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水滸前伝  作者: 橋邑 鴻
第十三回  董双鎗 奇縁あるも機は熟せず 曹刀鬼 奇縁に依りて寓すること
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キャッキャウフフ?

「あ、員外さん。お早うございます」


 前日と同じ酒家、同じ卓で董平が朝食を摂っていると、通りから朗らかな声が掛かった。


「やあ、お早う。また会ったね」


 その声に、董平も爽やかな笑みを浮かべて声を返す。

 まあ、見た目は相も変わらず、爽やかさとは程遠いアレですがww


「また今日も忘れ物をしたのかぃ?」

「もう!そんな意地悪を仰って」


 少女は僅かに(むく)れた素振りで、トコトコと董平の側に歩み寄る。


「今日は父が玉皇廟(ぎょくこうびょう)(※1)へお参りに行ったので、城門まで見送ってきたところなんです!」

「玉皇廟?山頂の?」

「はい。私はそんなに体力がある方じゃないですし、私の足に合わせて登ったらどれだけ時間が掛かるか分かりませんから、今日は宿でお留守番です」

「そう。岱廟だけじゃあなく、玉皇頂(泰山の主峰)に登ってまで願掛けするんじゃあ、御令尊には余程の願望と言うか、悲願のようなものがおありなんだろうね」


 その言葉に少女は複雑な笑みを浮かべ、


「員外さんは興味が無いかもしれませんけど、父は立身への執着が強くて…」

「もしかして…御令尊は進士(しんし)(※2)かぃ?」

「はい。事情はよく分かりませんけど、父は今、無官で…一時は、とある州の通判(つうはん)(※3)を務めた経験もあるくらいなんですけど」


 文官にも武官にも出世原理主義者のような者は多い。

 一度は通判の地位にまで昇りながら、今は無官だというのなら、そうした者達との権力争いに巻き込まれたか、或いは自分から巻き込まれにいったか、そんなところなのだろう。


 そこで再び政界への復帰を志し、ために1,500mを超す泰山に登ってまで願掛けをしようというのだから、少女の言う通り、強力な権力志向の持ち主には違いなさそうだ。

 それをとやかく言うつもりも、まして否定するつもりも董平にないが、どうやら物の考え方には埋め難い溝があるらしい。


 願掛けをする事自体は董平も(やぶさ)かでないし、内容によっては泰山に登ってでも成就を願う事があるのかもしれないが、少なくとも出世のために泰山を登ろうなどと董平は思わない。


「当時、父の門下で学んでいた方が、今は西方で大変な出世をなさったと聞いて、それがまた父の出世欲を搔き立ててしまったようで」

「あぁ、それで遥々、旅をしてまでこの奉符に…ん?」

「…?どうかなさいました??」


 何かを思い出そうとする董平に、少女はキョトンと不思議そうな顔を返す。

 天然か養殖か不確かなどこぞの妹ちゃんと違い、純度100%、混じりっ気なしな素の少女が放つコレは破壊力がパねぇww


「いや、勝手に『遥々』って決めつけちゃったけど、そういえばお嬢さんの姓も住まいも聞いてなかったなと思ってね」

「あ!確かにそうですね。遅くなってしまいましたが…私は姓を(てい)、名を二字名で玉玲(ぎょくれい)と申しまして、開封の生まれにございます」


 恭しく捧げられた程玉玲の拝礼を立ち上がって聞いた董平は、懐から右手を抜くと、身体の前で優雅に両手を組み、


「これは御丁寧な挨拶を痛み入る。手前は河東(かとう)隆徳府(りゅうとくふ)の生まれで姓を董、名を一字で平と申す者。どうぞお見知り置きを、程小姐」


 と、こちらも恭しく礼を返す。


「い、員外さん!女の、それも遥かに年少の私に、そんな大仰な礼はお止め下さい。員外さんが変な目で見られてしまいますよ!」

「礼を尽くされれば礼を以て返す。別に普通だろう?」

「そ、そうかもしれませんけど…」


 慌てる程玉玲に優しい笑みを返した董平は、再び懐に右手を差し込み、椅子に腰を下ろした。


「立ち話も何だから、小姐も座ったら?」


 玉玲ちゃん、断ってもいいんだよ?


「えと、父が戻るまで宿で大人しくしてるよう言われましたから、父に見られたら怒られてしまいますし…」

「今、城を発ったばかりなら、戻るのは早くても夕刻近くになるよ。それとも、宿に戻って何かする事でもあるのかぃ?」

「いえ、そういう訳じゃありませんけど…」


 わぁ、素直~。

 そういう時は「忙しいからムリですぅ~ww」で全然いいのに。


「ああ、もしかしてもう旦那がいる?それか許婚がいるとか」

「い、いえ、私はまだ…」


 素直~#2。

 誰か「そうなんですぅ~ww」でいいんだよ、って教えてあげてほしい。


「じゃあ、俺とは口も利きたくないとか?」

「そ、そんなっ!助けていただいた員外さんにそんな事を思ったら、バチが当たってしまいますよ」


 都監、聞き方が汚ねえっす。

 玉玲ちゃん、いいコなんすから、そんな聞き方したら否定するに決まってるじゃないっすか。


「私が同席して変な噂が立ってしまったら、員外さんに御迷惑を掛けてしまいますし…」

「はは、見知った顔の無い旅先で、見ず知らずの人間に噂を流されるのかぃ?というか、小姐との噂なら俺は大歓迎だけどね」

「……!?」


 都監、何て言うかもう…お気に入りですね?

 っていうか「見知った顔が無い」訳なくないっすか?何度か禁軍の詰め所にも顔を出してたでしょうに──ああ、俗に言う「人の恋路を邪魔する奴は…」ってヤツですね。知ってますありがとうございます。


「もう、員外さん。また、そういう事を仰って…」

「心配なら通りに背を向けて座ったら?万が一、後で何か噂になっても『一緒に居たのは私じゃない』って言い張れば済むよ」


 程玉玲はモジモジと何かを決め兼ねている。


 ほら、玉玲ちゃん。断るチャンスがもっかい来たよ?

 ちゃんとお父上の言いつけを守って「やっぱり宿で大人しくしてます」って──


「あの、じゃあ少しだけ…」


 …だと思ったよ。


 玉玲ちゃん、見てごらん。

 目の前で「下心なんてコレっぽっちもありません」みたいな顔して、爽やかなイケオジを気取っているのがアレなオジサンだよ?


 こういうアレなオジサンにちょっと優しくされたからって…あぁ、まんざらでもないですか、そーですか。


「年若く、まだ飲めないから」と酒を断る程玉玲に、董平は給仕を呼んで茶を頼んだ。


「そういえば、さっきも『遥かに年少』って言ってたけど、そんなに歳が離れてるかな?」

「…いくつに見えますか?」


「ん~…」っと董平が左手を顎に当て、穴を開けるほどの勢いで程玉玲の顔を見つめると、程玉玲は僅かに俯いて両袖で顔を隠し、


「い、員外さん。そ、そんなにまじまじと見ないで下さい…」

「そう言われてもねぇ。感想を聞いてきたのは小姐の方だろう?」

「そ、そうですけど、は、恥ずかしいですよぅ…」

「大丈夫だよ。綺麗じゃないか」

「きっ…!?」

「ほら、恥ずかしがらずに手をどけて?もっとよく見せてごらん」


 あの…都監?玉玲ちゃんの顔のお話ですよね??

 こんな公共の場で、どんなプレイをおっ(ぱじ)めるおつもりなのかと、ヒヤヒヤさせないでいただきたいんですが。


 董平の口車に乗った程玉玲が、俯きながらもおずおずと腕を下げ、しばらくの間、董平の愛でるに任せていると、気付けば頭から湯気が出そうなほどに、顔と言わず耳と言わずに真っ赤っ赤。


 何だ、コレ?羞恥プレ…ゲフン。

 いけませんな、都監。公衆の面前で、いたいけな少女をアレしては。


「ん~、10代後半から20歳(はたち)そこそこ、ってトコかな。当たったかぃ?」

「えと…まだ15です」

「へ~、丁度、俺の半分だね。随分と大人びてるんだねぇ」

「そ、そうでしょうか。自分ではよく分かりませんけど…」


 火照った顔を冷ますように、程玉玲が両手でパタパタ顔をあおいでいるところへ給仕が茶を持って現れ、二人は椀を交わす。


「それだけ可愛い顔立ちなら、これまで御令尊の下には縁談の申し出が引きも切らなかったんだろうねぇ」


 あったに決まっている。董平は断言できる。


「かっ…!?い、いえ、私なんてそんな…!」


 嘘である。

 もし、程玉玲が嘘をついていないのであれば、それは「無かった」のではなく、それらを鮸膠(にべ)もなく断った父親が伝えていないから、申し込まれた事を「知らない」だけだ。これも董平は断言できる。


 およそ出世を生き甲斐とする者が、権力者と(よしみ)を通じる手段の中で「婚姻」に勝るものはない。

 何しろ、指を咥えて羨むだけだった昨日のセレブが、一夜明けたら親類縁者にクラスチェンジするのだ。自分が何を苦労するでもなく、それでいて「さも当然」みたいな顔でセレブのお零れに与れるのだから、これほど都合のいい話はない。


「通判」といえば、地方に赴任する文官の中で、知府州(知府や知州)に次ぐ地位にあたる。その権力を目当てに周囲の有象無象が群がってこない訳がない。


 だが、程玉玲が未だ嫁いでいないというのなら、考えられる可能性は二つだろう。


 寄ってきた有象無象が、父親の出世に全く影響を及ぼさない正真正銘の有象無象だったか。

 或いは、更なる出世も自力で成し遂げられると考えた父親が、いざという時のために程玉玲を温存したか。


 董平は後者であろうと考える。


「そう…周囲の男達も見る目が無いねぇ。ところで、小姐達はいつ頃まで奉符(ここ)に滞在する予定かな?」

「あ、はっきりとは聞いてませんけど、あと数日はいると思います。父もそれほど若くはありませんから、明日、明後日くらいまでは疲れが抜けず、宿でゆっくりすると思いますし」

「そう」

「員外さんはいつまで滞在される御予定なんですか?」

「そうだねぇ…」


 董平は再び左手を顎に当て、程玉玲の顔をじっと見つめる。


「あ、あの、何でしょうか…?」

「うん。小姐達が奉符(ここ)を発つ日まで、俺も居座る事にするかな」

「…ええっ!?」

「またこうして話せる機会があるかもしれないだろう?小姐と話すのは楽しいからね」

「で、でも、御商売の方は宜しいんですか?」


 それがよろしいのよねぇ。

 何てったって商売なんかしてないもんだから。


「心配要らないよ。安心して留守を任せられる人がいるから」

「あ、そうですよね。すみません、差し出がましい事を言ってしまって」

「何、謝る事じゃあないさ。却って小姐みたいな可愛らしい()に気遣ってもらえるなんて、男冥利に尽きるね」

「かっ…!?員外さん、昨日からお世辞が過ぎますよ」

「『お世辞』?とんでもない。小姐だって鏡を見れば『はぁ~、あたしの顔面、マジヤッベぇわ』って見蕩れちゃったりする──」

「ち、ちゃったりしませんよ!?もう!」


 再び顔を赤らめ、うつむき加減で茶をすする程玉玲に、董平はくつくつと笑いを噛み殺す。


 と、董平は柔らかな表情に改め、


「本当の事を言うとね、昨日、小姐に会った時には、今朝にも奉符(ここ)を発とうと思ってたんだよ」

「そう、なんですか?」

「けど、小姐と会って考えが変わった。もう何日かいれば、もしかしたらまた小姐と会えるんじゃないかってね」

「あ…」

「ま、簡単に言うと一目惚れってヤツだね。だから、本当にお世辞でも何でもなく、可愛いと思ってるよ?」

「あ、有り難う、ございます…」


 顔を僅かに上げ、向けられた好意に礼を述べる程玉玲の表情は、複雑な色を湛えていた。


 そこに拒絶の意はない。

 しかし、それまでのただ「嬉し恥ずかし」という、無垢な心がそのまま現れたような表情だけでなく、どこか心苦しげで、切なげで…


 その得も言われぬ顔色の理由を、董平はすぐに悟った。


 いや、正しくない。

 正確にはもっと前、程玉玲が父親の性格を「立身への執着が強い」と評した時から、想いを告げればこうなるだろうと分かっていた。


「でも、こうしてただ話をするだけでも御令尊の目が気になるんじゃあ、小姐も息が詰まって楽しめないだろう?」

「い、いえ、そんな事は…」

「いっそ、今後とも小姐と親しくさせてもらいたいと、一度、御令尊に御挨拶を──」

「そ、それはっ…!!」


 努めて穏やかに、素知らぬふりで語る董平に、程玉玲は思わず立ち上がる。


『女性とは意思ある物』


 どこぞのドスケベなドチビほど革新的な思想の持ち主でない董平は、この国で今、幅を利かせている固定観念を否定しない。


 しかし、否定できないからこそ、董平には程玉玲が権力に固執する父親の下で、どのように育てられてきたかが分かる。


 父に従い、父を敬い、父に逆らわず、父を煩わせず、ただひたすらに父を思い、父の為に生きる事こそが美徳──


 そして、程玉玲もそれを受け入れている。

 いや、受け入れているというか、物心が付いた時から「意思ある物」として育てられていれば、思考は自然とそうなるし、父親が官僚として生きていれば、目にする周囲の家庭も、ほとんどが似たり寄ったりの環境なのだから、娘とは「父のために生きる存在(もの)」と程玉玲が考えるのは自然な事であり、それが程玉玲の意思なのだ。最初から「受け入れる」もへったくれもない。


 それを思えば、程玉玲が昨日、今日と一人で行動しているのも頷ける。


『忘れ物は自分の不注意なんだから一人で取ってこい。何か問題があっても意思はあるんだから、俺の手を煩わせずに一人でなんとかしろ』

『お前の足に合わせて山を登ったら遅くなる。俺の足に合わせられないなら、自分で考えて俺の手を煩わせないよう、大人しく待っていろ』


 まあ、理屈が分かったところで、やはり董平には賛同も共感もできないのだが。


「お止めになられた方が…」

「…そうかぃ?」


 しかし、人間の心というものは、そう簡単なものではない。


 董平には分かる。

 父親のために生きる事こそを自分の存在意義と信じる程玉玲の意思が、父親の人生に何の影響も与えないであろう董平に好意を抱いてくれているからこそ、董平の行為を止めさせようとしているのだ、と。


 経緯はともかく、今、程玉玲の父親は無官の身に甘んじている。

 権力者としてすり寄られる立場から、権力者にすり寄る立場に変わってしまった父親にとって、今は正に「いざという時」だろう。

 そのために温存していた程玉玲を、すり寄るための「贈り()」に利用しない理由がない。


 董平の思い込みでもなければ、董平の洞察力が殊更に優れている訳でもない。

 今の世で女性とは──なかんずく、権力への執着が強い父の下に生まれた娘とは、そういう存在(もの)なのだから。


 董平が察するに、この少女は父親にとっての「切り札」なのだ。


 それは程玉玲が董平を一目で虜にしてしまった美貌を誇っているからではない。


 そもそも容姿の美醜など、見る者の「好み」の問題であって、董平の目にどう映っていようと、世間からどれほど褒めそやされていようと、実際に差し出された者の好みに合わなければ、切り札としての効果がない。


 では、何が程玉玲を切り札たらしめているのか。考えるまでもない。

「相手に受け取ってもらえるか否か」に決まっている。


 人当たりの良し悪しは、顔の美醜ほどには好みが分かれない。

 巷間に広く「傾城傾国」と謳われる種の顔立ちは確かにあり、容姿がその種の顔立ちに近ければ近いに越した事はないけれど、切り札として相手に差し出す以上は、何よりもまず相手に受け取ってもらえなければ始まらない。そして、程玉玲は持って生まれた才能として、天性の「人当たりの良さ」を備えている。


 その切り札を、どこの馬の骨とも分からない董平などに父親が差し出す訳がない。それを程玉玲も分かっているのだ。


 いつか自分が父親の出世に繋げるための「手土産」として、父親の決めた相手に嫁ぐ身であると分かった上で尚、好感を禁じ得ない董平が、実る事のない想いのために首を垂れようとしているから──


「きっと員外さんに嫌な思いをさせてしまいますから…」


 董平が身分を明かしたところで、迎える結末は何ほども変わらない。


 府州単位では一目置かれる兵馬都監も、禁軍全体の序列で見れば、下から数えた方が早いくらいであって、所詮は官位を持たない単なる一軍職である。


 これが禁軍の首脳部、かつ朝臣としての権力も併せ持つ三衙(さんが)であったり、或いは位階を持たずとも、地方に在っては軍民両政を司り、知府州(知府や知州)よりも強大な権限が付与されている安撫使(あんぶし)経略使(けいりゃくし)(※4)ほどの職であれば、父親の食指が惑わされる可能性もあるだろう。


 しかし、朝廷の人事に対する影響力など皆無に等しい兵馬都監は、武官として名を成す志を持った者ならいざ知らず、文官として朝廷の中枢を目指すような者が、切り札を差し出してまで関係を深めたいと思うような職では全くない。


「そう…」


 董平は一言零して淋しく笑う。


「あのっ…員外さんのお人柄がダメとか、そういう事ではないんです。ただ、父が──」

「いいよ、分かってる」


 そう告げて、また董平は柔らかな笑みを湛えた。


 その後、何事もなかったかのように、董平は時に話し、時に褒め、時に揶揄(からか)い、程玉玲もまた憂いを潜めて時に笑い、時に恥じらい、時に窘めと、二人は楽しい一時を過ごした。


 昼時になり、董平は程玉玲を宿まで送る。


「員外さん、今日は本当に有り難うございました」


 門前で深々と拝礼する程玉玲が身体を直すのを待ち、


「一つ聞いていいかぃ?」

「…はい」


 董平は穏やかに問い掛けた。


「俺と話してて楽しかったかぃ?」


 その問いに答えたところで何が変わる訳でもない。

 いや、むしろ董平を余計に思い悩ませる事にもなりかねない。


「はい、とっても」


 それを分かった上で尚、程玉玲の心は嘘をつけなかった。


 再度、首を垂れた程玉玲に董平も返礼し、にこやかに「では、失礼致します」と(きびす)を返した程玉玲の姿が宿に消えるのを見送ってから、董平は歩き出す。


 その胸に一つの決意を抱きながら。

※1「玉皇廟」

泰山の山頂付近に建てられた玉皇大帝(天帝)を祀る廟。古くは「太清宮」や「玉帝観」と呼称されていたようですが、作中当時の呼称が不明なため、現在の呼称を用いています。

※2「進士」

元々、官僚の試験である「科挙(かきょ)」にはいくつかの科目があり、進士とは「進士科」に合格した官僚のみを表していたが、本文の頃にはすでに進士科以外が廃止されていたため、進士は「科挙合格者=官僚」とほぼ同義となっていた。

※3「通判」

知府州の補佐官。現代日本では都道府県の副知事クラスに相当する。

※4「安撫使や経略使」

いずれも軍権を付された地方官。安撫使は宋の各地に、経略使は主として辺境に置かれる。統括する域内の禁軍に対し、常設職の中では安撫使が最も強い権限を持っている。辺境などでは両者を兼務する場合も多く、その際の肩書は「経略安撫使」。また、史実では知府州を兼務している場合も多い。

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