第17話~変態遭遇 《挿絵有り》
ドM登場。迷ったって仕方ないので、彼女は適当に考えました!
勢いなんで、お手柔らかに!
今日はログイン前に仕事をしている。軽ワゴンで作った麺を店に運び、その後は仕込みを開店前に終わらせる。今日の仕事はこれで終わりだ。
「それじゃあ、俺は帰るぞ親父。」
「おう、お疲れさん!」
店長兼親方の父に声をかけ、店の隣にある自宅に帰る俺。さぁ。F.E.Oにログインせねば。・・・ん?仕事は何をやっているのかだって?俺ん家は蕎麦屋だぞ。まぁ、そんな話はどうでもいいだろう。さぁ、ゲームゲーム。
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「シグルゥ、追加で五日分だ。」
「確かに受け取ったよ。・・・今日はいつもより遅いねぇ。」
「俺にも色々あるんだよ。」
「客人冒険者も大変だねぇ。今日の予定はどうなのかな?」
「今日は、冒険者ギルドにでも行こうかと思っている。」
「うんうん、順調そうでなによりだよ。ティル君も強くなったよねぇ。」
「なんだかんだでLVは上がっているからな。んじゃ、出てくるよ。」
「いってらっしゃい、ティル君。・・・なんか新婚みたいでドキドキするね♪」
シグルゥの戯れ言を無視して、冒険者ギルドに向かう俺であった。
ギルドに入った俺は受付に真っ直ぐ向かう。受付嬢のフィオラさんが手招きしていたからだ。
「久しぶりですねティル様。登録後一切、顔を出さなかったのは何故でしょう?」
いきなりご機嫌ななめです。まぁ、顔の一つも出してないからな。
「生産に冒険にと色々やっていたからな。正直、忘れてた。」
「・・・素直ですね。取り繕うのかと思いましたがまぁ、いいでしょう。では・・・。」
こちらに手を差し出すフィオラさん。良くわからずに、差し出された手を握る俺。
「・・・!!あ、握手ではありません!ギルドカードを渡してください!」
無表情ながら頬を染めて、そうおっしゃるフィオラさん。なんだギルドカードか。手を離し、ボックスからカードを取り出す。
「なんか悪いね。はい、ギルドカード。」
「すーはー、すーはー。・・・・・・お預りします。」
深呼吸後に受け取ったギルドカードを、操作して水晶板に記録していく。そして、
「・・・何かあるなとは思っていましたが、今度は屍狼を討伐しましたか。・・・ソロで。」
「屍狼?あの二匹、草原狼じゃなかったのか・・・。」
アイツらは別の狼だったみたいだな。弱いハズだわ、草原狼の方が・・・、
「ユニークモンスターの草原狼は、ティル様が討伐された一匹しか存在しません。屍狼はレアモンスターに分類されており、ユニークモンスター討伐で解放される魔物です。草原狼には劣りますが、二匹一組の屍狼も十分強力な魔物ですからね。」
まぁ、強力な魔物なんだろうな。草原狼で慣れていたからなのか、俺には物足りない強さだった。それはいいとして、
「そういえば、ユニークは一匹しか存在しないのはわかった。レアも同じなのか?」
「違います。レアモンスターは討伐後、一日経つことにより再出現するそうです。ギルドではそう、伝わっています。」
「伝わっています?確定した情報じゃないのか?」
「ギルド保管の古い書物に記録されている情報ですので。その記録によりますと、数百年前にもユニークモンスターは存在していたみたいです。討伐後、同族同種の魔物が出現し、討伐しても復活する・・・と書かれていますね。それがだいたい、一日とのことです。」
「へえ、昔から魔物っているんだな。」
「書物に、草原狼と屍狼の情報が書かれているということは、過去に討伐されているハズなのです。それが再び、現れたということは・・・。」
「世界に何かが起こっている・・・ってか?」
「その可能性は否定出来ない・・・というのが、ギルドの考えです。」
なんか重い話になってきたな。まぁ、何かあったらイベントかクエストでも起こるだろ。気にしない気にしない。
「とりあえず、ユニークは一匹、レアは復活するってことだな。」
「・・・ええ、そうです。ティル様のお蔭で、書物の記録が正確である可能性が高くなりました。ありがとうございます。」
「いやいや、たまたまだから。他のユニークで、ちゃんと検証しないと。」
その後は、討伐した魔物を掲示板にある依頼と照らし合わせて、フィオラさんに処理してもらった。
「ティル様は後一つ、依頼をこなせばランクE+にランクアップします。」
「おー、ランクアップ。」
「それで、ティル様に受けて欲しい依頼があるのですが、確認していただけませんか?」
「了解、んじゃ見せてくれ。」
フィオラさんから、依頼内容の書かれた紙を渡される。
依頼:森より響く不気味な声
依頼者:冒険者ギルド
内容:シアルの街から東にある、深き森より不気味な声が聞こえてくると、狩人や薬師達から不安の声が。少しずつではあるが、魔物が活発になっている。大規模侵攻の予兆である可能性がある以上、調査をしないわけにはいかない。・・・ということでティル様、よろしくお願いします。
「俺指名じゃん、コレ。」
「その通りです。ティル様の能力は平均より遥かに上です。単独調査が余裕で出来るだろう。・・・との予想がギルド支部幹部から出ましたので、指名させていただきました。」
「俺より強い奴、ランクが上の奴なんて沢山いるじゃないか。なんで俺?」
「高ランク者は、高難易度の依頼で殆んど出払っています。ですので、低ランクながらも能力の高いティル様に、白羽の矢が立ちました。」
「・・・ティル様よろしくあたり、付け足した感アリアリなんだが。」
「丁度良い人が来たので、付け足しました。」
「・・・あっそ。まぁ、俺でも大丈夫だから指名されたと思うことにする。」
「では、受けていただけるのですね?」
「なんか、受けるしかないっぽいじゃん。」
「です。」
とりあえず、受けることにした。注意するのは、はぐれゴブリンの集団と大蜘蛛らしい。まぁ、面白そうだからよしとするか。えーと、深き森は東門から出ればいいんだよな。
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ただ今、深き森の入口付近にいる。木々の間から太陽の光が差す光景は、素晴らしいの一言。風による木々のざわめきも良いBGM、こんな森に謎の声が響く時があるのか。聞くところによると、毎日ではないらしい。そして、客人冒険者が来たあたりから報告されている。・・・俺達、PC冒険者の誰かが犯人じゃないか?・・・とは思う。そうだとしても、何をしているんだろうね。そんなことを考えながら、森の中へと足を進めていく。少しずつ暗くなっていく道無き道、何が待っているのかな。
『『『『『ギャギャギャッ!!!』』』』』
「キリがねぇ・・・。集団とは聞いていたが、増え続ける集団かよ。ゴブさん、俺はお前達をナメてた!」
最初は三匹のゴブと戦った。二匹を倒し、最後の一匹に止めを刺そうとしたら、
『ーーーー~~~~!!!』
甲高い変な音?声?を出したゴブ、喧しいからサックリ殺りました。なかなかに強いゴブ、武器防具を装備しているヤツが特に強かった。油断しなけりゃ、負けることはないと思う。さて、剥ぎ取って調査再開といきますか。
ガサガサッ・・・
『『『ギャギャギャッ!!』』』
・・・なんて思っていると、しげみから新手のゴブが三匹出てきた。気配を感じさせずにここまで接近するとは、やるじゃないか。俺はファイティングポーズを取り、ゴブとの戦いを始めた。
・・・を四度、繰り返したわけだ。そんなに強くはなくても、連戦はキツイ。
『・・・ァ・・・。・・・ァァァ。』
今回の五度目は、装備ゴブ五匹。流石にこのゴブ五匹はキツイ。そこら辺にある木や石を使えば、全滅も出来るだろうが、戦いが続くと疲労が溜まっていく。
『・・・ファァァァァ・・・・・・。』
狼戦の時みたいに、足腰がダメになるやもしれない。そうなれば、死戻りだ。
「それはイヤだから、逃げてコイツらを撒くとしよう。」
そうと決まれば、すぐさま実行。近くに立つ木に飛び付き、スルスルと登り始めた。それはもう、猿が如く。『木登り由樹さん』の二つ名はダテじゃない!・・・あ、コレはリアルでの二つ名だからな。
『はぁ・・・はぁ・・・。ゴブリンが下にぃ・・・。』
下を見るとゴブ達が騒いでいる。・・・ザマァ!
「よし、調査再開。木々を飛び移っていけば、敵との遭遇率は下がるだろ。」
『この状態で落ちることを考えるだけで・・・。』
なんかさっきから、悩ましい声が聞こえるなぁと思いながら、木々を飛び移り、フッと上を見る。
「イってしまいますぅぅぅぅぅっ!!」
「!!!!!!」
俺の真上には、吊るされた女がいた。
「・・・・・・あふぅ。このスリルがたまりませんね。苦労して吊るした甲斐がありま・・・した・・・・・・!?」
トロけた顔の女と視線がぶつかった。
しばらくして、
「そこの人、この縄をほどいてくれません?動揺と興奮でほどき方、忘れてしまいました。」
「・・・・・・自分で吊るしたのか?お前、変態?」
「世間では、私のことを変態と呼ぶでしょう。ですが、あえて言わせてください。ドMであると!」
キリッとした顔でそれを言うのか。とりあえず、縄をほどかないと目に毒だな。
「あんま動くなよ。」
「えへへ・・・無理ですよぉ・・・。なるべく荒々しくほどいてください。胸とかもお触りオー・・・ゲフェッ!!」
吊るしてある縄を切り裂いた。当然、体を縛っている縄はほどいていないため、受け身も取れずに太い枝に腹部を打ちつけ落ちた。
「・・・うぇへへへ、今のはヨカッタです。さぁさぁ!あとは体の縄ですよ!」
枝に引っ掛かりながらも、激しく体を揺らすためにガサガサと葉が擦れる音が森に広がる。こんなことをしていたら、魔物が集まってしまう。しかし、ここで縄をほどいても何かしそうな気がする。
「仕方ないな・・・。」
俺は縄をほどかずに、変態を肩に担ぐ。
「私をアジトに連れ込んで、何をする気ですか!ま、まさかあなた・・・!・・・そんな嬉しい!」
肩の上でモゾモゾ動く、ウゼェ!うるさいし、
「うぇへへ~・・・。はぁ・・・はぁ・・・。」
気持ち悪いが、静かになった。今のうちに移動だな。俺は慎重に木々を飛び移りながら、森の入口を目指した。・・・・・・完全に猿だな、俺。
深き森の入口に戻ってきた俺は、変態を投げ捨てた。
「・・・あふん!」
コイツを担いでいる時に思ったんだが、依頼の声って・・・、
「なぁ、お前はいつもこんなことしてるのか?」
「いつもなんかしていません。間隔を空けてプレイをしています。」
「・・・・・・。」
「木の上で楽しんでいる理由は、転落するかもしれない、蜘蛛が出るかもしれない、とか色々と考えつきますね。まぁ、木の下でプレイなんかしたら、ゴブリンによってたかって殺されますからね。楽しむ前に死戻りです。それじゃあ、ダメなんです!」
「・・・・・・。」
「それに比べて、木の上はいいですよ。ハラハラドキドキムラムラします。たまに蜘蛛が出て補食されますが、蜘蛛はジワジワ攻めてきますからオススメです。」
草の上、縄で縛られた状態でドヤ顔説明されても困る。
「たまに人の気配を感じる時がありますが、それはそれで興奮します。今回は・・・あなたに見付かってしまいましたけど。・・・フフフ、あなたのような人に見付かったのは幸運でした。見るからにあなた・・・、Sですね!」
「・・・・・・。」
「はわぁ~・・・!冷たい目が・・・ゾクゾクするぅ~・・・!!」
絶対コイツが不気味な声の犯人だわ。
「よし、お前。ギルドにつき出してやる。」
「ギルドプレイですか!それはどのような・・・グェッ!!」
妹と同じ対処法で黙らせた。幸せそうな顔で気絶してやがる。俺は手早く変態を大きな袋に詰め込み、ギルドに向かった。・・・気分は盗賊、人拐いってこんな感じなのかなぁ。
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まぁ、こんな感じでギルドに戻ったら、騒ぎになるわな。
「ティル様、ついに犯罪を・・・。」
袋から顔を出す変態を見て、フィオラさんがそう言った。
「たぶん、依頼の不気味な声?犯人コイツだと思う。」
俺は依頼を受けてからの行動を、フィオラさんを含めた周囲の人達に説明した。
「「「「「・・・・・・。」」」」」
「・・・とまぁ、うるさいから気絶させて連れてきた。」
男性陣はいやらしい顔で変態を見る。フィオラさんを含めた女性陣は顔をしかめている。とりあえず変態は縄をほどいて、ソファーに寝かせている。
「事情はわかりました。聞いた感じでは、彼女が声の正体でほぼ間違いないとは思いますが。」
「ま、コイツが目覚めてからだよな。」
「はい。彼女が目覚めましたら、こちらでも話を聞き判断いたします。」
「よろしく頼むよ。明日また来るから、結果はその時に。」
「お勤め、ご苦労様です。」
ペコリと頭を下げるフィオラさん。俺は伸びをしながらギルドを出た。暗くなってきたけど、これからどうするかな。・・・アイツのところにでも行くか。俺はアイツのいるメインストリートの方に向かって、歩いて行った。
どんなドMが良いかわからんから、適当です。こんなドMがあるよって人は教えて下さい。彼女はどこまでイクのか未知数です。因みに、レギュラーになる可能性は無くなりました。俺には扱いきれなさそうなんで。たまにチョロっと出る程度です。期待していた方がいたら、ごめんなさい。
因みに、話の修正はしません。メンドイから!!(オイ




