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⑫受け取ったもの
朧守はゆっくり歩み寄り、灯真と向き合うと目を合わせた。
灯真の目は強く、澄んだ優しい瞳をしていた。
あの日、あの約束をした時に見た瞳と同じだった。
灯真の瞳の奥から光が現れ始めた。
その光は徐々に朧守の意識に溶け込むと、灯真の幼かった頃の記憶が流れ始めた。
そして鈴風から過去に一度受け取った懐かしい記憶も流れ込んで来る。
しかし、なぜか全く別の記憶を預かったように朧守は感じていた。
これまで預かってきた記憶とは、何かが明らかに違う感覚だった。
鈴風と灯真の温かい思い出と、誰かを思う優しい心が朧守の中に流れ込んだのだ。
思い出は、温かい……。
朧守は彼らが言った言葉の意味を理解した。
まるで陽の当たらなかった場所に光が差したようだった。
朧守は不思議な感覚だった。
胸の奥が締め付けられるような……、苦しいような感覚。だが痛いわけでもない。
尊くて愛おしいというこの気持ちを、朧守は初めて知ったのだ。
気が付くと朧守の目から涙がボロボロと零れていた。
勝手に後から後から、それは止めどなく流れてくる。
灯真はその涙を見てにっこり笑うと、肩から力が抜けるように倒れていった――――。




