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第14話~生産ギルドに招待 《挿絵有り》

あばばばばっ!なんですかこりゃ!?ブックマーク、PV、ユニークが凄いことにぃっ!


とりあえず、いつも通り勢いでぇ!

今日の朝、


「あんちゃん、家ではいつも会っているけどさ~あ。」


「家族だからな。」


「うんそうなんだよね・・・、家族だもんね・・・。じゃなくて、F.E.Oの世界で私達会ってないじゃん?」


「・・・・・・そういえば、そうだな。」


「でしょ?だから・・・ね?一緒に冒険しよぉ~。」


まとわりついてくる妹の芹菜。いつも家で話をしているから気にもとめてなかったが、F.E.Oで会ってないな。たぶんだが、芹菜も最近気付いたんだと思う。忘れていたからこそ、今になって言ってきたんだな。忘れてしまうほど、楽しんでいたんだろう。もちろん俺もなんだが。まぁそんなことはどうでもいいか、それよりも一緒に冒険か・・・。今日は昼にJunさんから、素材を受け取る約束をしているからなぁ。そのあとは、山の発掘ポイントに行く予定がある。・・・そういえば、芹菜は前線組だったよな?ってことは、


「なあ、Junさんて人を知ってるか?」


「んー、前線メンバーのJunなら知ってるよ。黒髪ポニーのね。」


「昨日、素材集めのためにメンバー招集したか?」


「したねぇ。『出来る限り、集めてください。』って。」


うん、俺の知ってるJunさんだな。


「実はだな、俺はそれに一枚噛んでいるんだよ。」


「ん?どゆこと?」


くっつきながら、首を傾げる芹菜に俺は説明した。





「あんちゃんが協力者だったんだね。」


「おう、素材が無いって言ったら『集めます。』ってことになってな。んで、今日の昼に素材を受け取る約束になっている。」


「じゃあJunについて行けば、あんちゃんキャラに会えるわけだね。」


「そういうことになるな。受け取ったあとは、山の発掘ポイントに行く予定だ。それでもいいなら、一緒に行くか?」


「行く行く~。私があんちゃんを護衛してあげるよ。」


「うむ、頼らせてもらうぞ。」


そう言いながら、芹菜の頭を撫でる。機嫌のいい芹菜は、


「朝食食べたら、すぐに行かなきゃ。・・・んふふ~♪」


ウキウキ気分が溢れだしている。見ている俺も気分が高まるな。そして俺達は、仲良く朝食を食べてF.E.Oにログインをした。


―――――――――――――――――――


俺は昨日入手した魔物素材を自分のボックスから取り出し、整理をしていた。ギルドから借りている個室には、アイテムボックスが備え付けられており、素材を移していたのだ。一応、自分のボックスに空きを用意しておかなければな。しばらくして、


『ティルさん、少しよろしいですか?』


「うん?Junさんか・・・?」


整理後に投擲薬を作っていると、彼女の声がした。しかし、作業場を見回しても彼女の姿がない。気のせいかなぁ・・・と思っていたが、


『ああ、すみません。ティルさんは、ウィスパーチャットを知らないみたいですね。』


「ウィスパーチャット?なんだそれ。」


『今から簡単に説明しますね。』





『遠くに居ても、頭の中で会話が出来るのか。テレパシーみたいだな。』


『そのようなものと認識してくださいな。』


フレンドとかPTメンバーとの間で出来るみたいだ。便利だねぇ。


『それでですね、今日の約束なんですが・・・同行者が増えることに。』


『別に構わないよ、そのくらい。』


『そうですか?ありがとうございます。どうしても、一緒に行くと利かなくて。』


『そりゃあ、そうだろうな。約束したし。』


『約束ですか?』


『ああ、・・・その騒がしいのは俺の妹だ。』


『・・・嘘ではなかったんですね。』


『俺の妹だーーーって喚いてたのか?』


『その通りです。どうも疑わしかったのですが、ティルさんが言うなら本当ですね。』


喚いている姿が想像出来るな。


『では、彼女とバルバロッサと三人で、待ち合わせ場所に向かいますね。』


『了解。んじゃ、その時に。』


ウィスパーチャットを終えた俺は、投擲薬をある程度作ってから待ち合わせ場所に向かった。






「売れる分の投擲薬は今ので最後だ。」


「あちゃあ、買えなかったか・・・。」


「出遅れた・・・。」


「ひぇっ・・・!!」


待ち合わせ場所で待っていると、冒険者達が『投擲薬を売ってくれ。』と頼まれたために、手持ちの投擲薬を売ってやった。そして、あっという間に完売。物がなくなると冒険者達は散っていく。何処から集まってくるんだ奴等は・・・と考えていたが、どうやら待ち人が来たみたいだ。俺は手を挙げて、


「おーい。」


と声をかける。こちらに気付き、Junさん達がこっちに歩いてくる。ん?バルバロッサの後ろから、一人の少女が飛び出し、


「あんちゃあ~ん!!」


と抱きついてきた。Junさんとバルバロッサの二人は、こちらを見て笑っていた。


挿絵(By みてみん)





「お待たせしたようで、すみません。」


妹と思われる少女が落ち着いてから、Junさんが声をかけてきた。


「気にしないでくれ、俺が勝手に早く来ただけだから。」


そう言ってくっついている少女を引き剥がす。


「んで、お前は俺の妹で間違いないな。」


両手で顔を挟み込み、目線を合わせて問いかける。


「間違いなく妹だよ。妹の分身、ヴェネールちゃんである。そういうあんちゃんはまんま、あんちゃんだねぇ。」


妹はご機嫌だ。その様子を見ていたバルバロッサは、


「仲がいいな、羨ましい。」


なんとも微笑ましい顔をしていた。俺は妹の顔から手を離し、


「・・・で、素材はどのくらい集まったんだ?」


早速、本題に入った。この後の予定があるからな、時間をかけてられん。Junさんは微笑を浮かべながら答えてくれた。


「予想以上に集まりました。私とバルバロッサ、ヴェネのボックスに分けて持ってきましたが、ティルさんに渡すことが出来ませんね。確実に持ちきれません。」


「そんなに集めたのか?凄いな・・・。」


俺が驚くと、


「みんなストレスが溜まっていてな、素材集めに託つけて暴れたんだよ。特に凄かったのが、そこのヴェネだな。」


バルバロッサがそう言うと妹は、


「あんちゃんに言うな!・・・・・・仕方ないじゃん、進みたくても進めないんだから。一人で突っ走ったって、死戻ることになるしさ。私はライアンみたいになりたくない。」


そう言って、口を尖らせる。ライアンが誰なのかわからんが、バカ助みたいな奴なんだろうなぁと狼戦を思い浮かべる。考えなしで突っ込んで、殺られたからなアイツは。


「とにかく、素材がたくさんあって渡せないんですよね・・・。どうしましょ?」


Junさんが困った顔をする。自分達で売るなり、仲間内の生産者に渡せばいいのに。俺に渡すことしか考えてなかったみたいだな。


「とりあえず、受け取って数を確認しなくてはならない。・・・となると。」


まぁ、ギルドに行くしかないわな。


「俺が世話になっているギルド支部に行くしかない。まずはそこに行くか。」


なんてことを言うと、


「支部に行けるのですか!?」


「マジか!他の奴等に自慢出来るな。」


「あんちゃんサイコー!!」


三人のテンションが上がりまくりだ。そこまで喜ぶことなのかね・・・?いや、喜ぶようなことか。そういえば、俺しか支部に行けてないんだっけ。とにかく、


「行くぞお前ら!」


「「「おおーーーっ!!」」」


俺もテンション上げて行くことにしようか。





ギルドで受付をした俺達は、個室作業場にいた。


「ここがティルさんの作業場ですか、凄いものですね。」


「個室があるってのが驚きだ。知り合いの生産者にいい土産話が出来たぜ。」


「設備が凄いね。なんでも作れそう!」


興味深そうに作業場を見回る三人を放置し、俺は素材を広げる場所を確保するために生産道具を片付けていた。しばらくして、


「待たせたな、ここに集めた素材をぶちまけてくれ。」


と声をかけ、それぞれ素材をボックスから取り出し置いた。なんつーか、素材の山が出来たよ。


「・・・・・・正直言って、こんなにいらねぇ。」


「・・・だよな。俺も多すぎなんじゃねぇかな・・・とは思った。」


持ちきれないほどあるとは聞いていたが、多すぎである。とりあえず使うであろう量を適当によせる。選別は後でいいや、時間がかかりそうだし。


「よくわからない物も混ざっているが、まぁいいか。これくらいあれば、たぶん大丈夫だ。あとは持ち帰りでよろしく。」


「お手数をお掛けして、すみません。」


苦笑いを浮かべて、Junさんとバルバロッサは素材をボックスに入れていく。俺と妹も手伝い、この作業はすぐに終わった。


「つーか、ヴェネ。お前、自分のボックスに入れろよ。」


自分のボックスに入れることなく、バルバロッサのボックスに詰め込んだ妹に文句を言う。


「ボックス空けとかなきゃダメなんだよね。この後、あんちゃんと山の発掘ポイントに行く予定だからさ。」


バルバロッサの文句を聞き流し、妹はそう言った。


「そうなのですか?」


Junさんの問いに俺は、


「そういう約束をしているな。悪い、バルバロッサ。」


「なら仕方ねぇか。約束は守らなきゃダメだからな。」


バルバロッサの奴、心が広いのか狭いのかわからん。


「大盾作りは明日の朝一からやるよ。今日の午後は採掘ってなことで。」


「はい、解散ですね。」


と話がまとまったところで、


「同僚の受付嬢から話を聞き、エイミー参上です!素材整理はお任せを!」


いきなり、ふんす!!と気合いの入ったエイミーさんが現れた。彼女を見た三人は、


「ティルさん、NPCの受付嬢と良い仲なのですか?」


「生産ギルドの受付嬢がかなり可愛い!コイツはスゲー情報だ!!」


「私が冒険ばかりであんちゃんを放置した結果がこれか!なんたる不運なんたる悪夢!!これが所謂NT・・・だだだだだだっ!!!あんちゃんいだぁーー!!」


美少女の登場で解散が延びました。一名、馬鹿な発言をする前にアイアンクローを決められ、床の上を転がっている。・・・解散前に紹介だな、こりゃ。






「彼女はエイミーさん、ギルドで一番世話になっている人だ。」


「初めまして、生産ギルドシアル支部受付嬢兼ティルさん専属ギルド職員、略してティルさんのパートナー、エイミーです。よろしくお願いします!」


「やはり良い仲のようですね、流石です。」


「専属が付くのか!コイツは凄すぎる情報だぜ!!!」


「・・・・・・妬ましい。」


その後、一時間弱は色んな意味でお祭り騒ぎになり、解散となった。俺はエイミーさんに素材の仕分けを頼み、不貞腐れる妹を連れてノーシュ山へと向かった。山登りの前に疲れたよ・・・。

挿絵は抱きついているのが妹キャラのヴェネール。抱きつかれているのがティル。吹き出しの二人は鉢巻きがJun、その隣がバルバロッサです。


掲示板でのティルのような絵も用意してますが、今回は貼りません。いつ、張ろうかな。



山は次話になってしまいました。無念・・・。

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