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第32話 ~ジョブ

すみません皆さん、大変お待たせしました。


作者は夏バテで死にかけてました。部屋の中が平均32度くらいです。エアコンなんてありません。ほぼ熱中症ですわ。


頭がオーバーヒートの中での投稿なんで、変だったらごめんなさい。

新装備で今日も頑張るぞ!っと意気込んで見たが、


「ところがどっこい、今日も雨だよティル君。蛙の妖精が出たみたいだからねぇ~、当分は雨だと思うな。」


シグルゥの言うように、今日も雨である。・・・なんだよ蛙の妖精って、めっちゃ気になるじゃないか。気になりはするが、俺は関わってはいけない類いのモノだろう。俺、〔蛙ハンター〕だし。会ったら絶対に敵対するだろ。・・・聞かなかったことにしよう。


シグルゥの話だと、暫くは雨の日が続くわけだろ。なら俺は、昨日やろうと考えていたレインコート作りをしようじゃないか。蛙皮は、手持ちでかなりの量があるしな。蛙狩りのお陰だな。・・・雨の時に大量発生するみたいだから、今の内に蛙皮のストックを大量にしとくか。わりと使うし・・・うん、そうしようか。気を付けなくてはいけないことは、あまり市場に流さないこと。流し過ぎると、相場が荒れるみたいだからな。そんなわけで、最初は生産ギルドに行きますか。




昨日ほどではないが、今日も人がいない。そして嬉しいことに、前ほど恐がられることがなくなった。逆に、PC生産者から好奇な視線で見られている。まぁ俺の行商人シリーズ、出来がいいからな。見たくなるのも仕方なしといえるだろう。・・・今日はエイミーさんがいないみたいだ、休みなのかね?彼女は働き過ぎだからな、たまに休むことも必要だろう。


さて、予定通りレインコートを作りますか。作業場に着いた俺は、昨日の狩りで手に入れた蛙皮を取り出す。一〇枚ずつに分けていると、他の蛙皮とは違う物が数枚あった。違うといっても殆ど変わらないのだが、何となく違和感が・・・。微妙にテカっているような気がする。とりあえず、鑑定眼を発動だな。


〔シアルフロッグの油皮〕元気の良いシアルフロッグから剥ぎ取れる稀少度の高い蛙皮。油膜で守られており、水をよく弾く。雨の日か蛙の妖精出現時に入手しやすい。


おー!レア素材ってヤツか!水を弾くとかって、作ろうとしているレインコートに最適じゃないか。惜しむのは、レインコートにするには枚数が足りないってことだな。・・・こいつはやはり、蛙狩りに行けということだな。雨の日に入手しやすいみたいだし、雨の日が続くといってもいつかは止むんだし。普通の蛙皮でレインコートを作ったら、それを着て狩りに行くしかないな。行く前に冒険者ギルドに寄っていくか、雨の日限定依頼があるかもしれないからな。・・・とりあえずは、レインコートを作ろう。




まぁ作ろうって言っても、特に説明するほどの物でもないんだがね。蛙皮を二枚ずつ合わせて合皮にする。合皮にした蛙皮を俺の寸法に合わせて、ひたすら縫うべし。フードを忘れずに、リュックが濡れないように背中の方には力を入れて縫うべし。そして仮縫い、本縫いが終わった。


だがまだだ、最後の仕上げが残っている。縫い目から雨が浸入しないように、〔魔法の接着剤〕を擦り込むべし。するとどうだろう、縫い目が無くなり一体化する。これで防水は完璧、レインコートの完成である。


〔ケロケロレインコート+3〕シアルフロッグの合皮で仕立てられた丈夫なレインコート。縫い目が無いために防水は完璧、濡れることはない。リュックも守られるため、行商人にはありがたい。 DEF+27 (特殊効果:水耐性弱上昇・毒耐性) 破損率:0%【製作者:ティル】


全体的にローブより劣るが、水耐性は上だ。流石はレインコートといったところか。ついでといっちゃあ何だが、もう一つ作った物がある。・・・それは傘だ。蛙の油皮を手に入れて、溢れる生産魂を止めることが出来なかった。手に入れるチャンスはまだある、雨降ってるし。だから作ってしまったのだ。後悔はしていない。何てったって、


〔ケロケロパラソル+8〕稀少なシアルフロッグの油皮を合皮にして作られた大きな傘。キラーフィッシュの歯を傘の先端に付けたことで、殺傷能力のある危険な傘になった。何故か槍に分類されている。 STR+30 DEF+18 DEX+3 MED+5 (特殊効果:水耐性弱上昇・INT45以下の水魔法反射) 破損率:0%【製作者:ティル】


・・・という、危険で高性能に過ぎる傘が出来てしまったのだ。作った本人も引っくり返るぐらいの逸品、半端ないぜ蛙の油皮と俺。


(水魔法反射)とかって、コレが一番凄いヤツだよな。ノーンさんみたいな魔法主体の冒険者相手には使えないけど、牽制程度で使う冒険者には有効じゃなかろうか。INTそんなに高くないだろうしな。とりあえず説明を・・・、


(INT45以下の水魔法反射)INT45以下の者が放った水魔法を反射することが出来る。その際、破損率が25%上がる。


四回使用したら壊れてしまうな。まぁ傘だし、これぐらいが妥当だわな。これ以上を求めるとなると、魔導具を作らにゃならんだろう。・・・現状では作る気ないけど。それはさておき、是が非でも蛙狩りをしなくてはならないな。油皮をなるべく多くストックしておきたい、後レインコート分もな。・・・しかしこの傘はヤバイなぁ~、この性能がバレたら売ってくれって言われそうだ。売る気はないが、NPC貴族様に言われたら売るしかないんだろうな。会う機会がないだろうけど。まぁそん時は高く売ろう、それにコネも出来るしな。




作りたい物は、とりあえず作った。後は蛙狩りってことで、冒険者ギルドに来てみた。やっぱりというか、人の数が少ない。殆どPC冒険者、数人NPC冒険者ってとこか。レインコートを着ているNPC冒険者は、俺と同じ目的なのかな?蛙狩りってヤツ。・・・まぁそれよりも、フィオラさんの所に行って聞いてみるか。


フィオラさんの所はあまり人がいない、美人なのに何故だろうか?と思いながら彼女の前へ。


「やぁフィオラさん、更新ついでに蛙関係の依頼はないだろうか?」


彼女は馴れ馴れしい奴だなと、言いたげな冷たい表情でカードを受け取る。そして、


「・・・あぁティル様でしたか。格好が違ったので誰かと思いましたよ。装備する物で変わるものですね、・・・とても素晴らしいことだと思います。今の方がとても・・・身構えずに済みますから。」


俺と気付かなかったのね。・・・そこは気付いて欲しかったが、全然違う格好だからな。仕方がないことだろう。素晴らしいと言ってくれてるしな、ホント装備を変えてよかった。・・・いずれ戻ることになるだろうが。


更新してもらいながら色々と聞く。生産ギルドと同じように、雨の日は冒険者の数が少ないようだ。やはりというか、今日出て来ている冒険者達は蛙狩りが目的のようだな。蛙の妖精が出る雨の日は、蛙が異常発生するみたいで依頼も多くなる。それ以上に、レア素材・レアドロップ・レア食材が出やすいとのこと。それを目当てに生産ギルドからの依頼が多くなり、少しでも多くの報酬が欲しい冒険者が出てくるようだ。まぁ出てくるのは低ランクの冒険者らしいが。高ランク冒険者は酒場で酒盛りみたいだね、基本的に。蛙の数が凄いし、なかなかに手強いから命を落とす冒険者もいるみたいだ。それでもオイシイから狩りに行くんだろう。


「シアルフロッグ・・・大量に討伐したようですね、ソロで。雨の日に行う討伐はPTが基本ですが、流石というべきでしょう。称号も入手したみたいですし、勢い止まることなしですね。討伐に関しては、依頼で消化しておきました。」


そう言いながら、更新されたカードを俺に返すフィオラさん。大量に狩った蛙を、依頼で消化してくれたのはありがたい。素材は自分で使うが、食材はあまり必要ないからな。食材納品依頼がないか聞いてみたところ、あるみたいなのでその依頼もついでに消化、達成をする。追加で討伐依頼に納品依頼を受け、いざ蛙狩りへと思っていたのだが、


「お待ちくださいティル様。」


フィオラさんに呼び止められた。・・・どうしたのだろうか?




「何度か伝えようとしたのですが、ティル様があまりお顔を見せませんでしたので連絡が遅れました。」


「え、何?・・・というか、何度か来てたじゃん。」


「・・・来る度に大きな案件を落としていきますよね?邪神の件とかニヴィアン様の件とか。」


・・・そういえばそうだな。来る度になんかやらかしてるっぽい。対応しきれていないようにしているな、確かに。


「・・・ですがティル様の言われる通り、お伝え出来なかったのは此方の不手際になります。申し訳ありません。」


そう言うと、フィオラさんはこちらに頭を深々と下げる。いやいやいや・・・フィオラさんが悪いわけではないだろ。


「いや、頭を下げる必要はないよ。それはいいとして、何?」


用件は何だろうか?


話を聞いてみるとギルドに貢献しつつ、実力も伴っていることからジョブに就かないかと。・・・おお、ジョブか。遂に噂に聞くジョブに就けるのか!と、テンション高めでフィオラさんの後に付いていく。向かうのはギルドの奥にある神託の間。何故ギルドにあるのか?簡単なことである。ギルドは神からの神託を受けて、色々と方針を決めているみたい。まぁ神っていうか、運営なんだろうが。そんなわけで、あるのが当たり前なのだとはフィオラさんの言である。・・・・・・知るかいそんなこと!それよりもだ、ジョブだよジョブ。


そして着いた神託の間。名前からしておごそかな部屋かと思ったら、ただのギルドにある一室である。何の変哲もない部屋。部屋の真ん中に椅子と机があり、机の上に石板っぽい物が置いてある。ただそれだけ。神を象った像があるわけでもなし、神に仕える神官とか巫女的な人もいない。・・・一人勝手に盛り上がっていたテンションが、普通に戻った。・・・つまらないもんだな、現実というのは。現実とはちょいと違うが。


「たかがギルド支部に立派な部屋などある筈がありませんよ。神託を授かる石板があれば十分です。」


フィオラさんはそう言う。・・・確かにその通りではあるけどさぁ、借りてる作業場は立派だぜ?と言うのはダメだろうか。




そんなわけで、俺は椅子に座って話を聞いている。ジョブについて教えてくれるのは、フィオラさんからハゲ親父。彼の名はシリル、ハゲ親父で可愛い名前って誰得?なんて、思ったりするのは俺だけじゃないよな?まぁハゲ親父だからって、ガッカリするような俺じゃない。それにシリルのおっさんは丁寧に教えてくれるからな。流石はギルド専属のジョブ職員だ。因みに各ギルドにもいるみたいだな、ジョブ職員。いるのであれば、生産ギルドの方でジョブに就きたかったと思うのは我が儘だろうか・・・?


それでジョブのことなんだが、まずは石板の上に手を置かなくてはならないらしい。石板に手を置くことでその人の固有ジョブ、ファーストジョブが神より与えられるとのこと。固有スキルもそうだけど、F.E.Oでは固有・・・即ち個性が重要みたいだな。今まで経験してきたことが、ジョブを決める指針の一つ。そして、種族・ステータス・スキル・魔法・アーツ・称号などもその一つ。それらの情報は石板から神に伝えられ、その情報を元にジョブを与えられる。自分が歩んできた道が、どのようなジョブになるのか。期待と不安、半々だな。


ファーストジョブが与えられた後、行動次第で色々なジョブに就ける可能性が出てくるんだと。色々といっても人それぞれに適性があり、その適性に連なるジョブってわけだが。簡単に言うと、ファーストジョブから派生する可能性のあるジョブに就けるってことか?ファーストジョブが『戦士』ならば、戦いばかりしていたら『狂戦士』、魔法が得意なら『魔法戦士』みたいな感じかな?まぁよく分からん。とりあえず、色々ってことだが限度があるってことだろうな。


ファーストジョブは固有の為に外すことが出来ないが、それ以外で入手したジョブは外すことが可能。ファースト・セカンド・サードと、一人三つまでジョブに就ける。三つともジョブの変更が出来て、ファーストジョブ入手後に他のジョブを入手したら、セカンド・サードが追加される。


ジョブにはそれぞれ恩恵がある。ステータスの上昇や、ジョブ専用のスキル・アーツ・魔法の習得。その他にも色々とあるようだけど、後のことは自分で確かめようとのこと。色々ありすぎて説明が難しく、断言しきれないらしい。・・・そりゃそうだよな、人それぞれに固有ジョブがあるんだからさ。同じジョブでも微妙に違うみたいだし、ユニーク・レアなジョブも多くあるみたいだからな。まぁ簡単なアドバイスなら出来るみたいだから、頼らせてもらおうか。


ジョブボーナスは、ファーストジョブが100%、セカンドジョブが50%、サードジョブが25%与えられるらしい。%で言われてもピンとこない、後で自分自身で確かめてみるのがいいだろうな。ジョブごとにボーナスが違うし、ジョブ効果なるものもあるみたいだしな。




とりあえず、ジョブは色々あるってことだ。その内出てくるだろ、冒険者なら沢山いることだしな。そんなことよりもだ、俺のジョブが気になるわけで。ファーストジョブが全てを決めると俺は思っている。なんせ、外すことが出来ないんだからな。固有故に・・・。一体俺のジョブは何だろうか?石板に手を置きながら、自分自身のジョブに思いを馳せる。ユニーク・レアじゃなくてもいいから、無難なジョブがいいなぁ。


そんなことを考えていたら、一際輝いた後に光が治まった。


「おめでとうございます。何の問題もなく、神よりジョブがティル様に与えられました。それでは神に代わり、私がその名を読み上げ、正式にジョブがティル様の力となりましょう。・・・それでは、読み上げます。」


おお・・・ドキドキするな!一体どんなジョブなのか、どうかまともなジョブがきますように!


「ティル様のジョブは・・・










『無職』










・・・ですね。おめでとうございます。」


俺のジョブは『無職』かぁ、そっか『無職』かぁ。・・・『無職』・・・ねぇ。・・・・・・『無職』!?え?ウソ!マジで!?・・・イヤイヤイヤイヤイヤイヤ!!『無職』って何だよ!?そもそも『無職』でおめでとうってなんですかね、シリルのおっさんよぉ・・・!俺は取り乱しながら、シリルのおっさんに詰め寄る。


「・・・『無職』って何だよ!それはアレか!?俺はジョブに就けない病か呪いか何かなんですかねぇ!?おっさん、シリルのおっさんどういうこっちゃね!!」


シリルのおっさんは、俺に詰め寄られ顔を青くしている。それでも何とか宥めようと、


「落ち着いて下さいティル様!威圧はお止め下さい、洒落になりませんから!それに『無職』はユニークジョブです!立派にジョブですから落ち着いて下さい!」


『無職』がジョブだぁ~!?そんなふざけたジョブがあるのか!F.E.Oはどうなってやがる!・・・考えれば考えるほど、苛立ってくる。シリルのおっさんに不手際があったわけではないが、『無職』と聞けば誰だって取り乱す。特にリアルで定職に就いている奴はな。・・・・・・だがまぁ、冷静になってみるとリアルとF.E.Oは違うからな。ジョブっていうなら、どのような特性があるのか調べてみようか。しょーもなかったら暴れてやる。




『無職』無限に溢れる才能が特定の職に就くことを許さない、故に無職。言い方を変えれば、この世にて確認されている職は勿論、新たな職も生み出しかねない規格外な才能を示す職。この職と歩む未来の先には・・・。


俺の知る『無職』ではなかった。・・・それどころか、またしても規格外なモノみたいだ。これもアレか、〈俺流〉が力を存分に発揮したモノなのか!?俺という存在は何なのだろうか・・・。凄いのは分かったのだが、やはり『無職』はないだろう。PCの奴らが知ったら、さっきの俺と同じ反応をすることは確実だ。なんて言ったって『無職』だからな、リアルのネガティブな意味を想像するよ絶対。


そんな『無職』な俺にシリルのおっさんは、


「流石は俊英と呼ばれるティル様です。全てのジョブを開花させることが出来るかもしれない、極めて強力なユニークジョブを賜れるとは!このシリル、ティル様のジョブ関連の事象は全て受け持ち、全力でサポートさせていただきますぞ!」


テンションMAXで全力サポート宣言。ありがたいことなんだろうが、出来れば美女とか美少女に担当してもらいたいと思う。俺も男・・・ってわけだよ。あー・・・なんかエイミーさんの顔が見たくなったけど、彼女は休みなんだもんなぁー。


そんなわけで、『無職』になった俺。シリルのおっさんの話では、その他のジョブは何かしらの行動をすれば就くことが出来るとか。行動には熟練度というものがあり、この熟練度が一定数に達したら、スキル・アーツ・魔法・称号が手に入る場合があるとのこと。まぁ、経験値と同じようなものだな。


「ティル様の場合ですと『無職』のジョブ効果で、他の方々より熟練度が上がりやすいかと思われます。少しの行動でジョブを獲得出来ることでしょう。特に生産に関しては、十分に熟練度が上がっているでしょうから、何かしら一つの物を作ればジョブが獲得出来るのでは?」


確かに、生産に関してはそんな感じがする。馬鹿みたいに色々と作っているし、称号もあるしな。・・・気になるのは〈呪い〉なんだが、高確率で影響が出るだろう。いい仕事するからな!俺の固有スキルはさ!


とりあえず、ジョブ効果とか見てみますか。どれ・・・、


(熟練度UP)熟練度が上がりやすい。


(無限の才能)適性に関係なく、全ての行動がジョブに繋がる可能性がある恐るべき才能。その才能はNPCを魅了する。


ふむ、ジョブ効果はこの二つか。熟練度が上がりやすいってことは、スキルとかも入手しやすく上がりやすくなるわけだ。さっき聞いたけど、スキルとかも経験値で上がるのかと思ったけど、熟練度で上がるんだもんな。俺の成長が止まることを知らないぜ。


んで(無限の才能)か、何をやってもジョブに繋がる可能性があるってことだよな。適性関係ないってあるし、石を蹴ったりしたらジョブになるのかね?まぁ、その内分かるだろ。それ以上にNPCを魅了って何だろうね?憧れの存在みたいな感じなのかな。『あの人スゲー!』みたいな感じで。俺はNPCから、芸能人みたいな有名人的な扱いをされるってことかな。・・・よく分からんけども。


何度も言うが、『無職』ってーのが気に入らないが無事ジョブに就けたことだしもう、用はないな。凄いジョブだが、不名誉な名のジョブ獲得に手を貸してくれたシリルのおっさんに礼を言う。不名誉な名のジョブになったのは、シリルのおっさんが悪いわけではないからな。


「ティル様には是非、『無職』を皮切りに全てのジョブを制覇してもらいたいですな。『無職』のティル様が歩む道に光を・・・。」


・・・・・・・・・激励してくれてるんだろうけど、ありがたくないのは何故だろう。・・・まぁ、『無職』のせいなんだろうけど。さっさとセカンドジョブを獲得して、そっちを名乗るようにしなくては!今のままでは、ノーンさん達PCに哀れんだ目で見られてしまうからな。掲示板に挙げるのも、その後でいいだろう。


神託の間から、受付に戻ってきた俺。フィオラさんに無事、ジョブを入手したことを伝えた。


「そうですか、無事に就くことが出来ましたか。それで、どのようなジョブに就いたのですか?」


やっぱり聞くよな、そこはさ。まぁNPCであるフィオラさんには、俺のジョブに対して哀れむことはないだろう。だが、口止めはしないといけない。


「ギルドカード更新時に分かるだろうが、まぁ教えよう。・・・だが、決して声に出してはいけない。俺と同じPC冒険者に聞こえるのは、大変よろしくないからな。・・・フィオラさん、頼むよ。」


いつも以上に真剣な顔でそう言う俺を見て、フィオラさんは顔を青くしながらコクコクと頷いた。単なるお願いなのに、何故そこまで青くなるのだろうか?装備を変えたのに何故?


軽くショックを受けたが俺はジョブを教える。『無職になりました。』と・・・。俺は自分の言葉で大ダメージを受ける。思いの外、高い攻撃力だ。〈不屈〉をセットしていてよかった。『無職』とは、恐ろしいジョブよ。慣れるまで大変だな、こりゃ・・・。


「・・・素晴らしいユニークジョブのようですが、心底嫌そうな顔をしているのは何故でしょう?」


「俺・・・いや、俺達PC冒険者の世界ではそのジョブは・・・、その名は不名誉の証みたいなものなんだ。特に見た目働き盛りの者が持っていたのなら、確実に白い目で見られるだろう。」


俺は簡単に説明する、いかに『無職』が不名誉なのかを。それを真剣に聞いていたフィオラさんは、


「・・・なるほど。客人冒険者の方々には知られたくないですね、確かに・・・。」


フィオラさんは、『各ギルドに箝口令かんこうれいをしきます。』と優しい顔で言ってくれた。『無職』の俺には、その優しい顔が痛い。凄いんだけどね、『無職』。




なんやかんやでジョブを入手したわけだが、次にやるべきことは蛙の乱獲だ。雨の日が当分続いて蛙も湧き続けるみたいだから、そんなに急がなくてもいいんだろうけど。・・・俺は最高のレインコートを作りたい。その為には蛙をサクッと乱獲して、依頼をこなしつつの素材集めってわけだ。素材が大量に流れるんじゃないかって?最初の方で言ったけど、そこは心配無用。そんなに依頼を受けてないし、主に討伐で納品少なめ。素材は自分で使うのが中心だしな。価格暴落はそうそう起きないさ。NPC冒険者もそんなに多く狩らないみたいだしな。低ランクPTの資金稼ぎ程度らしいから、ホントに問題なし。・・・・・・だがまぁ、肉とかの食材系は大量に持っていても意味ないから、ガドルフにあげるのもいいかもな。・・・ガドルフ頑張ってるかなぁ。




『ゲゴォッ!?』


「ハッハァ~ッ!!」


俺のファルカタが蛙を両断する。これで三〇匹目ぐらいだろうか、依頼の討伐数は既に超えている。それでも狩り続けるのは素材の為。意外に蛙皮は色々と使い道があるからな、多く確保するにこしたことはない。当分湧き続けるというが、いつ何時終わるか分からないからな。突然、明日止みましたってこともあり得るから、今の内に狩っとけってヤツだ。狩れる時に狩っとかないとね。


いやぁ~、狩りましたなぁ。昨日はあまりの数に焦って、途中で逃げたしたが今日は違う。出てくる蛙を狩りに狩りまくって、俺は蛙に勝利したわけだ。現に俺の周囲には蛙がいない。〔蛙ハンター〕の称号はダテじゃないのだよ。・・・まぁ先には進みませんけど。また湧いてきそうだし、疲れたし。蛙出現停止も一時的だと思うしな。レインコートを着ているとはいえ、長時間雨に打たれたら体調をくずしそうだし。まだまだ元気だけども。


蛙が再び湧く前に、カードチェックでもしておくか。なんか増えてそうな予感がするんだよな。・・・『無職』効果で。軽い調子でカードをスクロールさせていく。ステータスはぶっちゃけどうでもいい、その他が気になるのだよ。お、ギルドランクの次にジョブの項目があるな。ファーストは『無職』で矢印があるな。矢印を押してみると、セカンドが増えていた。・・・どれ、


『雨賊』雨天時の戦闘が得意な無法の戦士。水辺の戦闘もこなせる。雨天時・水辺でのデメリットを無効にする。

HP+50 STR+15 AGL+10 DEX+15 LUK+5


(雨天時地形無効)雨天時の地形効果を無効にし、行動阻害を無くす。水辺でも効果を発揮する。


(雨天時能力上昇)雨天時にステータスが1.2倍になる。水辺でも効果を発揮する。


・・・今度は賊か、まぁいいんだけどね。雨天・水辺で強さを発揮するジョブか、なかなかにいいジョブじゃないか。『無職』は外せないが、移動は出来るよな?・・・『無職』をセカンドに移動して、『雨賊』をファーストにっと。うん、ちゃんと移動が出来た。これで『無職』を隠すことが出来る。俺はガッツポーズをする、ヴェネ達には『雨賊』に就いたと言おう。


しかし、こうも簡単に新たなジョブが入手出来るとは。『無職』、恐るべし・・・。〈俺流〉も絡んでいるんだろうけどな。まぁ、ポポポポーンッと何でもかんでもジョブにはならんだろ。可能性があるだけできっとな。それにしても、何で『雨賊』になったんだろ。雨の中で戦ったからかな?〈喧嘩殺法〉も絡んでそうだが、まぁいいか。ジョブが増えたことをただ、喜ぶとしよう。




いやぁ~、素材が沢山手に入った。十分過ぎる成果と言えるだろう。ジョブに就いてばかりだというのに、新しいジョブも手に入れた。後は街に戻って、スキルとかも確認しよう。『無職』のジョブ効果がどれほどのものか見たいしな。スキルとかも増えていたらいいな。そんな感じで色々考えながら、街に向けて歩く俺。蛙は出てこないし、他の魔物も出てこない。蛙に対しては、狩りすぎたが為に俺を恐れて出てこないのだろう、と考えることにした。しかしながら、他の魔物は何故出てこないのか?うーんと考えて歩く俺に、


「ねぇ、そこのアナタ・・・。」


と背後から声をかけられた。こんな雨の中誰だろうと振り返った俺は、他の魔物が出てこない理由を知った。そこにいたのは、蛙に似た格好をした幼女がいた。背には羽虫のような羽があるし、このチビッ娘が噂の蛙の妖精か?・・・何故に会いたくない者に会ってしまうのだろうと、自身の運の良さ?を呪った。俺ってば完全に敵じゃん?蛙を狩りまくったわけだし。どうすっかなぁ~・・・。

天城さん、晴嵐さん案で『無職』にしました。


他の方々の案もその内、使わせていただきます。


ティル以外にも使いますから、そこら辺はご了承下さいな。


次回は新たな妖精と絡みます。何をいただくか思案中。


パヤパヤ頭で頑張りますよ。


そろそろ従魔かなぁ~。

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