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Aルート

***



【愚は自覚できない状態であり、賢は意志と行動の結果に過ぎない。いずれにしても、哀れなものだ】



***



「……っ」


荒野で覚醒し、彼は舌打ちした。


朦朧とした頭を振って、意識を確立する。


「?」


彼にとり、見覚えの無い風景だった。

直前まで居た23区内某所とは、ほとんど共通点がない場所である。


「タカハシっ! ヤマザキっ!」


戦友の名を呼ぶも、人の気配すらない荒れ果てた風景。


「まさか4回目の核攻撃が!?」


彼は呟くも、すぐにその可能性を否定した。

4回目の核攻撃を受けていたら、さすがに生き残っていないだろうと「合理的」に判断した。

彼が少しでも実在する神の存在を知覚できていたら、合理性などという戯言を信仰することは無かっただろう。


この場がどこか分からぬまま彼は立ち上がり、そして荒野を歩き始めた。



***



【可能性があると思い込むのは、人という存在の最も愚かで悲しい性質である】



***


「どこなんだろうか……」


彼に独り言が増えてきた。

もう2分に1回は何かを呟いている。

1見するとただの荒野に過ぎないが、なんとなく彼は察し始めていた。


「ここは……見覚えはないが、何か……」


そこで呟きが途切れ、彼は釈然としない表情のまま歩を進める。


***



【そして、人は……】



***


彼が最初にここで覚醒してから星は何度瞬いたろうか。

既に彼はいない。

存在しない。

同時に、彼だった物質は今も実在する。


再生は滅びであり、滅びは再生であり、万物は流転し、また流転し続けるのだ。

何かを得たとしても、必ず失うのが宇宙の摂理である。

何かを失っても、必ず得るのが摂理である。


ただ摂理のみが、全てを照らし続ける

他に、有り続けるもの無し。



完。

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