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水滸前伝  作者: 橋邑 鴻
第十二回  曹刀鬼 岱廟に鼠賊を遇い 董双鎗 旗亭に騙局を暴くこと
123/139

「イケオジ」と呼ぶにはまだ若い

ああ、また後書きが長くなってしまった…

「…じゃあ、コレを。取り戻すまでに男が中身をくすねる余裕は無かった筈なので、変わりは無いと思いますが、一度、中をお改め下さい」

「え、ええ、分かりました」


 曹正が差し出したブツを、男は伏し拝むように受け取った。


 良かった、オッサンの顔面が「○べしッ!!」しなくてww


 それなりの路銀が入っていたものか、男が人波の目を憚り、身体で隠すように中身を改めていると、


「あなた…!」


 周囲を探していた年配の女性と、若い男女が走り寄ってきた。


「見つかったんですか!?」

「ああ。こちらの方がな──……」


 年配の男が事情を説明すると、一様に不安気だった三人の表情もパッと和らぎ、


「もう、ウチの人ったら悠長と言うか呑気と言うか、何かと行き届かない人で…本当に有り難うございました」

「いえいえ。手前はただ、たまたま御主人の懐からそれ(・・)が抜き取られたところを見掛けただけなので…あまり大仰な礼を受けるような事ではありませんよ」

「何を仰いますか!恩人様の機転が無ければ、私ども家族四人は旅先で路頭に迷うところでしたのに」

「そうです。恩人様がおられなければ、我々は家に戻る事も出来たかどうか。正に恩人様は、府君と娘娘(にゃんにゃん)が我々にお引き合わせ下さった第二の父母です」


 と続いたのは若い男。



【おいおい…大丈夫か、この家族は。いくら何でも俺の事、簡単に信じ過ぎだろ。

 親父だけかと思ったら、家族揃ってお人好し…ん?】



 口々に礼を述べる三人の陰で、笑みこそ浮かべてはいるものの、一人、若い女性は、微かに疑念の見え隠れする視線を曹正に向けている。



【しっかり者はお嬢ちゃんだけか】



「中身に変わりはありませんか?」

「あ、ああ!ええ、確かに盗られた時のままです。本当に何とお礼を申し上げたらいいか」

「では、確かにお返ししましたから、手前はこれで…」

「「えっ!?」」


 夫婦は揃って声を上げた。


「ちょ、ちょっとお待ち下さい。これだけ多大な恩を受けていながら、このままお別れする訳には…何か礼をさせて下さい」

「いや、手前は何も礼を求めてした事ではありませんから──」

「主人の言う通りです。窮地からお救いいただいた恩人様をこのままお帰ししたら、私どもは畜生にも劣る恩知らずとの謗りを免れません。どうかそのような不義理をさせないで下さいませ」

「そうです。恩人様、どうか父母の意を酌み、我々の礼をお受け下さい」

「あ、あー…」


「もし、俺を疑いやがったら、そん時ゃ顔が裏返るぐれえの勢いでブツをめり込ませてやっからなぁ!」と、だいぶ破天荒な事を考えていた曹正にとってはまさかの展開であろうから、戸惑ってしまっても仕方がないと言えば仕方がない。


 というか、自分が逆の立場では、それこそ宋万の時のように、飯代を出し、宿賃を出し、としてきたのだから、こんな展開が待っている可能性も、全然、予想ができて良さそうなものだが。


 まあ、その宋万との出会いなど、いくつかの幸運はあったにせよ、総じて不運続きの旅だったからね。曹正さんの思考が破天荒に傾いてしまったのも、仕方がないと言えば仕方がない。


 ともあれ、寄って(たか)って「恩返しをさせろ」と迫られ、どうしたものかと曹正が固まっていると、それまで様子を窺っていた若い女性が進み出てきた。


「恩人様。父や母の申す通りです。どうかお断りなさいませんよう、私からもお願い申し上げます」

「えーっと。じゃあ、皆さんにそこまで仰っていただけるなら…」

「ああ、良かった…では、参りましょう。さ、さ」

「ちょっと、お父さん!」


「何か問題でも?」と言わんばかりの父親に、娘は呆れたように溜め息を一つ。


「お誘いするにしても、まずは恩人様の都合を伺わなければしょうがないでしょ?」

「…あ!そうだな、(わし)とした事が」

「もう…恩人様はまだ廟を散策なさるおつもりでしたか?」

「あー、いえ、手前は先ほど参詣したばかりで。寧ろ皆さんは宜しいので?」

「あ、の、それは…その…」

「…?」


 途端に娘は何かをモジモジと言い澱んだ。

 代わって父親が、


「いや、私どもも一昨日、昨日と参詣は致しましたし、今日も表で焼香は済ませてきましたから。お気遣い無く」

「今日も参詣する予定でしたなら、それこそ手前への気遣いは無用です。手前はこの辺りで待っていますから──」

「恩人様をお待たせするなんてとんでもない!さ、さ、参りましょう」


 思いもよらぬ早さでトントンと話が纏まり、若干の動揺を禁じ得ない曹正であったが、とにもかくにも相手の顔を立ててやらなければ、解放してもらえそうになく、家族に促されるままに、廟の入り口へ向かって人波に乗った。


 ふと、曹正の耳に、背後の仁安門の方から何やらざわめきが届く。

 一度、立ち止まり、振り返ってみるも、曹正の目にその理由は分からなかった。


「恩人様、如何なさいました?」

「…ああ、いえ、何も」


 曹正が再び振り返った時──


()て!」

「おっと!」


 背後から歩いてきた男とぶつかってしまった。


「これは…申し訳ない。手前の不注意で」


 人波の中で立ち止まれば、流れを阻害し、邪魔になるのは明白である。

 その非を詫びようと、曹正は慌てて身体の前で両手を組むが、首を垂れようというところで、薄い髭鬚(ひげ)(口ヒゲと顎ヒゲ)をさっぱりと整えた面に柔らかな笑みを浮かべた男は、煙管(キセル)(※1)を持った左手を曹正の手に添え、それを制した。


「いやぁ、不注意はお互いさまさ。謝罪は要らないよ、帥哥(曹正)」

「え、ええ…」

「…それじゃあ」


 軽く左手を挙げ、笑みを湛えて再び煙管(キセル)を咥えると、男は(きびす)を返して仁安門の方へと歩いていく。



【あいつ…】



 袖を細身に仕立てて、ゆるりと纏う浅灰(せんぱい)直裾(ちょくきょ)(※2)に、金糸の鳳が裾の花園に戯れる漆黒の長衫(ちょうさん)(※3)を重ねて羽織り、玉の帯と見事な刺繍の革の靴。


 身に纏う物も、優雅で気品に満ちた所作も、見た目だけなら小粋を気取った員外(資産家)や公子(若旦那)といった風情ではある。が、それが見た目だけの事であると、すでに曹正は悟っていた。



【たぶん禁軍士官か、そうでなくても相当、名の知れた教頭(※4)だな。まさか師匠(林冲)に並び立つ腕前って事はねえと思うが…いや、もしかしたら…】



 いくら武の腕前は「なかなか」の曹正でも、単なる成金やそのボンボンの所作か否かを見誤ったりはしない。それくらいの自負は持っている。


「恩人様、如何なさいました?今の方はお知り合いで?」

「…いえ、行きましょう」

「ええ。では、参りましょう」



【まあ、いっか。どうせ通りすがりだし…


 しかし、何かここ最近、やたら個性強めな奴と出会うなぁ】



 そんな事を思いつつ、無事、双六のミッションをこなした曹正は、また次のマスへ向かうため、家族と共に廟を出るのであった。



 △▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



【なかなかの猛者だったねぇ、あの帥哥。


 まあ、俺ほどじゃあないが…】



 右手を懐に突っ込み、口に咥えた無煙の煙管(キセル)を御機嫌な様子でピコピコと上下に揺らす男は、人波に身を任せて廟の奥を目指す。


 曹正を指して「俺ほどじゃない」と(うそぶ)く男。実は自惚れでもなんでもない。

 一瞬で曹正の実力を見抜く男の眼力は大したものだが、曹正もまた自負するだけあって、的確に相手の実力を見抜いていた、という訳だ。


 男は年の頃で30歳ほど。

 河東(かとう)(※5)は隆徳府(りゅうとくふ)(※6)治所・上党(じょうとう)県の生まれで、姓を(とう)、名は一字名で(へい)


 幼い頃から数多(あまた)の武芸を体得し、また卓越した戦術眼も備える彼は、長じて己の居場所を禁軍に求め、身を投じた。


 とりわけ、若い頃から広く董平の名を知らしめているのは鎗の腕前で、未だ一兵卒の時分に配属された東京(とうけい)(開封府)では、同じ一兵卒の身で、すでに鎗棒(そうぼう)の名手として名を馳せていた林冲と互角の勝負を繰り広げ、立ち会った王進を唸らせたほどである。


 無論、あくまで「唸らせた」というだけの事であって、王進を「打ち負かした」という事はない。

 何と言っても、相手は武の変態…ゲフン、武に関してはケチの付けどころがない、パーフェクトヒューマンの王進である。その変…もとい、パーフェクトヒューマンを相手に若造の歯が立たなかったからといって、それで若造が恥じ入る必要はどこにもない。


 しかし、知らず知らずの内に伸び始めていた鼻っ柱を、王進によってバッキバキの粉微塵に粉砕された経験は、どちらかと言えば生まれついた才に頼る、天才肌タイプだった董平の向上心に却って火を灯し、彼をたゆまぬ研鑽の道へ走らせる事となった。


 以来、董平が今に至るまで挙げた武勲は数知れず、辺境においては敵を防ぎ、内地に在っては賊を降し、と磨かれ続けたその才は遺憾なく発揮され続けている。


 一度(ひとたび)、戦場に兵を率いれば縦横馳騁(じゅうおうちてい)(※7)、まるで無人の原野を行くが如く、軽々と敵を蹴散らす董平の見事な戦ぶりを讃えた「一直撞(いっちょくとう)」(※8)、或いはそこに姓を冠した「(とう)一撞(いっとう)」の異名は、軍中の誰もが知るところだ。


 董平の特筆すべきはそればかりでない。


 礼節を弁え、教養を備え、歌舞音曲にも通じる董平は、或いはまた「風流将軍」とも称され、その名は武官のみならず、文化人にまで広く知れ渡っている。


 …貴方は一体、どこの周都督(『三國』の周瑜)でいらっしゃいますか?


 ただ、残念ながら今この国では、抜きん出た実力と名声が、それに見合う地位や職責を保証したりはしない。むしろ、実力を得れば得るほど、声望を集めれば集めるほど、朝廷や禁軍の中枢部に巣食う出世原理主義者達の妬み、(そね)みによって、活躍の場は奪われていく。


「在鄆州禁軍駐泊本城(ほんじょう)兵馬都監(へいばとかん)」(※9)


 董平が兵馬都監に昇り、鄆州に配属となって、すでに数年経つ。


 序列的に兵馬都監は知府州(知府や知州)を初め、指揮司(しきし)(※10)の首脳部を戴く立場にあるが、実戦に際しては主帥を務める事も多く、また平時には兵の調練などにもあたるため、若くして兵馬都監に昇った董平は、一見すると実力を高く評価され、将来を嘱望されているように見える。

 が、実情は全然違う。董平の境遇をより正確に表現すれば「祭り上げられた」と言うべきか。


 宋の国力を支える水運の大動脈、山東(さんとう)と京師・開封府を繋ぐ広済河と済水。

 その両者を繋ぐ梁山泊もまた、水運の要諦として隠れもないが、梁山泊の北半分と湖面に(そび)え立つ梁山は、鄆州の管轄となっている。


 今、梁山には数百のならず者が集って寨を築き、時折、山を下りては、湖岸の旅人や隊商を襲っているが、今のところ公儀の輸送船が狙われた事はなく、またその気配もない。


 およそ世の平穏、円満を脅かす「障害」や「脅威」といったモノは、形として現れてから対処するよりも、対処が容易で、確実で、手っ取り早い、芽の内に摘み取ってしまうに限る。

 そんな事は董平だって百も承知であるし、領内の治安維持は兵馬都監が担う重要な職責の一つでもあるから、董平は過去に幾度となく討伐の兵を興す許可を求めている。


 しかし、鄆州指揮司の上層部からも、そこから更に上訴した禁軍の中枢部からも、返ってきたのは決まって屁のような理屈ばかりで、董平の訴えが認められた事はただの一度もない。


 曰く──


『まだ被害も出ていない内から兵を興し、万が一にも返り討ちに遭えば、朝廷の沽券に関わる』

『湖面に囲まれた梁山へ進軍するために大量の船を造るのは、予算の無駄である』

『今は夏の暑い盛りであるから進軍しても兵の士気は上がらず、体調管理も難しい』

『今は冬の寒い盛りであるから以下同文』


 要するに、出世原理主義者達にとっては、賊と睨み合っている「今」が理想的なのだ。


 寨主が朝廷の威光を恐れているのか、はたまた董平の威名を恐れているのか、梁山が官船に手を出さない理由は何でもいいが、賊が存在している以上、手を出される側が備えをしない訳にはいかない。

 だから、その備えとして、名実共に評判の高い董平が鄆州に置かれている。


 だが、大した兵もない、現時点で朝廷への明白な敵意も示していない賊を、あえて相手にする理由はない。

 戦上手の董平に兵を率いさせれば、苦もなく賊を殲滅してしまうであろう事は容易に想像できる。それでは董平の名声が上がるばかりだ。


 確かに梁山が平定されれば、国家の脅威が取り除かれる事にはなるのかもしれないが、出世原理主義者達にしてみれば、今のところ実害のない、これからも被害を被るかどうか分からない賊よりも、その戦勝によって更に武名を高めた董平の方が、遥かに現実的な脅威となる。


 しかし、何も起きなければ、これ以上、董平の名声は上がりようがない。

 戦場での武功は実際に敵を討った者に帰するものだが、平穏無事な状態が続く功績は董平ではなく、董平を鄆州に配した者が得る事になる。


 早い話が、地位や職責は違えど、董平の置かれている立場は王進や林冲とさほど変わらない、という事だ。


 そして、董平もそれを分かっている。


「だから、この国に対する董平の忠も愛想も尽き果てた」という事では決してない。


『忠に報い、奸を罰する』


 国家とはそうあるべきだと董平は思っている。

 しかし今、奸臣がのさばり、忠臣が遠ざけられる朝廷には、董平が理想とする国家像の面影は欠片もない。


 一兵卒の目を通せば、一州の軍を率いる兵馬都監に任ぜられた董平は、十分に功が報われているように見えるのかもしれないが、董平にとって地位など大した問題ではない。むしろ、董平が地位に拘るような性格であれば、よほど気分良く職務に励めた事だろう。


 董平が董平なりに天下を憂い、民を案じて献策をしたとしても、その献策が奸臣に届く事はない。仮に届いたとしても容れられる事がない。


「忠」とは「心の中」、つまり「真心」の事であって、董平の忠心に発した進言を検討もせずに退け、足蹴にしているのは朝廷であり、朝廷に蔓延(はびこ)る為政者達の方だ。


「報われずとも、たとえ虐げられようとも、国家の禄を食んでいる以上は、ひたすら国家に忠義を尽くすべき」という生き方も、それはそれで確かに忠義と言えるだろう。

 その生き方を否定するつもりは董平にないし、それを信条としたければ勝手にすればいいとも思っているが、ただ理解はできない。賛同もしない。


 天下のため、万民のためと思う董平の心を「不要」と断ずる朝廷に対し、それでも甲斐甲斐しく世話を焼いてやるほど、董平はお人好しではない。


 だから、与えられた兵馬都監という職を、与えられた職権の範囲で淡々とこなし、言うべき事だけを言い、命じられた事にだけ応え、聞かれた事にだけ答える日々を送っている。


 そんな董平にも身近に一人だけ、尊敬し、進んで世話を焼いてやりたいと思える人物がいる。


 任地でもない兗州(えんしゅう)に董平が在るのは、無論その人物の願いによるものだ。

※1「煙管」

現在のタバコは16世紀以降にアメリカから世界へ広まっていったとされていますが、タバコに限らず「植物を燻して煙を吸う」という習慣自体は、タバコが伝来する遥か以前から中国の一部地域にあったようです。問題はその方法で、喫煙具としての「キセル風の道具」が本文の頃にあったかどうかなのですが…まあ、この小説では「あった」という事で一つ。

※2「浅灰の直裾」

「浅灰」は淡いグレー。和装の浴衣や洋装のローブのような、前開きのワンピースを「深衣」と総称し、襟や丈、生地の形状によって更に名称が細分化されているようです。「直裾」は和装で言う(おくみ)が無く(または小さく)、丈の長い服。

※3「長衫」

「衫」は前開きで、基本的に(ひとえ)の服。現代では(前開きの)シャツやブラウスに相当すると思われますが、文字通り「長衫」はその丈が長いもの。本来は生地(前身頃)を身体に巻き付け、帯を締めて着るようですが、ここでは薄手のローブやコート、和装で言うと丈の長い打掛や羽織のような感じをイメージしていただければ…

※4「教頭」

指南役、先生。『水滸伝』でも(王進や林冲のような)禁軍の武術師範を指す場合と、単なる武芸者を指す場合と、両者の意味で用いられている。後者を簡単に言うと、よく日本の時代劇なんかで「やっちまって下せえ、先生」と呼ばれて出てくる人。もちろん、ここでも後者。

※5「河東」

「山東」や「中原」のように地域を表す言葉。「黄()()」。黄河中流部で北から南へ流れ下っている流域の(特に東へ屈曲する付近の)東岸。およそ現在の山西省南西部一帯を指す。

※6「隆徳府」

『水滸伝』作中では董平の出身地を『河東・上党郡』としていますが、宋(北宋)代にはすでに行政区分としての「郡」が廃止されていたため、この小説では宋代に上党県を治所としていた府州の、本文の頃の名称である「隆徳府」としています。

※7「縦横馳騁」

「馳騁」は「(馬で)駆け回る」。特に「軍隊などが(戦場を)自在に動く=無敵の強さを誇る」。本来、日本語としての「騁」に「ヘイ」の音は当てられていないが、この「馳騁」は慣習読みとして「チヘイ」と読まれる場合もある。

※8「一直撞」

『水滸伝』の元となった(と思われる)書物や舞台の演目などに、董平がこう綽名(あだな)されているものがある。「撞」は「突進する」「ぶつかる」。

※9「在鄆州禁軍駐泊本城兵馬都監」

全体的には架空の官職名です。「兵馬都監」は宋代に実在した武官名で『水滸伝』にも度々登場します。「駐泊」「本城」は当時、職責によって分けられていた「駐泊兵馬都監」「本城兵馬都監」を一つに纏めたもので、この小説では「本城(治所)に駐留している」事を表しています。第十二回の閑話休題「禁軍(3)兵馬都監と団錬使」参照。

※10「指揮司」

この小説での「指揮司」は、府州などに駐留する禁軍を統轄する組織としています。『水滸伝』では指揮司の他に、似たような役割と思われる「統軍司」という名称の組織も登場しますが。第四回の閑話休題「禁軍(1)地方禁軍」参照。

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