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「今日は邪魔者がいませんからゆっくり話せますね」

「それってペルペ警部のことですか?」

「内緒、ですよ?」

「わかってます」

 僕は笑みを浮かべて言った。

 お目当ての場所に着いた僕達はウエイターに案内された席に座り、僕はカフェオレ、サムさんはコーヒーを頼んだ。

「しかし、だいぶ涼しくなりましたね」

 サムさんは空を見上げて言った。

「そうですね。あの、サムさんて休みはいつも散歩してるんですか?」

「ええ。気分転換になっていいですよ。あれ? 何だか意外という顔をしていますね」

「いえ、その、お付き合いしている女性と一緒という先入観があったので……」

「それよく言われますよ。でも、私にそういった女性は今のところいないんです。ブラッドリーさんはどうなんです?」

「あ、僕は一応、結婚してるんです」

「……」

 サムさんは答えるかわりに目を少し見開き、穴が開くんじゃないか? と思うほど僕の顔を見つめている。

「あの……サムさん? どうかしましたか?」

「あ、いえ、指輪もしてなかったし、恋人がいるのかなくらいにしか思っていなかったもので……少し驚いてしまって……」

「……はあ」

 僕はなんともなしにそう答えた。

「じゃあ、その奥さんの相手はなさらなくていいんですか?」

「ええ。今日はベスから頼まれた用事はないので。それに僕、ちょっと紅茶を買いに出て来ただけなんですよ」

「紅茶?」

「はい。そろそろ残り少なくなっていたので。サムさんは紅茶、飲まれますか?」

 僕はウェイターが運んで来たカフェオレを一口飲んで言った。

「そうですね……私はもっぱらブラックのコーヒーばかりです」

「やっぱり。でもそっちの方がサムさんぽいですね」

 デスクワークをしながら、合間合間にコーヒーを飲むサムさん。そして、その姿を遠巻きに見つめる女性達。さぞかし、彼の持つコーヒーカップが、私だったら……と、署の女性達を悩ませていることだろう。右手でカップを持ち、コーヒーを飲むサムさんを見ながら、僕はそう思った。

「そうですか? なんだかブラッドリーさんにそう言われたら、もっとコーヒーが好きになりそうだな」

「それはよかった。まあ、僕も職場ではもっぱらコーヒーばかり飲んでいるもんですから」

「そういえば、備え付けのコーヒーがありましたね」

「ええ。ところでサムさんて左利き、ですか?」

「え? あ、はい、そうです! なぜ分かったんですか!?」

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