳴を聞き付けた二人が駆け付けると、今、将に男が女に襲い掛からんとしているところだった。慌てて二人が止めに入れば、狼藉を邪魔され怒った男が女を打ち捨て、棒を得物に打ち掛かってきた。
行商人など、ただでさえ野盗や山賊の類いから、自らの身を自らの手で守らなければならない生業である。
まして私商ともなれば、そこに官憲が加わり、或いは商売敵に因縁を付けられたりと、腕が立たねば渡り歩いていけない世界だ。
石仲もなかなかに腕の立つ男ではあるが、幼い頃から長年に亘ってそんな世界に身を置いている燕順など、江湖で鍛え抜かれた朴刀(※4)の腕前は、もはや「達人」と称して一向に差し支えないレベルである。
その男もかなりの使い手ではあったものの、さすがに二人を相手にしては分が悪く、燕順が男を引き付けている間に石仲が女を逃がし、その石仲が加勢に加われば衆寡敵せず、男はあえなく取り押さえられた。
互いに姓名を明かし、男に懐かれたところまでは良かったのだが、その後、三人連れで歩く様子を逃げた女に目撃され、何を血迷ったのか「三人がグルだった」と衙門(※5)に訴え出られてしまったのだ。
燕順と石仲からしてみれば迸りもいいところだが、私商としての顔を併せ持つ二人は、叩けば埃が出る身でもある。
巡捕都頭(※6)の追跡を掻い潜り、後日の再会を約して燕順は青州に、石仲は建康府へと別れると、男は燕順を頼って青州までついてきた。
言うまでもなく、その男こそ王英である。
王英が脱獄中の身と知った燕順だったが、だからといって自分を頼ってきた者を見捨てる訳にもいかぬと、そのまま面倒を見る事にした。
その女癖の悪さにはほとほと手を焼かされながらも「矮脚虎」の名に恥じぬ棒の腕前、どこから生まれるものか、自信に満ち溢れた前向き過ぎるほど前向きな思考回路、そして何よりも忠犬のように自分を慕うその性格に、燕順の心も徐々に絆されていき、生来の面倒見の良さも相俟って、二人は義兄弟の契りを結ぶ事となる。
その後、王英に留守を任せ、予期せぬ別れとなった石仲を訪ねて建康府へ赴き、ついでに私商の荷を仕入れ、久方ぶりにこの青州に戻ってきたのが昨日の事だ。
「青州に『白面郎君』在り」と風の噂に聞きつけ、交流を求めるついでとばかりに次の商いの場を青州に決めた燕順であるが、では、その青州での活動拠点を決めるにあたって燕順がこの片田舎を選んだのは、特にコレといって鄭天寿の居場所に心当たりがあった訳でも何でもなく、単に人目を憚っただけの事である。
何しろ一口に青州と言っても広い。
闇雲に捜したところで埒は明かないだろうし、商いの片手間に捜すのでは、出会うまでにどれだけ時間が掛かるかも分からない。
それならば燕順の商売柄、住居はむしろ人目に付かない場所の方が都合がいい。旅の途中に宿を取り、商いを済ませてすぐに出立する行商とは訳が違う。
清風鎮と清風山を結ぶ街道から少し外れ、風防のためであろうか、街道側に雑木林を持つこの茅屋は、そんな燕順にとって絶好の立地だった。
茅葺の屋根は風雨に晒され痛みが激しく、土壁も所々が崩れ、僅かばかりの畑も手入れがなされず荒れ放題で、見るからに人の暮らす痕跡がなかった。
元々は隠士やら道士やら、或いは脛に傷持つお尋ね者か、ともかく世を忍んで暮らす者があったのだろうが、そんな状態で放置してあるのなら、ありがたく使わせていただこうと、誰に断るでもなく拝借している次第である。
石仲に会うため青州を離れる際に「自分が住む家だから」と王英に補修を言いつけ、戻ってみれば、まあまあまずまず雨露を凌げる程度には体裁を取り戻していた、というところだ。
仕入れた荷を売り捌き、青州に商いの地盤を得られれば、再び王英に留守を任せ、燕順は一旦青州を離れる事も考えていた。
私商など、そもそもが大々的に行うものでもなし、燕順も端からそんなつもりは毛頭ないが、とはいえ『悪事千里を行く』(※7)とも言う。
他所者が商いに精を出せば、大なり小なり噂になるだろうし、それならほとぼりが冷めるまで、故郷の莱州に噂の「双龍」を訪ねてみるのもいいだろう。
その間に王英が鄭天寿の消息を掴んでくれればシメたものだ。
…などと思っていた矢先の出来事だった。
まさか、その鄭天寿が目と鼻の先に住んでいようとは。
こんなにも早く鄭天寿の消息が掴めたのは幸運と言えるだろう。鄭天寿との伝ができた事も喜ばしい限りだ。
それはそうなのだが、どうしてこの男はこう騒動を起こさずにはいられないのか、と燕順は頭を抱えた。これで鄭天寿に怪我の一つも負わせていれば、誼を結ぶどころの話ではなくなっていたところだ。
「全く、お前って奴は…」
「心配ないって。ちゃんと遺恨は解いてきたんだからさ。昨日の蟠りは昨日の内に、ってね」
「何を暮れの大掃除みてえな事を言ってやがる。そもそも揉め事を起こすなっつってんだよっ!!」
「哥哥だってあの許嫁の容姿を見れば、俺の気持ちが分かるよ」
「お前と一緒にすんじゃねえよ!俺ぁ天地引っ繰り返っても、山ん中で女に欲情して襲い掛かったりゃしねえわ!」
「いや、あれはホラ、ちょっと『お話』でもしようかと思っただけでさぁ。それをまた、あの女がバカみてえに大袈裟に騒ぐから──」
「そりゃあ誰だって騒ぎもすんだろうよ、いきなり見ず知らずの男が諸肌脱いで迫ってくりゃあ。大体ただ『お話』するだけで、諸肌脱ぎになる必要が何処にあるってんだ。それとも何か?お前は女と話す時ぁ、いちいち諸肌脱いで相手を組み敷いてねえと、ポックリ逝っちまうような病でも患ってんのか!?」
「あっはっはっ…」
「何を笑ってやがんだ、否定しやがれっ!!…てか、おい、お前まさか──」
「嫌だな哥哥、さっき話したので全部だよ。いくら俺だって、さすがに鄭郎が見てる前でそんな事ぁしないさ」
「『見てる前じゃ』しねえ!?そりゃつまり、もしその許嫁の嬢ちゃんが一人だったら…」
「あっはっはっ…」
「こいつ、マジか…」
おまわりさ…もとい、巡捕都頭さーん、こいつでーす。
深い溜め息と共に、燕順が項垂れた。
「大丈夫だって。哥哥の商売の邪魔はしないよ」
「…あ?」
驚いたように燕順は顔を上げる。
「あれ?違った??」
「いや、違っちゃいねえが…それが分かってんなら、少しは自重しろってんだよ」
「哥哥が『河清』(※8)って言葉を教えてくれたんじゃないか」
「あ?ああ、そういやそんな話もしたか。今、猛烈に後悔してるところだ。しかし…よく俺の考えが分かったな」
「俺だって5年も江湖を渡り歩いてんだから、そんぐらいの事は分かるって。哥哥は俺を何だと思ってんのさ?」
「変質者以外の何者でもねえが?」
「ひでぇ!」
からからと笑う王英に釣られ、燕順は僅かに口元を綻ばせた。
「さて、と」と王英は立ち上がり、遅い朝食の支度に取り掛かる。
煮込んだ羊の肉と茹でた野菜をそれぞれ山盛りで大皿によそい、そして何はなくとも酒である。
門戸の傍らには、殺風景な室には不釣り合いとも言えるような、大きな酒甕が五つ。
王英が車夫を生業としているとはいえ、近場では宿場と清風鎮くらいしか稼ぎ場所はないし、そうそう仕事にありつける訳でもない。
まして王英は他所者である。この地に住み着いてまだ日も浅く、付近の住民には王英の「前科」を知る由もないとはいえ、そもそもが素性の知れぬ王英に、大枚を得られる大荷物や、貴重な品を運ぶ依頼が舞い込むはずもない。
必然的に王英の収入は、その日の食事を摂るのもやっとという有り様である。
酒甕はそんな王英のために「せめて酒くらいは」と、留守がちな燕順が買い与えていた物だ。
王英は封の開いた甕を覗き込み、丁度飲み干していたのか新たに隣の甕の封を開け、二つの器になみなみ注いで卓に運ぶ。
朝から動き詰めだった燕順も王英と共に喉を潤し、食事を摂りながら雑談に興じた。
小柄な体躯でありながら王英の食欲は旺盛で、山と盛られた肉や野菜は見る間に王英の口へと押し込まれていく。
その様子を目の当たりにし、燕順は「一体、この身体の何処に消え、それでいて何故、背が伸びないのか」と、半ば呆れながら酒を呷る。
「でも…んぐ…不思議な…ごくっ…モンだね」
「…?何がだ?」
「いや…はぐっ…おえの…もぐっ…おいはひわ…もっ、もっ…ははひ…」
「取りあえず食うか喋るかどっちかにしろ」
呆れるやら微笑ましいやらといった視線を送る燕順の言葉に、王英は口に溜め込んだ物を酒で一気に胃袋へと流し込むと、
「ぷはぁーっ。んっと、何処まで話したっけ…ああ、そうそう、それで故郷を出てからかれこれ5年は経つけど、今まで心を許して付き合った奴なんて一人もいなかったのにさ。それがここ最近、急に巡り合わせってゆーか…んぐっんぐっ…ぷはぁー、哥哥にも出会えたし、鄭郎にも、その許嫁って娘にもさ…」
その言葉を黙って聞いていた燕順にも、思い当たる節が無いではない。
幼い頃から父母と宋の各地を回り、独り立ちしてからも商売仲間と呼べる人物には数知れず出会ったが、では、この王英のように、腹を割って話せる相手はどうかといえば、他には石仲ぐらいしか心当たりがない。
そして、今また鄭天寿である。無論、鄭天寿とはまだ深い付き合いになると決まった訳ではないが。
偶然、と言われればそれまでの話ではある。長い人生の間にはそういう時期が訪れる事も当然あるだろう。
しかし、燕順がここ数年、人との巡り合わせに奇妙な縁を感じていたのもまた事実だ。
だが──
「だから…はぐっ…縁ってのは不思議な…もぐもぐ…モンだなってさ」
あれだけあった肉と野菜は、王英の小柄な身体にほぼほぼ飲み込まれてしまい、今は酒を残すのみとなってしまった。
今、将に目の前で人体の神秘をまざまざと見せつけた張本人の口から出た「不思議」という言葉に、燕順は苦笑いを浮かべる。
「コイツの身体の不思議に比べりゃ、大概の事は不思議でも何でもねえな」などと考えながら酒を呷る燕順であったが、それも束の間、すぐに深く後悔する事となる。
長旅を終えたばかりの上、朝から働き詰めで疲れていたのかもしれない。
その疲れた身体で存分に酒を呷り、酔ってしまったのかもしれない。
珍しく王英の口から出た殊勝な言葉のせいで、感慨に耽ってしまったのかもしれない。
「その許嫁の嬢ちゃんってのは、そんなにお前の好みだったのか?」
一瞬キョトンと自分を見つめ、にまっと笑う王英に、燕順は顔を引き攣らせた。
時に言葉は、発した本人も予想だにしないような事態を招く。それも、放った本人にしてみれば、大した意図もなく、深い意味もないような一言であればあるほど往々にして招く。
殊に長年商いに携わってきた燕順にとっては「何を今更」な話であって、そんな事はそれこそ骨身に沁み着いていると言っていいほど、とっくに心得ている。
纏まる寸前の商談が失言によって決裂した、などという話は世間に腐るほどあるし、その相手が血の気の多い連中ともなれば、そのまま命のやり取りに繋がる事だってある。
燕順自身にもまだ経験が浅く、会話の機微を身に付けていなかった頃に、そういった血腥い話も含めた苦い経験があるくらいだ。
そんな誰よりも「一言の重み」を知っている燕順にしてみれば、これだけ盛大に口を滑らせたのは、ここ数年来、絶えて記憶にない。
『覆水、盆に返らず』(※9)とは正にこの事である。
「なぁんだ、やっぱり哥哥だって興味あるんじゃない」
「ん?別に興味ってほどじゃ──」
「いやいや、照れんなって哥哥。イイ女が嫌いな男なんていないんだから、さ!」
「だから、別に──」
「まあまあ、聞きなって。あの娘のいいところはさ…」
喋り出した王英は止まらなかった。
喋り始めた時には高かった日が傾き、その日が西の地平に沈んで夜の静寂が訪れても、延々と李柳蝉の美点を語り続ける。
日が暮れて夕食の支度をしている間も、夕食が終わり器を片付けてからも尚、その勢いは衰えない。
最初の内はそれでもまだ適当に相槌を打っていた燕順も、さすがにこの頃には、ちょっとどころか死ぬほど引き過ぎて、もはや話など全く聞いていない。
が、そんな燕順などお構いなしに、王英の独演会は延々と続く。
昨日初めて出会った、それもほんの僅かな時間接しただけの相手に対するこの熱量は、一体どこから生まれてくるのか。
結局、王英を酔い潰して黙らせるために、大振りの酒甕を一つ犠牲にする羽目になった。
「ぐへへー、ほぉら丸見えだぞぅ…むにゃむにゃ」
──スパーーンっ!!
「痛っ!!…ふへへー、暴れたって誰も助けに来ないぞぅ…にゃむにゃむ」
寝台の上で、相変わらずモザイクがなければ表現できないと思しき夢を満喫する王英を、燕順が一つ引っ叩く。
──コイツの前で、二度と女の話はするまい。
そう固く誓って床に就く燕順であった。
※1「莱州」
現在の山東省煙台市西部と同青島市一帯。
※2「建康府」
現在の江蘇省南京市の長江以南一帯。史実において、この地域は1018年以降「江寧府」と呼称されており「建康府」の名称を用いるのは時代的に誤りなのですが、『水滸伝』で用いられているためそのまま使用しています。
※3「私商」
闇商売。或いは闇商売を行う者。つまり闇商人。
※4「朴刀」
長柄の刀。旅人などが護身用に携帯した。「刀」ではあるが刃は研がれておらず「斬る」というよりは「叩く」または「打つ」といった感覚の武器。
※5「衙門」
政務を行う場所。役所。
※6「巡捕都頭」
盗賊などの捕縛に当たる役人。現代の警察官にあたる。『水滸伝』の作中では主に「都頭」と表記されている。
※7「悪事千里を行く」
『北夢瑣言(六)』。原文は『好事不出門、惡事行千里』。訓読は『好事門を出でず、悪事千里を行く』。「善行はそうそう知れ渡らないが、悪行はすぐに知れ渡る」の意。日本では「悪事千里を走る」の方が通りがいい。また『水滸伝』では第24回で『好事不出門、惡事傳千里(悪事千里を傳う)』として引用されている。
※8「河清」
『春秋左氏伝(襄公八年)』。原文は『俟河之清 人壽幾何』。「起こり得ない事を待つのは時間の無駄」ほどの意。第一回「叢雲に謝す」本文、及び後書き参照。
※9「覆水、盆に返らず」
『拾遺記』。原文は『覆水定難収』。訓読は『覆水、定めて収め難し』。愛想を尽かされた嫁に逃げられるほどのやどろくだった太公望が、後年、斉王に封ぜられると、それを知った元嫁が復縁を求めて押し掛けてきたので、太公望は「元に戻せたらヨリを戻してもいい(=元に戻せないでしょ?)」と言って器に入った水をブチ撒けた、というお話。なので「一度別れてしまった夫婦は元に戻れない」という、本来の意味からすれば誤用。でも、現代では一度くらい別れたところで、いくらでもくっついたり離れたりできるので全然そんな事はない。そこで「一度何かを行ってしまったら、元に戻す事はできない」という例えにも用いられる。『漢書(朱買臣伝)』にも同様の故事がある。