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家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!  作者: 雪那 由多


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大家のターン再び 1

「朱華、出てこれるか?」

 大家さんが珍しくひよこと呼ばずに名前を呼ぶけどそれでもうんともすんともしない様子に大家さんはため息を吐いていた。

 暫くして何の変化のない様子に諦めて

「真白」

 足元で一緒に欄間を見上げていた真白が驚いたように振り向いたかと思えば今度は俺がのけぞる番になった。

「うおっ?!」

 驚くのはそのはず。

 目の前にさっきまで見下ろしていた真白の目がくりっとした真っ黒の瞳が目の前にあった。

「お、大家さん……

 真白が急に成長して、おっきくなって、これって成長期?」

 んな馬鹿なと思うものの大家さんは慣れたように耳の裏に手を伸ばして

「これが真白だ」 

 誇らしげな口調と

「真~、真白かっこいい?真白は大きくなるとこんなにもかっこいいんだよ~」

「頭の中は小サイズと同じの残念付喪神だ……いだっ!」

 ごっ!

 見た目と口調のギャップにあっけにとられてしまう。

 というか耳の裏をひっかいてもらい嬉しそうに大家さんに頭を寄せ付けて気が付けば大家さんは派手な音を立てて真白に押し倒されていたなんて……

「主~、もっとなでなでして~」

「重い!暑い!獣臭い!」

「主の照れ屋さ~ん!」

 なんかよくわからないけどのしかかられて顔色が青くなってる辺り本当にヤバそうで

「ほら、真白!大家さんつぶれちゃうから離れて!」

「はーい」

 首の回りの毛を掴んで何とか引き離すも主を堪能できたのでご満悦な顔をしていた。

 なるほど、大家さんが名前を呼ばない事であの小サイズに封印してきたという事に納得が出来たし、家から追い出した理由も分からないでもあった。

 大家さんは力尽きたというように横たわったまま

「真白、これから俺と九条が玄さんと岩さんを連れて緑青を迎えに行くが真白は朱華は今は出てこれないけど出てこれるようになった時寂しくないようにお留守番できるよな?」

「んー、主が帰ってきたらご褒美に美園屋さんのケーキ買ってくれる?」

「1つだぞ」

「わーい!」

 大きな体でぴょんぴょん飛び跳ねる様子は小サイズとまるで同じ。

 確かにこれはいろいろと大変だと大家さんに同情してしまうもちらりと玄さんと岩さんを見る。

 どう考えても大きくなるんだよな。こんな小さいサイズでなくてもそこそこサイズなら大家さんの所で今も暮らしてるよなとなんとなく玄さんの甲羅をベッドに寝てほっこりする大家さんと岩さんに巻き付かれて瀕死の大家さんを同時に想像して体をぶるりと振るわせてしまった。やっぱりダメだと……

 そんな妄想をしている俺の隣で

「これから前に来た浩太さんと何人かの職人さんが家の中に入るだろうからお仕事のお邪魔をしたり驚かせたりしたらダメだぞ」

「はーい」

「ご飯は花にお願いしてあるから。あまり迷惑をかけるなよ」

「杜も来てくれるかな?」

「いい子にしてたらな」

 また謎のご近所さんの名前が出たけど嬉しそうにしっぽをぶんぶん振り回すあたりなついている証拠で悪い人じゃないのだろう。とは言え綱引きの綱並みの太さのしっぽをぶんぶん振り回してほしくない。例え家に影響がなくてもはたかれたら吹っ飛ばされそうで怖いんだけどとは言えないが、楽しみだねーといまだに潰されたままの状態の大家さんに頬擦りする様子はさしずめ捕食一歩手前という光景か。

 どっちにしても愛が重いってこういう事なんだと俺とちみっこ達の距離感がちょうどいい事を少しだけ嬉しく思うのだった。

 

 しばらくして迎えに来たタクシーに乗って駅まで向かう。

 その後は大家さんが用意してくれた切符で電車に乗り、あの日兄貴が座っていたホームのベンチは今は誰も座ってなく、兄貴の顔を思い出して少し心細く思ってしまうけど大家さんが新幹線来たぞという声に不安な心を吹き飛ばすように新幹線に乗った。

 平日の昼間の新幹線は自由席の方が人は少ないという驚きの発見の中大家さんはパソコンを取り出して窓際の席で充電をしながら何か仕事を始めた。

 俺はする事もなく手持ち無沙汰にしていれば

「今のうちに寝ておけ。

 もしくは空いてる席に移って玄さんと岩さんと外の風景を一緒に見ていろ」

 そう言われれば前に緑青と一緒に電車に乗った時外の流れる景色を楽しそうに見ていた事を思い出して小さなテーブルに二体を乗せて

「この新幹線早いんだぞー」

 そう言って動き出した街並みに

「真、大きな建物がいっぱいだね!」

「真、主の車とどっちが早い?」

「大家さんの車より早くなるから楽しみにしてろよ?」

 新しい景色は山奥で暮らしていた二体には刺激的だったらしくきゃっきゃと喜んで窓の外の景色を堪能していた。

 ちらりと通路を挟んだ隣の大家さんはひたすら手を止めることなく何やらしていて……

 その時なんでかものすごく悪い表情をしていたので俺は大家さんの席を向かい合わせになるように動かして大家さんの正面に玄さんと岩さんを連れて席を移した。

「どうした?」

 モニターから視線を動かさない大家さんの不思議そうな声に

「せっかく一緒に旅行しているのにやっぱり別席は寂しいかと思いまして」

 席を移せば玄さんと岩さんは嬉しそうに大家さんの膝の上に乗って丸まってお昼寝の体制になってしまった。

 だけど邪魔になるだろうからと俺は大家さんから二体を受け取って引き受ける。

 悪いなと言うような視線を向けられて

「向こうも乗り込んでくるだろうと思っているからな。少し妨害させてもらうだけだから安心しろ」

 パソコンを使って妨害って何だろうと思うも大家さんだから心配はないなと思い

「大家さんの妨害ってなんだか怖そうだな」

 場を明るくするように笑みを浮かべれば


「なに、賃貸借りている奴がいるからその解約の申請をしておいたり、スマホやクレジットの解約は最低限の対策だろ?

 怖いよなー。解約は簡単なのに再発行手続きはものすごくめんどくさいんだよなー」


 は?

 この人何を言ってるのだろう?

 って言うか、何軽く犯罪をしているのだろうか……

 目が点になって何を言ってるのか俺には理解できなかった。






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