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家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!  作者: 雪那 由多


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小さいながらも作る夢の国 6

 中々のこう配を駆け上がった所に大家さんのご自宅はあった。

 何回見てもびっくりするほどの広いお庭にポツンと古き日本家屋が待ち構えていた。

 一人暮らしと聞いていたのにフルリフォームした新しい家ともう一軒それなりに古いお家があり、馬と牛を飼っていた時の名残の小屋と何か倉庫代わりの建物と一番なじみのあるシャッター付きの駐車場を持つ一大邸宅だった。

 そこに一人で暮らすのは寂しいだろうと思っていたけど、言われた通り車を駐車場側に止めて

「こんにちはー。お言葉に甘えてお邪魔します」

 ガラガラとドアを開けて入れば

「九条来たか。今お茶用意するから待ってろ」

「大家さんありがとうございます。今下のお店でアイスを買って来たので食べてください」

 言えば悪いなあと言いつつ嬉しそうな顔をした所で


「「「「「主ー!来たよー!!!」」」」」


 俺の肩から一斉に大家さんに飛び移るちみっこに来たなと言うように手を伸ばしてキャッチする。

「主ー、アイス買って来たから一緒に食べよー!」

 朱華の提案に

「まずはお茶だ。

 そして九条、庭の進展はどうだ?」

「さっき会ったばかりなのに進展も何もないですよ。

 遠藤さんに言われて畑を耕して、遠藤さんが畝を作ってそこに苗を移してお水をかけた所までです」

「十分進展してるだろう。あいつ普段は仕事があるから自分の畑なんてやってる暇なんてないけど、代わりにうちの畑の世話とか空き地を好きなように使わせて遊ばしてただけだからな。あれ?一から畑を作るのは初めてだったか?園芸部だからいいか。九条、悪いがあいつの事頼むな」

 何気にすごい酷い言い草に口元が引きつってしまうものの

「いえ、俺の方こそ一から全部やってもらってばかりで」

 畑の知識どころか作り方も知らずにやってみたいと言う気持ちだけしかなかった俺の目の前でどんどん作られていく畑に感動していたのに

「なに、毎日の水やりと収穫を一緒に楽しめば十分だろ」

「せっかくなので一緒に教えてもらいながら趣味にしようかと思っています」

「……」

「なんっすか、急に無言になって……」

 思わず警戒してしまえば

「いや、お前の家の前の空き地、うちの土地だから貸してやろうか?」

「そこまで本格的にやらないので結構です!」

「そうか?」

 やっと納得した。

 遠藤さんがうちの前を草刈り機をもって何度も往復している理由はうちの前の空き地の世話をさせられているのかとやっと理解できた。

「どおりで草だらけだったところが綺麗になったわけですね」

「昔は田んぼをやってたって聞いてたが今じゃ何の役に立たない雑草畑だからな。誰か借りてくれると嬉しいんだけど、あ、買ってもいいぞ?」

「要りません」

 即座にお断り。

 大家さん何さりげなく売りつけてくるんだよとぞっとしてしまう。


「主ー、お外遊んできてもいいー?」

「主ー、鳥さんに仲良くしてねーって言ってー?」


 真白と朱華が遊びなれたお庭に行きたいとうずうずしているのを見てあの衝撃な一日を思い出してしまった。

「みんなダメだよ。また痛い痛いってなるよ?おもちゃ持ってくるから一緒に遊ぼう!」

 お家の中で遊ぼうと言うも

「お外がいいー!」

「お外がいいのー!」

 真白と朱華の駄々っ子ぶりに大家さんはため息を吐いて

「ウコ達を小屋に入れてくるから。少し待ってろ」

 その判断に

「やったー!」

「わーい!緑青が一番乗りするんだー!」

「朱華は、川沿いのクレソン畑のあたりに行きたいのです!」

「玄はー、日向ぼっこが良いな?」

「玄さんが日向ぼっこするなら岩も付き合うねー」

「岩さんありがとう!」

 みんな縁側で大家さんが待ってろって言ったようにワクワクしながらもおとなしくしていたが

「ウコー、小屋に入れー」

 なんて声を掛けながら木づちでコンコンと木の板を叩けばどこからか集まってきた……

「真っ白の鶏だ……」

 少し前に見たひよこからちょっと大きくなったチョ〇ボみたいな姿からさらに成長した立派な鶏の姿にちみっこ達も固まっていた。

 前回会った時から倍以上に大きくなった烏骨鶏は集団で鳥小屋の方に向かって駆けていく姿の迫力たるやちみっこは唖然とガラスに張り付いて見送っていた。

 驚きに固まっている間に大家さんは戻ってきて

「さあ、遊んでいいぞ。

 後鳥小屋には近づくなよ。今度は間違いなくさびと岩さんは丸呑みされるからな」

 二体が恐怖にぶるりと震えて大家さんの足にピタリとしがみ付く。

「今日はみんな小屋に居れたから大丈夫だけどお外で遊ぶ時はウコ達以外にも気を付けて遊ぶんだぞ」

 そんな注意。

 こうなってしまえばなかなか庭に降りれなくなったけど


「今日は、お庭じゃなくって花ちゃんに遊んでもらうんだ!

 主お土産におやつをください!」


 そんな真白の提案に

「緑青もご挨拶に行くー!」

「朱華も遊んでもらうんだー!」

「花ちゃんだったら玄もあいたいよー」

「岩もご挨拶に行くー」

 どうやら予定が決まったらしい。

 というか

「花ちゃんって?」

「あー、いろいろめんどくさい話だけどちび共の世話をお願いしていた隣人?」

 こんなポツンと一軒家に隣人とは何ぞ?と思ったけどちみっこ達はもう決定事項と言うように縁側からいい感時にかかっている板を伝って庭に降り、それから川べりの方に走って行った。

「まあ、お願いしてくるからちょっと待ってろ」

 そう言いながら冷蔵庫から何かの料理を詰めたタッパーを手にちみっこ達を追いかけて行く。

 お隣さんだとちょっと待たないといけないのかな?

 なんて考えてみたけどそもそも普通の人の目には映らない付喪神を捉える人がポンポンいるのだろうかと疑問を覚えるも

「お待たせー。

 ちび共はお願いしてきたからとりあえず園芸部が来るまで先にやれる事をやっておこうか」

「ええと、はい。お願いします」

 不思議な事についさっきまでちみっこの甲高い笑い声が響いていたのにいつの間にかその声はどこにもなく、代わりに何かの虫がジー、ジーと鳴く小さな声しか聞こえてこなかった。





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