苦手ってか嫌い
明くる朝、爽やかな空気と優しい鳥たちのさえずりの中、目を覚ました曹正が見上げてみれば、かれこれ3日は御無沙汰していた、抜けるような蒼天が木々の隙間に覗いている。
凭れていた木から身体を剥がし、立ち上がった曹正は大きく伸びをしながら深呼吸を一つ。
寝惚け眼を擦りつつ、未だ眠りこける二人に憚り、小用を足しにその場を離れた。
やや開けた場所で立ち止まり、用を足す間、視線を先に向けてみれば、峠を一つ二つ超えた辺りであろうか、雄大に聳える濃緑の峰が朝日を背に負っている。
「小哥ぁ(曹正)、早起きだなぁ~」
「いや、哥兒(宋万)だって起きてるじゃねえか。てか、起こしちまったかぃ?」
「そんな事ないよぉ~」
常にも増してのんびりとした口調の宋万も、うつらうつらと目も開かない様子で曹正の横に並び立つ。
「…デカっ!?!?」
「んん~?小哥だってそんな気にするほど背は低くないぞぉ~」
「あ、ああ、そうそう、背がね。いや、改めて見るとやっぱデケえなと思ってさ。背が、ね…」
曹正さんよ。
身体の造りってのは持って生まれたもんだから。別にデカけりゃいいってモノでもないし、比べるモノでもないしさ。
気にしたら負けだ。
それに身体がデカけりゃ、大体あちこち自然とデカくなるもんだよ。
いや、ほら、手とか足とかナニかとね。
だからまあ、えーっと…ドンマイ?
「あ、あーっと、ところで、あのドデケえ山は何か名前ついてんの?」
「あれは魯山だぞぉ~」
「へぇー…ん?魯山…魯山…どっかで聞いたな…あ!」
須城の宿屋だね。
「青州が淄州の東だろ…でもって、確か兗州の莱蕪県から魯山の裾を北東に抜けると青州領に入れるって話で、今、俺が魯山の西に居るって事は…」
青州と淄州を隔てる南北に連なった峰々を、西から東へまっすぐ突っ切ろうとしていたはずが、いつしか真南に向かって突き進んでいたようだ。
「道理で歩けど歩けど山を抜けらんねえ訳だ…」
まあ、仕方ないよね。
これが双六の一マスか、単なる不運かはさておきとして、どっちにしろ自業自得みたいなモンだしさ。
以後、気を付けなはれや。
「それで?こっから目指す兗州まで、まだまだ歩かなきゃなんない感じ?」
「そんな事ないよぉ~。もう兗州との境は越えてる筈だからぁ、山を抜ければ莱蕪の県城はすぐだよぉ~」
「おお、そりゃ朗報だ。こんなトコとはとっととオサラバしちまおうぜ」
「けどぉ、監寺(崔道成)はまだ寝てたからなぁ~」
「そんなモン、そっちの方が好都…ゲフン、えーっと、ホラ、奴も足が痛んで昨夜はなかなか寝付けなかったみたいだし?折角ぐっすり寝れてんのを、わざわざ起こしちまうのも申し訳ねえし??ここは一つ、俺らだけで先に行っちまうってのも…?」
寝付けなかった原因を作った張本人が何を言っているのかね?
ま、崔道成さんの自業自得と言おうか、曹正さんの正当防衛と言おうか、って感じではありましたが。
「またそんな事言ってぇ~。ここまで一緒に来たんだしぃ~」
「いや、ホラ、気持ち良く寝かしといてやるのも、一つの優しさ的なアレかなーって…」
「置き去りにする方がぁ、ずっと申し訳ないでしょ~?」
「…ですよねー」
心なし、曹正さんが心の底から残念そうなのは、まあ気のせいという事にしておこう。
二人して戻ると、曹正は文字通り崔道成を叩き起こし、ギャンギャンと文句を垂れる崔道成を宋万が宥めて背負い、莱蕪県を目指して山を下り始めた。
宋万の言う通り、木々の途切れた所で下界を覗いてみれば、田畑広がる長閑な景色にポツンと佇む莱蕪の県城までは、もうあとどれほどもない。
疲れた身体に鞭打ちながら歩を進め、ほどなく三人は山を抜ける。
視界の端から端まで木々に囲まれる景色から3日ぶりに解放された曹正は、感慨もより一入、といったところだが、それをひとまず堪えて三人が県城に入ったのは、南中よりもかなり早い頃合いだった。
取るものも取りあえず、まずは医者を探して崔道成をポイ捨…いや、預けて診療代と薬代を渡し、朝から水しか口に入れていない二人は、とにもかくにもと手近な酒家に飛び込んだ。
昔から『謾りに沽酒を愁う事なかれ、嚢中、自ずと銭は有り』(※1)とは言うけれど、或いはまた『酒は到らず墳上の土』(※2)とも言うけれど、今の二人を前にしては何をか言わんや、まるで懐に千金でも潜ませているかのような勢いで酒と肴を注文し、まるで今生の飲み食い納めでもあるかのように、とにかく酒でも肴でも、運ばれてきた物は片っ端から口の中へと放り込んでいく。
会話も忘れて一頻り飲み食いすると、人心地のついたところで、二人は揃って満足気な溜め息を大きく一つ零し、互いに顔を見合わせて呵呵と笑い合った。
頼んだ物を全てを平らげ、勘定を払おうとする宋万を押し止めて曹正が支払いを引き受けると、見るからに御機嫌な様子で二人は店を出る。
空きっ腹に詰め込んだ事もあったのだろうが、往来を行く二人の足取りは、これぞ絵に描いたような千鳥足、といった按排で──
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酔鬼酔蛹(※3)、興高采烈(上機嫌)と往来に縦横す。
進みて左右に跌々撞々と、将に双蟒(※4)の野を行くが如く、止まりて前後に揺々晃々と、正に楊柳の微風を受くるに似たり。
可惜、壮子の天運は莱蕪に未だ開けず。
『身命は浮梗の如くして、功名は転蓬に帰す』(※5)。
然るに知己を得て意気は揚々、心中の大志を洪亮に壮語す。
『他年、若し志を得れば、山東に名を馳せるを得ん』(※6)と。
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真っ昼間っから正体を無くしてヒャッハーしている酔いどれなど、関わったら最後、碌な目に遭わないのは目に見えているから、道行く人々も全くの無視を決め込むか、精々眉を顰めて遠巻きにすれ違う程度であったが、そんな反応も呑んだくれどもにはどこ吹く風で、周囲の冷ややかな視線も何のその、覚束ない足取りに陽気な顔を引っ提げて気ままに往来を行く。
どうにか宿を探し当て、湯を頼んで身体を拭くと、さっきまでの威勢はどこへやら、二人の口からは次から次に生欠伸が出始め、拭き終わる頃には目を開けているのもやっと、という有り様である。
二人で這うように一つの寝台に上がり、船を漕ぐように足を洗うと、頭の位置を互い違いにして、あっという間に夢の世界へと旅立ってしまった。
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「…さん!…お客さん!」
「…ん…んん…」
戸を叩く音、呼び掛ける声がする。
最初にそう気付いたのは曹正だった。
「何だよ、うるせぇなぁ…」
微睡の中、身体も起こさず、ただ頭だけを動かしてチラと戸を見遣った曹正であったが、シカトを決め込んで目を閉じてはみたものの、声と音は一向に止む気配がない。
「…だぁーっ、うっせぇ!分かったよ、ちょっと待て!」
ガバっと身体を起こした曹正は、壁側から宋万を跨いで寝台を下りようとするのだが…
──ドンガラバッシャーン!
「お客さんっ!?どうかしました!?」
「痛っつつぅ…」
何と言っても宋万は2mを超える巨体である。
まだ酒が抜け切らず、寝惚けていた事もあったのだが、宋万一人でも狭い寝台に、みっちりキュウキュウで寝ていたのも忘れ、曹正が何気なく手から宋万の身体を跨いだその先に──寝台は無かった。
そのまま床に転げ落ち、これまた運の悪い事に、そこには寝る前に足を洗った桶が…
「痛てて…何だよ、一体」
「あぁ、すいませ…うわぁ!?」
まあ、部屋の中からビショ濡れの客が出てきたら、そりゃあ驚くよね。
「…んん~、どうかしたかぁ~?」
遅れて宋万が目を覚ました。
「ああ、いや、何でもねえ。何か宿の若えのが呼んでたからさ」
「そうかぁ~…小哥ぁ~」
「何?」
「暑いのは分かるけどぉ、水浴びは外でしなきゃダメだぞぉ~」
「…ああ。次からそうする」
天然なのか嫌味なのか、呑気にそう告げた宋万に、曹正はじっとりとした視線を返す。
幸いにも湯はすっかり冷めていて、曹正が火傷を負う事もなく、却って酔い覚ましの行水にはもってこいといったところ。
ビショ濡れの上衣を一旦脱いで、曹正が宿の作男から話を聞いてみると、何やら足を引きずった男の僧が、二人を捜しに訪ねてきていると言う。
といって、曹正には縁も所縁もない地であるし、相手が僧侶とくれば、思い当たる節は一人しかない。
「それ、人違いだな。そいつが捜してんの俺らじゃねえよ」
「会ってもいない内から!?」
「だって心当たりねえし」
…ない訳なくない?
「いや、でも、お二人の事だと思いますよ?『二人連れで、一人は30歳前後の雲を衝くような大男、もう一人は20代半ばで中背の男』って言ってましたから。お二方はピッタリじゃないですか」
「バカ言うな。そんなありきたりな二人連れなんて、この大宋国中に腐るほどいるよ」
「まず、雲を衝くような大男を腐るほど見た事ありませんけど!?とにかく、もう『ウチにそれっぽい二人連れが居る』って言っちゃいましたから。会うだけ会ってみて下さいよ」
「つってもなー、俺も今こんなだし。そんな坊主の事より、まず何か拭くモン貸してくれよ」
「…あ!そうですね、ちょっとお待ちを…」
そう言って曹正は手拭いと雑巾を借り、宋万と作男の三人で一頻り部屋を片付ける。
粗方となったところで、
「いやー、すまんすまん。悪いな、手伝ってもらっちゃって」
「いえいえ、これも仕事の内ですから」
「次から気を付けるよ。御苦労さん」
と、曹正は爽やかな笑顔で作男を追い返そうとするのだが、
「じゃあ、表の和尚さん、お通ししますね?」
「チッ、覚えてたか…」
「忘れませんよ!?濡れたままじゃ確かに申し訳ない、と思っただけで」
「取りあえず『他の宿をあたってみろ』って追い返したら?」
「『ウチに居る』って言っちゃったのにですか!?それに、もう他の宿は全部回ってきたって言ってましたし…」
その後も、どうにかやり過ごせないものかとグズグズ駄々を捏ね続けた曹正も、その内には捏ねるネタも出尽くして、そこで万事休す。
宋万にも宥められ、渋々部屋に通すよう作男に伝えれば、案の定、曹正が思い描いていた通りの男が案内されてやってきた。
「やっぱ居んじゃねえか!いつまで待たせんだ、テメエら!」
「チッ…オショウサン、オハツニオメニカカリマス。ドナタカトカンチガイナサッテルヨウデスガ、ヒトチガイデスヨ?デハ、ゴキゲンヨウ」
「この野郎…見ず知らずを装ってんなら、会って早々、舌打ちくれてんじゃねえよ!」
「うるせえなぁ、入ってくるなり…こっちも色々と立て込んでたんだよ」
「大体、医者んトコに置いてくにしたって、もうちょい清々、金を置いてきゃいいだろうが!満足に釣りも出ねえような、はした金だけ置いてきやがって!」
「当たり前じゃねえか、医者に見繕ってもらってキッチリ置いてったんだから。山から下ろしてやって、医者代までこっちで持ってやってんのに、贅沢言ってんじゃねえよ」
「やっぱり顔見知りだったんじゃないですか…」という無言の抗議を、冷ややかな視線に込めて送る作男を下がらせ、熱り立つ崔道成の抗議も素知らぬ風に、曹正は干した上衣の乾き具合を確かめようと窓に寄る。外は早、宿に入った時に高かった日も、だいぶ傾いていた。
その後もブチブチと文句を垂れる崔道成に、げんなりとする曹正であったが、上衣がまずまず乾いたところでそれを羽織ると、
「てか、あんた何しに来たんだよ?」
「人の話を聞いてねえのかテメエは!こっちは無一文なんだよ!」
「んな訳ねえだろうが」
「ああ!?」
「鄧虎の野郎がバラ撒いてった銭が、あんたを拾った辺りだけ、綺麗さっぱり失くなってたじゃねえか。どうせ俺らが関に向かってその場を離れたところで、あんたが懐に入れちまったんだろ?」
バレてーらww
「チッ…あんなモン、とっくに飯と酒に消えちまったわ!」
「知るか。人の金を清々くすねた挙げ句、くすねた金の持ち主に飯を集ってんじゃねえよ、図々しいな」
「まあまあ、小哥ぁ」
さすがに埒が明かないと、見兼ねた宋万が割って入った。
「取りあえずぅ、軽く何か食べようよぉ~。腹が空いてるとぉ余計に気が立つからさぁ~」
「んー…つっても、俺まだそんな腹も減ってねえんだけどなぁ」
「そお~?おいらもう空いてきちゃったんだけどぉ~」
「まあ、そんだけガタイがデカけりゃあな」
「監寺も一緒に食べてけばいいよぉ~」
「ああ」
「でもぉ~…今日だけだよぉ~」
「…チッ、分かったよ」
竈を借りて自分達で作っても良かったのだが、疲れていた事もあり、宿に頼んで「金は宿代と纏めて払うから」と、近場の酒家から酒と肴を適当に買ってきてもらう事にした。
暫く待って酒と肴が届けられ、三人で卓を囲む。
酒を喉に流し込みながら口を開いたのは曹正。
「さて、これからどうしたモンかねぇ」
「小哥がどうしても荷を奪い返すつもりならぁ、おいらも付き合うけどぉ~?」
「あー…」
「…?」
「ああ、いや、荷を奪い返してえのは山々なんだけど、あの関がなぁ…」
曹正の言う「これから」というのはその事ではない。
実はすでに曹正の肚は八割方決まっている。とはいえ、八割と残りの二割は表裏の関係であるから、それについても今ここで結論を出さなければ、八割が十割になる事はない。
しかし、山を下り始めてからずっと考えている「荷を奪い返す手立て」が、どうにも曹正には思い浮かばない。
曹正と宋万の二人で二の関に乗り込み、首尾よく鄧虎や息子の鄧龍辺りを人質にでも取れれば、身柄と引き換えに金を奪い返せる可能性もあるだろうが、いきなり乗り込んだところで、どちらかが関にいなければお話にならないし、出張ってくるまで延々と山中に身を潜めている訳にもいかない。
結局のところ、自力で二の関に乗り込む計画では、単に二の関を制圧するだけでなく、一の関を自力で破る算段までつけておかなければ、策としては使い物にならない。
さりとて、崔道成の案に乗るにしても、曹正と宋万だけでは為し得ない。他力を宛てにする事自体は曹正も吝かでないが、全幅の信頼を寄せられる相手でなければ話にならない、その「他力」を確保する目途が、どう頭を捻っても思い当たらないのだ。
「やっぱ、どうにかして自力で関を破る手を考えるしかねえかな?」
「う~ん…」
「お?何か思い当たる節が──」
「無いよぉ~。昨日も言ったけどぉ、二の関の上にならぁ見張りが使ってた小道で行けるけどぉ~」
「見張り…あ!」
そこで曹正は思い当たる。
「そういや、山を登ってる途中で何か気配を感じたんだよなぁ」
「たぶん、それが見張りじゃないかぁ~?ただぁ、一の関はホントに抜けられないぞぉ~。見張りも関門を通ってたからなぁ~」
「そっか…」
「道じゃないところを無理して登ってもぉ、一の関より上に出れる保証は無いしぃ、二の関より上は山肌も急だからぁ、崖を登ってくみたいな感じになっちゃうぞぉ~」
「だから言ってんだろ。正攻法じゃ無理なんだよ」
大皿の牛肉を一切れ口に放り込みながら、崔道成はそう嘯く。
自力での正攻法を散々考え尽くした曹正は、さも苦々しげに椀を呷り、
「鎗でも剣でも刀でも、天下に名の知れた使い手ならあと一人、それなりの使い手なら最低でもあと二人は欲しいトコだけど…つって、金や命を惜しむような奴には命を預けらんねえしなぁ。誰かこの辺りで頼りに出来そうな好漢の噂を聞いた事ねえ?」
「堅気の生業じゃなくてぇ、何処の寨にも属してない人でしょお~?この辺りじゃ聞かない…あ」
「…おっ!?」
何か思い当たった風に声を挙げた宋万は、しかし、なぜか気まずげにモゴモゴと口籠っている。
その様子に、崔道成は微かな冷笑と共に酒を呷った。
※1「謾りに沽酒を愁う事なかれ~」
『唐詩選(五言絶句 賀知章「題袁氏別業」)』。原文は『莫謾愁沽酒 嚢中自有銭』。訓読はほぼ本文の通り。「沽」は「買」の意。「酒を買うのに、いちいち(銭の)心配なんかしなさんな。大概、懐を探ってみれば(酒代くらいの)銭は有るもんだよ」。呑んべえの詩。現代でこんな事を言ったら、コンプライアンス的にちょっと問題がある。アルハラ、ダメ、絶対。
※2「酒は到らず墳上の土」
『古文真宝(長短句 李長吉「將進酒」)』。原文は『歡君終日酩酊醉 酒不到劉伶墳上土』(「歡」「醉」は「勧」「酔」の旧字)。訓読は『君に歡む、終日酩酊するほどに醉え、酒は到らず劉伶墳上の土』。「墳」は「お墓」。「劉伶」は「竹林の七賢」の一人。大酒呑みとして有名で『水滸伝』でも第9回や第29回などで名前が挙げられているが、死後、その墓に酒を注いでくれる人がいなかった、という逸話がある。「さあ、今日はもうベロベロになるまで飲みなさい。あの(酒好きな)劉伶でさえ、死んでしまえば酒にはありつけないのだから(生きてる内に飲めるだけ飲みなさい)」。呑んべえの詩。現代でこんな事を言ったら、コンプライアンス的に問答無用でアウト。ちょっとどころじゃない。アルハラ、ダメ、絶対。
※3「酔鬼酔蛹」
造語。「酔った鬼と酔った蛹」。「鬼」は「操刀鬼」。「蛹」は方言ながらも異名が「金剛」である事から「雲裏金剛」。つまり「酔った曹正と宋万」。
※4「双蟒」
「蟒」は「大蛇」。「二匹の大蛇」。また、日本語の「蟒」には「大酒呑み」の意もある。
※5「身命は浮梗の如くして~」
『水滸伝(第11回)』。原文は『身世悲浮梗 功名類転蓬』。八句五言詩の第五句と第六句をアレンジしたもの。ちなみに、詩の詠者は林冲。
※6「他年、若し志を得れば~」
『水滸伝(第11回)』。原文は『他年若得志 威鎮泰山東』。上(※5)と同様で第七句と第八句。