第31話~スキル進化と生産《挿絵有り》
のんびり屋な俺です。
最近、ゲームにハマりました。故に、更新が亀ですな!
今日も元気だ天気が悪い。F.E.Oが始まって大体二〇日ぐらいか、初めての雨である。大雨だよ、ザーザーだよ。初めての悪天候が大雨って・・・、せめて小降りの雨だろ。さて、今日は何をしようか。宿の食堂で予定を考える。一〇時に噴水広場へ行くのは決まっている。その前とその後に何をするか、しかも外は大雨。噴水広場へ行くのも億劫だ、うーん・・・。
「ティル君、また凄い格好だねぇ。暗黒戦士になりたいの?せめて、兜は外そうよ。」
シグルゥがニコニコ笑顔でそう言ってきた。そういえば、兜を被ったままだな。ノーンさんに『外した方がいい。』と言われていたのに、俺って奴は・・・。
「まぁ無意識の内に装備しちゃうよねぇ~。普段着でも作ればいいんじゃない?その装備は冒険用にしてさぁ。」
少しだけ反省しながら兜を外していると、シグルゥが再び発言する。・・・普段着に冒険用?・・・いいかもしれないな、普段着。うん、普段着を作ろう。
「やるじゃないかシグルゥ。」
とりあえず、いいこと言ったシグルゥを褒める。
「ドヤッ!」
ドヤ顔で返され、イラッときた。
一〇時まで三時間はある。その空いた時間にある物を作ろうと思い、借りている個室に戻る俺。シグルゥには使用許可をもらっている。部屋を借りている身としては、勝手に何かをすることは気が引ける。しかも物作りだ、多少は散らかしてしまう。散らかす可能性がある以上、管理人に許可を取るのは当たり前だよな。客は俺以外いないみたいだが、一応宿だし。そんなわけでアレを作るとしますか。
手に入れたはいいが、使うことの無かった携帯職人セットを開けてみる。中には〔鍛冶セット〕・〔裁縫セット〕・〔調合セット〕の三つが入っていた。それぞれ見てみると〔鍛冶セット〕には、鉄床・ハンマー・砥石等が入っていた。作業場にあるヤツより小さめの物がな。炉が無いから、軽い手直しと修復ぐらいしか出来ないな。刃を研いだり、金属製防具とかのヘコみを直したりとか、そういうの。炉が無いのは当たり前だよなぁ。・・・その内出ないかな、持ち運べる炉みたいなヤツ。
〔裁縫セット〕には、大小様々な針、一般的な糸、ハサミと小刀等が入っていた。同じように、服の解れを直したり、仮縫い程度の物しか作れないわな。仮縫い程度でも、良い物が作れそうな自分が恐いが。
〔調合セット〕には、大小様々な器、小さなすり鉢とすりこぎみたいなヤツ、小さなナイフ等の調合に必要な最低限の物が入っていた。これだと低品質のポーション系が作れそうだ。他のも同じだが、スキルLVとか称号効果の影響で普通に良い物が作れるだろう。・・・勿論、俺の場合だ。他のPC生産者はさっきも言ったが、低品質の物しか作れんだろうな。まぁどちらにせよ、冒険の最中に物が作れたりするのは、かなり有利だよな。
この〔裁縫セット〕があれば、アレを作ることが出来るな。仮縫い程度の物になるが、無いよりはマシだし、後で本縫いすればいいんだしな。・・・というわけで作ろうか、雨に強い防具を。蛙皮を使ったレインコートを!
そして俺は、ギルドカードでステータスチェックをしているわけだ。凄いな俺、LV44とかって・・・。PCの中で一番LVが高いんじゃないの?改めて見るとスキルが多いな、ノーンさんも言ってたな規格外と。俺も自覚しつつある。まぁ俺的に普通にやって、こうなったんだから仕方ないだろ。称号も増えたなぁ~、ランクアップしている称号もある。
・・・・・・何?レインコートはどうしたって?・・・そんなのはやめたよ。作る為の素材が無くてやめました。蛙皮を全部、使い切ったことを忘れていたんだよ。ノーンさんや買い物客から貰った素材があるけど、耐水性のある素材が無かったわけだ。自分用に蛙ローブを残して置けばよかった。あのローブは水耐性が微弱でもあるからな、雨ぐらい大丈夫だろ。そんなわけでレインコートを諦めて、ステータスチェックをしていたのさ。
スキルLVも高いな、たぶんハンパないLVだろコレ。・・・お?〈鑑定〉LV50★?なんだコレ?気になって見てみれば、〈鑑定〉はLV50がMAXみたいだ。そんでこの★を調べて見れば、ランクアップが出来ますよっていう知らせだったみたい。・・・・・・ランクアップだと?
スキルはLVがMAXになると、ランクアップが出来るみたいだ。そういうことならと★をつついてみたら、
『〈鑑定〉のLVがMAXになりました。〈鑑定〉を〈中鑑定〉にランクアップさせることが出来ます。
SPを消費することで、特殊なランクアップをさせることが出来ます。
〈鑑定〉→〈中鑑定〉(消費SP:0)
〈鑑定〉→???(消費SP:20)
どちらにするか決まりましたら、カーソルを合わせてYESを選び決定して下さい。』
え、何?普通じゃないランクアップがあるの!?っていうか【SP】って、ステータスポイントじゃないの?とりあえず【SP】を調べてみる。
【SP】:ソウルポイントの略称。経験を積み重ねることによって増える魂玉。消費することで、ステータスを上昇させることが出来る。その他にも消費する機会がある為、無駄な消費は控えた方が良い。
・・・一応、ステータスポイントでもあるんだな。それよりもソウルポイントって・・・、この事実を知るPCは何人いることやら。キャラメイクん時にSPを使ったもんな、あれじゃあステータスポイントと思っちゃうよな。しかも消費すれば、ステータスを上げられるし。調べることなく、ステータスポイントって認識するよ。うーん、嫌らしいぜ運営。調べたり、確認しない方が悪いんだけど。
そんなわけで、折角だから特殊なランクアップをしてみることにした。SPは使っていなかった分、貯まりまくっているからな。ここでケチって〈中鑑定〉にするのはなんか違う、やるしかないだろ!
『SPを20消費し、〈鑑定〉を特殊ランクアップさせます。』
なんかワクワクするな、何になるんだろうか?少しばかり緊張してしまう。なんてったって、???だからな。
『〈鑑定〉→〈俺流鑑定眼〉に特殊ランクアップしました。』
・・・・・・〈俺流〉が絡んでいることが明白だ。ってなんだよ〈俺流鑑定眼〉って。完全にユニークだよな、オンリーワンなスキルだよコレ。固有じゃないのが不思議なくらいのスキル名だ。とりあえず説明!
〈俺流鑑定眼〉:自己流の鑑定眼。鑑定対象をより詳細に、自分なりに纏めて鑑定することが出来る。鑑定対象が人物の場合は、発動しない。ただし、NPC敵対者は除く。
・・・なんだかよくわからんけど、パワーアップしているんだよな?使ってみないことにはなんとも言えない。とりあえず、〔ウルフクロー〕を見てみるとしようか。
〔ウルフクロー〕草原狼と屍狼の爪で作られた暗器型の鉤爪。淵魚人との戦いでボロボロになっている。これ以上の使用は控えた方がいい。STR+43 破損率:89%【製作者:ティル】
お、俺的に分かりやすいな。説明で武器の状態が分かり、アドバイスもある。破損率は100%になったら、壊れてダメになるってことだろうな。・・・なるほど、〈俺流鑑定眼〉だわ。いいなこのスキル。SP消費で特殊ランクアップ、これは掲示板に報告した方がいいだろう。後でバレて面倒なことになるぐらいなら、さっさと情報を挙げた方が賢明だよな。ぶっちゃけ、他のPCがどんなスキルに変化するのか興味あるし。それ以上に反応が楽しみなわけで。いやぁ~、歓喜と悲愴が入り乱れるんだろうな。・・・くはは。
ギルドカードを弄っていると、約束の一〇時まで後一五分。待ち合わせ場所へ向かうのに、いい時間だ。一五分もあれば、余裕で着くだろ。さて、外の様子はっと・・・。
ザァァァァァァァッ!!
朝よりも強くなってないか?・・・噴水広場に行きたくないな、完全にずぶ濡れになる。そもそも噴水広場に、クーパーはいるのか?こんな大雨でさ。フレンド登録してないから連絡出来ない。・・・・・・約束したからな、行くだけ行ってみるか。いなかったらいなかったで、後日ってことでいいだろ。俺はそう思い、大雨の中へと飛び出した。ぐぁぁぁぁっ!冷てぇぇぇぇっ!
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結果から言おう。クーパーというPC冒険者はいた、ガタガタ震えて佇んでいた。なかなかのイケメンだったが、青い顔して鼻水を垂らしていた。いつから待っていたのかと聞いたら、三〇分前からここにいたらしい。それは素晴らしいことだが、大雨が降っている中での三〇分前行動はバカとしか言いようがない。そんな大雨の中を飛び出した俺もバカなんだが。
そんなバカな俺とクーパーは、雨の中で売買する。クーパーの持ってきた魔石は俺が見た中で、一番大きな物だ。これは買わねば勿体無いと思い、買い取りを決定。最近知った相場と、雨の中三〇分佇んだ根性に敬意を表し、五万Gで買った。クーパーは鼻水を垂らしながら、喜んでいたのが印象的だったな。その後はフレンド登録をして、即・解・散。俺はダッシュで生産ギルドへ。到着してから気付いた、店に入ればよかったじゃん・・・と。
ずぶ濡れの状態でギルドに入ると、俺に気付いたエイミーさんが飛んできた。
「どうしたんですかティルさん!?こんなに濡れて・・・、早く拭かなきゃ風邪を引いてしまいます!タオルを持ってきますから、作業場の方へ!」
エイミーさんにそう促され、俺は作業場へ。向かいながらギルド内を見る。・・・生産者の人数が少ないようだな、ここにいるのはPC生産者が数人いるぐらいか。NPCいないな、ギルド職員以外。やっぱ雨だと外に出ないもんなのかね?特に今日みたいな大雨の日はさ。後でエイミーさんに聞いてみるか。
作業場にて待っていると、エイミーさんがタオルを持って入ってきた。
「お待たせしましたティルさん!さぁそこに座ってください!拭いてあげますからって・・・、着替え終わってる!?そんなぁ~・・・。」
俺を拭く気満々だったのだろう、拭くことが出来ずに項垂れる。ずぶ濡れなんだから、着替えるのは当然だろう?風邪なんか引きたくないし。まぁ所々濡れてはいるが、
「髪とかまだ湿っているから、そのタオルを貸してくれないか?」
そう言って、タオルを寄越せと手を差し出す。だが、エイミーさんは勢いよく顔を上げ、
「私が髪を拭いてあげますよ!いいですよね?ね?」
なんで彼女は、ここまで拭くことに拘るんだ?謎である。しかしまぁ、やりたいならやらせるか。可愛い娘にやってもらうのは、男としては嬉しいシチュエーションだしな。俺の場合だけど。
拭いてもらいながら聞いてみる、なんで人が少ないのかを。
「雨の日は皆さん、宿や自宅、酒場などで大人しくするのが普通なんですよ。好き好んで雨の日に出かける人は、ほぼいません。特に今日みたいな大雨の日には・・・。まぁ、例外もありますからギルドを開いているんですけどね。」
F.E.O世界では、雨の日に行動する人は少ないみたいだ。それでも行動するのは余程のバカか、客人冒険者・生産者ぐらいだという。故に、ギルドにいるが暇で仕方ないとのこと。だから拭きたがっていたのか、暇すぎて。・・・レインコートとか傘とか無いのかね?後魔法とかさ。
「レインコートとかありますけど、それを着てまでって人は少ないです。傘は邪魔になるんで使う人は少ないですね、貴族の方ぐらいじゃないですか?好んで使うのは。後魔法で雨を防げますが・・・、そんなことでMPを消費するのはバカの極みと言われます。」
ふーん、そんなもんか。・・・それよりもバカの極みねぇ、完全に不名誉な称号だな。入手しないよう気を付けなければ。
エイミーさんに拭いてもらった後、冒険者達から頂いた素材を作業場に並べる。えーと、ノーシュ山の素材がアルマージ・ノーシュリザード・針もぐら・マウンテンホーク。ガザーク林道の素材がウッドパペット・ビッグビー・イタズラ猿。ボリス坑道の素材がスケルトン・軍隊コウモリ・ゾンビ・穴ムカデ。グランベル大平原の素材が草ムジナ・飛びねずみ・ラージドッグ・タックルビートル・グリーンスライム。うーん、種類が多いな。
俺は考えた、普段着をどんな物にするのかを。そして至った、商人っぽい普段着にしようと。そうすれば、俺も普通に露店をやれるし、恐がられる確率も減るハズ。そうと決まればすぐ行動だな。もらった素材で魚人シリーズには劣るとしても、最高の商人シリーズを作ってみせる。
「そういうわけで、エイミーさんは俺の助手として動いてくれ。」
「どんなわけか分かりませんが、分かりました!任せてください!」
意味もなく、シャドウボクシングっぽい動きをするエイミーさん。やる気十分だな!
商人といえば、頭に被る物。帽子は必須だな、俺的に。使うのは・・・飛びねずみにしようか、名前的に一番軽そうな毛皮だしな。小さめだが数があるから、帽子を作る程度の布は確保出来るだろ。エイミーさんに頼んで、ねずみ素材から毛皮を選別してもらう。選別された毛皮を片っ端から〔糸化〕、そしてすぐに布へ。三〇分あれば出来てしまう俺の職人芸、他PC生産者の追随を許さぬ早業だ。物作りに手加減など無用、特に自分用にはな。
作り上げたねずみ布を帽子に加工する。なんかこう・・・膨らんだ感じのヤツ、そして長めの帯も付ける。この帯は帽子を被った時に、ずれないようにグルグル巻きにする留め帯だ。結ぶのもいいが、ここは留め金を使おう。留め金といっても、穴ムカデの甲殻を使うんだがな。やはり軽くて丈夫は外せない、それをクリアしたムカデは帽子の留め金に採用、額当てのような形に加工する。
帽子を作る際、〈光〉を〈付与〉するのも忘れてはいけない。狼シリーズは無、魚人シリーズは闇。・・・ときたら、商人シリーズは光だろう。なんか商人で光って、品行方正な良い商人って感じがしないか?そんなイメージで光にしたわけだ。そうこうしている内に、帽子が出来上がった。俺の思い浮かべた通りの物だ。次は上着だな!
ジャケットと内側に着る服は、イタズラ猿・草ムジナ・ラージドッグの毛皮でいいな。所々に、他の素材も使おう。まずは糸にして布を作らねば、・・・毛皮を選別して〔糸化〕っと。
エイミーさんの補助もあり、毛皮から糸、糸から布という作業も手早く終わった。最初はノースリーブの服を作ろうと、慣れた手付きで縫い始める。工夫する必要は無いからな、〈付与〉を忘れずにただ縫うべし。
「慣れた手付きで、最早ベテランの域ですね。見てるだけでもいい暇潰しになります。」
俺のすぐ横で、エイミーさんは作業を見ている。彼女の顔がすぐ横にあるが、今の俺には気にならない。作業を続けるだけさ。
続いてジャケットを作りますか、・・・半袖でいいな。普段着だし、無駄は省くようにしよう。そう考えて、先ほどと同じように半袖ジャケットを縫い上げる。ノースリーブの服も同じだが、三種の糸と〈光〉を〈付与〉して織られた布だからな。普通に作る物より良い物になるだろ。
しかしだ、ノースリーブの服はいいとして、ジャケットはもうちょっとだけ手を入れよう。手を入れると言っても、細かくしたビッグビーの腹袋を〔魔法の接着剤〕で貼るだけなんだが。腹袋を貼ることで耐麻痺を期待するのさ、奴らは麻痺攻撃を得意としているみたいだからな。耐麻痺が付かなくても、多少はDEFが上がるだろうから問題なし。細かい作業だが、集中すれば難しいことなどない。そんなわけで、四種の素材を使用した半袖ジャケットが出来上がった。
次はズボン、と言ってもすでに出来上がってたりする。上着と一緒に作ったのだ。材料は同じ布だしね。ベルトはノーシュリザードの皮で、バックルは穴ムカデ。ズボンに巻くヒラヒラには、大きなポケットを付ける。色々と物を入られるように。何てったって、商人シリーズだからな。やはりこのヒラヒラにも、腹袋を貼り付ける。上着との統一感は大事だろう。
ズボンの後は足元、ブーツに取り掛かろう。ブーツで使う素材は、ノーシュリザードと針もぐらの皮で作った合皮を使う。膝よりちょい下、ロングブーツにしよう。自分の足にフィットするように、慎重に作り上げていく。中敷きにウッドパペット素材を使う。こいつは肌触りがなかなか良く、衝撃も少しは防いでくれるっぽい。足にかかる負担を軽減してくれる。特に俺は、足をよく使うからな。負担軽減は重要なのだ。
更に、足の甲には例の物を付ける。今回のは、アルマージとタックルビートルの合板だ。この二匹の甲殻は、鉄の武器でもビクともしない。十分にスキルを磨き挑まないと、傷を付けられないほどの固さらしいのだ。それを〔魔法の接着剤〕で貼り合わせたのだから、更なる強度が見込まれる。忘れずにへこみを付け、しっかりとブーツに固定し貼り付ける。ダメ押しにベルトで固定、これで外れる心配は無いだろう。
おっと、アームの部分。グローブを忘れちゃダメだな。商人シリーズとはいえ、武器を持って戦う時もあるのだから、武器を持つ時の負担軽減と滑り止めの為に必要であろう。あった方がカッコいいと思うしな。これはノーシュリザードと針もぐらの腹部分の皮を使う、勿論合皮にしてだ。腹部分の皮は柔らかく、しっかりフィットするからグローブに最適である。無論、指ぬきグローブにするつもりだ。グローブ=指ぬきは、俺の中で鉄板だからな。
そして最後に、最も重要な物を作らねばなるまい。商人、特に行商人に必要不可欠な物。それは、背負袋。リュックサックが必要だ、ドデカいヤツがな。アイテムボックスがあるんだから要らなくね?と思った奴は全然ダメだ。これがあっての行商人である、これがあってのシリーズである。そういうわけで、リュックサックを作るぞ。
・・・・・・・・・そして出来上がったドデカいヤツ。外側には八つのポケットを付けた。使った素材は皮類を全部。当然、合皮にして丈夫にした。ついでに折り畳み式テントも作った。投げたらテントになるかまくらみたいなヤツ。骨組みにはウッドパペット素材を使用。ブーツの中敷きにも使ったのだが、棒状にするとよくしなるんだよ。しかも軽いからな、テントには最適さ。
リュックサックを作ったはいいが、萎んでいると格好悪いな。・・・とりあえず、ポーションとかのアイテム系を入れとこう。自分用に取っといたからな、大量に。回復魔法なんざ持ってないし、ソロだからな。回復薬は必須さ。黙々と詰め込むと、リュックサックが一杯に。・・・いいね、この丸々と膨らんだ姿。これこそ行商人の背負袋!これで全てが出来上がった。後は装備、着てみるのみ!
早速着てみた。着心地はなかなかにいい、流石は俺。作業場の鏡で見てみようか。
おお!まさしく商人、行商人にしか見えない。狼シリーズ・魚人シリーズに比べて、威圧感が無い。これなら、恐がられる心配は無いだろう。ただ帽子を被る為に、髪を下ろしたのだが・・・髪が鬱陶しい。家では気にならないのだが・・・、まぁその内馴れるだろう。最初は商人シリーズってことだったんだが、作ってみればこうなった。
〔ライトベンダーセット(特殊)〕製作者が商人をイメージして、様々な素材を使用して仕立てられた光属性の戦闘服一式。商人をイメージして仕立てたわりに防御力が高く、麻痺にも強い為に戦闘でも十分通用する。悪人顔も少しはマシになるか・・・? ヘッド DEF+22 INT+2 LUK+3 /ボディ DEF+26 MED+3 LUK+3/ズボン DEF+24 MED+2 LUK+2/アーム DEF+23 DEX+3 LUK+2/ブーツ STR+13 DEF+22 LUK+1 (フルセット装備ボーナス:レア獲得率UP)(特殊効果:歩行速度UP・野営技術・麻痺耐性)破損率:0%【光属性】【製作者:ティル】
戦う行商人ってことか、それはいい。悪人顔がマシになるって・・・、余計なお世話だよ!〈俺流鑑定眼〉・・・余計な仕事をするなっての。
気になる効果も出てきたな、(レア獲得率UP)と(野営技術)の二つ。(歩行速度UP)はまんま、歩く速さが上がるんだろう。行商人は足が命ってことだな。とりあえず、説明を見てみるとしよう。
(レア獲得率UP):魔物素材・ドロップアイテム・採取・採掘等での、レア獲得率が上がる。
(野営技術):各フィールド・ダンジョン内にあるセーフティーポイントで、野宿をすることが出来る。(テント等の宿泊道具・〈サバイバル〉必須・ログアウト可能)
いいな、この効果。レアGETの確率が上がるのは素晴らしい、だがハズレが無くなるのはツライ。難しい問題だな、俺的に。野宿可能になるのはいいことだ、長丁場になる場合もあると思うからな。ログアウト可能ってのが凄い、外で出来るもんなんだな。だが、セーフティーポイントって言ってもセキュリティ的にどうなんだ?魔物は出なくとも、PC・NPCがいる場合があるわけで。全ての人が良い奴ってわけでもないだろ。・・・・・・野宿をするにも、そこんとこの対策を考えてからになるな。とりあえずは、後でスキル屋に行くか。〈サバイバル〉を買わなきゃダメみたいだし。
効果を見る分、冒険に向いている気がする。だがまぁいいか!普段はこの行商人シリーズで、ヤバイ戦いになりそうな時には魚人シリーズってことにしよう。当初の考えをシフトチェンジだ、これで決定だな!新しい装備に着替えた俺はエイミーさんに向き直る。
「どうだエイミーさん、なかなかによくないか?」
機嫌良く聞いてみる。
「いいですね、凄くいいと思います!なんかこう・・・歴戦の行商人って感じです!今までのより威圧感が無いですし、ちょっと目付きが悪い人程度になってます!これで恐がられる確率は激減ですね、おめでとうございますティルさん!!」
歴戦ってーのが気になるが、エイミーさんの反応はさ上々。ビビり率激減の太鼓判をいただいた。これは俺にとって、大きな一歩になるな。新しい世界が広がりそうだ、新装備大成功ってことだな!
おっと忘れていた。背負っているデカリュックなんだが、コイツは装飾品の括りになるみたいだ。性能はこんな感じだ。
〔丈夫な背負袋〕数種の皮を合皮にし、それを使用して作られた大きな背負袋。袋の容量によっては、AGLが下がってしまう。丈夫に出来ている為、そう簡単に壊れることはない。 DEF+11 AGL-10 容量:50/50 破損率:0%【光属性】【製作者:ティル】
・・・とまぁ、こんなリュックが出来たんだわ。リュックなのに光って笑えるよな、作ったの俺だけど。
防具一式の次は武器だな。狼シリーズは爪、これはハズせない。魚人シリーズの時は、槍を主体にいこうかと思っている。投擲用の槍ではなく、ちゃんとした槍を。行商人シリーズの時は、折角スキルを手に入れたんだから短剣かな。剣が付くんだから、称号効果があるだろ。〔羽虫の友〕ってヤツ、使えるもんは使わないとな。最終的には、アレに進化するように頑張ってみるつもりだ。ぶっちゃけ、キャラメイクん時に〈投擲〉を取ったのもアレになるかな?って思いがあったからだし。アレって何?ってか?それは今後のお楽しみだ。そこに行き着けるか謎だしな、そん時に教えるよ。・・・最初に作るのは短剣だな、流れ的に。
行商人シリーズ時に装備する短剣、何にしようか・・・。何にするかと考えるが、そんなに多くの種類を作れるわけがない。どんな短剣があるのかっていう知識無いし。思い付く中で作れそうなヤツは・・・、ファルカタ・・・ファルカタにしようか。ファルカタとは、湾曲した内側に刃がある片刃の片手剣だったハズ。斬撃に適した形状だったような・・・。片手剣じゃん!と思うかも知れないが、そんなに大きな剣じゃないから大丈夫じゃない?全長六〇cm未満で作れば短剣になるだろ、たぶん。そんなわけで、ファルカタっぽいヤツを作るぞ。
まずはスケルトンのクズ装備をインゴットに!と思ったんだが、数が足らない。・・・そういえば、ゴブさんの装備があったけど使えないかな?・・・・・・鑑定してみると、スケルトンのクズ装備とほぼ同じだった。ゴブさんの方が若干、良い装備であっただけ。スケルトン・ゴブリン共にライトメタル装備ってわけだ、ボロボロだけど。少しは品質の良いインゴットが出来る、これは朗報だ。・・・っといっても、森でゴブ狩りはまだ先になるか。
とりあえず、クズ装備を炉に放り込む。するとどうだろう、クズ装備は余分な物が燃え尽きて、炉の下にある器に溶けた金属が流れ落ちる。それを型に流し込み、固まったら取り出す。これで〔ライトメタルのインゴット〕が作れるわけだ。こんなに簡単なのに、〈鍛冶〉がLV15以上ないと作れないんだから。まぁ簡単といっても、火の調整や見極めがあるんだけどね。初めてやったけど、何となく分かるんだよね。これが差になるのかな?〈鍛冶〉LV45だから出来て当たり前ってヤツか?・・・というか、失敗する方が難しいかも知れない。まぁゲームだしね、リアル鍛冶とは違うでしょ。リアルで鍛冶経験がある奴って、やっぱ凄いんかな?・・・と気になってみたり。
俺は出来上がったインゴットを炉に戻し、鍛錬出来るところまで熱する。これも何となく分かるんだよな、タイミングというか適温というかさ。まぁそれはいい、熱したインゴットを鉄床に置く。それをハンマーで打ち鍛える、そしてまた炉へ。それを繰り返し行う。ファルカタは内側に刃があるタイプで、重心が刀身部分にある為に破壊力のある斬撃を放つことが出来る。俺はその刀身を想像しながら鍛えていく。
何度も繰り返すことにより、想像するファルカタの刀身に。後は焼き入れをして、焼き戻しをしつつ歪み等を直していけばいい。そして刀身を研ぎあげて、刃を仕上げる。・・・これでファルカタの刀身はほぼ出来た。最後にしっかり刀身を研ぎ、磨きあげて終了。後は柄に収めてしっかり固定する。収める前に、茎っていうんだっけ?そこに銘でも刻むか。〈刻印〉を使い、しっかりティルと刻む。やっぱり精神力が削られる感覚があるが、紋章球の時ほどではない。魔石と組み合わせれば、属性付きの強力な物が出来るだろうが今回はなしで。・・・後は鞘とベルトだな。
そんなわけで、出来上がったのがコレ。
〔軽鉄のファルカタ〕ライトメタルで作られた短剣。湾曲した内側に刃があり斬撃に適している。ティルという銘が刻まれており、専用の武器になっている。自身の名を刻んだことにより、〔ニヴィアンの友〕の効果が反映されている。 STR+47 AGL+5 DEX+6 LUK+3 (特殊効果:剣速上昇)破損率:0%【ティル専用】【製作者:ティル】
〔ウルフクロー〕より、強力な武器が出来たわけだ。普通に作っても、ここまでの性能にはならない。なんだかんだで、羽虫効果が反映されている。〔ウルフクロー〕の強化修繕の目処が立つまで、コイツを主要武器にして頑張らねばならない。
さて、次は槍でも作ろうかと思ったんだが止めた。なんか今日は、これでいいやって気分になった。それと同時に、このファルカタの斬れ味を試したいって気分。しかし外は大雨、どうしたものか・・・。なんて考えていたが、
「雨が弱まったみたいですよ。今だったら、さっきみたいにずぶ濡れにはならないかと。長時間外にいたら、結局ずぶ濡れになりますが・・・。」
マジか、なら行くしかないな。試し斬りと同時に素材を集めよう。欲しい物は蛙皮、西門から出て川道で蛙狩りといきますか!
俺は勇んで、小降りの雨の中を飛び出した。そして、想像以上の蛙の数に驚き、軽い試し斬りの予定が大規模討伐に変わってしまったわけで。逃げようにも涌き出てきて、死に物狂いで倒しまくった。冷静に考えてみれば、雨の中って蛙の楽園じゃん。とにかく無難に突破して、なんとか生還した。お陰様で〔蛙ハンター〕の称号を入手したっぽい。あまりダメージを受けないように心掛けていたから、防具も少しの修繕で済んだ。ちゃんと考えてから行動しないとバカを見るね。
因みにファルカタは良かったよ。威力も剣速も使い心地も最高だね!蛙を一刀両断した時は、俺自身もビックリしたよ。武器・防具の性能は申し分なし、普段着というか・・・十分過ぎるだろう。人に避けられることも無くなったしな。今日はここまでにしようか、疲れたし。・・・明日は何するかなぁ、槍を作るかなぁ~。ま、明日考えよう。
スキル進化。スキル名を悩みすぎて、普通に・・・。最初は〔俺の目〕にしようかと思ったが、なんか違うしね。なかなか難しい命名。
ステータスポイントじゃなく、ソウルポイント。似たようなことってありますよね?俺も物語がかなり進んでから、気付く場合が多々あります。その度に、最初からやり直すのが俺でしたよ。ポイントをステータスに振り分けていたプレイヤーは、悲鳴でしょうな。ティルは例外として、LVは上がりにくいですからね。
とりあえず、わりとティルは形から入りたい人です。今回の装備も商人をイメージしていますが、見ようによっては中東系の戦士に。顔が顔だけに。
次回は職に就くんじゃなかろうか?
スキル進化後のスキル名も募集していいですかね?俺、バカですからなかなか思い付かないわけで。因みに、ティル以外のキャラのスキル進化先でも構いませんよ、勿論。その人に合ったユニーク進化を期待します。活動報告にお願いします。
それでは・・・シュワッチ!




