表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/56

第40話 ~P×Pバトル・後半戦《JunVSMs.ブシドー》

感想の返事は後ほど。


後半戦は、三つに分けます。


最初はJunさん。


一瞬で終わらせない為に、途中にレベリング話を軽く入れました。

「チェストォォォォッ!!」


ブシドーの重い攻撃が私に襲い掛かるのですが、この私には通用しません。通用しないのですが、


ギィィィィィィィィィン!!


衝撃は剣を通して、体に響くんですよね。ダメージは無いのですが、スタミナは削られていくんです。・・・これって、通用していることになるのでしょうか?これ以上、受け続けるのは危険ってわけなのでしょう。ですが・・・、


「はちょーっ!」


ギャリィィィィィィィン!!


力重視のブシドーですが、速さと技にも長けているようです。鋭い一撃を、的確に放ってきます。ティルさんの剣でなければ、受けきれなかったと思います。それどころか、破壊されるでしょうね。それほどの一撃なんですよ?彼女の攻撃は・・・。


全てを受け止めてきましたが、そろそろ限界でしょうか?流石にキツいですね。それに・・・、


「何故反撃をしないのだ!私が望むは全力、全てを出し切る戦いだ!手を抜くというなら、今以上苛烈に!鮮烈に!貴様を追い込む!!」


ブシドーが怒りを滲ませ、攻撃を激しくしてきましたし。別に手を抜いているわけではないのですが、そうとられても仕方がないのでしょうかね?まぁ私としましても、そろそろ攻めに転じようかと思っていましたし。ブシドーの剣筋も大体、掴めてきましたしね。


「手を抜いてはいませんよ?ブシドー。・・・確かめていただけです、貴女の攻撃を。望まれているみたいですから、これより・・・攻めます!」


受けの体勢から攻めの体勢へ、私の連撃に付いてこれますか?ブシドー。


攻められ続けていたわけですが、今は逆に攻め続けています。先程の動きを確かめるように、時折放たれる攻撃を紙一重で避け、こちらは一撃一撃、徐々にスピードを上げていく。


「攻勢に出ることが出来ん!・・・見切られているのか、この私が!うぬぅ・・・、先程の守勢は見切る為に!?」


仮面で表情を窺うことは出来ませんが、動きと声で焦りを募らせているのが分かります。流れるように地を駆け、舞うように攻撃を、手数を増やしていく私は、剣舞を披露する舞姫のようです。・・・ごめんなさい、自惚れました。恥ずかしさを紛らわすように、更に手数を増やして誤魔化します。


「ぬぁぁぁぁぁぁっ!!手足も出なくなった!」


焦りから、悲鳴に変わったブシドー。この連撃は、ティルさんとのレベリング・P×Pバトルにて習得しました。それに、奇襲で力を発揮した剣気も。


――――――――――――


ヴェネとの決闘、万が一の為に私はティルさんから助っ人を頼まれました。採掘にハマってしまい、あまり戦闘をしていなかった私。必然的に前線の皆より、LVが下になっていることでしょう。これは不味いと思っていた矢先の誘い、頼られて嬉しいのですが鈍っている私では・・・。正直にそのことをティルさんに告げると、


『採掘ってハマれば面白いからな、気持ちは分かる。・・・そうだな、勘の取り戻し&レベリングでもしようか?助っ人を引き受けてくれるなら、付き合うけどどうする?』


と提案をしてくれ、私は助っ人になることを快諾し、提案にもありがたく乗らせてもらいました。・・・まぁすぐに、後悔してしまいましたけど。


ノーシュ山から戻った私は、待ち合わせ場所であるシアルの街・東門へと足を運びました。東門には既にティルさんが待っており、


「お疲れさん、助っ人の件を引き受けてくれてありがとう。・・・助かるよ。」


と声をかけてきました。久しぶりにティルさんを見ましたが、装備を変えたみたいですね。バルの話ではマフィアっぽいということでしたが、どう見ても行商人にしか見えません。とても似合っていますから、姿のことは良しとしましょう。


「お久しぶりですね、ティルさん。助っ人のことは気にしなくていいですよ、私もヴェネには思うところもありますし。」


採掘を楽しんでいる時にも、バルやクイナから愚痴を聞かされていたりしましたからね。あの娘には一度、ホントに痛い思いをしてもらわなければと思っていましたから。ティルさんの助っ人要請は、渡りに船でした。どうなるか分からないと聞いていますが、高確率で私の出番はあるでしょう。ティルさんもそう思っているからこそ、レベリングの提案をしてくれたのだと思います。


「・・・苦労を掛けているようですまない、・・・ったくアイツは。」


ヴェネのことを考えたのだと思いますが、眉間に皺を寄せていますね。行商人姿なのでソフトではありますが、威圧感は変わらぬようで。・・・私は、苦笑することしか出来ませんでした。


ティルさんが通常モードに戻り、予想は出来ますが予定を聞いてみましょう。


「私事に手を貸してくれるみたいですが、どのような感じでいくのでしょうか?」


「ノーンさんとディジーさんも経験したんだが、森を突っ切るのが一番だと思う。」


・・・マジですか?・・・以前PTで挑戦をして、逃げ帰ってきたことがあるのですが。あのお二人もティルさんに連れられて、深き森へ行ったと聞いていました。それが本当だったとは・・・、大丈夫だったのでしょうか?


「二人はか弱いからな、戦闘は極力避けていったんだよ。途中で、ディジーさんが脱落したし。二人と違って、Junさんは大丈夫だろう。避けずに突破していこうか、サーチ&デストロイ!メインはJunさん、サポートは俺。・・・まぁ余裕だろうさ、Junさんは隊長なんだろ?それに回復薬は多くあるし、回復魔法もあるし、いけるいける。勘を取り戻すどころか、更に強くなるってことは保証出来るよ。・・・そんなわけで、Junさんゴー!」


・・・どうせ私はか弱くなんかありませんよ、しかも簡単にゴー!って・・・、自然とジト目になるのは悪くない筈です。ティルさんは優しい笑みのつもりでしょうが、不適な笑みで『さっさと行け!』と急かしているように見えてしまいます。『従わなければ・・・分かっているんだろうな?アァン・・・!』とも見えますね。・・・そのようなことを言う人ではないのですがね。行くしかありませんよね?やっぱり。私のことを考えてのことですし、これが一番良い方法だと分かりますし。採掘を楽しんでからのハードモード、手厳しい世の中です。そして私は、ちょっとトラウマな深き森へと足を踏み入れた。





足を踏み入れて30分くらいでしょうか?未だ雑木林にいる私。


「・・・せいっ!・・・っぐぅ、こ・・・のぉ~!」


一心不乱にゴブリンと戦い、幾度となく死にかけ、その都度ティルさんに助けてもらいながら、またゴブリンと戦う。休む暇なく襲い掛かってくるゴブリン、倒した数は10体前後、ほぼ一人で戦うハメに・・・。


「・・・はぁ、・・・はぁ、・・・はぁ。まだ来るのですか?いつまで倒し続ければ・・・。」


「後、一〇体はいこうか。・・・いい感じだ、流石だなJunさん。やっぱいいな、ゴブさんを相手にするのは。簡単に数が増えるし、修行に最適だ。短期間でそれなりの強さになる、ゴブさん組手・・・俺の着眼点が素晴らしい。」


じゅっ・・・!?なんという鬼、ティルさんはスパルタのようです。これほど強いのに、ゴブリンはそれなり・・・。私は、早まったことをしてしまったのでしょうか・・・?


ゴブリン組手を終え、次は・・・。


「闇雲に攻めても仕方ないぞ、Junさん。デカイ癖に、大蜘蛛は素早い。気配察知を忘れずに、動きをよく見て戦わないと。・・・糸にも気を付けてな。」


大蜘蛛討伐の助言はくれますが、戦闘には殆んど参加してくれません。上手い具合にヘイトを稼がず・・・いえ、上手い具合に擦り付けてきます。大蜘蛛の攻撃は私に集中、ティルさんはサポートという名の嫌がらせ。スパルタです。


「いやぁ・・・、ほぼ初見でそこまで戦えるとは。腕が鈍っているって言っていたけど、そんなことないじゃないか。あ・・・気を抜いたらダメだぞ、虫だけあってしぶといから。」


ここまで戦えるのは、何だかんだでゴブリン組手のお陰でしょう。気を抜いたら殺られますから、鈍っていると言ってられません。・・・というか、早く私に倒されなさい大蜘蛛!


大蜘蛛を三体倒した後、次は巨大な蛾。正直気持ち悪いですね、助言を期待してティルさんの方へ振り向くと、


「・・・しくじったな、本当にしくじった。・・・避け続けていたのに、遂に遭遇か。ないわー・・・、巨大蛾とかないわ。」


あのティルさんが死んだ目をしていますね、もう一度言いますが死んだ目をしていますね。普通に大蜘蛛と戦っているのに、・・・蛾はダメなのでしょうか?


「蛾は苦手なんですか?・・・蜘蛛は大丈夫なのに。」


「蜘蛛も苦手なんだがね・・・。もし、黄色と黒の蜘蛛だったらダメだわ。蛾もダメだし、毛虫もダメ。・・・あ!この森には毛虫もいるんだった!ヤベーよ、ホントにヤベー・・・!」


頭を抱えてしゃがみ込んだティルさん。規格外のティルさんは虫が苦手(仮)、この事実を知るのは私のみになるのでしょうか?今更、虫に怯えるのはどうなんでしょう。・・・どうでもいいことですね、苦手がどうのと言っている暇はありませんから。


「ティルさん、頭を抱える暇があるのなら戦いませんか?苦手であるのなら、早々に討伐してしまいましょう。倒さねばいつまでも・・・。」


「・・・よーし、殺るか。巨大蛾がなんだというんだ、奴は素材の塊だ。恐れることなど何もない、現に蜘蛛を料理して食べたじゃないか。アイツも食べれば意外と・・・、蛾は無理だな!」


立ち直るのが早いですね、切り替えの早さは見習うべきでしょう。・・・その後の戦いは、私8割ティルさん2割でしたがね。まぁティルさんの意外な一面を見れたのですから、良しとしましょう。


薄暗かった森が真っ暗に・・・、深き森・浅層後半まで来たとのことです。雑木林から逃げ帰ったあの時が、とても懐かしく思います。たった二人、されど二人。二人きりでここまで来ることが出来たのは、やはりティルさんのお陰でしょうね。規格外・・・、そう呼ばれていますがそれ以上に、色々と考えて行動していますね。その色々なことを含めての規格外なのだと、改めて思いました。色々と考えて行動して規格外なのはいいんですよ、・・・いいんですが、


「Junさんも〈気配察知〉があるんだろ?それを使いつつ、見切れば鴉なんざ雑魚だろ。まぁ唐突に現れるから最初は厳しいだろうが、慣れればどうってことない。頑張れ大隊長!」


「そう簡単に言わないでください!察知から見切りをティルさんみたいになん・・・きゃっ!・・・危なかった・・・!」


鴉・・・フォレストクロウでしたか、暗闇からの急襲に避けるのがやっと。見切って討伐、そう簡単に出来る筈がありません。ティルさんのサポートがあるから、多少は安心なのですが・・・安心は出来ませんね。ティルさんにサポート能力があるからこそ、無茶なレベリング・・・ハードモードに陥っているのですから。


「いや、現に凄いと思うんだがな。初見で避けるなんざ出来ることじゃないぞ?Junさんが凄いからこそ、俺は色々と言ってしまう。出来ないことは言わない、出来る可能性があるからこそ言うんだ。俺が言ったら嫌味に感じるかもしれないが、Junさんはハイスペックじゃないかね。」


・・・・・・ティルさんにそう言われると、悪い気がしませんね。やれる気がしてきました、うん・・・頑張りましょう。


幾多の戦いを経て、ここまで来ることが出来ました。感動を表現したいのですが、その暇もなく・・・、


「感動を剣に乗せて、コボルトと戦う私・・・。この場所を抜けた先にて、私は私自身を褒め称えたいですね・・・!っと。次から次へと、熱烈歓迎はもう結構です・・・!!」


流石の私も半泣き状態、通常のフィールドよりエンカウント率が高いです。コボルトを倒しつつズタボロ姿を意識する度、泣きたくなります。戦って強くなり、仲間と共に楽しむことを胸にやってきましたが、これでも女ですので見目は小綺麗でいたいと願っていました。それがこの(ざま)、・・・なんとも悲しいことです。


「連携攻撃が得意のコボルトを、わりとあっさり倒すとはね。着実に強くなってるみたいで安心したよ、まぁその分ボロボロみたいだけど。・・・この戦闘が終わり次第、軽い修繕をしようか。」


ありがたい提案を言っていただきました。激しい戦いの中で、装備もそろそろ危ない感じがしてきましたからね。ダメになる前に直してもらわないと!さぁ、いきますよ・・・!





コボルト達を撃破し、浅層突破手前まで来たようです。ティルさん曰く、ここは安全と言っていますが、


「とても綺麗な花のようですが、私の気配察知によりますと・・・魔物のようですね?」


目の前の巨大な花に魔物反応が・・・。大丈夫なんでしょうか?数も多いようですし、戦いになったら大変なことになりそうですが。


「大丈夫だぞJunさん、何もしなけりゃ無害だから。無害と言っても、浅層のボスと言える程強いが。そんなわけで、雑魚はここに寄り付かない。この花に食われるからな。」


くははははは!と笑って言いますけど、とんでもないことを言いましたよね!?ボスで無害って、どういうことです?・・・そんなことを聞いたら、安心出来ないのですが。しかし突破をしているティルさんが大丈夫と言うなら、大丈夫なのでしょう。なんだかモヤモヤしますが・・・。


「敵意を向けなきゃ大丈夫だって、・・・それよりも修繕だろ?ちょいと失礼・・・。」


モヤモヤしている私の様子を気にしながら、真剣な眼差しを向けてくる。私の装備を見ているのでしょうが、モヤモヤがドキドキになりそうです。徐々に赤くなる私をよそに、グルグルと回って上から下まで見てきます。・・・いつまで見るのでしょうか?


一通り見たのでしょう、そこから出た一言は・・・、


「これダメなヤツだ、・・・直す意味がない程ボロボロだわ。しかも後二、三発攻撃を食らったら壊れると予想する。破損率九八%だからな、・・・直すより装備を変えた方がいい。」


という無慈悲な宣告が・・・。大平原前半の装備でしたからね、ここまでよく壊れずにいたと言えるでしょう。・・・大平原前半とはいえ、ここまでボロボロになるとは。いえ、この程度で済んだことに驚くべきでしょうか?ティルさんのサポートの偉大さが良く分かります。


「残念だが今日はここまでにしようか。本当なら、P×Pバトルの練習に付き合ってもらおうと思っていたんだけどな。それよりも装備を変えないと・・・、不味いことになる。戻ったら俺が作ろう、多少は安くするぞ。」


そういえば、ヴェネとはP×Pバトルでの決闘でしたね。ティルさんはまだ、P×Pバトルをやったことがないみたいです。決闘の為に、どのようなものかと体験ってわけですね?死ぬ思いを幾度となく感じてきた私ですが、今回のことでお世話になったのも事実。P×Pバトルの練習ならば、今すぐにやっても問題はありませんね。


「すぐにでも、P×Pバトルにお付き合いしますよ?装備はその後で十分です。」


と笑顔で言ったのですが、ティルさんは顔を逸らして言いにくそうに、


「だから破損率が・・・。掲示板で知ったことでさ、P×Pバトルの最中に・・・その・・・、下着姿になると思うぞ?・・・装備が壊れて。・・・・・・ダメだろ?それは・・・さ。」


・・・・・・・・・私は何を聞いていたのでしょうか?壊れるから変えようと言っているのに、大丈夫って。下着姿になっても大丈夫って言っているようなものですよね・・・?あぁ~・・・!恥ずかしい、恥ずかしい・・・!!顔を手で覆って悶えてしまいます。どんな痴女ですか、私は・・・!!


――――――――――――


「あぁぁぁぁぁっ!!」


今の強さを入手した経緯を思い浮かべる過程で、・・・私自身の恥ずかしい発言を思い出してしまいました。あれは、装備破損率というものがよく分からなかったからの発言で、100%になったら装備が壊れて無くなるなんて・・・。調べてみれば、その悲劇を味わったのはクーパーという男性PC。その事件から、戦闘・P×Pバトル等で戦う前に生産者の方にきちんと修繕してもらう、ってことが当たり前になったようで。採掘にばかり目をやっていた私が恨めしい。このことが分かっていたら、あのボロボロ状態でP×Pバトルに付き合うとは言いませんでした。・・・本当に恥ずかしい!ティルさんの困った顔が頭をチラつく。うぅ~・・・・・・!


「ぜぇ・・・はぁ・・・っ!何を突然叫び出す!?顔を赤く身悶えて・・・面妖な!」


連撃を止め、身悶えをする私に警戒をするブシドー。・・・・・・・・・いけませんね、このような状態になるとは。常に冷静であれ、をモットーにここまで来たというのに。まだまだですね、私は・・・。とりあえず、恥ずかしいことを思い出す切っ掛けになった、


「ブシドー・・・、貴女になんの落ち度もありません。・・・ですが貴女が思いの外やるから、思い出す切っ掛けとなりました。ですので、今の私に出来ることを本気でやりますから。・・・安心して消えてください、勿論八つ当たりも含まれます。」


剣を構え直して、剣気を高める私。この短い間でも、集中力がどんどん高まります。


「八つ当たり・・・!?何故・・・、理不尽ではなかろうか!?・・・・・・うぅ~、プレッシャー・・・!」


ブシドーが、物凄く狼狽えています。それは駄目ですよ?ブシドー、隙だらけです。これ以上剣気を高めても、この隙を逃すというもの。それに先程の奇襲を思い出しても、あの域に高めるのは過剰。そう考えると、やはり今が好機と言えるでしょう。


この場で使うアーツは、〔連撃連斬〕か〔瞬閃〕のどちらか。どちらも対象が単体ですから、この場を破壊することは無いでしょう。単体攻撃ではありますが、剣気を高めたことから威力は上がっています。それ故に、場を破壊することは無くとも影響はあるかもしれません。影響について考えますが、・・・大丈夫でしょうね。ティルさんとマイスターさんですから、私の一撃で不利になることはありません。あるとしたら、ヴェネかイシュタムでしょうか?・・・いえ、心配は無用でしょう。それぞれの戦闘は、ある程度離れていますしね。そこまでの広範囲攻撃にはならないでしょう、単体攻撃の括りですし。・・・多分、大丈夫な筈です。断言は出来ませんけど・・・。


ブシドーのことを考えて、どちらを使うべきか?・・・そう考えると、〔連撃連斬〕は駄目ですね。正直、余裕で倒すことが可能でしょう。ですが、このアーツはその名が示すように怒涛の連続攻撃を繰り出すもの。失礼ながらブシドー相手に、全ての攻撃を当てることは叶わないでしょう。全てを当てる前に、ブシドーが消えてしまいます。これは断言出来ます。P×Pバトルの練習にて、ティルさんを追い詰めることの出来たアーツなのですから。『このアーツはヤバイな、滅茶苦茶危なかった。・・・自身の高ステータスと装備に感謝だわ。』と言わせるものなんですから。ティルさんがそう言うのであれば、他のPCでは相手になること等不可能。アーツの途中に消えるのがオチ、それでは駄目なのです。不完全燃焼は、心に(わだかま)りを残します。スッキリすることが出来ません、八つ当たりの意味がありませんからね。


そうなると、〔瞬閃〕が良いでしょうね。この〔瞬閃〕、一言で言うなら居合いみたいなモノです。剣を鞘に納めることはせず、居合いの構えを取る。その状態から自身の最大速度で相手に肉薄し、剣気を宿した斬撃を一撃、最大剣速で振り抜くアーツ。剣気をある程度溜め、一瞬の内に自身の速度と剣速を最大にしなければ、ただの斬撃となるアーツ。MP消費量が極めて高く、一つ間違えれば窮地に陥るアーツ。優れた剣でなければ、その刃を打ち砕く諸刃のアーツ。そして、この一撃が相手の命を刈り取る凶悪なアーツ。現段階での評価であり、他の条件があるかもしれない、通用しない相手がいるかもしれない。されど、今の私の最強アーツ。使わない手はないでしょう、派手にいくと三人で決めましたし。見た感じは地味でしょうが、その威力は派手です。一撃死なのですから、・・・上手く決まればの話ですけど。


それになんと言ってもですが、P×Pバトルでティルさんを倒してしまいました。このアーツを習得した時、ティルさんには全然通用しませんでした。その後に検証を色々しながら戦った結果、一度だけですがティルさんを倒してしまったのです。ティルさんから購入した新装備、新しい剣の性能が良かったからだと思います。後は油断でしょうね、現に通用しなかったのですから。新しい剣とティルさんの油断、剣気と自身の限界突破。それらが上手く噛み合っての撃破、というわけです。そのお陰で自信も付きましたし、高みを目指す貪欲さも芽生えました。新たな私の第一歩を、〔瞬閃〕で示す・・・これでいきましょう。


ブシドーを見据えて、居合いの構えを・・・。高ぶる心と剣気が、チリチリと身を焦がすように感じてきました。


「・・・いつまで呆けているのですか?成す術も無く討たれるのがお望みで・・・?」


隙だらけのブシドーに声をかける、多少の嘲りも含めて。隙を突くのは簡単ですが、正面から叩き潰す。そちらの方が、派手でしょうからね。地味さを多少は、払拭出来るでしょう。それを感じたであろうブシドーは、


「・・・・・・!!言われなくとも私は!そう易々と討たれる女では無い!!」


そう叫び、奮い立つブシドー。・・・良い闘気を感じますね、それでこそブシドーです。


「この一撃に全身全霊を懸ける!このブシドー最大のアーツを!その身に刻めぇぇぇぇぇっ!!」


闘気を身に纏い、上段の構えから突撃。その力強さの前に、普通の者ならば怖じ気づくことでしょう。ですが、そのアーツを正面から破ってこそ、高みへの一歩となることは確実!これを破らなければ、ティルさんとマイスターさん、お二人と肩を並べること等出来ない。・・・ティルさんを倒した、それがまぐれではないということを見せましょう!


「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!不動剣!!」


「・・・・・・瞬閃!」








ドゴォォォォォォォォォン!!








ブシドーの一撃が地を穿つ。・・・ですが、そこに私はいません。当然ながら、敗れて消えたわけではありません。地を穿ったブシドーの数m後ろ、剣を振り抜いた状態の姿でここに立っています。手に残る感覚が、確かな手応えを教えてくれますね。私は剣を無言で鞘へと納め、ブシドーの方へ振り返る。ブシドーはアーツで地を穿った姿のまま、徐々に光へとなっていく。


「・・・流石は大隊長、いやJunか・・・。まだまだ私は未熟、・・・あえて言おう!次こそは・・・!!」


そう言って消えたブシドー。もし・・・ティルさんの提案を受けずにいたら、私は負けていたでしょうね。戦ってみて分かりました、前線組の皆も頑張っていると。これは採掘ばかりではなく、日々の鍛練もきちんとしなければ。大隊長と呼ばれていますから、弱い姿を見せないようにしなくては。・・・そう考えると、たまにはティルさん、マイスターさんにP×Pバトルをお願いすべきですね。今の強さを維持するには、強い人との戦いは欠かせません。難を挙げるなら、お二人はソロプレイヤー。捕まる可能性は低いですからね、自由人ですし。まぁ小まめに連絡を取れば大丈夫でしょう、約束を取り付ければ良いわけですし。


ブシドーを無事に倒した私は、周囲を確認。・・・お二人は戦っているようですね。私が一番早く、戦いを終わらせたみたいです。早い分、地味な感じでしたが。目を引くような技でも、その内編み出してみましょうか?出来るかどうか分かりませんが。とりあえずは、


「お二人の戦い、見物させてもらいましょう。・・・勉強になりますからね。」


私は近くの壁に背を預け、ティルさんとマイスターさんの戦いに視線を向けるのでした。

戦いはやや地味目に。


破損率100%で下着姿になるので気を付けてください。それがセットの恐ろしさ。


バトル直前のコンディションで登録ですから、破損率もまんま登録されるわけで。


因みにバトル終了後には、装備がバトル前に戻ります。ですが、普通にP×Pバトル以外で破損率100%になったら装備は壊れたままです。まぁ、当たり前ですね。


そもそも破損率なんてモノは今のところ、PCではティル以外確認出来ません。故の悲劇、・・・クーパーで良かったよね。




次回は、マイスターのおっさんと根暗マンサーとの戦いです。激しくなる予定ですが、どうなることやら。


過度な期待はせずに待て!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ