表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/56

第38話 ~決闘宣言《挿絵有り》

今回は早めですよ。


うりゃりゃりゃりゃ!

深き森の浅層から帰還して数日、降り続いていた雨が止んだ。雨が止んだってことで、近々羽虫の所に行かなくては。共に行く予定である師匠に確認の為、店へ出向く俺。ディーバ師匠の元へ行き、聞いてみれば、


「おぅ、ティル!羽虫の所へ行くのかの?わしはいつでもOKじゃぞ!」


元気一杯のディーバ師匠、早く行きたくてソワソワしているみたいだ。しかしながら、


「すまん師匠、早く行きたいのは分かるんだが・・・。もう少しだけ待ってくれるか?ちょいと野暮用があってな。」


そう言うと、師匠はプクッと頬を膨らます。


「ぶ~・・・!!なんじゃいなんじゃい、ツマらんのぅ!その野暮用ってヤツをさっさと終わらせるのじゃ!わしは早く秘境に行きたいぞぃ!」


プリプリ怒り出す。・・・俺だって早く行きたいさ。だが・・・、ヴェネに喧嘩を売られたからなぁ。正確に言うなら、芹菜の方にだけど。俺は、浅層から帰還した翌日のことを思い出す。


――――――――――――


浅層から帰還してログアウトをした俺は、店での仕事を終えてから寝た。F.E.Oで楽しんでからの仕事だから、いつも通り疲れはした。疲れはしたが気分はすこぶるいい、内容の濃い一日だったからな。充実していたから、気分がいいのだろう。・・・いい気分で眠る俺、いい夢が見れそうだ。


んで、爽やかな目覚めを迎えた俺。今日も良い一日が始まるだろうと思いながら、居間に行くと妹の芹菜が仁王立ちしていた。


「あんちゃん、おはよう!!」


怪訝な顔で芹菜を見ながら俺は、


「・・・あぁ、おはよう芹菜。・・・で、何事?」


爽やかいい気分で起きたはいいが、・・・なんか嫌な予感がする。仁王立ち芹菜が待ち受けている時は、大体ロクでもないことが起きる予兆だ。コイツ、・・・今日は何をやらかす気だ?疑いの目で芹菜を見詰めて数秒、


「深き森の浅層突破おめでとう!&メモリーストーンの【帰還】解放ありがとう!・・・流石はあんちゃん!妹として鼻が高いよ!・・・・・・それと、妬ましい!」


何故に俺が突破と解放をしたことが分かったのか?と一瞬考えたが、メモリーストーンを見れば一発か。それと、ノーンさんとディジーさんあたりが自慢したか?隠す気は無いからいいけど。そのことはどうでもいい、それよりも芹菜だ。祝福の言葉からの妬み、・・・次の言葉が問題だ。何を言い出す・・・、警戒していると、


「あんちゃんに決闘を申し付ける!・・・逃げることは許さないんだからね!」


「・・・・・・・・・は?」


芹菜から突然の決闘宣言、間抜け顔を晒した俺は悪くない。・・・なんせ、決闘を叩き付けられる理由が分からないんだから。


決闘宣言をされて、俺は数秒間固まった。そして、


「なんで決闘宣言をされなきゃならんのか分からんが、された以上は痛い目を見てもらわないとな。加減はしてやる、・・・来い!」


爽やか気分を台無しにされた怒りをぶつけてくれる、覚悟しろよ芹菜。アイアンクローの構えをして芹菜を見ると、顔を青くして慌て始める。


「ちょいちょいちょい・・・!待って待ってあんちゃん、リアルでじゃないよF.E.Oでだよ!だからその手は降ろして落ち着いておくれよぅ・・・!」


と言ってきたので、とりあえず構えを解く。・・・芹菜、いやヴェネに迷惑というかムカツクから無視することにしたが、俺がヴェネに何かしたかね?無視しているのは、ヴェネが悪いんだし。うーんと悩んでいると、


「私がたまたまあんちゃんのウィスパーに気付かなかっただけで、たったそれだけで無視は酷すぎる!確かに私は暴れまわって色々な人に迷惑かけているけども、それは些細なことなのだよあんちゃん!私の行動はあんちゃんの名誉を守る為にしていることであって、あんちゃんを悪く言う奴等が悪いのだ!故に私は悪くないのです!私に対する無視を無くし、関係の改善を求めるよ!私の手で自身の無罪を、自由を勝ち取ってみせるのだ!」


・・・・・・たまたまって、時間帯とかを考えて何度も送ったんですけどね。Junさんとかバルバロッサとかにも確認しつつね。なのに反応なしってーのはどういうことか?後で連絡しようと思って忘れていた、っていうのが有力だが。それでも、今まで反応なしはないだろう。今まで思うところはあったのだろうが、遂にしびれを切らして言ってきたわけだな。・・・俺がシアルにいることが分かっているのだから、前線から戻ってきて言えばいいものを。話題に出すくらいならいいが、ゲーム内のことはゲーム内でっていうのが鉄則だからな。決闘宣言はゲーム内でしてもらいたいものだ。・・・と言っても、ウィスパー止めてるし、メアドも交換してないから仕方がないか?


俺の名誉とか言っているが、お前のお陰でこっちはそこそこ大変なんだがな。バルバロッサとザッシュが、たまに愚痴ってくるからな。やれ振り回されるだとか、巻き添えを食らうだとか、五月蝿いだとか、残念な奴だとか色々とな。俺の名誉とか気にする必要が無いというのに、過剰に反応して行動するのは止めてほしい。やるならば、俺に一報を入れて確認してから行動を起こせと言いたい。ことが起こってから、バルバロッサあたりから連絡が来るからな。Junさんとバルバロッサには迷惑をかけている、本当に・・・。


無罪と自由を勝ち取ると喚いているが、まず最初に謝れと言いたい。謝れば全てが終わるというのにコイツは・・・、既に自由気ままに暴れているクセに。どうせ言ってもダメだからな、まずは叩き潰さないと。


「・・・思うところはあるが、まぁいいだろう。決闘は受けてやる。・・・で、お前が勝ったら全てを水に流す。逆に俺が勝ったらどうするんだ?・・・えぇ?」


「あんちゃんが勝ったら、私を奴隷にすればいいよ!全てのことは私にお任せ、合法的にあんちゃんと濃厚な性活が出来るのさ!勝っても負けても私に損は無いのだ!わははははは!!」


俺は無言でアイアンクローを繰り出す。食らう芹菜は悲鳴を上げる。


「ぎゃあああああ!割れる割れる!!私のプリティーフェイスが破壊される!」


俺の手首を両手で掴み、暴れる芹菜。ある程度締め上げてから、手を離して解放する。床でのたうち回る芹菜に向かって、


「寝言は覚めてから言え愚妹が。・・・俺が勝っても無視は止めてやる、感謝しろよ。それと大斧も渡す、安くしてやろうかと思ったが止めた。六〇万にする、迷惑料込みでな。お前が勝ったら、二五万でいい。」


「あぁぁぁぁっ・・・!60万とかって高っ!!・・・これはなんとしても、勝利をもぎ取らなくては!!・・・うにぃ~、痛いよー・・・!」


のたうちながら、闘志を燃やし始めた。


そんなわけで、決闘をすることに決まった。一週間以内に連絡すると言ってきたが、コイツのことだから悪巧みをする筈。何をしてくるか分からないから、とりあえずは準備をしっかりやって置かなければ。いつでもいいようにな。・・・それと一応、助っ人も用意しておこう。なんか決闘に条件がありそうで恐いからな、備えあれば憂いなしと言うしな。時間はある、・・・俺は素材集めとかもしておくかね。


――――――――――――


「・・・とまぁそんなわけでな、決闘は明日って連絡がきた。羽虫んとこは、明後日あたりかな。」


「明後日じゃな!?了解なのじゃ!ヴェネールとかいうお馬鹿な妹をサクッと倒して、気分よく羽虫の所へ行くのじゃ!」


野暮用のことを言ったら、ヴェネに対して怒り出した。・・・予定を狂わされたわけだからな、それは仕方ないだろう。俺としてもサクッと倒して、師匠と共に羽虫んとこへ行きたいからな。ほんとマジでそろそろ行かないと、羽虫が何かしてきそうで恐い。決闘の為に最終調整しないとな、・・・助っ人に渡す装備もあるし。


「俺は明日の為に準備をするよ、全力で叩き潰すつもりだからな。・・・妹だからって容赦はしない。」


そう言って、師匠の頭を一撫でしてから店を出た。足はそのまま生産ギルドへ、助っ人の二人も作業場で待っていると思うしな。


――――――――――――


ハロハロー♪ヴェネちゃんの登場ですよ。只今ヴェネちゃん、冒険者ギルドシアル支部にて人を待っているのだ。待ち人はあんちゃんなのだ、・・・残念ながらデートとかの素敵イベントではない。そう、今日この場所であんちゃんと決闘をするのだ。なんで決闘なんかするのって?それは、あんちゃんが私にしている無慈悲な行いを止めさせる為だ。たかが十数回ウィスパーを無視、気付かないだけでウィスパー拒否は過剰だと訴えたい。しかも、頼んでおいた大斧を60万で売り付けようとする鬼畜っぷり。顔の見た目通り、悪人そのものである。だけど、そんなあんちゃんが大好きなのさ♪あんちゃん愛が強すぎる為に、暴れん坊と呼ばれてしまうのは何故?まぁそんなことはどうでもいい、今日の決闘に勝つことが出来れば、あんちゃんも私を見直すこと間違いなしなのだ!


最近も大平原のシマウマを倒し、セーフティポイントを解放することが出来たし、炭鉱の町ドズールに辿り着いた。一気に前線が動いたのだ、今の私はイケイケモード。LVも前線でトップクラス、勿論戦闘能力もだ。それに装備も新調して、更に戦闘能力アップ。大斧もそこそこの能力があるけど、あんちゃんの大斧には劣る。バル経由で聞いた約束の大斧の能力に、私と皆もたまげたのだ。『なんだコレは・・・!』と。故に絶対欲しいんだけど、今日まで手に入れること叶わず・・・。しかしながら、今日の勝利で安く手に入る。私のパワーアップが止まらない、笑いたくなるよね?わははははは!!


何を勝った気でいるのかって?凄い大斧を作るあんちゃんが弱い筈が無いって?規格外のあんちゃんが?そんなの分かっているさ!でも、私が勝つね!聞いた話じゃ、あんちゃんの装備は商人系みたいだからね。深き森の浅層を突破したみたいだけど、仲間がたまたまいたから突破出来たのさ。流石の規格外も、一人じゃ突破は無理でしょ!・・・あんちゃんは確かに強いだろう、だけど非戦闘装備に負ける私では無い!!それに私はジョブに就いている。〔斧戦士(アクスファイター)〕という戦闘職だ、またまた戦闘能力が上がっているわけなのだよ。更に更に、スキル〈気分屋〉のお陰で+補正。イケイケモードでスーパーな私、正に死角無し!私は絶好調、わははははは!


それに今回の決闘は、P×PバトルPT!自由にバトることが出来る野良P×Pバトルではなく、ギルド立ち会いによるPTで挑むバトルなのだよキミ。ギルドにバトルフィールドを借りて、戦うP×Pバトルなのだ!PTバトルとして借りるわけで、PTじゃないと戦うことが出来ない。私は助っ人として、前線メンバーを5人連れてきた。私を入れてのフルメンバー!あんちゃんはソロプレイヤーだからね、フルメンバーなんて集めることが出来ないのである。事前の調べであんちゃんと関わりのある戦闘タイプの人は、今回の決闘に参加が出来ない。皆予定があるのだ。参加出来るのは、ディジーくらいじゃない?森に付いていって、途中で脱落した奴。全然脅威が無い、所詮は生産組。フルメンバーな私達と、多くて3人の生産職メンバー。どんなにあんちゃんが強くても、足手まといを入れたPT戦では力を発揮することは出来ないだろう。わははははは!これで勝てる!戦いは情報だ、私の手で踊るといいわ!あんちゃんよ!!


ニヤニヤと下品な笑顔をしていると、


「あのティル殿と剣を交えることが出来るとは!ヴェネには感謝の言葉しかないな!」


隣で鼻息荒く戦意を高めているMs.ブシドー、私の戦友みたいなもので親友だ。私の誘いに一言でOK、流石は友だ。あんちゃんの噂を知っているブシドーは、あんちゃんと戦いたい一心でメンバーに入ったのだ。私と違って脳筋だからね、ブシドーはさ。でも、前線組の中でトップクラスの強さを誇っている。頼れる相棒なのである。


「・・・凄まじく嫌な予感がするのは、気のせいだろうか・・・?」


「・・・俺もそう思う。なんで誘いに乗ったかな、俺は・・・。」


ソワソワしているのはバルとザーさん、軟弱代表の前線組だ。実力があるから誘ったわけだが、ヘタレである。ブシドーみたいに気炎を上げることが出来ないのかね?


「噂に違わぬのか確めさせていただきます。」


「・・・非公式ファンクラブの会報に載せるネタを自らの手で、・・・ウフフフフ。・・・このチャンス、・・・人見知りなんて言ってられないわ。ウフ・・・、ウフフフフ・・・!」


あんちゃんに興味があるらしいクイナも参加、ぶっちゃけ来るとは思わなかった。クイナは堅物だからね、まぁ嬉しい誤算である。後はイシュっち、人見知りな彼女が参加表明するとは・・・。というか、どこから聞きつけたのか?あんちゃんファンクラブの情報網が恐い、・・・イシュっちとの付き合いは気を付けないと。流石の私も・・・ね?まぁイシュっちはもやしっ娘ではあるけど、バステのエキスパート。あんちゃんもバステにはお手上げだろう、ダークホースのイシュっちに期待大だ。どう考えても、勝利しか考えられない。全員ジョブ持ちだからねぃ♪装備も現状では上位、本当に死角なんかありませんよ。さぁさぁあんちゃん、そろそろ姿を見せてもらいましょうか!私の戦歴に、あんちゃん撃破が燦然と輝くだろう。ホントに笑っちゃう、わははははは!


そして、あんちゃんがこの場に姿を現す。あんちゃんの姿もさることながら、一緒に来た二人の姿に驚く。何故にいるんですかね!?Jun!!しかも、新装備!・・・それと、変なオジサン!!


――――――――――――


俺達が姿を現すと、ヴェネ達が既にいた。ヴェネにバルバロッサ、ザッシュに・・・後は知らんが。フルPTで来たみたいだな。ヴェネの奴は、こっちを見て『なんで!?』って顔をしている。俺がお前に出し抜かれるわけがない。こんなこともあろうかと、知り合いのNPCに情報収集を頼んでいたのだ。主にギルド関係の方々に。一対一かと最初はそう思っていたが、万が一を考えて準備していてよかったと思う。PTバトルとの情報は、フィオラさんから入手。俺がソロだと分かっていてこのバトルを仕組んだみたいだ。うまい具合に知り合いが予定のある日を狙ったみたいだがね、内密に連絡を取っておいて正解だったようだ。知り合いの中でも腕利き、Junさんとマイスターのおっさんを助っ人に。流石にフルメンバーは無理だったが、この二人なら大丈夫。実力が高いからな、六対三でもなんとかなるだろう。


「良いメンバーを揃えたみたいですね?何故かヴェネの顔が愉快なことに・・・。大方、予想が外れたのでしょう。」


クスクス笑うJunさんに、


「なんでJunがいるんさ!?猫チビと山に籠っているんじゃなかったの!?」


と言ってきた。Junさんのことは、完全に予想外だったみたいだな。まぁ、山で採掘している筈だもんな。ヴェネの情報では・・・。


「そう長く、山にいるわけないでしょう?炭鉱の町ドズールに辿り着いたみたいですし。そろそろ戻ろうかと思っていた時に連絡がありましてね、ヴェネ達と手合わせする機会があるやも?とティルさんに言われまして。それも良いかと今回の決闘への参戦、快諾させていただきました。」


「だぁ~まぁ~しぃ~たぁ~なぁ~!!」


ヴェネが地団駄を踏む。


「騙した等、人聞きの悪い。そもそも、きちんと決闘の詳細を連絡しなくては駄目でしょう?PTバトルをしますよって。ティルさん、最初は一対一かと思っていたみたいですよ?万が一の保険が役立ったみたいで、私としてはありがたいの一言ですけど。」


Junさんの発言に、向こうのメンバーがヴェネを白い目で見ている。


「これは作戦だったのです!ヴェネちゃん悪くない!」


まぁ、作戦だってことは分かっている。だから俺は怒りはしない、確認しない方が悪いからな。俺の読みが当たったわけだ、ヴェネの考えそうなことは大体分かるからな。ソロで来て、バトルが出来ません!不戦勝を狙っていたのだと思う。それか、とりあえず生産組を連れてくるってところか。生産組=雑魚ってイメージが強いと思うしな、あながち嘘ではないけど。例外がチラホラいるがな。とりあえずは、ヴェネの作戦が破綻したってことになるな。・・・作戦と言えるかは分からんがな。


地団駄を踏んでいたヴェネは、謎の人物マイスターのおっさんを指差し、


「そこの変なオジサンは何者なんさ!私の情報には無いよ、あんちゃん!!」


ある筈が無い、そう頻繁に会わないからな。お互いに神出鬼没、会っても夜でほぼ密会。最近のおっさんは、昼にも現れるみたいだが。そのお陰で、こうしてここにいるわけで。


「争いある所にパンツ介入!魂の叫びが!ソウルブラザーの助けを呼ぶ声がワシを介入させたのじゃい!あえて言おう!ワシが、ワシこそがパンツマン!!パンツマンこと、マイスターじゃい!」


無駄にポーズを決めて、熱血自己紹介。心に響くものがあるのだが、呼んで少し後悔する俺がいる。


「「「パンツマンだって!!」」」


その名乗りに激しく反応するバルバロッサにザッシュ、そしてヘンテコな仮面の見知らぬ女性。ヴェネを含めたその他の三人は、おっさんを知らないみたいで少し引いている。


「最近、名を上げている冒険者ではないか!神出鬼没のレア人物を、この目で見ることが出来るとは!このMs.ブシドー、感激しか出来ん!」


「KING OF PANTSU、マイスターと知り合いだというのか!?流石はティル、規格外にも程がある!」


「グランベル王国勇者候補の噂高いマイスターが相手方に!?嫌な予感とはコレかよ!!」


・・・流石はおっさんと言うべきか?・・・つーか、知らぬ間に肩書きがスゲー。勇者候補かよ、だてにHEROをしていないってわけか。関わりのある身としては嬉しい限りだが、未だにブラザーと呼ばれることが解せん。まぁとにかく、戦力的に問題ない二人ってことだ。


そして、この二人の装備は俺が作った物。ヴェネの方も最新の装備で来たようだが、このギルドの俊英には勝つことは出来ぬだろうよ。決闘宣言から数日、時間はかなりあったからな。素材を集めつつ、二人と合流して密かにP×Pバトルをしていた。素材集めは深き森の食花ちょい手前、俺以外で立ち入ることが出来ない場所。人の目には付かない、しかも俺のスキルで気配には敏感だからな。今日まで、二人とつるんでいたことは誰にも知られていなかったのさ。そこで手に入れた素材で、二人に装備を作った。勿論金は貰ったさ、ロドリゲス達にも言われているからな。武器に防具フルセット、全て合わせてJunさんは二〇〇万、おっさんは八〇万。超高額ではあるが、それに値する性能がある。二人も納得したからな、問題なしってわけよ。『お陰で貧乏ですけどね。』とJunさんは苦笑していたが。


因みに、俺のスキルにある〈鍛冶〉がLVMAXになった為、SPを使って進化させた。SPは20使った、進化したスキルはこれ。


〈魔匠〉:鍛冶に拘りを散りばめる一流の技術、鍛錬出来る物なら何でも鍛え上げる。より詳細に、イメージを製作物に反映することが出来る。


〈テーラー〉みたいなものだ、〈魔匠〉もハンパないわな。〈鍛冶〉の分岐が多すぎて軽く引いたが、SP使用の進化があってよかったと思う。そんなわけで、〈テーラー〉と〈魔匠〉のダブルパンチ。これで作られる物がショボい筈が無いわけだ。装備品が過剰能力、Junさんの強さは前線トップになるだろう。おっさんについても、新作ヒーローパンツに赤いヒーローマフラーを渡してある。見た目の変態さに磨きが掛かっているが、パワーアップしている。溢れるカリスマで俺とJunさん、バルバロッサ達はカッコいいと思っているが、ヴェネ達は引いているみたいだな。ヒーローのなん足るかを、今回の決闘で学ぶといい。


改めて言うが俺達三人でも十分、戦えるってことだ。俺も行商人シリーズから、魚人シリーズに変更してきたし。武器も魚人シリーズ専用として、槍を作ったし。・・・過剰が過ぎる、大人気ないってか?知らんがな、そんなこと。・・・一度ヴェネは、本気でお仕置きしないと駄目だろう。自身の行動をきちんと考えてほしい。色んな人を巻き込むのはよくないからな、少しは控えるようにしないと。・・・たぶん反省とかそういうのは、しないだろうけどな。まぁそれは方便で、実際は魚人シリーズと槍の力が見たいってのが一番なんだが。それと俺の作った装備で、どれ程の力を発揮するのかも気になるし、Junさんとおっさんのことね。Junさんの戦闘スタイルは知っている、新装備で身を固めた姿で戦うとどうなるか?後はおっさんの戦闘スタイルも気になる。ギルド立ち会いのP×Pバトルがどんなものか?ぶっちゃけ楽しみである。多少は違うのかな?・・・ヴェネ以外のメンバーには悪いけど、力の検証をさせてもらう。





挿絵(By みてみん)


「・・・そんなわけで、お互い全力を尽くして戦おうか。よろしく頼むよ。」


と、一応挨拶をしておく。ヘンテコな仮面の女性と根暗っぽい娘以外は、顔が引きつっている。


「たぎるな!やるからには全力!こちらこそよろしく頼む!」


鼻息荒く、燃え盛るヘンテコな仮面の女性。引きつりつつも、ふんす!と気合いを入れたヴェネは、


「ヤバイ雰囲気漂う装備のあんちゃんでも!新装備のJunだろうとも!パンイチヒーローが相手だろうが私達は負けないよ!にわか三人PTに負ける私達ではないのだ!予定とは全然違うけど、やってやるぜ!」


闘志をみなぎらせる。他の三人も、とりあえずはやる気を出す。・・・気になるのは、根暗っ娘がニヤニヤと俺を見てくること。粘着質な視線、違う意味で恐怖を感じる。


「大平原を突破した力、見せてもらいますよ。」


「このパンツマン、全力でいかせてもらうんじゃい!ブラザーの手助けも、ヒーローの務めじゃからのぅ!!」


Junさんとおっさんはやる気満々、俺も気力十分。・・・戦闘に向けて、待ったなしだ。


冒険者ギルドに指定された時間になり、両者の戦意が高まった時に、


『皆様、お待たせしました。これより冒険者ギルドシアル支部の立ち会いによる、P×Pバトルを開始したいと思います。今回のP×Pバトルは、ヴェネール様より提案されましたPT戦となります。勝利条件は、敵陣営プレイヤーの全滅となります。』


突如として、この場にアナウンスが流れる。・・・この声は、フィオラさんだな。


『P×Pバトルのフィールドは、ランダムで決定されます。・・・フィールド転送まで30秒。転送と同時に戦闘開始となりますので、プレイヤーの皆様は最終確認をお願いします。』


後、三〇秒で戦闘開始か。


「ギルド立ち会いのP×Pバトルは、ランダムによる特殊フィールドで行われるのですか。」


Junさんは、ランダムに興味があるみたいだ。まぁ俺も同じで、未知なるフィールドになるかもしれないって考えるとテンションが上がる。テンションが上がっているのに気付いたのか、


「通常のP×Pバトルは、その場を模した特殊フィールドですからね。火山とか海とか、そんなフィールドになるんでしょうか?」


なったら面白いよな、戦いづらいと思うけど。・・・出来る限り、見知ったフィールドの方がやり易いかと思うが。それでも、期待してしまうよな。


「どんな所でもパンツ介入!バッチ来るんじゃい!!」


・・・おっさんは平常運転。それを確認したところで、俺達は特殊フィールドへと転送された。・・・ヴェネ、前線組の強さを見せてもらうぞ。妹だからと、加減は無しでいくぜ?

【簡易ステータス】

名前:Jun

種族:人間

性別:女

LV:40

【ランク】

冒険者ギルド:ランクE+

【ジョブ】

剣舞士(ソードダンサー)

【スキル】

〈剣〉〈剣舞〉〈集中〉〈連撃〉〈連携〉〈追撃〉〈見切り〉〈気配察知〉〈採掘〉

【固有】

〈指揮〉〈先駆け〉

【称号】

大隊長

切り開く者

先制者

剣の冒険者

剣速を求める者

魔を斬る者

恐怖の対象

ハマりやすい者

【アーツ】

〈戦闘〉トリプルアタック・連撃連斬・空斬・魔断ち・瞬閃

〈補助〉ターゲット・剣気



名前:マイスター

種族:人間

性別:男

LV:31

【ランク】

冒険者ギルド:ランクE-

【ジョブ】

ヒーロー

【スキル】

〈身体能力向上〉〈光〉〈不屈〉〈体術〉〈ポジティブ〉〈突撃〉〈全力〉〈変身〉

【固有】

〈解放〉〈カリスマ〉

【称号】

見習いヒーロー

パンツマン(笑)

憧れの対象

介入者

グランベル王国勇者候補

【アーツ】

〈戦闘〉マイスターパンチ・マイスターキック・ヒップアタック・ヒップバズーカ

〈補助〉オーラ・激励

【魔法】

〈光〉フラッシュ・ライトヒール・ライトショット・ライトブレイク





久々に絵が書きたくて書きました。


書いた挿し絵はヴェネ達から見た三人ってことで。


マイスターのおっさんは仮ですよ、変わる可能性があります。こうした方がいいって意見があればどうぞ。意欲があれば書きます。


次話は、今回の続きかライアン日記のどちらか。


次話も、早く投稿出来ればいいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ