告白
「母さんとお父さんがいなくなって寂しい?」
咲が聞いた その瞬間何の話か分かったような気がする
私はずっとまえから知っていたんじゃないかしら日向は思った
この広い家の廊下の途中のセメントで塗られた部屋を思い出した
「いいえ」落ち着いて言った
咲はすべてを話し出した 日向は猫を抱いたまま黙って聞いた
お母さんはどこかに行こうとしていた お父さんは毎日私たちに怒鳴っていた
「ねえ、私には何もできなかったわ」咲は言った
「そうよ あなたは中学生だったのだもの」
「でもね いつも考えていたの 私たちは表向きはすごく幸せな家族で小さいときはとてもかわい
がってもらったわ
でも勝手に体は成長する どう考えても3、4歳の時より中学に上がってからのほうが悩みは多いと思
うし 体が大きくなったらといってすべてを手放してしまうなんておかしい」咲は言葉を切った
そしておもいつめた顔になって言った
「いつも思ってたの あの人達は夢見ごごちで狂っているけれどうまく周りを欺いている
そして一番無力の私は悲しくとも正気でそれを見ているしかない でも私はそんな役にはあきあきしたわ」
そして日向のほうを振り返った
「でも もう 今までみたいに役立たずじゃないとなくなるとおもうわ」
それから日向が知らなかった
想像もつかなった話を切り出した