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ジョシュア君はそう短く答えた。螺旋階段を上がり、二階に着いた僕達は、ジョージ君の自室に入った。広い部屋の中には、本棚、机、飾り棚、ベッド、彼らが小さい時の写真、友達や女の子と撮った写真などをふくめ一般的な家具が並んでいる。飾り棚の中には、液体の真ん中に浮いている? 球体が入っているガラス菅があり、壁にはジョシュア君が描いたであろうジョージ君の絵が掛けられていた。
「ねえ、ジョージ君。このガラス菅は何?」
「はい。それはガリレオ温度計と言って、ガリレオ・ガリレイが、比重測定原理に基づいて作ったと言われるものです。
大まかに言うと、気温によって液体の比重(密度)が変化し、ガラス菅の中に浮かぶ空気と液体の入った球体が菅の中で浮き沈みを繰り返すというものです。まあすごく暑い時はぜんぶ下へ沈み、寒い時は上に浮かんでいるといったものと思っていただければいいかと。
今は……そんなに暑くもなく寒くもないので真ん中辺りに浮かんでますね。これは、ガラス菅を満たす液体と球の中にある液体の浮力が等しいということです」
「へえ、これはすごい」
「父からの誕生日の贈り物で、ジョシュアの部屋にもありますよ」
「そうなんだ」
そう答えた僕は、次に写真立ての前に移動した。
「うわあ、二人ともすごく可愛いね」
「ありがとうございます! スチュワート先輩」
「そこに飾られてある絵のジョージ君と同じ年の頃くらいだよね?」
「はい。ジョシュアが記憶を頼りに描いてくれたんですよ」
「本当にすごいよね。ジョシュア君は芸術家専攻?」
「いえ。僕はメディカルスクールに通っているので、その専攻ではないんです。スチュワートさん」
「え? メディカルスクールって、あのハーバード大学の?」
「はい」
「……」
僕は何も言えなかった。……彼は僕なんかがどれだけ背伸びをしても、絶対に手が届かない領域の人間だ。




