【Robert Quest 外伝】その2
RobertQuestのネタバレが若干含まれます。
剣や魔法が存在していた時代。
モンスターも度々出現してはいるが、
「冒険者」と呼ばれる者達が、日々モンスター退治や
洞窟探索に明け暮れていた。
そんな中、世界に魔王と名乗る人物が現れ、
その者は破壊と殺戮を繰り返しながら世界をむしばみ続けた。
だが、ある青年によって魔王は封印されたが、
青年も同時に命を落としてしまった。
青年の活躍だと知らずに、そのまま世界に平和が訪れた。
それから数十年後の時が過ぎた・・。
ブライアン「・・・・あれ・・ここは・・?」
ブライアン「ああ、そうか。」
ブライアン「俺は死んだのか・・?」
緑豊かな村、サルテ村で育ったロバートとジョンは、
冒険者として、初めて洞窟探索へと向かった。
その結果、恐ろしいものを発見してしまった。
昔、封印された魔王だった。
まだ封印されていたが、モンスター達の手によって
近いうちに復活するということを知った。
それを報告するため、ここメシーア大陸を治める城、
メシーア城へと向かった。
だが、初対面なのにこの話を信じてもらえるはずもなく、
新たな仲間と共に王様の依頼をこなすのだった。
新しい仲間、ブライアン、キャロル。
この2人は捨て子で、親の顔を知らずに育ってきた。
城での暮らしは裕福なもので、キャロルは生意気に育ってしまったが、
ブライアンは礼儀正しく、立派な大人になった。
ロバート達は王様の依頼で、謎の塔にて
悪臭の原因を探りに行った。
原因を解明し、その悪臭に悩まされていたホーク村へ報告へ向かった。
その時、ホーク村の長がモンスターへと姿を変え、
ロバート達に襲いかかってきた。
魔王の策略だった。
ブライアンが深手を負ってしまうが、
激しい戦闘ゆえに回復している暇もなかった。
死闘の末勝利をつかんだが、
ブライアンはすでに息を引き取っていた。
ブライアン「俺はあの程度のモンスターに・・殺されたというのか・・。」
ブライアン「そうだ・・ロバート達は?」
ブライアンは視界がはっきりしてくると、辺りを見回す。
背後にはブライアンの墓が立っていた。
ブライアン「俺は・・。」
ホーク村では、ブライアンの死をよそに酒を飲んだり、
美味しい物を食べたりと宴を楽しんでいた。
ブライアン「おい・・俺は・・どうなるんだ!?」
ブライアンはロバート達を探しまわった。
宿屋に行ってみると、ロバート達と、
もう一人女性が寝ていた。
旅の記録をつけてくれた、あの神官だった。
ブライアン「セーブ役のあの人がどうしてここに・・。」
その女性の名はクリス。
ロバート達の旅先で突如現れる、
ゲームの世界でいうセーブをしてくれる人だ。
そして、そのクリスがブライアンの問いに反応するかのように起き上がった。
クリス「ブライアンさん・・ですね?」
ブライアン「俺が・・見えるのか?」
村人に話しかけてみたが、全く自分の声が届いていなかった。
というより、自分は存在していないかのように思えた。
クリス「私は特別な役割をもっていて、あなたのような存在を知っています。」
クリスが言うには、冒険者の旅先で助けるために、
自らの人生を全て捨ててしまう代わりに、
ある人物の力によって特別な存在にしてもらえるという。
中でもクリスはさらに特別の存在だったという。
クリス「本来はそのまま旅の記録をつける役割でしたが、
この度の戦闘で敵にも姿が見える存在となり、
この役目を負う事ができなくなってしまい、
ロバートさん達の仲間とさせていただきました。」
ブライアン「それでは、旅の記録は誰が・・。」
クリス「私の他にも存在しているのですが・・。
ロバートさん達につきっきりの人物がいなくなってしまいましたね・・。」
その特別な存在となったものは、
特定の冒険者の存在をいつでも知る事ができ、
そのおかげで旅先で支援する事ができるという。
こういう事ができる人物も、
魔王の力にはかなわないという。
だから、冒険者達の支援をする力を与え続けているという。
ブライアン「それは困ったな・・もしもの事があった時に・・。」
クリス「それで、あなたに私達につきっきりで支援してもらいたいのです。」
ブライアン「・・・・まあ、死んで何もできないよりも、
支援できたほうがいいよな。」
条件があった。
ロバート達の身に何が起きても敵との戦闘中には姿を現さない事。
敵に見つかってしまえばそこで特別な存在ではなくなってしまうという。
クリス「通常、あなたの姿は私達に関連する人物などを除いて見えません。
しかし、支援してくれている間などはあなたの姿は見えてしまいます。
なので、時と場所を選ぶ事が重要となります。」
ブライアン「・・なんだか難しいな・・。」
クリス「まずは、ゲイボルグという、
特別な力を与えてくださる方に会ってください。
早くしないと、ブライアンさんはそのままあの世行きになってしまいます。」
ブライアン「そ・・それだけは勘弁だ!」
ブライアンは場所を教えてもらい、すぐにそこへ向かった。
体が透けているので、自分の思うがままに進む事ができた。
海の上も歩ける、壁もすり抜けられる、空も飛べる。
最高の気分だ。
でも・・・孤独だ・・。
ブライアン「まあ、俺はまだマシな方か・・。」
そう呟きながら目的地へ到着。
雲に届きそうなほど高い塔という事から、
雲の塔と名付けられたその場所は、
特別な存在、もしくは特殊な条件を満たしたもののみ入れるという。
だが、明らかに塔の側面からは侵入できそうな場所があったが、
ブライアンにはどうでもよかった。
ブライアンは空を飛んで、そのまま頂上についた。
ゲイボルグ「む・・・・お前か、
昨日命を落とした、クリスがめんどうを見ていた
冒険者の一人だな。」
ブライアン「もうご存じです・・か。」
ゲイボルグ「私は3賢者の一人、ゲイボルグだ。
まあ、クリスにおおよそ話は聞いたと思うがな。」
ブライアン「3賢者・・どっかで聞いた事あるような・・。」
ゲイボルグ「まあ気にするな。
私もある意味特別な存在をしてここにいる。
もう賢者でもなんでもない、ただのボランティアだ。」
ブライアン「俺も、特別な存在にしてください!」
ゲイボルグ「ならば問う。
お前はこれから先成仏されるまで、
冒険者のために全てを尽くす事を誓うか?」
ブライアン「・・・はい!」
ゲイボルグ「悪い事をしたらどうなるんだとか思わない方がいいぞ。
特別な存在である以上、死よりひどい目に会うからな。」
ブライアン「(この人にはとてもかなわないな・・。)
そんな・・ははは。」
ゲイボルグ「では、目を閉じていろ。」
どれだけ時間が経ったか。
頭がぼーっとしてくる。
気づくと、ブライアンはホーク村にいた。
クリスが横に立っている。
クリス「どうやら成功したようですね。」
ブライアン「(失敗とかあるのか?)
あぁ・・あれ、ロバート達は?」
クリス「事情を話してメシーア城に先に向かっていますわ。」
ブライアン「で・・俺は具体的に何をすればいいんだ?」
クリス「まずは基本的に旅の記録をつけてくれればよいのですが、
近いうちに回復薬や装備も調達してきてほしいのです。」
そんなのお安い御用。
と思った。
クリス「当然、世界を救う旅をしている冒険者のためだからって
お店から盗んだりするのは駄目ですよ。
天罰が下ります。」
ブライアン「(死ぬよりひどい目というのは、天罰・・という事か?)
じゃ・・・じゃあどうすれば?」
クリス「やる気満々だったようですね・・・。
当然、人間の取引と同じです。
お金、もしくは物々交換です。」
ブライアン「・・・・俺の姿も見えないのにどうしろと・・。
それにお金も持ってないぞ?」
クリス「お金は、私達があなたから物を買えば、
自然と溜まるでしょう。
それで装備やアイテムを調達すればいいのです。」
ブライアン「肝心の・・・どうやって人に話しかけられるんだ?」
クリス「私達の存在と関連付けさせればいいのです。」
そういって、ブライアンを道具屋へ連れて行った。
ブライアン「おい、まじでいくのか・・。」
道具屋店主「ひゃあ!いきなり人が!」
クリス「これで道具屋の人と関連付きましたね。」
ブライアン「まるでゲームだな・・。」
クリス「では、3000Gを渡しますので、後は頼みましたよ!」
そういってクリスはロバート達の後を追った。
ブライアン「あ、おい!」
道具屋店主「あ・・あの・・突然現れた謎の人、
何か買いますか?」
ブライアン「え・・えっとだな・・回復薬(赤)を100個と・・。」
ブライアンは大量のアイテムを抱えて外に出てきた。
ブライアン「幽霊と言えど色々と限度があるぞ!
何か便利なものは・・・。」
ブライアンは、盗みは厳禁というのを思い出すと、
一気にテンションが下がる。
ブライアン「・・・木とかから材料採取ぐらいはいいよな・・。」
ブライアンはそういって、
買ったアイアンアクスで木を切り始めた。
ブライアン「木を切っているというのを敵にばれたら終わりだからな・・。
ありえないぐらい神経使う・・。」
2週間ほどかけて、ブライアンは素材を調達すると、
あるものを作り始めた。
ホーク村人「なぁ、君それは馬車かい?」
ブライアン「あぁ、そうです・・。」
ブライアンは自然に村人達に存在がばれはじめていたのだった。
こういった平凡な行動をしていても、普通の人間に存在がばれてしまうというのがわかった。
ホーク村人「・・そういえばあんたどこかで・・。」
ブライアン「あ、あのすいません。
なにか木の板とかありませんか?」
物々交換しながらも、馬車を作り上げていく。
作っていくうちに、手伝ってくれる村人が出始め、
完成するころには村人全員で1つの立派な馬車を作っていた。
女の子「わーすごい、これどうするの?」
ブライアン「あぁ・・わけがあってね・・。
それはそうと、みんな手伝いありがとう。
これで、冒険者の手助けができるんだ!」
その言葉に反応したのか、年老いてはいるが、
頑丈な鎧に身を包んだ男が話しかけてきた。
アレックス「冒険者?」
ブライアン「え・・ええ、ある事情があって、
冒険者の手伝いをすることに・・。」
アレックス「もしかしてこの前きた・・ロバート達の事か?」
ブライアン「名前しっかり覚えてるんですね。
ロバートも冒険者として名を上げ始めてるよなぁ・・。」
アレックス「ロバート達だったとは全くあの時は気付かなかった。
どれだけ話をしたかったか。」
ブライアン「まあ、ホーク村の人々が応援していると伝えておくよ。」
アレックス「・・・・孫をよろしく頼む・・。」
ブライアン「え、今なんて・・。」
アレックス「あ、いやなんでもない、がんばってな。」
ブライアン「そうですか・・・じゃあ、俺そろそろ行くね。」
ブライアンはホーク村の人々に別れを告げた。
村人達は、アイテムと馬を譲ってくれた。
感謝の言葉でいっぱいだった。
立派な馬車を大量のアイテムを乗せて立派な馬が引く。
俺はその横を笑顔で歩く。
とてもいい気分だった。
ブライアン「よし、これから敵もどんどん強くなっていくだろうし、
強い装備やアイテムを買うためにこれからも色々と
やりくりしていく必要があるぞ・・!」
そしてのんきに歩いていると、ロバート達がとある洞窟に入るところを目撃した。
ブライアンは、馬車ごと洞窟の最深部へワープした。
そこで待っていると、数時間後にロバート達がやってきた。
ロバートがブライアンに気付くなり、
ロバート「よぅ死人。」
さっそくひどい扱いきたこれ。
ブライアン「その扱いはひどいな。」
クリスは笑った。
クリス「その調子です。」
ジョン「たまにでいいから、アイテムおごってくれよ!」
ブライアン「それは無理だ、これからもやりくりしていかないといけないんだぞ?」
キャロル「もう、死んだ時はどんだけ泣いたと思ってるのよ、
心配させやがってこのバカ!」
何気ない会話が飛び交う。
俺はまだ、孤独じゃなかった。
こんなにもいい仲間がいた。
ブライアン「これからもよろしくな!」
ブライアンの冒険者の支援する生活が始まった。