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巡航

 もう 言葉は通じなかった


 女神のような優し気な女は自分の背に飛び乗って首を絞めようとしている


 振り返って黒目が大きくなり鼻孔が開き髪を振り乱してなにかを言っている


 渾身の力で振り払い自力で縄を切ったイムが自分の手を取った


  それから無我夢中で走った


 タイマツが焦げる匂い 暑いひどく暑い突然イムが雷に打たれたように固まっ


てそれから倒れた


  何が起こったのかわからずかがみこむと叫ぼうとしていた口から矢尻が出ていた


 もう完全にこと切れて即死だったのは間違いない


耳の近くに空気を切り裂く音が響いた


 悲しんでいる暇はなかった


 道は下り坂になっていて涙で濡れている眼には二十写しになったが生い茂った


木に隠れて全力で走った


 ボートを出すと浜辺でいつまでも喚き声が聞こえた


 ここは楽園ではなく地獄だった


振り返ると本当に小さな島だった


 


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