第8話~自作装備とPC冒険者遭遇
無理矢理自己紹介。ねじ込みねじ込み。
今日の俺はリアルで早番の仕事だった。3時頃に帰宅し、リビングのソファーでくつろいでいると
「あんちゃんはF.E.Oで何してるの?」
高校から帰ってきた妹がすり寄ってきた。そういえば、F.E.Oを貰ってからまともに会話していないな。
「俺か?・・・初日は街の探索に草原で軽い戦闘。2日目は生産スキルのレベル上げだったな。昨日までの3日間ずっと・・・な。」
うーん、濃密な時間を過ごしたな俺。
「3日間ずっと工房に籠っていたの?・・・よく出来るね。」
自分には出来ませんと顔に書いてある。わかりやすいな。
「私はね、βからの仲間と山登りでレベル上げだったよ。βの時よりも敵が強くてねぇ・・・本当に楽しいよ!」
すごく目がキラキラしとる。自分の妹ながら・・・まぶしいぜ!
「山で発掘ポイントを見付けたから、今日は生産組を護衛しながらそこに行くの。それから、生産に目処がついたら山頂アタックにリベンジ!山を越える予定なのです!」
「へー。近々グランベルの王都に行けるかもってことか。凄いなー芹菜。」
俺は妹の頭を撫でまくる。妹の芹菜は目を細めて嬉しそうだ。・・・あ、そういえば名乗っていなかったな。俺は佐藤由樹、妹は芹菜。今更ながら、今後ともよろしく。
「えへへ・・・もっと撫でてぇあんちゃん。」
「仕方のない奴だ。」
妹を愛でたあとは早めに夕食を済ませ、F.E.Oにログインした。
――――――――――――――――
「シグルゥ、追加で5日分だ。」
「うぃうぃ。今日は・・・。」
「籠りっきりだったからな。外で戦ってくるよ。」
「りょーかい。張り切っていこー。」
シグルゥの声援?を聞き流し、俺は北の草原に走った。
まずは装備を確認をしよう。修行で作った自作装備である。
〔鉄の投げナイフ〕鉄製の投げナイフ。STR+3【製作者:ティル】
〔ラビットレザーセット(特殊)〕ホーンラビットの素材と鉄で作られた革鎧一式。ヘッド DEF+1/ボディ DEF+8/ズボン DEF+5/アーム STR+5・DEF+2/ブーツ STR+4・DEF+2 (フルセット装備ボーナス:AGL+10)【製作者:ティル】
素材は親方達が用意してくれた。俺は作っただけ。親方達に感謝だな。因みにアームには鉄のメリケンサック状の鉄板を、ブーツは特殊な鉄板を付けてみた。〈喧嘩殺法〉を意識した改造である。このブーツには特殊な使い方がある。いずれ、お披露目することになるだろう。投げナイフは練習で大量に作らされた。3日間で200本、初心者だというのに鬼である。だが、折角作ったんだから有効に使わせてもらおう。とっておきもあるが、まだ秘密だ。上手く使えるかわからないからな。あとは回復アイテムだ。
〔ポーション〕HPが30回復する薬。【製作者:ティル】
ただのポーションである。NPCの店で売っているものと効果は同じだ。これを10本用意してきた。他にも色々あるが残りは売ろうと思っている。さて・・・確認はもういいな。さぁ、狩りの始まりだ!
ジャンプで上から襲ってくるバッタを着地点ギリギリで避け、横から蹴ってひっくり返す。背後からジャンプ頭突きをしてきたウサギには裏拳を叩き込む。地面に落ちたウサギを掴み上げ、バッタに投げつける。絡み合ってもがく2匹を無視して、もう1匹のウサギに殴りかかりラッシュ。ウサギを殴り倒し、もがいていた2匹に目を向ける。む、既に復帰していたか。投げナイフを数本手に持ち、相手の動きを見る。バッタは懲りずにジャンプ攻撃をしてきた。
「ただの的だ。」
手元の投げナイフを全て投げつける。1本外したがそれ以外は命中。バッタは宙で息絶え、勢いのまま地面に叩きつけられた。直後、ウサギの頭突き攻撃が迫ってくる。俺は避けずに腹で受けきり、ウサギの体を抑えて膝蹴りを繰り出す。もういっちょ膝蹴り。2発目は抑え込まなかったから、ウサギは宙に浮き上がる。それを俺は軽く飛び上がり、踵落としで追撃した。それがとどめになり、ウサギは動かなくなった。
「ふむ、いい感じだな。」
自作装備の具合がなかなか良い。先ほどの戦闘を思い、笑みを浮かべる。ティルの周囲には魔物の死体が多数転がっている。剥ぎ取りもせずに戦っていたが故の光景である。悪人顔の男がその中心で笑みを浮かべる姿は・・・悪人そのものにしか見えない。しかし、そんな彼に声をかける勇者がいた。
「なぁアンタ。剥ぎ取らねぇの?」
「あ・・・忘れてた。」
戦うことに集中していて忘れていた。声の主に振り向くと同時に礼を言った。
「教えてくれて助かった。声をかけてくれなかったらたぶん、忘れていただろう。」
「いやいや、忘れるってどうよ?この俺でさえ忘れないぜ。」
それが突撃野郎ライアンとの出会いであった。後にティルはライアンと出会ってしまった不運を嘆き、逆にライアンはティルに出会った幸運を喜んだという。
ステータス
名前:ティル
種族:人間
性別:男
LV5(+3)
HP:79/110(+20)
MP:40/50(+10)
STR:18(+8)/30〔+12〕
DEF:14(+4)/32〔+18〕
INT:11(+3)
AGL:15(+5)/25〔+10〕
DEX:30(+14)
MED:14(+5)
LUK:15(+2)
【SP】:20
【スキル】
〈投擲〉LV5(+3)〈喧嘩殺法〉LV5(+4)〈鑑定〉LV14〈採取〉LV3(+1)〈鍛冶〉LV15
【控えスキル】
〈裁縫〉LV13〈装飾〉LV12〈調合〉LV10
【固有スキル】
〈俺流〉LV11(+1)
【称号】
職人達の弟子
【装備】
鉄の投げナイフ×163〔STR+3〕
ラビットレザーセット(特殊)〔STR+9・DEF+18・AGL+10〕
【アイテムボックス】
ポーション×7・etc
近々、ティルの顔でも書いてみようかと考えてます。pixivの方にですけど。




