小さいながらも作る夢の国 4
遠藤さんと家に戻って畑に堆肥と石灰混ぜて畝を作った。
前もって遠藤さんが持って来てくれていてた耕運機の使い方を俺に教えてくれて土を混ぜ合わせた後すぐに遠藤さんが鍬一本で畝を作ってくれた。
なんか機械と同じスピードで畝を作っていくのですがこれが普通かと思うわけがない。
「綾っさんの所で働くと容赦なくレベルアップとスキルアップするからこれぐらい訳ないっすよ」
絶対嘘だ。
ゆっくりと進む機械に合わせて一歩一歩足を進める俺とは別に遠藤さんの腕の動きは別物だ。
ザックザックと鍬を突き立てては梃子の原理で掘り起こして畝を作る古きゆかしき畝の作り方。
一列と半分ほど進んだ時には綺麗な畝が一列で来ていた。
すげーなんて思いながらも進む機械に連れられて行く俺は犬に引っ張ってもらって散歩している爺さんと何ら変わりがないようにも思えた。
だけど遠藤さんは俺が三列目を終えた頃にはわずかな遅れで二列目の畝を作りさっそくと言うように苗をビニールポッドから外して植え付けていった。
「もう植え付けるのですかー?」
進む耕運機に連れていかれるように四列目が終わりに差し掛かれば
「今日買った苗だと二列あれば十分だから。
芋は丈夫だけどトマトとかは早く植え替えてあげないとかわいそうだからな」
すでに実が生っているのにいまだ狭いポッドの土の中で根っこをぐるぐる巻きにして耐えているトマトの根っこをほぐしながら古い土を払い落としてふかふかとはいいがたいけど畑に植えていく。
「本当は耕して少し肥料が土になじんでから植えるのが良いのだけどそうも言ってられないからね」
しっかりと植え付けをして一番端の畝にじゃが芋とさつま芋をぞんざいに植え付けて
「今日はここまでにしようか!」
そういった頃には何とか畑全面耕した後。
耕運機を畑の外へと持ち出せば遠藤さんは池に流し込む為に設置した沢の水を引き込むホースを畑へと引っ張ってきて、水を流した。
「玄のお池のお水ー!」
玄さんが慌てて畑へとやって来たけど勢いよく流れる水はあっという間に畑をプールのように水で満たし
「今日はこれぐらいでいいかな」
そう言って遠藤さんはホースをまた池の方へと持っていくのだった。
何が起きたか分からない俺と玄さんだったが
「毎日水道の水で水やりするよりこうやって池の水のホースをこっちに引き込んだ方が早いしお金もかからない。綾っさんの家みたいに水路造るのが一番簡単だけど、あそこほどこの庭は広いわけじゃないからこれでもいいだろうし」
めんどくさかったら水路造るぞと満面の笑顔で作る気満々の遠藤さんに
「そこはしばらく様子見で……」
とさせてもらうのだった。
なぜか少し残念そうな顔をしたものの畑が水浸しになって玄さんと岩さんはそこに植えられたトマトやさつま芋、じゃが芋の苗を不思議そうに眺めていた。
雑草と野菜の苗との差がまだわからないのだろうなと収穫の時楽しんでもらえれば今年は十分だと目に見てわかるトマトの様な成長ぶりとは違い地下茎の不思議を内緒にしながら畑を出る頃には俺も遠藤さんも泥まるけになっていた。
「これは一度着替えないとまずいですね」
これから大家さんの家に行って晩御飯をお呼ばれするのだ。
さすがにこの格好はだめだろうと言えば
「だな。とりあえず着替えてくるから綾っさんの所でまた会おうな。あと着替えと寝泊まりする準備しておくといいよ」
「なぜに?」
年上にもかかわらずすっかり打ち解けてしまった遠藤さんの気軽な口調に返せば
「このあと綾っさんのお婆さんの畑の手入れをするんだけどそこがまた難しい所でさ、絶対汚れる自信があるからの着替えとあの家で飯を食べてのまされるから最低限の準備は必要だよ」
うんうん頷く遠藤さんはさらに
「週末は綾っさんが高校時代の恩師が遊びに来るからあの人に絡まれると吐くまで呑まされるから二日酔いの薬があったら持って行った方がいいよ。なかったら今回は俺が持ってるやつ分けるから気兼ねしずに飲みまくればいいし?」
そう言ってしばらくの間俺の顔を見て
「あの先生から守ってやる事は出来ないけど、いい歳だから自分からつぶれるのを期待するのが作戦かな?」
存外酷い言葉をポロリと落としてから着替えてくるなと言って去って言った遠藤さんにどういう事と手を伸ばすより先に
「真ー、主のお家に行くのー?」
「真ー、主の家にお泊りするのー?」
「真ー、真も主のお家にお泊りするのー?
「真ー、真もお酒飲むのー?」
「真ー、手土産忘れずに主のお家に行こうねー?」
主ワードに一気に盛り上がるちみっこ達。
どんだけ主大好きなんだよ、そしてそろそろお世話係の事も気にかけてと血の涙を流しつつ
「大家さんのお宅にお邪魔するからシャワー浴びて綺麗にしてくるな」
いい顔で言えば真白と朱華がさっそく逃げ腰に距離を取り始めるも
「みんなも綺麗な姿で会いに行こうな?」
逃げようとする朱華と真白を緑青と岩さんが捕獲して
「主のお家に行くのに泥まみれはよくないよ?」
玄さんの説得に何故だか素直に「はい」という朱華と真白のかわいさに二人にはばれないようにくつくつと笑ってしまった。




