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水滸前伝  作者: 橋邑 鴻
第十一回  曹刀鬼 道程を迷いて財貨を失し 宋金剛 勇を奮いて同道すること
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二人の「二郎」

「…?どうかしたか、哥兒(宋万)?」

「え、え~っとぉ…一人、思い出したんだけどぉ、いくら何でも『この辺り』とはちょっと言えないなぁ、って…」

「…??ま、いいや。一応、聞かせてくれよ」


 さすがに曹正だってその不自然さには気付く。その違和感を一旦、胸に秘め、先を促すと、


恩州(おんしゅう)(※1)・清河(せいが)県に暮らす兄弟の内ぃ、弟の方が怪力無双で義にも篤いって聞くよぉ~」

「『清河県の兄弟』?…って事は、江湖で『()二郎(じろう)』って呼ばれてる()(しょう)殿じゃねえか?」

「そうそう~。小哥(曹正)も知ってたかぁ~」

「そりゃ姓名(なまえ)ぐらいはね。開封に住んでて噂が聞こえるぐらいなんだから、手を貸してもらえりゃ頼りにはなるんだろうけど…っと、その前にさ。恩州って地名だけは聞いた事あるけど、大体どの辺りよ?」

大名府(だいみょうふ)の北かなぁ~?」

「大名府の北!?確か…鄆州の北西が大名府領とちょこっとだけ接してるって聞いたぞ。その北って事は──」

莱蕪(ここ)から真っ直ぐ向かうとぉ、たぶん泰山を突っ切らなきゃなんないからぁ、迂回して大体400里(約220km)くらいかなぁ~?」

「遠っっ!?全然『この辺り』じゃねえ!てか、掠ってもねえ!」

「だからぁ、最初にそう言ったでしょ~」


 安堵したような、取り繕ったような宋万の笑顔に、曹正は再び違和感を抱く。


 と──


「何とも取って付けたような相手を捻り出したもんだな。最初に浮かんだ奴を言やぁいいじゃねえか」


 椀を置き、嘲笑を湛えた崔道成は語る。


「どういう意味だよ?」

金剛(そいつ)が言いたくねえようだから教えてやる。その武二って野郎がどんな凄腕か知らねえが、この辺りで腕利きっつったら、沂州の『()二郎(じろう)』以外にゃいねえよ。金剛(そいつ)だって最初にその名が浮かんだ筈だぜ?そこで声を洩らしちまったから、誤魔化す為に武二郎を引っ張り出してきたんだよ」

「『李二郎』?」


 頭の中で記憶を辿ってみても、残念ながら曹正にはその名の心当たりがない。答えを求めて曹正が視線を送ると、宋万はややバツの悪そうな顔を浮かべ、


「確かに腕は立つかもしれないけどぉ、オススメはしないぞぉ~」

「何で?」

「腕が立って義理にも篤いらしいけどぉ、あんまりいい噂は聞かないからなぁ~」

「例えば?」

「おいらまだ直接会った事ないからぁあくまで噂なんだけどぉ、我儘な上に癇癪持ちでぇ、自分の思い通りにならないとぉすぐに暴れ出すとかぁ~」

「子供か…」

「しかもぉ暴れ出すと見境が無くなってぇ、目に入った物でも人でもぉ、とにかく得物の二丁板斧(ばんぷ)でぇ片っ端から叩っ斬らないと気が済まないらしいぞぉ~」

「いや、ちょ、ちょっと待ってくれ…」


 曹正は右手で顔を覆ってしまった。

 命を預ける相手とするには、いくら何でも博打が過ぎる。


 いや、誰に命を預けるにしても、裏切られる可能性が「ゼロ」になる事はないのだから、寨に乗り込む計画自体がすでに博打も同然なのだが、だとしても明らかにその博打は分が悪い。


 騒ぎを起こした張本人達が縄目の姿で現れれば、疑われない方がどうかしている。諸手を挙げて受け入れてくれるなら、それに越した事はないが、当然、関で事情を聞かれる前提で計画を立てるべきだし、曹正達の考えた筋書きが相手に信用されなければ、かなりの時間を関の前で待たされる可能性もある。

 そこで思い通りに事が運ばないからと癇癪を起されてしまっては、策の成功など期待するべくもない。


 これでは「李二郎」という男を思い浮かべた宋万が、口にするのを躊躇(ためら)ってしまうのも納得である。


「暴れて手が付けられなくなる様子からぁ、江湖で『鉄牛(てつぎゅう)』なんて呼ばれてるくらいだしなぁ~。まぁ、人の噂なんて宛てにならない事も多いからぁ、ホントのトコは分かんないけどぉ~」

「そりゃそうかもだけどさぁ…」

「噂を聞く限りぃ、自分の命を(かた)にした博打でぇ気軽に代打ちを頼めるような相手じゃないぞぉ~。オススメも出来ないのにぃ、適当な事を言って期待させちゃ悪いと思って黙ってたのにぃ~」


 そう言って宋万は責めるように崔道成を睨み付けるが、睨まれた方に悪びれる様子は更々ない。


「『この辺りで』っつったのは曹正(そいつ)だろうが。ついでに教えといてやる。李二の(やさ)(居所)は沂水(ぎすい)県下の百丈村(ひゃくじょうそん)ってトコらしいぜ?こっからじゃ丁度、沂山を越えた東の裾の辺りだが、恩州くんだりまで出張(でば)る事を思やあ、距離は半分ってトコだろうな」

「小哥ぁ、よく考えて決めろぉ~。監寺(崔道成)は意外と腹が黒いからなぁ~。親切ごかした顔でぇ李二郎と組ませようとしてるけどぉ、ただ事をしくじらせたいだけだぞぉ~」


 …意外と?


「ヘッ、何を言ってやがる。曹正(そいつ)が荷を取り返そうがしくじろうが、俺の懐具合は何も変わりゃしねえじゃねえか。知ったこっちゃねえわ。高みの見物決め込んで何が(わり)いってんだ」

「小哥がしくじったらぁ、後で嗤ってやろうって魂胆だろぉ~?」

曹正(そいつ)が『命を賭ける覚悟がある』って息巻いてっから、こっちは親切で『命を賭ける策』を勧めてやってんだよ!大体、上手くいくもいかぬも、んーなモンは時の運だろうが。荷を取り戻せりゃめでたしめでたし、ダメならその場で冥府送り、分かり易くていいじゃねえか。それが嫌なら、未練たらしくいつまでもグズグズ考えてねえで、とっとと荷も商いも潔く諦めちまえよ。諦められるもんならな!」


 瞑目し、二人のやり取りを腕を組んで聞いていた曹正は、ハッと目を開く。

 その表情には憂いも迷いもない。どこか吹っ切れたような、穏やかで清々しい笑みを浮かべて言を継ぐ。


「そうだな。あの荷は諦めっか」

「…えぇ~!?」

「…は!?」


 手を貸すつもりでいた宋万は元より、(けしか)けていた崔道成も、あまりに潔い曹正の決断に耳を疑った。


 といって、曹正は崔道成の挑発に虚勢を張った訳でも、自暴自棄になった訳でもない。

 曹正はすでに八割方(・・・)、あの荷と決別する気でいたのだ。


 無論、それは「要らない」というのではない。取り戻せるのであれば取り戻したいと思うし、惜しいとも思う。

 その残る二割を為す可能性を、検証もせずに諦めてしまっては、後になって「ああすれば良かった」だの「こういう方法があったかも」だのと後悔するのが目に見えているから、曹正はずっと考えていた。


 そこへ──


『上手くいくもいかぬも時の運』


 全くの偶然とはいえ、そして曹正を思いやっての事ではないとはいえ、故郷を発つ前日に、曹正を思いやって発せられた董博の言葉と、全く同じ言葉が崔道成の口から投げ掛けられた。


 それだけではない。


『商いは気負わず、無理せず、地道に続けるもの』

『一時の浮き沈みで一喜一憂してはいけない』

『一度の失敗を深刻に捉える必要はない』

『元手を失ったくらいで、命を捨てようなどと思うな』


 忘れ掛けていた董博の言葉を、その一言は次々と蘇らせた。


 故郷の人々から寄せられた目に見えぬ「期待」は、本来「応えるべきもの」でありながら、その期待が目に見える形となった「荷」は、いつしか曹正の中で「守るべきもの」となっていたようだ。


 それが悪い訳ではない。

 人それぞれに「弱さ」の定義は様々であろうが、守るべきものが、それを得た「弱き者」を成長させる糧となった、という話は巷間に満ち溢れている。


 しかし、一方で「守るべきもの」は、それを背負う者の足を(すく)ませもする。

 妻子ある武官が、己を害そうとする敵に立ち向かえなくなるように。

 地位を得た文官が、人事を司る者に意見できなくなるように。


 そして、独り立ちしようと旅に出た商売人が、あれやこれやと理由を並べ、いつまでも落ち着き先を決められなくなるように。


 商いをするのであるから「より良い場所で」「より良い店で」と考えるのは、何もおかしい事ではない。むしろ、商売人としてはそれが普通だ。


 ただ、高望みも選り好みもせずに落ち着き先を探していたつもりの曹正が、今になって道中を振り返ってみれば、随分と細かい事に拘って長々と旅を続けたものだ、と自虐の念を抱かずにはいられない。


 一度の失敗で進退が窮まってしまうような、微々たる元手しかなかったのならまだ分かる。

 そうした背水の境遇が、時に商いを成功に導く原動力となる事も確かにあるけれど、それはそれとして、場所や店構えの些細な不満には目を瞑り、とにかく自分の力を試してみれば良かったのだ。

 上手く商いが軌道に乗ればそれで良し、やるだけやって駄目なら、その時はそこで得た反省を次への教訓とすればいい。それが許されるほどの十分すぎる元手が、曹正にはあったのだから。


 今や曹正の手元に「守るべきもの」はどれほども無い。

 が、今は無きその「守るべきもの」を守ろうとしたからこそ、曹正は竦んだ足でこの地まで至り、結果として「今」を招いてしまったのであるから、何ともやるせないと言うか、もどかしい話だ。

 そしてまた、董博から「心に留めておけ」と刺された釘を、荷を奪った側の崔道成が思い起こさせたというのも、これまた曹正にとっては皮肉と言う他ない。


「…いいのかぁ~?」

「ああ、哥兒の言う通りだよ。荷は無くても、頑張れば故郷の期待に応える事は出来るけど、命を落としちまったら元も子もねえからな。ま、この先もし千載一遇の機会でもあれば、あの寺に乗り込もうって気になるかもしれねえけど」


「守るべきもの」は失っても、それで「応えるべき期待」までをも失った訳ではない。


 遠く恩州へ向かうには路銀が心許なく、訪ねたからといって、必ず武二郎に会える訳でもなければ、会えたからといって、助力を得られる保証がある訳でもない。

 沂州への路銀は足りそうだが、仮に李二郎の助力を得られたとしても、命を預けるには不安が残る。

 二人で寨へ攻め入るのは尚、命の危険が大きく、頼れる者を莱蕪(ここ)で待っていても、手元の金はほどなく尽きる。


 金も命も、今ある分だけで期待に応えなければならないのだ。そんな一か八かに賭けている場合ではない。


 まあ、どこぞの仙女サマからは鼻で嗤われるような理屈なんでしょうがww


「ハッ、今その気になれねえような奴に、千載一遇の機会なんか訪れる訳ねえだろうが。後で存分に後悔しやがれ」

「うるせえ。って事で、さっきの話に戻るけど、哥兒はこれからどうするつもりだ?」

「おいらは鄆州の知り合いを訪ねるつもりだぞぉ~。元々ぉ、そのつもりで旅をしてたんだけどぉ、途中で山に迷い込んじゃったからさぁ~」

「そっか…」

「小哥はどうするつもりだぁ~?」


「ん~…」と一つ唸って、曹正は腕を組む。


「すぐにすぐは開封に戻りづれえし、つって、この辺りに頼れる知り合いもねえし…ま、何にせよ元手が無けりゃあ、店なんか持ちようがねえからな。どっかで雇ってもらって、地道に銭を貯めるトコから始めるかな」

「んん~、それがいいぞぉ~」

「お!そういやぁ…」


 曹正は何かに思い至った。

 いや「思い至った」と言うよりも「思い立った」と言った方が正確か。


 曹正の歩む双六のマスは、鄆州から直接(・・)北へ抜け、丁度、泰山を囲むようにぐるりと巡って今、この莱蕪県。

 そして、次なるマスは──


「この前、鄆州を出た時、泰山で願掛けでもしようかと思ったんだけど、結局、行かなかったんだよなぁ。商家も多くて栄えてるみてえだし、取りあえず行ってみっかな。働き口も莱蕪(ここ)よりは見つかり易そうだし。哥兒も一緒に行かね?鄆州行くなら通り掛かりじゃん」

「小哥ぁ~」

「…?何?」

「新天地を探す旅の途中でぇ、泰山の府君(ふくん)(※2)と娘娘(にゃんにゃん)(※3)に喧嘩を売ったらぁ、上手くいかないに決まってるぞぉ~」

「いや、人聞きが悪すぎるよ!?別に喧嘩なんか売ってねえって!ちょっと寄る気にならなかったってだけで…」

「小哥の不運も納得だなぁ~」

「えぇ~…何?今これ、俺の所為なの?神罰のエグみがヤバ過ぎるんですけど…」


 寒気立つような、不貞腐れたような顔で曹正は愚痴を零す。

 そして、立ち上がると、そのまま「厠に行く」と室を出た。


 その様子を暖かい目で見ていた宋万とは対照的に、崔道成は憮然とした表情を浮かべている。


「おい。『鄆州の知り合い』ってなぁ、前に言ってた梁山(りょうざん)の二席の事か?」

「そうだよぉ」

「止めとけ止めとけ。知り合いだか何だか知らねえが、梁山(あそこ)の頭は狭量だの器が小せえだの、(ろく)な噂が聞こえてこねえじゃねえか。そんな奴に膝を折ったからって何になるってんだ」

「そうだけどぉ、他に頼る宛ても無いしぃ~」


 僅かにムッとしたように、宋万は視線を返す。


「そう言う監寺はこれからどうするんだぁ~?もし一緒に行くならぁ、寨主に引き合わせてもらえるよう、義弟(おとうと)に頼んでもいいぞぉ~。受け入れてもらえるかどうかは分からないけどぉ~」

「何だ、梁山まで背負ってってくれんのか?」

「医者からここまで来れたんだからぁ、杖で歩いてよぉ~。路銀も自分持ちだぞぉ~」

「無一文だ、っつってんだろうが!」

「托鉢でも何でもすればいいでしょ~」

「ハッ、つれねえ野郎だ。大体、相手は江湖の笑いモンみてえな野郎じゃねえか。わざわざ(いて)え足を引き摺ってまで首を垂れに行こうなんて、更々思えねえな。御免だよ、俺は。好き好んで戴いてる奴らの気が知れねえわ。それより、どうだ?俺と組んで、どっかの寺でも乗っ取りゃ──」

「やらないよぉ~」


 即答ww


 宋万は明らかに気分を害したと分かる表情と、剥き出しの嫌悪を込めた視線を崔道成に向けると、


「足が不自由だからぁ、おいらをコキ使ってぇ美味しいトコだけ頂こうって魂胆だろぉ~?監寺があの寨主の下につく気が無いって言うならぁ、おいらだって監寺の下で働く気は無いぞぉ~。それにぃ…」

「何だよ?」

「おいらの義弟(おとうと)好き好んで(・・・・・)あの寨主を戴いてるんだぞぉ~。それを鼻で嗤われてぇ、一緒に組む訳ないだろぉ~!?」

「…っ!!」


 思わず、得も言われぬ音が崔道成の喉から洩れた。


 元々、崔道成が宋万に「アニキ風」を吹かせていたのは、崔道成の方が鄧虎に従っていた時間が長いという、ただただそれだけの理由であって、宋万もその関係を受け入れてはいたけれど、人柄も体格も、そして武芸の腕前も、取り立てて崔道成に劣っていたという事では決してない。


 すでに寨を抜けた今、宋万が崔道成の下風に甘んじる理由はなく、とはいえ、途端に横柄な態度になるのも気が引けると、ここまで気を遣っていただけだというのに、それも弁えず、無遠慮に宋万の癇を逆撫でするような減らず口を叩いた崔道成は、うっかりにしても度が過ぎる。


 何にせよ、これまでに見た事のないような宋万の険しい顔に、崔道成の肝は一瞬で縮み上がってしまった。

 今の今までイキがっていながら、何とも情けない事だ。


「あ、ああ、そうかよ。じゃあ、勝手にしやがれ!」


 それでもどうにか虚勢を張り、分かりみ溢れる捨てゼリフを吐いて立ち上がった崔道成は、足を引きずって室を出た。そこへ、入れ替わるように曹正が戻る。


「何だ、あいつ。出てったのか?」

「ああ~」

「ふーん。足が治るまで付き纏われんじゃねえかって、気が気じゃなかったんだけどな。ま、どっか行ってくれる分には文句はねえ…いや、あるわ。あの野郎、飯を食わしてやったっつーに、すれ違って礼の一言もありゃしねえ!」

「放っとけぇ~。そういう人なんだからぁ~。イライラするだけ損だぞぉ~」


 溜め息を零す曹正を宋万が宥め、食事を済ませた二人は、翌日に備えて早めに床に就いた。


 片や崔道成はその日の内に莱蕪県を発ち、行方を晦ませる。

 後に宣言通り別の相棒と組み、とある古刹を乗っ取る事になるのだが、そこへ旅の二人連れが訪れて──というのは、また別のお話(・・・・)

※1「恩州」

現在の山東省徳州市西部と河北省衡水市南部、同邢台市東部一帯。

※2「泰山の府君」

道教における泰山の神。泰山府君。正式な尊称は「東岳泰山天斉大生人聖大帝(或いは「東岳泰山天斉人聖大帝」)」。俗称に「東岳大帝」「仁聖大帝」など様々。由来には中国神話の伏羲や盤古、或いは『封神演義』にも登場する黄飛虎など諸説ある。人の生死を司るとされ、歴代王朝において祭祀が執り行われてきた。『水滸伝』では『天斉聖帝』や『仁聖帝』などと称されている。

※3「(泰山)娘娘」

道教における泰山の神。碧霞元君(へきかげんくん)。「北(の)元君、南(の)媽祖(まそ)(海神)」と謳われるほど広く一般に浸透しており、道教で用いられる尊称の他、一般に「東岳泰山天仙玉女碧霞元君」と尊称されている。「泰山娘娘」は俗称で、他にも「泰山聖母」「天仙聖母」など様々。とりわけ華北では西王母(せいおうぼ)(第五回「仙女さまと道士さん」後書き参照)にも劣らない信仰を集めていて、中国史上、特に大きな影響を与えた神仙の一柱とされる。健康長寿、商売繫盛、子孫繫栄など、およそ人の営みに関しては大抵の事に御利益があるという、とってもありがたい女神様。『水滸伝』では『碧霞君』などと称されている。

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